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94羽

 春陽が日本に帰って来たとしても凛太郎さんがいない部署はなくなり、俺と星河さんは普通の刑事へと戻った。

 清寺さんは回復したものの、家族を危険に晒すことになったため辞職。佐田は監視下の元で犯罪を未然に塞くための部署で情報をかき集めていた。

 もちろん情報が欲しいときは佐田に情報をもらっているも、前より体が丸くなったような気もする。本人に言ったら佐田の猫パンチをもらうため、言わないでいた。


 今日も張り込みでそろそろ動き出してもらいたいもんだと、カフェオレを飲みながら向かいの家の様子をみる。動きは全くなさそうだなとズズッと飲み干してしまい星河さんは動きがないもので眠そうにしていた。


「星河さん、少し横になってても」

「いや。寝ている間に逃げられたら、じいちゃんにあの顔で怒られる。それは勘弁」


 星河さんは思い出したくない様子であっても、思い出してしまいクスッと笑い出すありゃあ叱られても叱られたって感覚はなかったんだよな。

 春陽が鯨波流史郎に渡ったとき、警視総監は何してるんじゃと可愛げに俺らのこと叱り、俺たちは必死に笑いを堪えるのに必死だった。馬鹿者とぷんぷん怒り出す警視総監を見て、獅子屋警部は笑いもせず、警視総監の代わりにきっちり獅子屋警部に叱られたな。


「警視総監、そういやいつ退職するんだ?もう定年過ぎてるだろ?」

「まあじいちゃんはまだまだやるんじゃって。それにじいちゃんがいなくなれば、以前よりピリピリしそうな予感だよ」

「確かに警視総監がいなくなったら、癒しいなくなるもんな」

「多分ね。それに鯨波流史郎がいる限り、じいちゃんは退職しないと思う」

 

 そういや警視総監ってずっと前から鯨波流史郎を追っていたって噂程度だけど聞いたことがあった。今度警視総監に話聞いてみるかと見ていたら、動きがありそうで特定の人物を追うことに。



 お兄ちゃんと一緒にショッピングモールで買い物をしていて、本屋さんで真昼くんが好きな作家の新作を手にする。お兄ちゃんは料理本を見ていて、今朝のことが起きないように、練習するようだった。

 私はひと足先に会計を済ませ、お兄ちゃんのことを待っていると、なんと虎次さんのお仲間である豹馬さんとばったり会ってしまう。昨日会ったばかりで、今は会いたくないと言うのに。

 豹馬さんは私と目が合ったことでニコニコしながら手を振り、春陽ちゃーんと私のところに来てしまう。


「春陽ちゃん。ガン見していると言うことはわしのこと覚えてる」

「覚えてないです」


 ガーンと顎が外れるぐらいショックを受けているようだ。早くお兄ちゃんと合流しなきゃと行こうとしたら、待てぇと私の腕を掴む。


「絶対嘘ついたよな?な?」

「嘘じゃないです」

「本当に嘘ついてる。ほっ。じゃなきゃこんな警戒心出さんわい。なんせ、わしは虎次と並べるぐらい活躍してるからな」


 キラーンと豹馬さんは私に向けてウインクするも、変なウインクをしていて真顔で見ていた。私が真顔でいるから豹馬さんは段々と苦笑し始めていてすまんと手を離してくれる。


「まあわしは虎次の幼馴染っちゅうことで、付き合いは長いんだわい。ここで会ったからには忠告しておく。虎次の大事なもん、奪おうとするなら容赦しない。そう純連に言っといてわい。んじゃ」


 豹馬さんは私に忠告して何かを買いに行ってしまわれた。昨日といい今日といい、なんで立て続けに会うのだろうと感じてしまうほどだ。

 純連と虎次さんの関係性ってなんだろうと気になっていたら、お兄ちゃんがお待たせとやって来る。


 私が思い詰めた顔をしていたせいなのか、どうしたと聞かれ、さっきのことを打ち明けた。お兄ちゃんは少し考えて、私に言う。


「僕がマネージャーをしていた時は、ライバル関係でもあったけど、実際は違うのかもしれない」

「どういうこと?」

「んー要するに虎次はゲイなんじゃないかな。まあ僕らたちにとっては好都合ではあるけれど、春陽が巻き込まれるのは却下だけどね」


 藤ちゃんは男性にも人気があるのは知ってたけど、藤ちゃんがそっち系になるとは限らない。どちらを選ぶにしても、それは藤ちゃんが決めることだし、私はファンとしてそれを応援して行きたいとは思ってる。

