98羽
真昼くんと話していたら、催花ちゃんから連絡を受け、警察署へと急いだ。藤ちゃんと賢介がロビーの椅子で待っていて、藤ちゃんと声をかけたら、陽っちゃんと泣きつく藤ちゃん。
どうしたのと藤ちゃんの頭を優しく触れていたら、久しぶりに星河教授と出会う。
「春陽ちゃん、それから泣き虫と賢介くん。一緒に来てもらえる?」
「真昼くんは?」
「僕は大丈夫だよ。事情はまだわからないけど、今は藤太郎を落ち着かせてあげて」
送ってくれてありがとうと伝え、行こ藤ちゃんと伝えながら、星河教授についていくことになった。応接室へと入り、ここで待っててと星河教授に言われ待つ。
その間に藤ちゃんを落ち着かせながら、賢介から情報をもらった。
「あの人が亡くなった」
「嘘でしょ?」
「嘘じゃない。俺たちも正直まだ受け入れられない部分がある。到着した時、想が血がついた包丁を持って出て来たんだよ」
想があの人を殺す動機が全くないと動揺してしまうほどだ。それによって藤ちゃんがこんなに泣いている意味も納得がいく。言葉が出ない私たちで、藤ちゃんが落ち着きを見せたところに純連と透が来た。
「透…想は?」
「殺害容疑で逮捕ではあるが、想は誰かを庇ってるようにも見える。活動はどうするかはよく話し合って決めろ。それから鯨波邸はまだ鑑識がいるから、すぐは帰れない」
「なら俺らホテルとるから」
「いや、ホテルもやめておけ」
透が止めるだなんて思わなくてなんでと賢介が透に聞き出す。
「ホテルに泊まれない理由でもあんの?」
「マスコミが嗅ぎつけるかもしれない。そこで元マネージャーからの案があるんだが聞くか?」
元マネージャーということはお兄ちゃんの提案ということで、藤ちゃんと純連は気まずさがあった。一度家に来たこともあるし、大丈夫じゃないかなと藤ちゃんの手を握る。
藤ちゃんは私を一度見て、提案ってなあにと言い出した。
「提案ってなあに?」
「しばらく元マネージャーの家にいろ。そこならマスコミも嗅ぎつけられないだろうからな」
その提案はきっと難しいんじゃと考えていたら、賢介が言い出す。
「俺は催花の家に泊まらせてもらうよ」
「それなら夜一の実家にでも」
「迂生は陽っちゃんと冬季の家に泊まらせてもらう。だから純連は夜一ん家に行くんでしょ?だから夜一に知らせてあげて。あの人がいなくなったから、夜一はもう自由。だから好きなことしてあげてって」
なら俺も行くと純連は駄々こねるも来ないでと珍しく藤ちゃんが言ったことで賢介は爆笑する。なら伝えておくからと透は応接室から退室していった。
純連はしゅんとしてしまい、笑いながらどんまいと賢介が慰めて行く。
真昼くんの車で賢介と純連は行ってもらい、ちょうどその頃お兄ちゃんが到着して、純連と賢介はと心配していた。お兄ちゃんに事情を説明すると、本当に純連と一緒じゃなくていいのと聞くと藤ちゃんはうんと頷く。
お兄ちゃんも驚きつつありながら行こっかとお兄ちゃんの家へと向かうことに。
お兄ちゃんはWizuteriaの曲を流しながら車を走らせ、藤ちゃんはその曲を聴きながら鼻歌を歌う。気になった私は藤ちゃんに聞いてみた。
「いつもなら純連も一緒って言うのに、今回はどうして純連は一緒にいさせないの?」
鼻歌をやめた藤ちゃんはきょとんとしてしまいつつも、えへへと少し笑いながら教えてくれる。
「今までは迂生のわがまま聞いてくれてたでしょ?純連、迂生のために色々やってくれてるけど感じたんだ。純連はやりたいことたくさんあるはずなのに、いつも迂生のために最優先してくれたから」
藤ちゃんがそういうことを考えていたとは知らなくて、つい藤ちゃんの手を握ってしまった。そしたら藤ちゃんは握り返して私に向けるいつもの笑顔でこう言われる。
