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どうで肥う身の一捻り

 佐藤ドブモグラの古代去勢防御魔法が発動し、新城ハゲすべりの股間を淡い光が包み込んだ。


 次の瞬間、上条ハゲすべりの股間は、美しい模様が描かれた貝のような物体に覆われ、確かに防御されている。


「上条、これで大丈夫だ、股間だけは絶対に護り通して見せよう」


「(いやいや、股間だけじゃダメだって、っていうかなんかこの貝異様に派手じゃね)」


 心の中で突っ込む新城ハゲすべりの横で、上条ハゲすべりを去勢する会のリーダー的な奴がもむろに呟いた。


「いずれにしてもだ、護れるか否かは実際に試してみればすぐに分かる、さあ、皆離れるのだ」


 拘束されて立たされたままの上条ハゲすべりを残して、教団員、佐藤ドブモグラが去ろうとしたその時、意外なところから助け舟が出される。


「お待ちください会長、あの大魔法の防御が成功した場合、上条は股間だけを残して木端微塵になる可能性が高いでしょう。そうなると、未来永劫、二度と去勢することができなくなってしまいます。それはさすがにまずいのでは……?」


 大事なことに気付いたのは会員の一人であったが、会長はそれを聞いて一考した。


「確かにそれは問題かもしれん……。いや待て、逆の発想で考えてみるのだ」


「と、言いますと?」


「上条ハゲすべりの本体が股間で、股間以外が生殖器だと考えるのだ、そうすれば、ロケットランチャーで粉微塵になったところで、それは去勢に他ならない」


「なるほど、防御で固められた部分が本体だというのであれば納得であります」


「うむ」


「(うむ、じゃねーよ!? 滅茶苦茶な理屈で納得してんじゃねーぞ!? 正気じゃねえ、手段が目的化してやがる!!)」


 上条ハゲすべりはその話しの展開から、先ほど出された助け舟が所詮は泥船だったことを悟り、より一層深い絶望を味わった。


「大丈夫だ上条、護り通した股間は燃やしてすり潰してふりかけとして子供達向けに数量限定として販売しよう、約束する」


 佐藤ドブネズミは、己の使命を新庄に熱く誓う。


「(何が大丈夫なんだよコノヤロウ、何か俺に恨みでもあんのか? あ、あるか……)」


 自分のしてきたことを自覚したその時、上条ハゲすべりにかつてない力が集まろうとしていた。それは後で壮大なリスクを負う羽目になるとも知らずに行使される奇跡、主人公補正という名のご都合パワーだった。


「(やっぱリスクありきか、てか俺ってやっぱり主人公だったんじゃねーか、くそ)」


「ぐっ、一体何だと言うのだ!?」


 上条ハゲすべりの身体が黄金に輝きだし、全身を纏うそのオーラで全ての拘束具を吹っ飛ばした。


「これが俺の真の力か……」


 上条ハゲすべりは眩いばかりの光に覆われ、腕が八本に、頭は二つに増え、足は膝部から下がキャタピラと化した。身長は50㎝以上縮んだ。あと股間が七色に輝きはじめる。


「な、なんて無茶な生き物だ!! 信じられん、化け物だ!!! 気持ち悪い!!」

 

 さすがの去勢の会も、そのあまりに悍ましい姿に戦慄する。


 光に包まれた化け物、もとい上条ハゲすべり……、いや、超絶なパワーアップを果たした彼には別の呼び名が相応しい、以後の彼はこう呼ばれるだろう”クソタンク”と……。


「何でだよ? どうしてそうなるんだよ? まさかそれがリスクか? 下らない悪口じゃねーか!!」


もはや展開に慣れたと言わんばかりに、呆れたクソタンクの三番目の右掌に光が集中し、何かが放たれようとしていた。


「これで、何もかも終わりにしてやる!!」


 すっかり戦意を喪失した去勢する会は、口を開いたままその異様な光景を眺めていた。


 あと、佐藤ドブモグラは自分がいなくてもどうにかなりそうな事を察知し、自宅へと帰った。



ナニコレ

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