 まあ藤ちゃんは私のことで精一杯だから虎次さんに目が行かないんだろうとは感じていた。


「ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

「帰ってからでいいんだけど、真昼くんのお父さんたちに会えないかな?」

「聞いてみるね」


 ありがとうと伝えながら、私とお兄ちゃんはショッピングーモールのお店を回ることに。ゲーセンでちょうどハスキーのぬいぐるみがあり、つい見てしまう。

 触り心地良さそうと見てたら、なんとお兄ちゃんが百円玉たくさん持ってきた。えっもしかしてこれやる気と思いつつも、やるようだ。


「お兄ちゃん、そんなに百円玉」

「決まってるでしょ?やるよ。隣で見てて」


 本当に大丈夫だろうかと少々心配になるも、百円玉を入れてUFOキャッチャーをやるお兄ちゃん。一回目は跳ね返ってしまい、二回目はうまくいくも途中で落下。三回目もとやっていくもハスキーのぬいぐるみは獲れずじまい。

 代わろっかと聞くも、後もう一回と言い続けて、合計五千弱はこのUFOキャッチャーに挑んでいた。そしてラストの百円玉となり、お兄ちゃんにストップをかける。


「お兄ちゃん、これ以上は」

「いいや。絶対に獲れる」

「私に最後の一回やらせて。大丈夫だから」


 そう言って手を出してみるも、お兄ちゃんはんーと私とハスキーを交互に見て、百円玉をくれた。百円玉を入れて操作をし大丈夫かなと様子を見ながらボタンを押す。

 うまく落ちてと願っているとアームにうまく引っかかり、見事獲れたことで思わずお兄ちゃんと大はしゃぎしてしまった。


 落ちたぬいぐるみを手にするとふわふわで、どうせならもう一個撮りたかったな。そうすれば昼奈ちゃんと雪恋ちゃんに一つずつ渡せたのに。

 ただこれ以上使ったらお金の無駄になってしまいそうで、帰ろうとお兄ちゃんに告げようとしたら、お兄ちゃんが物欲しそうな顔をしていた。

 お兄ちゃんが見ている方角を見てみるとこのぬいぐるみより、やや大きいハスキーのぬいぐるみがある。あれはさすがに無理だよと言おうとしたら、お兄ちゃんの姿がない。

 しまったとキョロキョロするもお兄ちゃんは見当たらず、両替機に行ってしまったんだと理解した。やる前に止めなくちゃとぬいぐるみの前で待とうとしたら、お兄ちゃんがすでにやってしまっている。


 早過ぎとお兄ちゃんのところに行こうとしたら、腕を掴まれ後ろを振り向いた。そこにはまるさんがいて、やらせてあげてやと言われてしまう。


「それでもお兄ちゃん、お金使い過ぎ」

「えぇんやない?それにボスのためなんやと思う。冬月、今でも半年前のこと悔いてるんや。せっかくの家族と過ごす時間を失わせてしもうて」

「そう、なんですね。雪は?」

「一度は目覚ましたんやけど、再び眠ってしもうて目覚ますの待ってるんや。今日はたまたま、ハスキー情報みよって、来たら冬月と春陽ちゃんを見よったんよ」


 そうだったんですねと伝えながらお兄ちゃんの姿を見た。お兄ちゃんにとって雪は兄弟のように慕っていたんだよね。辛い時に寄り添えなかった分、私も何かやれることがあればいいな。


