喫茶店での再会 後編
聡子はどちらかと言うと美形で、大人しい感じだった。髪の色はともかく、とても二十歳とは思えない雰囲気をヒシヒシと感じる。
『うん、元気してた?』
「わりと・・・」
「学校はどう?寮生活って聞いたときは、驚いたけど・・・」
『うっ・・・まぁ、普通』
「さては、好きな人でも出来た?」
姉の質問は唐突だ。
聡子は稜子が可愛かった。稜子の困った顔を見るのが好きだった。
『何で、そうなるかなぁ〜』
「いいじゃない、姉としては聞かないとね」
聞かなくても良いんじゃないか、と私は思う。とゆーか、聞いて何になるのだろう。
『そういえば、母さんは元気?』
「元気だよ〜アレだね。離婚して十歳は若返ったよ」
『あはは・・・母さんらしい』
『父さん(あいつ)は相変わらず、家にいないよ。学費は全部払ってるみたいだけど、あれで人の親って感じ』
今の花屋敷は母が一人で住んでいる。姉が出て行ってから、家庭は狂った。父は単身赴任や出張が増え、とうとう別居、愛人がいる事が発覚し、ついには離婚となった。
親の一存で稜子は父、聡子は母の親権となった。こんなんで引き裂かれた姉妹だけど、絆は強い。
「稜子にはホント、感謝してる」
「離婚したのだって・・・元々、私のせいだし」
聡子は気にかけていた。稜子が本当は恨んでるんじゃないかと。恨んでるなら、それでいい。内面に感情を隠して、稜子を苦しませたくなかった。
『・・・・・・・』
「私、実家に帰ろうと思うんだ」
『えっ・・・?』
「色々あって、大学辞めたの。そしたら、お母さんが『帰って来たら?』って」
「ねぇ、稜子も帰って来ない?」
唐突な提案だった。高校だってそう遠いわけじゃない。申し分ない条件だけど・・・
『ゴメンね、お姉ちゃん。嬉しいけど・・・』
全て言わなくても、聡子には解っていた。
稜子の居場所は実家ではない、学校だった。寮生活を楽しんでいる稜子に無理強いはできない。
「そっか」
聡子とは喫茶店で別れてた。