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7.Leave the city

「じゃあ、行きましょーかね。ほら、とっとと準備」

「へ?」

「へ? じゃないでしょうが。旅に出るんだから。明日の朝ね」

「そんな急に言われても、出られる訳ないだろ」


 ずっとこの町にいる訳にはいかないが、一応俺達にも目的がある。

 最近忘れがちだが、一応『マオウ』について調べているという目的がだな。

 てか、こいつがついてくるって事は、一応説明しておいた方がいいよなぁ。


「一応俺らも目的があるんだよ」

「目的? あー分かった。 女の子とイチャイチャすることだわな」

「違わい。まぁ眉唾ものと思って、話しを聞いてくれ」


 俺はエレフトラへこれまでの経緯。マオウについてを話した。

 馬鹿にするかと思いきや、一応ちゃんと話しは聞いていた。

 ただ、話を聞く途中で葉巻を吸い始めるのはどうなんだ。

 一応窓開けてこっちに煙流れてこないようにしたけどさ。


 エレフトラは窓からポイッと葉巻を捨てると、何かを考え始めた。

 下に人がいたらどうするんだ。てかポイ捨てするんじゃない。


《結構ちゃんと聞きますね》

(根は真面目なんだろうな。それ以外はアンポンタンだけど)


 一応王都のそれなりのコネを持つ人間だ。

 何か思う事があるんだろうな。


「なるほどねぇ、『マオウ』ねぇ……」

「馬鹿にするかと思ってたけど、思ったよりちゃんと聞くんだな」

「あぁ。正直どうかと思うけど、一応筋は通ってるんだよなぁ」


 そういえばホーガンの支部長も真面目に聞いていたんだよなぁ。

 やはり、ここ最近の大侵攻等の異変はおかしいと思っている人がそれなりにいるということか。

 王都は隣の町が潰された訳だしな。


「一応俺たちはその『マオウ』が復活したり、降臨したりするのを防いだり、降臨したら倒すのを目的としてる」

「その為に情報を集めてる……と」

「そうだ。何か心当たりは?」

「うーん、わりーな。力になれそうもない」


 そうだろうなぁ。

 ただ、こいつの情報網もアテにはできるかもしれない。


「それで、俺たちはアポを取ったんだ。魔術協会の会長にな」

「……それまではこの町は出られない」

「あー……、それは厳しいかもしれないよ?」

「なんでだ?」

「あの会長は、今出張中だ。最低2週間、長ければ数か月は席を外すかもしれない」


 思ったより長いな。

 そういえばあの秘書っぽいねーちゃんには帰ってきたら連絡するとしか言われてない。

 うーん、ずっと待つのは辛いか。


「よーし、分かった。話を付けてきてやるわ」

「話?」

「旅に出るから、帰ってきた時にいたら真っ先に会わせろってね」

「そんな権限があるのか?」

「まぁ、ちょっとね」


 何だろう、頼もしいのか不安なのかよく分からない。

 まぁ、明日何とかしてくれるとか言ってたのでお願いしておこう。




 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




 エレフトラはこの町に詳しいだけあり、結構色々な情報を持っていた。

 まず、この町ではあまり『マオウ』に関係ありそうな情報は無いらしい。

 しかし、一応教会の人にお願いして情報収集させておくとかなんとか。


 また、不穏な動きがあるのも確かなのだと言う。

 もしマオウが出現する可能性があって、今回の戦争も何かしら関係があったとしたら。

 今回の黒幕にとって俺達はやっぱり邪魔な存在なんだとか。

 まぁそりゃあそうだよな。

 うかつな聞き込みも出来ないか。


「正直、ユーハ? がやっている調査は危険だわ。出来れば、この町からは離れた方がいいかもしれないね」

「それはこの町にマオウの情報があるって裏返しじゃないか?」

「いや、それは関係ないね。マオウを調べるのは戦争を調べる事。それはマオウと関係あろうとなかろうと、危険なのさ」


 なるほど。要は調べられる事が嫌いな人が多いってことか。

 まぁでも『マオウ』についての情報を調べるだけならいいと思うんだけどなぁ。


「それより、先にやるべき事があると思うんだわ」

「やるべき事?」

「戦力の強化だーよ。こっちが言えた義理じゃないが、後衛ばっかりで前衛が1人じゃないか」


 確かに、現状前衛1に後衛3の非戦闘要員が1だ。

 アンバランスではある。

 俺がいざとなれば前衛を張れるが、やっぱりどうにかしたいな。

 どうでもいいけど、ロントとリアは遊んでるんじゃない。

 ライトベルは本を読みながら、たまに会話に参加してくる程度だし。


「となると、あそこか」

「あそこ?」

「ナフィ」


 ナフィ……聞き覚えがあるな。

 確か、ポートから教わった言葉だったような……。


《そのとーりです! 奴隷の売買が盛んな町ですねっ!》

(あー、その町にもうだいぶ近いのか)