「まるさん」

「ん?」

「雪のお見舞いに行きたいんですけど、さすがに難しいですよね?」

「それはできへん話やな。春陽ちゃんは一応、あの人の手の中。あの人の許可を得られなければシルバーウルフと接触は不可能なんやよ」


 まるさんの瞳は連れて行きたいような瞳であったとしても、構成員としての業務で私を止めたのだろう。なら私にできることなら、この方法しかないとお兄ちゃんの隣にあるクレーンゲームに立ち、百円玉を取り出してやり始めた。



 花束を持って朝峰家の墓に行き、お墓を綺麗にしていく。お線香に火をつけお線香入れに置いた。そして花束と春陽の兄から頂いた陽羽のウエディングドレス姿の写真を添える。

 ここには両親がいないことはわかっていたとしても、おばあちゃんやおじいちゃんに陽羽の姿を見せたかった。


 もし陽羽が朝峰家に来なかったらどんな人生を歩んでいたのか、何度も考えたけど答えは見つからないまま。ねえおばあちゃん、おじいちゃん、あたしはどうすればよかったのかな。

 陽羽がどんな気持ちでいるのか、どんなことを感じているのかわからないよ。こんな姉を頼らないでいるのは、あたしがまだ勇気を出せてないから、だよね。


 そんなことはないよとそよ風が吹くかのような風で、あんなこと言っちゃったけど許してくれるかなと立ち上がる。行こうと淡に告げ墓場から離れると、高級車が止まっていた。

 車についているマークを見て、陽羽のご両親の組織だと知り、車に乗り込む。あたしと淡が乗ったことで出発し、どこへ向かうかは不明だ。


「淡、今日の予定にはなかったはずだよね?」

「入っていなかった。おそらくNoveの最新情報が入ったんだろう」


 Nove株式会社はレッドクレインと多少関わりがあったとがくの手帳に書かれてあった。それ以外の手帳は吐き気が出るほど、あたしへの想いが詰まっていて、それは即処分してもらった。

 がくはなぜあの日、陽羽を逃しそしてあの言葉の意味。今でも考えてしまうほどで、あの意味を知っているのは、陽羽のご両親が合言葉でよく使う言葉。

 そもそもがくはそっち側の人間だったとしたらと、ふと考えてしまうほどだった。宗教を立てたのも実際、星霜家が関わっていたとしたらと考えてしまうほどだ。


 とにかく今は陽羽のご両親に従って動くしかないと車を走らせ二時間程度。本社ではなく森林の中にある建物に到着した。ここは一体と車から降りて、その先へ行ってみると、淡の声で視界が暗くなってしまう。




 何かの音で目を覚まし、ここはと周囲を見渡すも目隠しをつけられているのか状況が把握できないでいた。動こうとするも縛られているっぽく動くことは不可能。状況さえわかればいいのにと耳だけ集中してみることにした。


「これさ、捕まえたけどどうする気?雄だけでもよかったんじゃねえ?」

「しょうがねえだろ。雌はレッドクレインの長。リーダーきっと喜ぶんじゃねえ?」


 リーダーって誰なんだろう。それに雌とか雄とかまるで動物に捉えているような感じ。まさかNoveに捕まったとかじゃないよねと、とにかく縄を解こうとしたら気づかれたのか足音がこっちに向かってくる。

 なんとかして縄が解けたらと思っていると、次々と倒れる音が聞こえた。


 少しして縄を解いてくれて、目隠しも外してくれる。解いてくれたのは淡で、急ぐぞとあたしの手を握りこの建物から出ようとも、見張りの数が多かった。

 淡は周囲を警戒しつつ脱出を図るも出口が見当たらず、一旦使用していなさそうな部屋へと入る。


「今の連中って?」

「Noveの組織内にあるTamer、所謂猛獣の調教師と言ったところだろ」

「だからあたしたちのこと、雌や雄って言ってたってとこ?」


 そんなところだと小声で話していたら、鞭を叩くような音を出して、出ておいでと声が聞こえ始める。


「淡、あたしが囮になる」

「それは無理だ。陽空を置いて逃げれるわけない。それにもう二度と陽空を苦しめたくはない。我が囮になる。必ず逃げ切って」


 淡が青ざめていき、あたしを庇おうとあたしを引き寄せた瞬間、扉が開いてみーつけたと鞭を持つ男たち。淡がここまで怯える理由って何。


「雌ちゃんを離してこっちおいでだーん。ちょっと聞いてんの?」

「昔のこと覚えたんじゃねえ?Noveを脱獄した淡ちゃん。ご主人様がお呼びだ。さもないと俺たちが雌ちゃんを頂いちゃうぞー」


 男たちはケラケラ笑い、あたしを抱きしめる力が強まる。普段は弱いところ見せないのに、急にどうしたんだろうか。男たちが近くにより、ほらほらと淡の腕を掴みあたしと引き離そうとする。