「それに陽っちゃんがいることで、余裕ができたと思って少しでも自分がやりたいことをやってほしい。それが迂生の今の願いなんだ」
「藤ちゃんが急にそんなこと言うからびっくりしちゃったよ」
「いつもわがままだけど、ちゃあんと純連や想、賢介のことも考えてる。入院してる時も、付きっきりだったでしょ?だから息抜きとして少し距離を置きたい。それに想のこと信じてるから待つつもり。だから陽っちゃん、そばにいて」
もちろんだよと藤ちゃんの肩に頭を預けるとその上に藤ちゃんの頭が乗っかり、家に着くまで私たちは車で仮眠してしまった。
◇
他の刑事が想の取り調べを行なっているも、想は黙秘続けている。これは結構時間かかりそうだなと、その光景を見ていたら獅子屋警部と警視総監が入って来た。
警視総監は見れないこともあり、獅子屋警部に肩車をしてもらって状況を確認している。
「薫衣想はまだ吐かないようじゃのう」
「誰かを庇ってる様子は雰囲気でわかってます。それに想は返り血を浴びていない」
「じゃろうな。となるとどうやって犯人が逃げたかということじゃ」
通報が来てすぐ鯨波邸に行ってみたものの、いたのはWizuteriaのメンバーと岩渕賢介のみ。純連から聞いた話ではいつもなら入江千花が常にそばにいたという。
入江千花に連絡してみるも音信不通となれば、想に罪を着せて逃げたというのが一般的の推理。考えていると扉が開き、伊宮巡査部長と呼ばれ、なんだと聞くと俺なら話せるかもと言いだした。
交代して取調室へと入りパイプ椅子に腰を下ろしても、なかなか想は口を開いてはくれない。今、想の頭の中ではぐちゃぐちゃになったピースを一個ずつはめているのだろう。
待つこと数分後、想がごめんなさいと頭を下げて謝罪した。やってないんだろと聞いてあげると小さく頷く。
「それで誰を庇ってるんだ?伝えないと活動が厳しくなっていくぞ?」
「わかってる…だけど行った時にはすでに誰もいなくて、そしたら後ろから襲われた。気がついた時には包丁を持ってて…」
想の表情を見る限り嘘をついて喋っていることがはっきりし、誰を庇ってるんだと感じてしまった。ここで追求したとしても想は喋ってくれない気がする。後は鑑識で指紋が確認取れればいいが、あそこは鯨波邸でもあるから、指紋等は見つかりにくい。
だから手っ取り早いのは想が何をみて、何を感じ、自分が罪を被ろうとしたのかが見えてくれれば話が進みやすいところはある。
「想、藤太郎と純連が待ってんだ。想が何を見て、何を感じたのかわかるように説明できるか?」
「難しい」
そう言われてこれは長時間かかりそうだなと感じながら、想が罪を被ろうとした理由を考えていくことに。
◇
真昼が夜一の実家に連れてってもらい、しかし家の明かりがついていないことがはっきりする。
「どうする?僕ん家泊まってもいいけど?」
「遠慮しておく。送ってくれてありがとな」
そう告げて車から降り何かあったら連絡してと名刺をもらって、真昼は店へと戻るようだった。門の前で突っ立っていたら純連と烏丸がやって来る。
「烏丸、夜一は?」
「坊ちゃんはただいま海外に居られますよ」
使えねえと深いため息が出てしまうも、烏丸がいてくれてほっとしている自分がいた。本来なら舎弟の誰かの家でもよかったが、同年代ぐらいのやつは夜一しかいなかったしな。まあ夜一は俺より下ではあるけれど、生意気な弟のように接してたから。
「あの人がやられたのってもう知れ渡ってるよな?」
「えぇ。すでに昏籐組やシルバーウルフ、レッドクレインにも知れ渡っている頃かと」
「だよな。あぁ親父から受け継いたはいいけど、正直荷が重すぎ」
その場でしゃがみ込み、あの人が亡くなったことで、次期当主は藤太郎ではあるけれど、実際組では不安な声をもらっている。藤太郎の病は紫蛇組も夜瀬組も知ってるから、藤太郎につけるか不安を抱いていた。
