表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/134

93羽

 お兄ちゃんが今住んでいる場所に到着し、この格好で来ちゃった。後で催花ちゃんに着替え持ってくるようお兄ちゃんからしてもらおう。お兄ちゃんが住む場所は、あまり人気がいない平屋の家だった。

 靴を脱いで中へとお邪魔し、お兄ちゃんの部屋着を借りてシャワーを浴びることに。その間にお兄ちゃんがあのワンピースを処分するのだろうと思ってしまう。


 シャワーを浴びてお兄ちゃんの部屋着に着替え終えた私は、お兄ちゃんと夕哉さんがいるリビングへと入った。しかしお兄ちゃんの姿はなく、夕哉さんのみいる。


「お兄ちゃんは?」

「すぐ戻ってくるって、春陽」


 ソファーに座ってと合図をもらい、まだ乾かしていないけれど夕哉さんの隣に座った。そしたら夕哉さんは濡れた髪の毛に触り、ドライヤーの音が聞こえ、自分でやると合図を送るも、夕哉さんは髪の毛を乾かしてくれる。

 少し慣れないけれど夕哉さんに任せて、乾かしてもらっていたら、インターホンが鳴った。こんな時間に誰だろうと夕哉さんが確認して、そのまま私は髪の乾かす。


 乾いたかなとくしで髪の毛を整えていたらライブ終わりの藤ちゃんが来て、私に抱きつく。


「無事でよかったっ」

「心配かけちゃってごめんね。ライブは無事終わった?」

「うん。無事に終わったよ。虎次にまたコスプレ的なのやらされたんでしょ?」


 そう言われお兄ちゃんがここにいないのは処分しに行ったんだろうと理解した。


「大丈夫。夕哉さんたちが助けに来てくれたし、急に電話がかかってきてなぜか解放されたの」

「虎次が解放!?」


 純連がもの凄く驚いていて、誰の声かははっきりしなかったし、変声器を使っていたから女性なのか男性なのか分からなかったな。


「虎次がそう簡単に解放はしないと思うんだけどな…。ごめん、陽っちゃん。俺のせいで巻き込ませちゃって」

「大迷惑だ。それに虎次ってやつ、俺たちに純連を殺せと言われたんだからな」


 夕哉さんは怒り混じりで言っており、純連は苦笑いしながら頬をかき、私たちに教えてくれた。


「虎次の部屋に入ったならわかると思うんだけど」

「うん、見た。藤ちゃんを溺愛してるんでしょ?」


 そう言うことと言っていて、虎次が迂生のことをと首を傾げている藤ちゃん。夕哉さんと想は数秒固まり大声を出してあり得ないというような顔立ちだった。


「最初、豹柄の部屋に連れて行かれた時は、ここが虎次さんの部屋なんだって思ってたの。けどあの椅子で待ってる時、ちょうど扉が開いて見ちゃった。藤ちゃん愛が詰まった部屋が。それに気がついた虎次さんは、目瞑っててって言われて瞑ってたの」


 ちゃんとは見てなかったけど、壁には藤ちゃんのポスターがたくさんあったから、藤ちゃん専用の部屋なんだと思う。


「やっぱりあの部屋確認しておくべきだったな。それでなんで純連を殺せって命令されなきゃいけねえんだよ」

「そりゃあ、俺も藤を溺愛してるからだよ。まあ藤の世話ばかりしてるから母ちゃんって呼ばれるようになったけどな」


 藤ちゃんは照れくさそうに笑っていて、藤ちゃんが虎次さんのところに行ってしまったらと想像するだけぶんぶんと横に振った。


「藤を守りつつ陽っちゃんも守るから安心して。それにあの人がいる限り、派手なことは起きないと思うから。そろそろ俺たち帰ろう。明日もライブあるんだし」

「そうだね。帰ろう陽っちゃん」


 藤ちゃんに手を伸ばされその手を取ろうとしたらちょっと待ったとリビングに入って来たのは透だ。透はある記事を藤ちゃんたちに見せ、どういうことだと目を光らせている。

 その記事は藤ちゃんが一般女性と結婚していたという記事だった。私の写真は写っていなくとも、これってアメリカで撮られたっぽい写真だ。藤ちゃんと袖を引っ張り藤ちゃんは私の手を握って透に告げる。