 それでも淡はあたしから離れず、このままだと鞭で叩かれるかもしれないと待ってと叫んだ。


「あたしも一緒に行くから乱暴なことはしないで」

「だってさ。ほら、もたもたしてると襲っちゃうぞ」


 がおーとふざけていて淡、あたしは大丈夫だからと慰め、淡の力が緩み離れた瞬間だった。淡と引き離されてしまい、嘘つきと男に捕まってしまって淡は行ってしまう。

 離してと護身術で男を投げ飛ばし淡を追いかけて行った。淡、どことあちこち探すも淡はいなくて、雌ちゃん逃がさないよと男たちに追いかけられる。

 淡を見つけて脱出しなきゃと走り回っていたら、こっちと腕を掴まれ部屋へと入った。


 助けてくれたのは身知らない女の子で、豹柄のミニワンピースを着て耳に豹のカチューシャをしてるし、首輪もついている。しかも首輪には番号が入っていた。


「えっと、ありがとう。あなたは?」

「ここで飼われてる者。名前はない。この数字が名前のようなもの。逃げ道知ってる。ららが囮になるからあなたは逃げて。レッドクレインの長さん」

「だけどあたしと一緒に捕まった人を助けなきゃならない。お願い。連れて行かれた人がいる場所へと連れてって欲しい」


 ムスッとする子で助けたのにというような顔立ちをしている。それでもあたしは淡を置いて逃げるわけがない。折れてくれたのかわかったよと頬を膨らませて一度廊下の様子を確認してくれる。

 確認できたのかこっちを向いて教えてくれそうでも、言いにくそうな顔をして目を合わせようとしない。


「どうかしたの?」

「囲まれてる…。多分、防犯カメラがあるからそれで」


 早く言ってよと思っていても、きっとこの子は助けようと必死だったんだろうなと感じてしまった。助けようとしてくれてありがとうと、頭を撫でて降参するために扉を開ける。

 そしたらあたしの服をギュッと掴んで、一緒に出てくれるみたいだ。


「141、その雌から離れ持ち場に戻れ」


 141という子はそれでもあたしから離れようとはしなく、男たちが引き離そうとした時のことだ。そこまでにしてあげなよと現れたのは、夕莉からもらった情報で夕莉と夕哉の兄、夕佑だった。

 男たちは鞭を腰につけ、夕佑にお辞儀をし、持ち場へと戻っていく。いなくなったことで、夕兄おかえりと抱きつく141ちゃん。ただいまと夕佑は141ちゃんの頭を撫で、持ち場に戻れると聞くとうんと言って、一度あたしに手を振った後、141ちゃんも持ち場に戻っていく。


 夕佑はこっちと合図をもらい、夕佑についていくことになった。


「ねえ」

「情報は与えるつもりはないよ。それに今、実家に帰ってることは夕莉から聞いてるんだよね?」

「あたしをどうする気なの?」

「さあ。リーダー次第で決まるかな」


 リーダーって一体誰なのか考えにくくとも、夕佑はどんな立場でいるのだろうか。気になりつつここにいると言われ、中へ入ってみることにした。

 淡が倒れていて近くに寄ろうとしたところ、夕佑にまだ終わってないと言われ、その光景を見る羽目となる。


 男たちに蹴り飛ばされたり、鞭などで叩かれ背中は傷だらけになっていた。その光景を冷たい笑みで眺めている人がいる。どうして今まで気づかなかったんだろうと涙を浮かべながら、淡を庇いたとえ叩かれようとも平気。