そしていつか舎弟たちが藤太郎を利用するんじゃないかって俺までもが不安になっていく。
「純連、藤太郎様は?」
「あー陽っちゃんと二人っきりでいたいって振られた。安心して。陽っちゃんの兄がいる家だし、問題はない」
「そうですか。坊ちゃんに報告しておきますので、中へと入りましょう」
悪いなと立ち上がって門を開けてもらい、夜一の家に邪魔することになった。鯨波邸と変わらないぐらいの屋敷で、烏丸に一室を貸してもらい、ベッドにダイブする。
藤太郎、ちゃんと薬飲んでるよな。冬月と口論とかしないよなと余計な心配をしていたらスマホが鳴った。
確認してみると陽っちゃんからで、その内容を確認してみる。
藤ちゃんは純連に言わないでとかじゃなかったけど、伝えておくね。藤ちゃんのわがままいつも聞いてくれて、自分のことは後回しにしてたって聞いたよ。私がいることで余裕できたと思うから、自分がやりたいことしてほしいって。
想があんなことになったのはまだ、受け入れられないけど、ゆっくりしてほしいの。それじゃあ何かあったら連絡するね。
俺は好きで藤太郎の世話してただけだよと鼻を啜り、ありがとうって藤太郎に伝えといてと送った。ふう藤太郎は陽っちゃんに任せて、俺はまだやらなくちゃならないことがある。
明日、あそこへ行って、報告しなければならないと思いながらそのまま睡魔に襲われた。
◇
お兄ちゃんの家に到着して、藤ちゃんを起こし車から降りる。藤ちゃんは目をしょぼしょぼしながら車から降りて、お兄ちゃんが玄関の扉を開けた。
またお兄ちゃんの家に来れて嬉しいなと思いながら、私と藤ちゃんがお腹を鳴らしたことで、お兄ちゃんが笑う。
「遅くなっちゃったけど、夕飯にしよっか。少し待ってて」
また焦がしてしまうんじゃないかと手伝おうかと聞いたら、やあと鶫が現れなるほどねと閃いた。
「てっきり他二人も来ると思ってたけど」
「純連は夜一の家に行って、賢介は催花ちゃんの家に泊まるって」
「そうか。少し待っていてくれ」
鶫は早速キッチンで何かを作り、さてはお兄ちゃん料理作る気なくなったのかなとふと思ってしまう。そしたらお兄ちゃんがジュースを持って来てくれながら教えてくれた。
「春陽、鶫の料理好きでしょ?だから呼んだんだよ」
「いつでもお店に行けるのに、わざわざありがとう」
「いいって。それで藤太郎。純連をここに来させなかった理由、もう一つあるんじゃない?」
お兄ちゃんに言われ、さすがは星霜家の長男だねと、お兄ちゃんが淹れてくれたジュースを多少飲み話してくれる。
「迂生ね、実は言うと別の病気が発覚しちゃった」
「え…?」
「ごめん、陽っちゃん。内緒にしてて。せっかく治った病気は完治してるけど、もう一つの病気がまだ治療法が見つかってない。今もらってる薬はそっちの薬」
「それって純連や想には話してあるんだよね?」
ううんと首を横に振りどうしてと聞いてみたら、藤ちゃんはずっと苦しんでいたことがはっきりした。
「迂生の病気のせいでね、ずっと純連と想一緒にいてくれた。自分がやりたいこともやれず、迂生のわがままを優先してくれたから、これ以上二人に迷惑っかけたくなくてっ」
だからさっき車の中で教えてくれたのはそう言うことだったんだと、涙を浮かばせる藤ちゃんを優しく抱きしめてあげる。
「迂生の余命は一年かもしくは半年って言われてて。迂生は身勝手だよね」
首を横に振って身勝手じゃないと言うと、藤ちゃんの腕が背中へと周りギュッと強く抱きしめられた。
「迂生はここまで生きられて十分幸せ。それまでにやっておかなくちゃならないことがある。だからそれまで陽っちゃんを借りててもいいですか?」
