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5.予想外の再会

 その後、ヴェルノーンを背負いつつギルドまで運んだ。

 麻痺を治す薬は宿にあるが、手持ちに無かったのでギルドで買おう。

 とギルドの人に頼んだところでヴェルノーンの体が動くようになった。

 毒が抜けたんだろうか。


「おい、大丈夫か?」

「うー、ちょっとまだビリビリする」

「ったく、すいません。薬はやっぱいいんで、こいつに水ください」

「えへへ、どもー。麻痺って結構持続するのね」


 全く、俺にもギルドの人にも無駄に迷惑かけやがって。

 まぁでも確かに麻痺があんなに長続きするとは知らなかったな。

 ……この様子だとキスの事は覚えてないかな?


「あ、さっきはどうもね。……ファーストキス奪われちゃったけどね」

「アレは悪かったな。薬草でも効けばいいなと思ったんだが」

「ンフフ、ユーハの事は嫌いじゃないからね。もっかいしてもいいよ?」

「……それは遠慮する」


 無駄に好感度だけは高いな。

 チートは効いてないけど、口説くだけ口説いてみようか。


「なぁ、ヴェルノーンはこの町にずっといるのか?」

「んーん、転々としてるかな。この町にも多分明日か明後日には出ちゃう」

「そうか。なぁ、良かったら俺のパーティーと一緒に行かないか? 客車で旅をしてるんだが」

「んー、ゴメンネ。『トビラ』を使った旅だから、あんまり仲間とか一緒に旅できないんだ」


(……トビラ?)

《あ、それに関しては後でご説明します》

(そうか、分かった)


「じゃあ残念だな。また組める事を楽しみにしてるぜ」

「おう! 精霊魔法の凄さも味わったぜ!」


 ガッチリ握手した。

 まぁ、コネを作れた事だけでもいいとしよう。

 問題はそこではないしな。

 俺はクエストの報酬を受け取ると、ギルドを出た。




(なぁ、なんでヴェルノーンに魔法が効かなかったんだ?)

《……正直、全くもって不明です》

(流石にちょっと困るからなぁ。もしかして、あいつが男って可能性は?)


 俺としては考えたくない可能性だが、今の所これが有力な気がする。

 いや、俺もあのおっぱい見てるから女だとは思うんだが。


《完全に女性ですね。DNA的にもそうですし、性転換の魔法も使われた形跡がありませんし》

(そんなものがあるのか)

《マイナーの魔法ですけどね。一応ハーレム候補の女の子にするとユーハさんが言った女の子にはこの魔法がかかっているか毎回チェックしてます》

(そうだったのか)


 秘密裏にそんなことをしてくれてたのか。

 そこはありがたいな。


《あ、ユーハさん。あそこに見えるのが『転移の扉』と言われるものです。他の町までワープできますよ》

(なっ、そんな便利なものが)

《ただし簡単に行先が変更できません。あと結構お金かかります》


 転移の扉は全ての町に存在するらしい。

 実際見るとファンタジー的なワープポイントみたいな感じだ。

 登録すれば行きたいところに行けるが、乱用を防ぐ為に行先が簡単に変更できない。

 これによってパーティーを組む旅には適していないそうだ。

 ……あれ? ライトベルだけで扉使って旅すればいいんじゃね?


《各地の様子を見るのには適さないんですよ》

(そんなにきついのか? 行先の変更って)

《1か月に2回までですね》

(ということは2週間ぐらい稼いで他へ行ってを繰り返せば、一人旅も出来るってぐらいか)

《そうですね。恐らく彼女もそういった方法を使ってるんだと思います》


 そういえば、大侵攻があって1日で町に到着するのに近隣の町から助けの冒険者が来たしな。

 大侵攻があると言われている町へのワープは割安らしい。

 その他色々な料金プランを言われたが、とりあえず使わないのでいいや。

 多人数だと全員を行く場所固定しなければならないのがネックだな。


 