《はい! ここから南東に向かった場所ですね》


 そうか。奴隷か。

 今更ながらちょっと抵抗感が出てきたが、欲しいと言えば欲しい。

 ……でも、問題がある。


「ナフィか。奴隷を買うんだな。でも、金はどうするんだ?」

「へ? これでいいじゃないのさ」


 エレフトラが袋を取り出す。

 おい、それはお前が横領した金だろ。


「その金はなぁ……」

「なぁ、ユーハ。どうして靴下が片方だけなくなる事が多いのか分かるか?」

「……何だよ唐突に。分かんねーよ」

「答えは簡単さ。両方無くなった時は、そもそも無くなった事にすら気づかないんだよ」


 片方無くなった時は、もう片方しかないから判明できる。

 両方無くなった時は、それすら一切気づかないから分からないという事か。

 なるほど、核心をついている気がする。

 だが、だがなぁ。


「何か泥棒の極意を教えるっぽい事言っているけど、お前盗んだのバレてるじゃねぇか!」

「細けぇこたぁいいんだよ!」


 何だったんだ今のくだり。

 とにかく、こいつが盗んだあの金は正直使いたくない。

 しかし、そうなると奴隷を買うのに懐が心許ない。


「まぁ、一応案は無くはないさ。これを買っておきな」

「これは?」

「ナフィで今需要の高い木の実だよ。こっちの買い値より、あっちの売り値の方が高い。せっかく移動するなら、それを利用しなきゃダメさ」


 なるほど、これは役に立つ。

 こういう金の絡むところでは、頭が回る奴なんだなぁ。


 そういうことで、明日の昼に出発することにした。

 朝は例の木の実を買い込む。

 それと、人数が1人増えたのでその分の食糧も必要だ。

 ナフィまでの道のりはそこまで長くはないとはいえ、それでも一日や二日はかかる。

 距離としてもそこそこあるし、山道もちょっと通るからだ。


 だが、リアとライトベルは別の事を考えてた。

 俺らの間で大流行のゲーム、マテリアルでボコボコにする相手が出来ると。

 ……あいつ、結構頭切れるから油断するのは良くないと思うけどなぁ。





 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




 エレフトラは一度自分の教会へ帰った。

 よく大金を窃盗した自分の居場所へ帰れたな。

 あの精神を見習いたい。


 翌朝木の実を適当に値切りまくってから客車に詰め込み、宿を撤収する用意をしているとエレフトラが宿に来た。

 どうやら、教会側にちゃんと旅に出るという事を伝えて来たらしい。

 餞別に少し金を貰っていた。

 もっと大金をこっそり貰ってるはずなんだけどな。


 エレフトラはフラっとロントの近くに寄る。

 そして当然のようにロントの鞄を漁った。


「おい……」

「ちょっと預けてたものを返してもらうだけさ……っと」


 中から袋が出て来た。

 あの盗んだ金だ。

 ロントがビックリしているのを見ると、勝手に荷物に入れられていたんだろう。


《さて問題です! なんでロントさんの鞄にお金を仕込んだんでしょう!》

(……なんとなく理由は察しはつくが、一応答えを聞こうか)

《ずばり! ユーハさんが勝手に旅立った場合責任をユーハさんに押し付けるためです!》


 はぁ……そんなことだろうと思った。

 まぁ、まだ俺たちの間に信頼関係は築けてないからな。

 俺もほとんどこいつを信頼してないし。


「じゃあ、行くぞ。準備はいいか」

「はい!」

「大丈夫だ」

「……うん」

「シャック、シャック」

「よし、しゅっぱーつ!」


 エレなんとかって奴が何故かリンゴを食べていたが、まぁとにかく出発だ。

 ブラウン君に出発の合図を……。


「ちょっと待て。そのリンゴ、俺達の食糧にないぞ」

「んぐんぐ……そりゃあ、そこの店から失敬してきたからねぇ」

「おい! リア! 急いで金を支払ってこい!」

「は、はい!」

「べつに払わなくていいのに……」

「よかねーよ!」


 新メンバーを加えて5人となった俺達の新たなる旅立ちは、こうして出鼻を挫かれた。

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