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不良と死神

「神崎 隼人。」


「うお!?何だテメェ!?」


部屋でテレビを見てたら急に後ろから声がして、振り返ってみたらいきなり男が立っていやがった。


「迎えにきた。」


「はぁ!?何言ってやがる!ってかどっから入って来やがった!?」


なんだ?こいつ。わけわかんねぇ。頭おかしいんじゃねぇか?


「おまえは数日以内に死ぬ。」


「ハッ!イカれてんのかテメェ?ってか質問に答ろや!」


「それまでおまえにつきそい、死後、おまえの魂を向こうに連れて行かせてもらう。」


「シカトかテメェ!殺すぞ!」


こいつ、絶対やべぇ。何かヤバイもんでもキメてんじゃね?


「喚くな。耳に障る。」


「ハッ!言うねぇ。」



バタンッ!!



立ち上がろうとしたら勢いよく部屋のドアが開いた。お袋か。いきなり開けんじゃねえよ。


「うるさい!何近所迷惑な声出してんの!一人でぎゃあぎゃあ騒ぐな!」


「テメェのがうるせえよ!それに一人でじゃねぇ!テメェの横のやつに言ってんだよ!」


眉間にシワを寄せ隣を見るお袋。そのまま黙り込んだ。


「あんた…何言ってんの?」


「は!?」


じっと隣を見続けているお袋が、横目で俺に聞いて来る。


「何にもいないじゃない。あんた大丈夫?」


「はぁ!?」


何言ってんだ?いるじゃねえか!そこに!テメェの目の前に!!


「私はお前の他の誰にも見ることは出来ない。」


「なっ…」


んなわけねえだろうが!いや、でもお袋には…


「ねぇ…あんたほんとに大丈夫?」


「うるせぇ!いいからテメェはさっさと出てけ!」


お袋を部屋の外に追い出すと、しまったドアを見つめ、ただ呆然と立ちすくむしかなかった。


「テメェ、一体何もんだ?」


「おまえの魂を運んでいく。そういう存在。」


「ハッ!何だそりゃあ…」


何だってんだよ。いったい何がどうなってやがる。




 Case.2神崎 隼人

    19歳

    数日以内に死去




うるさい。どうして若い人間はこうも喚くのか。私のことが理解できないから恐いのか。知らないが。とにかく、ようやく落ち着いてきたようなので話を進めよう。


「とにかく、お前は数日以内に死ぬ。それだけ。」


「んなこと、信じられると思うのかよ。」


「無理に信じようとする必要は無い。」


信じようが信じまいが、必ず死はやってくる。いちいち喚かれるのも迷惑だが、信じたくなかったらそれでいい。


「なんだそりゃ…。まぁ、テメェが人間じゃねえのはわかった。なんだ?魂を運ぶ?あれか。死神ってやつか?」


またそれか。私の何をどう見てそう思うのか。ときどき人間の創造力には感服する。


「何と呼ぼうがかまわない。私に呼称はない。」


それとも、ただ私に呼称をつけたいだけなのか。知らないが。


「ハッ!それじゃあ死神よぉ。聞きてぇことあんだけど。」


「伺がおう。」


「俺があと少しで死ぬっていうけどよ、んなもん証拠でもあんのかよ?」


「そんなものがなければ理解できないのか?」


「んだとテメェ!!」


また、始まった。何なんだいったい?面倒臭い生き物だ。


「信じたくなければそれでいいと言っている。ただ、理解しろ。それだけ。」


「何言ってんだテメェは!?理解しろだぁ?意味わかんねえよ!ってかさっきから何そこに突っ立って人のこと見下ろしてくれてんだよ!ウザいんんだよ!」


何だそれは?そんなどうでもいいことにいちいち喚き散らすのか?理解できない。

若い人間の、とりわけこの手の種類は、どうでもいいことによく吠える。何を恐れてそんなによく吠えるのか。知らないが。

まぁ、あと数日過ぎればこの勤めも終わる。面倒だが、それもすぐ終わる。それまでこの人間を少し観察してみようか。何かを理解できるかもしれない。


まぁ、それが私にとって、有意義かどうか。知らないが。

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