藤ちゃんの顔が見れなくとも、藤ちゃんは意思を固めてお兄ちゃんを説得するために来たのだと理解する。お兄ちゃんが出す答えを出すまで、藤ちゃんは顔を見られないように手で頭を押さえていた。
「春陽を使って何をする気だ?それによって答えが変わる」
「Noveを潰し、そして今までやってきたお父さんのことを公表するつもりだよ。裏社会がどうなるかはわからない。それでも、悪いことは償わなければならないでしょ?」
「藤太郎の人生が生きづらくなってしまうかもしれないし、この先入院を受け入れなくなる可能性だって」
それくらい迂生にもわかってるよとお兄ちゃんにはっきり言っていて、藤ちゃんを失いたくない気持ちが強かった。それにファンのみんなに伝えなくていいのと思ってしまう。
「全てが終えたら春陽は返してくれると認識でいい?」
「そのつもり。陽っちゃんには迂生より、大事に想っている人知ってるからさ。それまでは独占してたい」
そう言われて体温が上がってしまうほどで、お兄ちゃんがどんな表情でいるのかとても気になってしまった。
「わかった。それでどうやってNoveを潰そうと考えてるのか教えてもらえる?」
「んーそれはもうちょっと待っててくれる?メンツが揃ってないから、集まったら話すつもりだよ」
「ならひとまず連絡先交換しておこう」
「うん。あっ冬季」
冬月だよとお兄ちゃんは笑い、そうだったと藤ちゃんが訂正して冬月とお兄ちゃんに伝える。
「あの時はごめんなさい。耳痛めさせちゃったこと」
「いいよ。過去に起きちゃったことは、水に流すし、それに僕は潜入としてマネージャーしてたから。それでいつまで春陽を抱き続けている気?」
お兄ちゃんに指摘されいいじゃんと言いながらも、手が離れ藤ちゃんの顔をみるとスッキリしたような笑みだった。そしたらお兄ちゃんがそうだと何かを思い出したようで、一度リビングから離れる。
なんだろうと思いつつも藤ちゃんがいじってくるから、私も藤ちゃんにいじってるとお待たせとお兄ちゃんが戻って来た。開けてみてと平べったい箱を二人で開ける。
そこには藤色のアルバムで私と藤ちゃんのウエディングフォトだと気づいた。
「どうしてお兄ちゃんが?」
「実はカメラマンは僕だったんだよ。二人とも気づかずだったから、やりやすかった」
つい私と藤ちゃんは叫んでしまい、変装道具をつけてほらと言われても、全然気づかなかったよと笑い合う。私と藤ちゃんは一緒にそのアルバムを見て、藤ちゃんはこのままでいいのかなと感じてしまった。
余命宣告された時、どんな気持ちを持ちながら、私たちと接してくれてたんだろう。治療法があるんじゃないかなと思っていても、藤ちゃんはもう一つの病気を教えては絶対にしてくれない。
これを純連や想、賢介にちゃんと言わなくていいのかなと見ていたら、スマホが鳴り誰だろうと確認したらげっと思わず声を漏らしてしまう。
「陽っちゃん誰から?」
「虎次さん…」
「貸して」
藤ちゃん何する気だろうとスマホを渡し、文面を送るのかと思えば電話をかけてしまう。そしてスピーカーにしてお兄ちゃんにも聞かせる気らしい。
鳴らし続けていくと虎次さんの声が聞こえた。
『陽っちゃん、おっひさ。元気にしてた?』
「虎、迂生の彼女にこれ以上近づかないでくれない?じゃなきゃ訴えて、芸能活動できないように手配してあげてもいいよ」
藤太郎と大声を出していても声が高まっており、やっぱり虎次さん苦手だと感じてしまう。
『藤太郎いるなら教えろよ。んっもう。この前は犬と龍に邪魔されてたっぷり遊んでられなかったけど、陽っちゃんに似合いそうな服みっけたんだわ。藤太郎も興奮すると思う』
また動物系の服なんだろうとピコンと鳴り、スライドして写真をタップした。それはうさぎのコスプレでお兄ちゃんの目が怖く今でも投げたい気持ちでいっぱいなんだろう。
