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検討1

 ここまでは王都のお話です。

 このあとは今後に領内で行う事を、方針だけでも考えたいところです。

 わたくしはぼーっとしているアルフレッドに声をかけます。


「アルフレッド、では、わたくし達はどう動いてゆきましょうか? 」


 慣れない話でおつかれでしょうが、もう少しだけ頑張ってもらわねばなりません。

 そうですね、と頷いたアルフレッドは甘めのお茶菓子を選んで、いくつも頬張り始めました。その食べ方は、お行儀も何もあったものではありません。小さな子供のようでかわいらしい仕草でございます。

 お母様は呆れたような視線をアルフレッドに向け…、いえ、何故かわたくしにも向けておられます。


 

 一つ、荒く息を吐いてからお母様がおっしゃいます。


「まずは噂でしょうね。あなたがしばらく王都へ行かない方がいいんだったら周知しなきゃね。軽く、でいいでしょう。」


 お母様のご体調の話でございましょう。


「そうでございますね。食事会でも開こうかと思います。」


 いいですね、と食べかすを口の周りにつけたアルフレッドも賛成しております。お母様も頷いておりますので、満場一致です。


「内乱については?どうします?俺は起こらないと思うんですが。」


「一応、支度いたしましょう。水面下でできる範囲でよろしいのです。」


 夫が伝えてくださったことです。備えはいたしたく思います。

 わたくしの言葉にアルフレッドは頷いてくださいました。

 しかし、お母様は異を唱えられます。


「必要あるかしら? 来たら迎え撃てばいいじゃない。」


 ここは説得したいところでございます。

 これまで領の政にはあまりかかわって来なかった、と聞いておりますから、お母様が想像しやすそうな例えを出します。


「ですが、備えておかないと立ち回りが利きませんでしょう?社交もでございましょう?」


 わたくしの言葉に、そういうこと、お母様は納得した様子でつぶやかれます。


 ここで、少し予想外の話の展開となりました。アルフレッドとお母様、お二人の応酬が始まったのです。


「備えって、大きな盾でも関所においとけばいいんじゃないの?」


「伯母様、それは威嚇ですよ。だめです。」


「なんでよ。社交でも盾は張るわよ。」


「何をおっしゃっているんですか、それは比喩でしょ。」


「じゃぁ小さい盾で良いわよ。武器もたくさん運んでおきましょう。」


「たくさんは無理ですよ。噂になります。」


「いいじゃない。社交じゃちらつかせるわよ。」


「領政は社交じゃないです。いや、社交もしなきゃですけど社交そのものじゃないです。なんでそんなに、周辺の領を威嚇したがるんですか!」


「初手強く出ないと主導権取れないじゃない。」


「いや、それで敵とみなされたらどうするんです!」


「そんなの、潰してやればいいのよ。」


「なんでそんなに戦う気なんですか。」


「だって内乱でしょう?」


「いや、内乱を起こさないためと、起きたときの備え、であって戦うのは最終手段です。事を起こさないようにするんです!」


「可能性があるから備えるんでしょ。やっぱり主導権取らないといけないわよ。事を起こさないようにするにもそれがいいのよ。」


「セシリア様ぁ…。」


 段々と声量が大きくなっていったお二人のやり取りはアルフレッドがわたくしに助力を請う形で終わりました。

 アルフレッドはよく頑張ったかと思います。三年間の勉強の成果が出ております。


 それにしても、お母様はなんと威勢のよいことでございましょう!


 お母様のおっしゃっていることは確かに、お母様の社交の仕方でございます。王国内最大の領地である公爵家出身、前侯爵夫人であり王妃と公爵の叔母という、とても強い繋がりを持たれている方です。当たり前に強者であられるのでございましょう。


お読みいただきありがとうございます。


母:(なんでセシリアは大人の男が行儀悪く菓子を頬張ってるのをかわいいとか思えるのかしら。息子でも見たくないわ…)


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