外へ歩み出ることを選んだ女
半ばこもる鐘の音が響き、雪に覆われた季節、ユーラシアの鶴の群れが川へと舞い降りる。
水の流れは、まるで呼吸の音のように低く鳴り、
この冬にも、クリスマスが訪れていた。
湖のほとりに建つ大きな邸宅は、内側だけが温かい。
煙突からの煙は風に流れ、
玄関前の庭には、さまざまな薬草を育てる温室がある。
そこで父と息子は、紅茶を飲み、パンを食べ、教本を読みながら、穏やかな時間を過ごしていた。
別の通り――商業区や村々では、
テンポを速めた音楽とともに、祭りの熱気が満ちている。
母は幼子を抱き、道の上で踊り、
小さなシンバルと太鼓がきらめきながら鳴り響く。
人々は列をなして踊りながら、どこかへ向かっていった。
この楽しさを、どう語ればいいのだろう。
このクリスマスの歌を、どう説明すればいいのだろう。
雪の中で犬を連れて走る男より、幸せな人はいるだろうか。
父に本を読んでもらう子どもより、幸せな子はいるだろうか。
――いる。
私は、ある一人の暮らしを語ろう。
彼女は地下の冷蔵庫に住んでいる。
窓はなく、光は一切差し込まない。
大きさは十メートル四方、肉や食材を保管するための空間。
切り出された巨大な氷塊が置かれ、
扉は厚く藁で覆われていた。
すべてが、彼女の身体を蝕んでいた。
息をすることさえ苦しい。
どうか、ここから連れ出してほしい――
そう願い、泣き叫んでも、
彼は何ヶ月も姿を見せなかった。
だが、ある夜、扉が開いた。
それは彼ではなかった。
六歳ほどに見える子ども。
だが実際は十歳。
男の子か女の子か、判別はつかない。
ただ、その顔立ちと髪型だけが、あまりにも似ていた。
短く切りそろえられたボブ。
憂いを帯びた瞳。
その子は食材を手早く掴み、すぐに立ち去った。
扉は再び閉じられ、光は消える。
それでも、彼女には確信があった。
――その子は、最初からここにいたわけではない。
死んだ息子の顔も声も、彼女は覚えている。
だからこそ分かった。
この子は、ただの代わりに過ぎないのだと。
夜ごとの激しい嗚咽は、やがて消え、
小さなすすり泣きだけが残った。
彼が迎えに来るのを待つ願いも、もうなかった。
彼女は、もう一度、息子に会いたかった。
共に料理をしたキッチン。
本を読んでもらった暖炉の前。
一緒に眠ったベッドの上で。
三人で過ごす家族――
かつてと同じ形への願いが、
彼女を、冷蔵庫の外へと歩かせた。




