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悪役令嬢の母は娘をモブにして乙女ゲームの余波を生きる  作者: 二木公子
番外編

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短編 エリザベスの習い事 前編

本作 三話、四話あたりの出来事です。

エリザベス視点の短編です。

 私は六歳の時から絵を習っている。

 お母様との約束で十歳まで習う約束。今、八歳だからあと二年。


 絵は好きだから本当はもっと習いたいと思っている。

 けれど、仕方がないの。大人の女性は絵を描くとバチが当たるんですって。

 だから、私もあと二年でやめなくちゃいけない。社交界デビューの準備が始まるから。大人の準備を始めるんですって。


 絵を描くのはこんなに楽しいのに。こんなに好きなのに、大人になるまでは続けてはいけないんですって。



 ある日、絵の先生が教会へ絵を見に連れて行ってくださったの。

 その時に見た絵の中に、その中に剣を持ってる男の人の絵があった。女神様を守る騎士の一人なんですって。


 その絵は先生のお友達が描いた絵で、先生も止まって説明してくれた。


 私がその絵で一番気になったのは剣の色。すごく綺麗な青色。


「先生、剣がとてもキラキラしていますね。」


「そうでしょう? エリザベスさん、あの絵の具は特殊なんです。何が使われていると思いますか?」


「うーん? キラキラした…ガラスとかですか?」


「惜しいですね。宝石が入っているんですよ。砕いて粉にしたやつが。」


 宝石! 絵の具の中に宝石!

 だからあんなにキラキラ輝いてるのね!


「だから、あんなに美しくて重たそうなんですね!」


「なるほど、重たそうですか。確かにそうですね。重厚感を言われれば、あの絵の具が一役買っているのかもしれません。」


 その日は家に帰ってからあの絵の具のことが頭から離れなかった。


 今描いているコットンの絵。コットンは家にいる白いふわふわな猫。あの子の目は深い青なの。


 あの絵の具を使ったら目がキラキラ輝いて、コットンのガラス玉みたいな目の感じが出せるんじゃないかしら?

ってそんな事を考えてた。


 でも、宝石が入っているってことはきっととても高価なの。だから考えるだけ。


 だって、私が持ってる宝石はとても大切に、綺麗な箱に一つ一つしまわれていて、私の物なのに私も自由にさわれない。


 昔、小さい時に、宝石で遊びたい、って言ったことがあった。けれどその時は、壊れないように傷つかないようにとても大事に使うものだって、おじいさまが教えてくださった。



 教会に行った次の日、朝食の時にお父様とも絵の具のことをお話しした。


「エリザベス、昨日、教会へ絵を見に行ったんだって?」


「そうなのお父様。とても楽しかったわ。」


「気になる絵はあった?」


「絵というより絵の具が気になったの。」


「絵の具?」


「そう! 青いキラキラしたやつ。宝石が使われてるんですって。」


「そうか。使ってみたいとは思った?」


「うん!あのキラキラは好き。」


「そうか、どんな絵に使いたいんだい?」


「今描いているコットンの絵。目に使ったらきれいだろうなって思ってるの。」


「それは、きれいだろうね。買ってあげるよ。」


「うーん。あの絵の具は特別な時に使うためのものだと思うからいらないかな。」


 先に話した部分は嘘じゃないけど、最後は嘘をついた。本当は使いたい。

 コットン、目がキラキラしてるもの。きっとあの絵の具が似合う。


 でも、あれは特別な絵の具なのだと先生が言っていた。先生からも、使いたいならもう少し絵の具の勉強をしてからって言われたから、これから頑張ろうと思っていたの。

 本当は今欲しいけど。



お読みいただきありがとうございます。

誤字報告感謝いたします。

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