「そんな記事信じちゃってくだらない。迂生はアメリカにいた時にプロポーズはしたけど、正式に夫婦にはなってない。疑う前に、刑事さん。調べたら?まあどちらにせよ、陽っちゃんは誰にも渡さないから。お邪魔しましたー」


 藤ちゃんに引っ張られ、待ってと伝えるも早く乗ってと言わてしまう。まだ夕哉さんと話したいことがあるのと、乗らないでいたら、お兄ちゃんが戻って来た。


「その手離したら?」

「冬季、また耳痛められたくなかったら、さっさと失せてくんない?」

「断る。それに春陽を救ったのは僕たちだ。一日ぐらい家族として過ごさせてくれてもよくない?」


 お兄ちゃんは冷たい顔立ちをしていても、藤ちゃんは私の手を離そうとはなしない。夕哉さんは玄関から様子を伺っていて、これはさすがにまずいと車に乗ろうとした。そしたら想が珍しく言い出す。


「藤、再び虎次が現れるかもしれないから、ライブが終わるまで預かっててもらったら?」

「だけど」

「ライブに支障が出たらファンが不安になる。あと二日間なんだし、それに陽っちゃんはずっと藤といてくれた。少しぐらい家族と過ごさせてもいいんじゃない?」


 想が言った言葉で夕哉さんがグッジョブサインを出していた。藤ちゃんは頬を膨らませ悩み、ぎゅっと私を抱きしめて何かあったらすぐ連絡してねと車に乗る。

 純連も乗り想は私の鞄を車から出してくれて、ちゃんと話すんだよと言われ、スライドドアが閉まり、藤ちゃんたちは家へと帰った。想、ありがとうと車が見えなくなったところで、お兄ちゃんが家に入ろうと言われ中へと入る。


 透は藤ちゃんが言った言葉が刺さったのか、しゅんと落ち込んでいた。


「お兄ちゃん、どこ行ってたの?」

「ちょっとね。春陽がいつでも帰って来られるように部屋があるんだ。こっち」


 お兄ちゃんの後をついていき一室に入ってみると、私好みの家具がセッティングされてある。


「服は夕莉や紗良が選んだ服がクローゼットがあるからそれ着て」

「じゃあ」

「ごめん。まだ来ないと思って寝巻きは用意してなかった。明日、買いに行こっか。今日はもう遅いからゆっくり休んで」


 ありがとうとお兄ちゃんに伝え、部屋でゆっくりすることにした。鞄からスマホを取り出しチェックすると虎次さんから写真が届いている。さっき撮られた写真で、雌虎ちゃんまた撮ろうねとあり、Noスタンプを送っといた。

 今頃藤ちゃんにも届いてそうと思いながらも、欠伸が出てしまいそのまま寝てしまう。



 春陽が寝たのを確認し、風邪引かないように布団をかけてあげる。Noveの首謀者が虎次とは限らず、もしかすると夕佑が首謀者かもしれない。夕佑は玲と一緒に帰ってもらったが荒れなきゃいいと思ってしまうほどだ。

 そっと扉を閉め、ぐっすり寝れてると冬月が心配していた。


「ぐっすり寝てるよ。冬月、会っちまってよかったのか?」

「まあいずれ春陽と会う予定だったし、いいかなって。さすがに春陽のウエディング姿撮ってたカメラマンとは言えないけどね」

「完成してあんの?」


 見ると聞かれおうと伝え、冬月の部屋へと入り、完成したアルバムを見せてもらう。こうやってみると春陽が幸せそうで、その幸せを奪っていいものだろうかと感じてしまった。

 見ていたら、冬月につんつんと突かれ、冬月が封筒を俺にくれる。アルバムを返し封筒の中身を出してみると鼻血が出そうな勢いだった。


「何してんだよ」

「真昼にもプレゼントした。真昼のは別のドレス姿だけどね」

「気づかれなかったのかよ」

「うん。更衣室で撮らせてもらった写真だからばれてない。こっちのほうが幸せそうじゃない?」


 確かに藤太郎と写っている写真より、俺にくれた写真のほうが笑みが倍だ。


「どうやって?」

「実は藤太郎たちに、春陽の着替えに時間かかるから別々に来てもらったんだよ。その間に催花ちゃんに着付けてもらって撮った」


 そこまでしなくてもよかったのに、ここまでしてくれるとはありがたくいただこう。


「それなのに、春陽に気づかれなかったのか?」

「全然。春陽言ってたよ。夕哉さんに見せたいなって。そうそう、春陽に以前聞いたことがあったんだ。どれくらい記憶が戻ったのかを。具体的なことは教えてはくれなかったけど、様子を見る限り春陽は随分前から記憶が戻ってるんじゃないかって感じた」