しかし藤ちゃんはそのコスプレを見ては私を見て、首を傾げながら藤ちゃんがあることを言い出した。
「陽っちゃんには似合わないよ。虎が着たら可愛いかもしれない」
藤ちゃんがそう言ったことで、お兄ちゃんの怒りが鎮まり笑いを必死に堪えている。
『小生がこれ着れるわけない!しかもこれ女性もんだし』
「迂生は見たいなー。虎のうさぎさん」
『藤太郎がそう言うなら、後で写真送ってやる。それで藤太郎、聞いたよ。想捕まったんだろ?大丈夫か?』
虎次のトーンからしてまるで嘲笑っているような喋り方だった。それによって藤ちゃんは怒りをグッと堪え、心配してくれてありがとうと感謝を述べる。
「迂生は陽っちゃんがいるから、心の傷は大丈夫。じゃあ迂生、寝不足は禁止だからもう寝るよ」
お休みと言いたかったんだろうけれど、すぐ通話を終えて入院中で起きた暴走が始まると身構えた。けれど藤ちゃんは深く深呼吸して、落ち着いてくれたようだ。
「藤ちゃん…」
「昔のように暴れたりしないから大丈夫。情報を掴んでるってことはお父さんを殺したのはNoveの人。悔しいしかない。千花ちゃんもいたはずなのに、千花ちゃんはあそこにはいなかった」
「千花さんが?」
「いなかったよ。お父さんが逃したんだと思うんだけど、陽っちゃん。千花ちゃんに連絡取れそう?」
試してみるねと千花さんとのチャットを開き、藤ちゃんに言われたことを送って返事を待つまで、先に鶫の料理を頬張ることにした。
◇
虎次が叫んでいたとしても無視しながら、どうやって春陽を奪おうか考えていた。本当なら今頃僕の隣にいてもらってた予定だったけれど、伸ばしていた訳がある。
それは鯨波流史郎を弱化させるために結構時間がかかっていたからだ。なかなか思うようにいかず手段を変えて殺してもらった。
足音が聞こえ帰って来たっぽいと見ていた雑誌を閉じたら、そこに血飛沫を浴びて帰って来た千夏がいる。けれど千夏は絶望のような顔立ちをしていた。
「千夏?」
声をかけた瞬間に千夏は崩れ落ちて泣き出してしまう。それによって虎次と豹馬がどうしたと千夏を慰めるも、様子がとても
おかしかった。近くに寄ろうとした瞬間に、千夏が泣きながら僕を襲いかかってくるから、虎次が千夏を抑えた。手にはナイフを持っていて、豹馬がそのナイフを没収する。
「嘘つき!大嘘つき!叔父さんは両親を殺してなかったっ!」
千夏の涙は何も感情が出ないというより、今まで騙されていたほうが笑えきた。千夏は涙目でありながらも僕を憎み、今でも僕を殺したいような瞳。
僕は密偵組織をやっていたからこそ、偽の情報を与え、混乱をさせることもできる。千夏のご両親は叔父の鯨波流史郎がやったと情報を与え、復習させるよう仕向けた。
まんまと僕の思惑通りに鯨波流史郎を殺してくれて感謝するよと千夏の頬を掴んだ。
「僕の思い通りに動いてくれて本当に感謝しかない。その挙げ句、想が千夏を庇ってくれた。これでWizuteriaも消滅するしかない。邪魔者はまだ多くいるけど、僕の正体がばれたくないから、千夏はそうだな。ライオンのところにでもいてもらおうかな」
手を離しライオンってと小さく質問すると、ちょうどライオンが到着し、千夏は目を疑っていた。
「お疲れ、麗音。獅子屋警部は?」
「仕事でまだこっちには来れないってさ。んで坂東をどうしろって?」
「僕の正体がばれるとやばそうだから、千夏を見ててほしいんだよね。それにそろそろ紗良のところに顔出さないと、紗良が僕のこと探そうとするからさ」
「幼馴染には気をつけろってあれほど言われてたじゃん」
ごめんと麗音に謝り、そういうことだからと麗音に任せて、明日ハス喫茶に行くことに。




