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悪役令嬢の母は娘をモブにして乙女ゲームの余波を生きる  作者: 二木公子


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昼食会2

 昼食会がデザートの後半に差し掛かったあたりで、わたくしは皆様に、もう一つ、重要な事をお話をいたしました。


 備蓄についてです。


 内乱が起きたとしても、領民ができるだけ餓えないようにする必要があります。


 ですが、蓄えすぎると反旗とみなされてしまう可能性があるのでございます。


 考えすぎかもしれませんが、内政が混濁してゆく可能性のある今、些細なことであっても粗として探されるかもしれません。反乱の疑いをかけられる隙は少しでも減らさなければならないのです。


 現在、領内での備蓄は各地にある食料保存庫で行っております。今回は、この保存庫の状態を最良にしておくことを考えたのでございます。


 この保存庫は先王陛下の御代、国内全土に作られました。万が一の時のため、という民を思った王命でございます。


 我が領では王命が下った当時から、その管理を各地の責任者に任せておりました。


 保存庫の中身の大半は芋でございまして、芋は毎年新しいものに交換する決まりとなっております。収穫期に入れ替えるのです。

 この管理を行うことは負担となりますから、領では保存庫の管理数に応じて減税をしております。


 しかしながら、その管理を怠ける方もいらっしゃるのです。

 ここ数年、わたくしや夫が直接見回ることが出来ておりませんでしたので、余計にそういった方が増えていると思われます。

 

 本当は怠け者を摘発したいところでございますが、今はそれよりも、さっさと整えてもらうことのほうが優先でございます。


 わたくしは一段高いところに立ち、皆様の注目を集めてから申し上げました。


「食料保存庫の管理を行っていただいている方々に、申し上げることがございます。今まで保存庫の数に応じて行っていた減税ですが、今年からは、かかった費用に応じて還付いたします。」


 会場内が水を打ったように静かになります。皆様はわたくしの言葉を咀嚼しておられるのでしょう。

 咀嚼しきる前に新たな情報を追加いたします。


「それと、今年は芋の収穫後の時期に、食料保存庫の状態を確認に回ることにいたしました。確認に回るのはわたくしとアルフレッドでございます。」


 今度は直ぐに、ボソボソとご意見を交わす声が聞こえ始めました。次第にざわめきになります。ざわめきは段々と大きくなり、憤慨するような声も聞こえ始めました。


 「これでは信頼されていないようだ」などと言っている方は後ろめたいことがあると公言しているようなものです。なぜ気が付けないのでしょうか。


 騒ぎになりかけておりますが、これは予想した通りでございます。

 この声の多くは確認に回る事へと向けられたものでしょう。税の話は理解できている方が少なそうでございます。


 わたくしは笑みを絶やさず、皆様を見下ろします。いつになったら静かになるでしょうか? ゆっくりと待つことにいたしましょう。


お読みいただきありがとうございます。

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