 そう思っていたら止まれと声がかかり、男たちは退室するようだった。


「夕佑の目的は夜瀬組を潰すことのはずだけど、なぜこっちに戻って来てる?始末はまだ終えてないように見えるけど」

「手こずってる。ただもう少しで始末はできそうだ。それと春の太陽は虎次に任せたら」

「終わり次第、藤太郎を虎次に渡し、春の太陽をここに連れて来い」


 指示をもらった夕佑は部屋を出ていき、椅子から立ち上がってあたしたちを見下す。


「本当は陽空に見られたくはなかったから、引き離したつもりなんだよね」

「翠、陽羽が知ったら一番に悲しむのに、なんでこんなことするの!」

「は?陽空はさ、いつも春陽を嫌ってたのに、何今更姉ヅラしてるわけ?全て情報はもらってたよ。春陽が障がいを持ったことで、陽空が春陽に対する態度。それから両親が射殺された翌日、春陽に言った言葉。あれはさすがにうわーないわーって思ってた。春陽のせいじゃないのに、春陽に酷いこと言ってさ」


 翠はしゃがんであたしの髪の毛を引っ張り、冷酷な瞳をして私に対する怒りの感情が肌に伝わるほどだった。


「本当に、陽空が憎くて憎くて、がくが陽空に執着して、うまくやってくれると思ったのに残念だったよ」

がくを殺したのって」

「僕はアリバイがあるけど、指示した。うまく排除できてラッキーだった。それと僕のこと春陽の両親に言ったら、今度こそ邪魔が入らないように大事なもの奪うから」


 髪の毛を離してくれて立ち上がる翠であり、淡、淡しっかりしてと声をかける。あたしにしがみつきゆっくりと上半身を起こした。逃げろと言うも逃げれるわけないよ。


「淡、出所して僕の情報を探ろうとした罰として、僕の前で陽空をコントロールして従わせなきゃ帰らせない。そう言うの得意分野でしょ?」

「やるつもりもないし、翠に従うつもりもない。我はNoveに復讐するためにここまで来た」

「戯言は言わなくていい。今すぐやれ」


 淡と翠の関係性ってなんなのと考えても、共通点がなく淡は翠を見て、そしてあたしを見た。すると退室した男たちが道具を持ってきて、その一つを手にする淡。

 恐怖心があり逃げようと扉へと向かうも、淡に引っ張られてしまった。



 ガッシャーンとお皿が割れてしまい、すみませんと店内にいるお客さんたちに謝罪しながら割れたお皿を片付けていく。ここ最近、翠が来れない日々が多く、真昼くんに聞いても知らないと言っていた。

 お母さんに相談しても翠の怪しい行動はないと言われてるから、別のバイトかもしくは密偵組織の一員としてどこかスパイをしに行ってるのかもしれない。


 大丈夫と真昼くんが手伝ってくれて、ごめんなさいと謝る。


「いいよ。怪我してない?」

「平気だよ。お皿が割れたから、不吉なことが起きるんじゃないかって不安になっちゃっただけ」

「不吉か…。僕も何か嫌な予感は感じてる。春陽ちゃんとは別の何かが動いてるような気がして」

「春陽とは別に?」


 うんと真昼くんは言っていて片付けたお皿をゴミ袋に捨てていく。


「春陽ちゃんと関わってるのは確かなんだけど、もの凄くざわざわしてるんだ。雪叔父さんの病院にも誰かに見張られているような気がする」

「それ一番危ないんじゃ。別の病院に移ったほうがよくない?」

「そうなんだけど、受け入れてくれてるところがあそこしかないから、雪叔父さんが起きるまでは警戒が必要かもしれない」


 シルバーウルフを見張っている誰かとは一体何者なんだろうか。ここは探偵として調べる必要があるかもしれない。バイト時間が終え、真昼くんに気をつけて帰ってねと言われ、帰宅しようと思ったら、疾太くんが待っていた。


「疾太くん、どうしたの?」

「ちょっと調べてもらいたいことがあってさ」

「千夏のこと?」


 まあなと疾太くんは言われ、どんなことを調べてほしいのかハス喫茶で真昼くんと一緒に聞くことにする。

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