「ならなんで…」

「わからない。ただ記憶を全て思い出したら襲われる可能性があると自ら知っていたから、記憶がない振りをしていたんじゃないかな」


 そうだとしても俺のこと思い出してくれたなら、真っ先に言ってほしかったという気持ちが強かった。もしかすると俺が組の人間だと知っていたから、あえて言わなかったとかなのだろうか。


「もう少ししたら春陽から話してくれると思うから、それまでは誰にもこのことは伏せておいてほしい」

「もちろん。これありがとな」


 写真をもらってリビングで待っている透と一緒に、俺は自宅へと戻った。



 翌朝、ぐっすり眠れた私は上半身を起こしぐーんと背伸びをする。カーテンを開け太陽の光が部屋を照らし、夕莉さんと紗良が選んでくれた服に着替えた。

 するとスマホが鳴り誰だろうと確認したら、藤ちゃんからおはようメッセージが来る。私もおはようメッセージを送ってリビングに通じる廊下を歩いていたら、焦げ臭い匂いがした。


 すぐにリビングへと入ってみたら、ケホケホしながらキッチンから出てくるお兄ちゃん。涙目でおはようと言われ、おはようとまずは換気扇を回した。

 何を作っていたんだろうと見たら、料理本が机に置いてあり、ホットケーキを作る予定だったらしい。疑問に思いお兄ちゃんに聞いてみた。


「お兄ちゃんって料理初めて?」

「まあね。大体コンビニで済ましてたし、料理はまるが担当だったから」


 なるほどねと理解してお兄ちゃんに作り方を教えてあげることに。


 お母さんが料理得意だったから、一緒にご飯作っていたのを思い出しつつ、手伝ってなんとか形にはなった。もっと料理覚えておこうとお兄ちゃんはボソッと言いながら、出来上がったパンケーキを口にする。


「お兄ちゃん」

「ん?」

「すでに聞かされてると思うし、復活ライブで藤ちゃんが婚約発表をしたの。家族として早めに伝えたかったんだけど」

「聞いてたよ。僕としてはまだ春陽を嫁に出さないつもりだったけど、あの人が絡んでるんだよね?」


 こくんと深く頷き、やっぱりそう来たかとパンケーキを口に放り込みもぐもぐするお兄ちゃん。私もパンんケーキを頬張り、お兄ちゃん怒ってるよねと思ってしまう。

 けれど飲みこんだお兄ちゃんが言ってくれた言葉。


「んーあの人が企んでいることは、小さい頃も読めなかった。ただ春陽が幸せなら、おめでとうと言わせてほしい。春陽はどんな気持ちで、藤太郎と過ごしてるのかな?」


 お兄ちゃんに言われ、私はとフォークを置き、私の気持ちを素直に伝える。


「私、藤ちゃんのファンとしてそばに寄り添ってる。だけど私が大切に想っている人は、ただ一人夕哉さん。お兄ちゃん、以前言ってたよね?どこまで記憶が戻ってるのかって」

「聞いたね」

「記憶が戻り始めたきっかけは、あの日。キャットアイランドで雪と再会した日。全てじゃないんだけど、夕哉さんのこと思い

出せたの」 


 私が記憶を取り戻したことで多くの人に悪影響が出ると感じ、今まで通りに記憶がない私と思わせてた。結局、姉はがくに囚われた時、接触を考えていたところ、雪から言われた。

