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巨大ロボットは天気うさぎの夢を見るか

 クソタンク(元上条ハゲすべり)が増殖した腕の一本の掌より閃光を放った。その光は瞬く間に、その場にいた全員の視界を奪う。


「これで終わりだああぁぁ!!!」


 クソタンクの絶叫が響き、去勢する会は萎縮する。何より、威勢の割に光が眩しいだけで何も起こらない。確かに皆の目は眩んでいたが、それ以外の事は何もなかったのだ。


「(あれ、特に眩しいだけで何も起きてなくね?)」


 異形の姿に変わり果てたクソタンクは、光に包まれながら自分が起こした事態を冷静に分析し、そして理解した。その光は、単なる目くらましなのだと。


「なんだよそれ、こんな変な身体になった挙句出来るようになったのは目くらましだけかよ?」


 そう思うや否や、輝く掌から何かが捻りだされ、地面に落ちた。クソタンクはそれに気付き拾い上げる。まさしくそれは、彼にのみ許された禁断の必殺奥義だった。


「何だこれ、ホモ雑誌じゃねーか!? 何でこんなものが俺の手から出てくんだ!?」


 禁断の必殺奥義は社会的にクソタンクを必殺する最終奥義だったのだ。まるで諸刃の剣の性質を備えた技に、クソタンクは戦慄した。


「全然、諸刃じゃねーよ、俺にメリットなにもねーし! しかも止まらねーぞこれ! どーすりゃいんだよ? どんどん出てくんだけど?」


 止めどなく掌から溢れ出るホモ雑誌を拾いながら、クソタンクは感動し、神に感謝した。


「しねーよ!! ……あ、段々と光が収まってきた。仕方ない、今のうちに逃げるか……」


 目をくらませているうちに、クソタンクはその場を離れる事にした。


「か、会長!!、上条ハゲすべりの姿がありません!!」


「なんだと!? あの唐突な変身は単なる目くらましだったのか」


「それと、奴がいた跡に、大量のホモ雑誌が積み上げられています」


「なんだと!? 一体いつの間に……? 何の意味があって……」


「しかも、雑誌はかなり年季の入ったもので、我々の手に負えるものではありません!」


「なんだと!? 奴め、ただの変態中年ではなかったのか……やはり危険すぎる」


 上条ハゲすべりを去勢する会は、その対象の恐ろしさを再認識し、大量のホモ雑誌を焼却するのだった。


「しかし会長、伝説は本当だったのでしょうか?」


「うむ、上条ハゲすべりには、”男を妊娠させる力がある”というものだな」


「はい、だとしたら、今回のような目くらましは……、もしまた喰らったりするとかなり危険なのでは……?」


「確かに、対策が必要だな、新たに改良した拘束具も必要になるだろう。……奴は必ずや去勢せねばなるまい」


「はい、あんな化け物、野放しにしてはおけません、必ず仕留めましょう」


 去勢する会が決意を新たにする裏で、クソタンクこと上条ハゲすべりは悠々と逃げ延びていた。


「足がキャタピラになったお陰で、息が切れずに走ることができるようになったのはいいが……増えた腕と頭が邪魔だ、何とかならないのか?」


 化け物と化したクソタンクは後悔していた。あの場では、まだ奥義を使うべきではなかったのだ、これでは一時的に逃げられたとしても、この姿ではすぐに見付けられてしまう。しかし、姿を元に戻す方法は酷い困難を伴うことを、クソタンクはよく理解していた。


「理解してねーよ!? 方法があるんなら教えてくれ!」


 クソタンクは決意した、このままでいるわけにはいかない、いかな困難が伴おうとともやるしかないのだ、例え、地上に別れを告げる事になったとしても。


 そう決意するや否や、クソタンクのキャタピラは突然に動作を停止し、形を展開、変形を始める。


「どうなってんだこりゃ!? 勝手に変形してるぞ!?」


 あれよと言う間に変形を遂げたキャタピラは、銀の筒状の……、それはまるで宇宙ロケットを思わせるようなフォルムへと変貌を遂げていた。


「まさか…、これは……」


 見た目通り、それはロケットだった。と思うや否や、ロケットの下部より爆風が放出され、みるみるうちにクソタンクの身体が持ち上がる。


「おいおい、これからどうするんだよ、どんどん上昇してんだけど……。


 上昇を続けながら、加速度を増していくクソタンク。


 しかし、順調に大気圏を突破するかに見えたが、思わぬ障害が立ちはだかる。


何かの病気っぽいな、心の。

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