 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




「ただいまー」

「おかえりなさい!」


 宿に帰ると、まだライトベルが寝てた。

 いい加減叩き起こそう。


「おい、起きろ! ゲシゲシ」

《やめたげてよう!》

「……起きる。やめて。ひどい」


 そろそろロントを迎えに行くには若干早いので飯を食ってから行く。

 ちなみに2人にもロントを迎えに行く時間については話しておいた。


「今日のご飯はこれです!」

「おぉ!」

「……おいしそう」

《そうめんみたいに細い麺料理ですね》


 最近夏の暑さも本格的になってきた。

 こういう料理は嬉しいところだ。




 ロントの迎えは3人で行くことにした。

 ライトベルにある程度のお金を渡しておく。

 ……あんまり持たせると勝手に使われるからな。


「……よし、まかせて」

「おう。任せた」

「ファイトです! ライトベルさん!」


 1人警察へ入っていくライトベル。

 ……あ、戻ってきた。


「……任せてって言ったけど、1人はやだ」

「えー、俺警察怖いし」

「……いじわる」

「分かったよ」

「冗談ですよ。私も行きますって」


 結局3人で行く事にした。




 ライトベルが受付に説明し、偉い人的な人が出て来た。

 すげー、俺は遠くから見てるから頑張れよ。

 ……と思ったら袖を掴まれた。

 心細いらしい。

 何故か俺の反対の袖にリアも掴んでいた。


 それからライトベルの警察への口添えを聞きつつ待つ事数分。

 保釈金を払い、ロントを出す事が出来た。

 ……ロントの目がちょっと赤くなってる。泣いてたのか? かわいいな。


「申し訳なかった」

「いやぁ良いって。とりあえず宿に戻って風呂に入るぞ」

「ライトベルもありがとう」

「……助けになってなにより」


 あくまで平静を装っている辺りがロントらしいというか。

 とにかく、これでまた4人になった。

 ロントはここ数日水浴び出来てないので、すぐに風呂に入らせる。

 一応リアも一緒について行かせて、混浴対策しておくか。


「でも、ライトベルさんも入ってないですよね? お風呂」

「……バレた?」

「良いから行って来いこの引きこもり!」


 結局、俺以外の3人が和気藹々と風呂に入りに行った。

 さて、ナイフの手入れをするか。


《ユーハさん、今ちょっといいですか?》

(ナイフ研ぎながらならいいぞ)

《ありがとうございます。ちょっと緊急事態が起きました》

(緊急事態?)

《これから向かおうとしていた町が、戦争状態に入る模様です》


 戦争状態? 穏やかじゃないな。

 だとすると、行かないほうがいいか?


《幸い小競り合い程度で済むと思います。町までは侵攻してきませんし、いざとなれば客車に乗ってホーガンまで引き返せばいいですし》

(まぁ、手遅れになる前にお前がいるしな)

《なのですが、問題が入場制限なんですよ》

(入場制限?)

《町に入る為に制限がかかります。簡単に門から出られなくなります。それまでに、町に到着したいです》

(なるほど)

《出来れば今日中に出発したいんですが……》

(分かった。3人に提案してみる)

《それがいいと思います》


 それから無心になってナイフを研いでいると、女性陣が帰ってきた。

 ほとんど終了したのでナイフをしまう。


「あ、ユーハさん。さっきキレーな子がいましたよ」

「……金髪だった」

「まぁ、胸はロントさんの方が大きいですけどね!」


 ……あいつか。そういや同じ宿だったな。

 てか、あいつ結構胸大きかった気がするんだが。ロントそんなにでかいのか。

 普段そんなに着やせしてるのだろうか。




 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




 3人に戦争の事も含め全て話した。

 結果、今すぐにでも出発しようという結論になった。

 まぁこの町でやり残した事もほとんどないし、幸い昨日のうちにリアが必要と思うものは一通り買えたらしい。

 なにより、良いものをライトベルが買ってた。


「……じゃーん」

「何だこれ」

「……マテリアルってゲーム」

「道中暇ですからねー。みなさんでやりましょう!」


 妙にやる気があるリア。

 しかし、それ以上に闘志を燃やしているロント。

 この世界のトランプに相当するものらしい。

 ルールを教えてもらいつつやってみることにした。





 ホーガン出発後、2時間ぐらいだろうか。

 相変わらず俺達はそのマテリアルに熱中していた。

 やべぇ、面白いぞこれ。

 ちなみに賭けは禁止だ禁止。後で厄介事になるといけないからな。


《ユーハさん!》

(どうした、今忙しいんだ。それともリアが持ってる手札を教えてくれるのか?)

《何イカサマしようとしてるんですか! 違いますよ! 敵です!》

(……数は? 俺達に気づいてるか?)

《山賊が5人。こちらには気づいてないですが、別の冒険者を襲ってる模様です》

「ライトベル!」

「……うん、聞こえてた」

「ロント、一緒に出てくれ。前で冒険者が山賊に襲われてるらしい」

「分かった」


 ブラウン君が猛ダッシュを開始する。

 アレか! 敵はさほど強くなさそうだが、2人しかいない以上冒険者が数で負けている。


「ダメだ! お前1人をここに置いて行けるか!」

「分かった。ここは2人で、何があっても乗り切るぞ!」


 ……この死亡フラグ、聞き覚えがあるな。





 俺とロントの介入で、山賊たちは簡単に追い払えた。

 本当はロントが虐殺モードに入りそうだったが、ホーガンでの事がネックになっていた。

 問題はこの冒険者の2人組だ。


「やぁ、助かったユーハ。そしてロント」

「お久しぶりですね。元気でしたか?」

「あぁ。妻の為に絶対にやられる訳には行かなかったからな」


 あの死亡フラグ2人組だ。

 この2人だったら山賊ぐらいなんとかなったかもしれないな。

 ちなみに戦争が起こるかもしれないと聞きつけて、次の町へ向かう途中だったらしい。


 せっかくなので2人を客車に乗せる。

 乗車賃代わりにちょっと珍しいお菓子をくれたので皆で食べた。めっちゃ美味かった。

 こんな感じで、俺たちは6人で次の町『トレイサー』へ向かう事となった。


 ……余談だが、この2人めっちゃマテリアルが上手かった。

 危ねぇ、賭けをしてたら持ち金全部持ってかれるぐらい負けてたぞ。

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