 戻っているのなら今は知らないふりをしていろと。その言葉で私は雪を嫌ったり、夕哉さんのことを知らないふりをして生活してた。


「今は記憶は?」

「赤ちゃんの頃の記憶はもうさすがに思い出せないけれど、何が起きたのかは覚えてるよ」

「あまり記憶が戻ったということは藤太郎には伝えないほうがいいかもしれない。そこであの人が何か仕掛けてくるはずだから」

「うん。今まで通り藤ちゃんと過ごすつもりだよ」


 お兄ちゃんは少々心配そうな目で見てくるも、話してくれてありがとうとお兄ちゃんは言い、朝食を食べていく。


 朝食を済ませお兄ちゃんと一緒に出かけようとしたら、インターホンが鳴った。一体誰だろうと確認してみるとどこかであったような。考えていたらお兄ちゃんが確認して、麗音と不思議に思っていながらも玄関の扉を開ける。

 麗音ってえっ獅子屋警部の次男と思い出して私も玄関へと行く。


 麗音くんはよっと私に挨拶して久しぶりと麗音くんに伝えた。


「どうかした?」

「陽の情報がもらいたくて、寄っただけ」

「陽の最新情報はないかな。春陽、黎明って今何してるかわかる?」

「ううん。何も。あの人に聞いてみよっか?」


 大丈夫と麗音くんは言っていて、少し元気がないようだ。それを聞きに来ただけらしく、帰ろうとしていて待ってと麗音くんを引き止める。

 スマホを取り出して夜一くんに聞いてみることにした。この時間、まだ寝てそうと思っていたら、もっしーと夜一くんの声が聞こえる。


「黎明さん、今どこで何してるかわかる?」

『黎明?ちょっと待って。確か』


 カタカタとキーボードを打つ音が聞こえ、夜一くんなら何かわかるかもしれない。少し待ってるとあーと言いながら教えてくれる。


『黎明なら俺様の親父と行動してて、まず会えないけど黎明がどうかしたの?』

「ううん。黎明さん最近見かけないなって思ってたから気になっちゃって。教えてくれてありがとう」

『帰って来たとき入れ違いだったもんね。会いたいって伝えておくよ。んじゃ』


 夜一くんと通話を終え、教えてくれたことをそのまま告げると、お兄ちゃんと麗音くんの顔が強張った。どうしたんだろうと思ったらお兄ちゃんに言われる。


「夜一の親父さんは鯨波邸で起きた件で死亡した。これは一大事かもしれない。麗音」

「父さんに報告するよ。わざわざありがとな、春陽」

 

 麗音くんは乗って来た車に乗り行ってしまい、後で夜一くんに確認しなければならない。


「僕たちも行こっか。せっかく藤太郎から離れられたんだし」


 うんと相槌を打ちながら、私たちは出かけることにした。



 春陽先輩の口から黎明の名前が出るとは思わなかったな。まあどちらにせよ、黎明はあの人を裏切ったことで、始末されるのを待っている。黎明があの清掃屋と手を組んでいるとは知らず、しかもあの人がやろうとしている計画も筒抜け。

 今現状、あの人にはまだ報告を上げていなくとも、すでにあの人は黎明の動きに気づいていた。


 黎明は椅子に縛られ、ヴァイオレットたちと夜瀬組が交代で見張りをしている。俺様はカメラで監視をしつつ、夜瀬組に指示を与えていた。

 親父を失いこれで夜瀬組は終わったと思ってた。だが実際はあの人によって動かされていたことと、そしてまたもや脅しをもらっている。それは紗良先輩の命がどうなってもいいのかというよくあるセリフだ。

 逆らえば紗良先輩の命が危険になるため、俺様は夜瀬組長として組員を動かしつつ、烏丸にも手伝ってもらっている。


 それに藤太郎や純連たちの部屋に盗聴器を仕掛け、情報をもらった時は、やっぱりなと確信が持てた。春陽先輩に内緒で、あの人が築き上げたものを背負う者。

 春陽先輩は罪を背負ってほしくなくて、止めていたのにそれすらわからないだなんて。


 監視映像を見ていたら烏丸が呼んでいてノートパソコンを閉じる。


「何か情報掴めた?」

「いえ。ですが坊ちゃんの言う通り、猫田虎次が動き出したようで」

「あぁ藤太郎愛がやばい、虎次ね。こりゃあ大変だ。あの人に報告しないと春陽先輩が巻き込まれる。護衛にしばらくついてあげてて。俺様は平気だから」


 承知しましたと烏丸は藤太郎がいる場所へと言ってもらい、すでに純連から報告を受けてそうでも、俺様からも報告しに向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