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エピソード17

二人のブライダルスタイリストは、彼女に純白のウエディングドレスを着せ控室を出ていった。

ドアが閉まるのを確認した彼女は、ドレスをまくりあげ、事前に買ったレッグホルスターを太ももに装着。

マナーモードにしたスマホを、そのポケットに入れた。

そして、スマホをすぐ取り出せるように、ハサミでウエディングドレスに切込みを入れる。


 「これだけギャザーがあれば、見た目わからないわね」

 

ガチャっとドアが開く。


 「おっ、着替えたな」

 

 「ノックぐらいしてよ」

 

 「なに他人みてえな事言ってんだ。俺達は、もう夫婦なんだぜ」

 

小さくため息をつく彼女。

 

 「で、何か用?」

 

 「あと5分で時間だから、上の階の扉の前に来てくれってさ」

 

 「靴履いたらすぐ行くわ」

 

 「俺が恥かくからな、遅れんなよ」

 

持ったままのドアノブを引いて、大塚は扉を閉めた。

後ろ手にハサミを隠し持つ手が震えた。

これをあの男の顔に投げつけたら、どれだけ心が満足することだろうか。

それが出来ない自分がくやしかった。


ハサミをガラスのテーブルに置いた彼女は、

箱からパステルブルーのブライダルシューズを取り出した。



わざと遅れて、彼女は扉の前にきた。

そこには彼女の養父母、春奈隆道と春奈紗織がいた。


 「あの男、もう中に入ったよ」

 

 「お父さん、」

 

 「紗月、とてもキレイだ。洋平も空の上で、きっと喜んでるに違いない」

 

 「本当にごめんなさい・・・」

 

春奈隆道は、うつむく彼女の肩に手を置いた。


 「いいんだ。これは、君が選択した道だ」

 

 「はい」

 

 「だが、これだけは言っておく」

 

 「なに、」

 

 「後悔だけはするな。いいな」

 

 「うん、わかってる」

 

 「わたしと家内は、どんな事があっても君の味方だ。何かあれば、いつでも帰ってきなさい」

 

 「紗月ちゃん、キレイよ」

 

 「お母さん・・・ありがとう」

 

彼女は、春奈紗織に抱きついた。

その時、レッグホルスターのスマホが振動した。

彼女はドレスの切込みに素早く手を入れた。


 「もしもし、彩ちゃん」

 

 「・・・」

 

 「どしたの、何があったの!」

 

 「・・・綾部さんが・・・倒れました」

 

 「ええっ、」

 

 タッ、タタン

 

スマホが、絨毯の床に落ちた。


 「もしもし、先輩、聞こえてますか、」

 

床に崩れ落ちた彼女は、放心状態になった。


 「紗月ちゃん!しっかり!」

 

春奈紗織に肩を揺さぶられ、彼女は正気を取り戻した。


 「先輩、もしもし、」

 

 「ごっ、ごめん・・・で、かっ、彼は、」

 

 「さっき救急車呼びました」

 

 「かっ、彼は、生きてるの?」

 

 「・・・」

 

 「彩ちゃん!」

 

 「・・・目が開いたままで・・・息、してません・・・」

 

 「そっ、そんな・・・・・・ウソでしょ・・・」

 

 「足場から落ちる様に倒れたので・・・たぶん、絵は完成してないと思います・・・」

 

 「・・・」

 

 「あっ、救急車の人来たので、わたしも乗っていきます・・・また、後で電話します」


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