王妃とのお茶会12
「加えて我が家とハルクタルム伯爵家はハロルド殿下の後見につこうと思います。王妃様には内密の面会にご助力をお願いしたく思います。」
昨日、イザベラ叔母様から伺ったハロルド殿下の内情はあまり芳しくないものでした。
現在後見についているズムクタルム子爵家は借金取りにひどく追われているのですとか。
少し前までは、借金取りから逃げるために側妃様とハロルド殿下の所に入り浸るような状態だったそうです。借金取りは王宮の内部まで追って来ることができませんから、無理やりに利用なさったのでしょう。
しかし、色々と問題があったそうで、国王陛下から苦言を呈されたとか。そのため、現在は何処にいるのかも分からないの状態で、おそらく王都を出られたのではないか、と噂されているそうでございます。
そんなズムクタルム子爵家に替わって、我が家がハロルド殿下の新しい後見に着くのはさほど難しくありません。
と言いますのも、後見の家は側妃様の私的な金銭を全て負担しなければならないため、それなりの出費となります。
即位がないとされる第二王子と、息子を即位させる事に関心が無いと見られている側妃の後見に着くのは、余程の博愛主義者か物好きです。
そして、我がギルシュ家と連名でハルクタルム伯爵家も後見とするのは、王位不信任請案の提出により、我が家がなくなる可能性を考えてのことです。
「ハロルドを次の王にする気なの? まだ九歳よ? …待って、ハロルドなら太子不信任請案でも良いのではないかしら?」
太子不信任請案とは、王位ではなく太子に出される物で、王位不信任請案と同じ仕組みです。
王妃様の言い様では片方だけ出すべきと聞こえますが、同時に提出することも可能です。
本当でしたら我が家から王位と太子の両方の請案を提出するべきなのでございます。
先ほどの王妃様の言い様では、請案を提出する準備が整ったころにはエドワード殿下の立太子が成っていると考えられるためです。
ですが、提出するとなるとこちらにも金銭がかかります。
同時に提出することにより個別で提出するよりも金額を抑えることができるのですが、それでも、その差額を捻出することがとても難しいのです。
加えて我が国では、ほとんどの事が王の意思に左右されます。
ですから、我が家は王位不信任請案に絞ることにしたのです。
「おっしゃる通り、太子不信任請案でしたら表向きには、彼のご令嬢とエドワード殿下を共に政治中枢から追放できます。しかし、王妃様の知らない間に国王陛下とお近づきになる手腕は侮れません。国王陛下もどこまで入れ込まれていらっしゃるのか…。それと、恥ずかしながら両方を提出するには資金繰りが難しく…。」
「…そうね…。でもハロルドを王位に押して、勝ち目はあるの? ハロルドよりもリチャードの方がまだ分がありそうよ?」
耳の痛いお言葉でございます。
王妃様の言うリチャードとは王弟殿下のことで、確かに王弟殿下の方がハロルド殿下よりも優位でございましょう。
もっと言えば、王弟殿下よりも国王陛下の方が優位です。
さらに、色々な問題を抱えたエドワード殿下ですら、ハロルド殿下よりも得票数を得られる可能性があるのです。
「ですから時間がかかってしまうのでございます。」
「そう、そうね。」
王妃様は何か考えるように目を閉じられました。
お読みいただきありがとうございます。
誤字報告感謝いたします。
先週もごめんなさい。先週上げられなかったのは私がポンコツなだけです。すみません…




