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「はぁ。」


 全てを聞いたお母様がため息をつかれました。深く椅子に寄りかかったまま何かを考えているふうでございます。

 アルフレッドも黙ったまま顎に手を当てております。


 わたくしが新しいお茶を淹れておりますと、ぽそりとお母様がつぶやきました。


「あの子、火中に近いところにいて複雑に考えすぎてるんじゃないかしら?」


 少し呆れたといった声色でございます。あの子とは夫のことでございましょう。


「そうですね。俺も、内乱は言い過ぎな気がします。」


 アルフレッドも静かに応答いたします。


 わたくしは夫の言葉と重く受け止めていたのですが、お二人は違うようです。ほんの少しだけ安心いたしました。


 先程よりも少しだけ声を張り上げ、アルフレッドが確認してきます。


「この問題って王子が女に度を越して貢いでいる、っていうのが一番大きいところですよね? そこを関係者に反省させるだけでは?」


 アルフレッドの考えはわたくしの考えとは少し違う気がいたします。個の出来事を比べるとそこが一番大きいのですが、流れをみると違うのでございます。


「いえ、違うと思うわよ。各者の今後の政治的立ち位置の問題よ。大きいところで言えば第一王子を立太子させるかどうかの問題ね。」


 どうやら、お母様もわたくしと同意見のようでございます。

 わからないと眉をひそめるアルフレッドにお母様が説明します。


「今までだってあったでしょ。いろんな意見が。それがその男爵家のご令嬢によって表面化しただけじゃないのかしら?後は時期的にも。」


 エドワード殿下の立太子に関して、概ね3つの意見があります。

 その中の最大が様子見、という意見でございます。

 次に立太子派。王妃様のご実家である公爵家が筆頭となっております。ですが、面白いことに王妃様ご本人は様子見なのです。

 そして過激な廃嫡派。これは側妃様のご実家の伯爵家ではなく、その分家である子爵がご主張なさっております。


 エドワード殿下の立太子を望んでいる公爵家はお母様の実家でもありますが、お母様ご本人はこの件に関して特にご主張されたことはありません。



お母様が続けておっしゃいます。


「派閥が変わるって、日和見な様子見連中の一部が動くだけでしょう? だから、複雑に考えすぎだって言ったのよ。」


 そう、なのでしょうか?


「え、でもエドワード殿下ですよ? 動くって立太子派に動いたってことでしょ?あり得るんですか?目下横領してるのに?俺には泥舟に見えるんですけど。」


「泥舟でも第一王子よ。」

お読みいただきありがとうございます。

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