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昼食会1

 招待状を送ってから二週間後、昼食会を開きました。


 大規模な集まりにおいて、招待状を送ってからちょうど二週間、と言うのは暗黙の意味を持つことがあります。今回はそれを含ませました。

 緊急や命令、とまでは行かないけれども、皆に伝えたいことがあるという意味合いになります。


 これが一週間以内ですと、重要な要件があるという意味合いになります。また、その日数が短くなるにつれ、重度はましていくのでございます。


 その他の日程はただの集まり、という特に意味を持たないものになります。されど、ただの集まりに伝達をしてはならない、ということではございません。

 事前に心構えを持って欲しいときなどに招待状に記すのです。


 そんな決まりはありましても、王都から離れた田舎ですから、気がついている方は少ないかもしれません。



 昼食会にお招きしたのは領内各地の地位や縁のある方々でございます。

 わたくしはこの領地の出身ですので、領内に縁が多く、いつもは少々規模が大きくなってしまうことを悩んでおりました。しかし、こと今回においては益となります。


 食事の中ほど、わたくしは世間話に交えながら皆様に、お母様は少し体調が不安定であるとお話しいたしました。

 もちろん本当はかくしゃくとしていらっしゃいますので、治ったところで問題がない程度にとどめます。


 話は直ぐに会場全体に拡散され、お母様を心配する声が多数上がりました。


 特に気にかけてくださったのは、お母様のお友達である女性の方です。わたくしもよく知るお方でございます。

 お優しい言葉をいただきました。


「あらまぁ、先日お会いした時はお元気そうでしたのに、お年も召して来ておられますのでご心配でございます。何か私どもにできることはございますか?」


 この女性はポーラという名で、大商会の創業者なのです。そして、お母様の古馴染みでもございます。なんでも、幼少期からのお付き合いですとか。

 今はもう、半分隠居だとおっしゃっていて、よく、お母様とのお茶を飲みに屋敷に来ておられるようです。


 この方の商会では敷物やカーテン、装飾布などを扱っています。細かい指示を出さなくとも、部屋や催しに合ったものを納品してくださるので屋敷ではとても重用しております。


 わたくしはポーラに、今は特に何もすることがないとお伝えしました。お優しい言葉に感謝する、とも。


「とんでもございません。それでは、お見舞いの品などを贈る事をお許しいただけますでしょうか?」


 わたくしが頷くと、他の方々も追随して「私からも贈る」などと声をかけてくださいます。

 ありがたいことです。


 ですが、目下の者が声を上げているのに、目上の者が声を上げないわけには行かない、というだけの事かもしれません。

 これは、わたくしが言わなければならないことでしょう。


「皆様、お母様は重い病ではありません。お手紙をいただければお母様の良い気晴らしとなりましょう。それだけで十分でございます。」


 やはり、明らかにほっとしているお顔の方が見えました。

 こちらとしても、こんなところで無理をしないで頂きたいところでございます。

 お伝えしてよろしゅうございました。


お読みいただきありがとうございました。

誤字報告、感謝いたします。


ポーラ:(絶対に仮病ね。暇つぶしでも送っときましょう。)

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