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82羽

 鯨波流史郎との決戦日二日目


 昨日のことで夜一くんがあっち側に戻らないことで、紗良が再び危険になったことを報告してくれた。夕哉さんたちは夜一くんを責めるわけではなく、対処方法を考えようと言い、話し合った結果。

 紗良は夕哉さんの自宅にいてもらうことになり、夜一くんは今まで通り真昼くんと共に行動することになった。


 初日と同じく一つの町に一人がいるわけでもないから油断はできない。私と夕哉さんは守城中等学校の美術室に隠れている。


「今日は昨日より違う方法で来るかもしれないから、春陽逃げられる準備はしておこう」

「うん。仕掛けはいくつか作ってあるんだよね?」

「効果は薄いけど、疾太の父さんに許可得てるから大丈夫だと思う」


 夕哉さんは外の様子を見ていて、今日も乗り越えられたら奇跡のようなものだった。美術部の作品を見ていると夕哉さんが双眼鏡を取り出し、伏せろと言われたからしゃがむ。

 しゃがみながら夕哉さんがやって来て、状況を教えてくれた。


「ヴァイオレットっぽい連中数人、こっちに向かって来てる」

「五人は?」

「見た感じ誰もいなかったけど、校舎に入ってくるかもしれない。場所、変えんぞ」


 しゃがみながら隠れ場所を変更して、音楽室へと向かうことにした。階段をチェックし二階の音楽室へと忍足で行き、音を立てないように音楽室へと入る。

 一応防音の部屋だとしてもここに入ってくるかもしれない。廊下では走っている足音が聞こえ、実は今回、中等学校にはもう一人いてくれていた。

 その一人はお兄ちゃんであり、次々と倒れる音が聞こえる。夕哉さんに合図をもらい、そっと扉を開けると廊下にはヴァイオレットが倒れていてお兄ちゃんがいた。


「学園から離れたほうが良さそうかもしれない」

「やっぱり気づかれた感じか」

「いや。千夏ちゃんに作戦がばれている可能性が高いと思って」


 ヴァイオレットが多く来たわけは情報が漏れている可能性が高いってことだよね。


「とにかく中等にいることがすでに気づいていたから、早めに動こう」


 お兄ちゃんに言われ、私と夕哉さんは中等学校から出ることにした。ヘルメットをもらい、移動は夕哉さんの愛用バイクで移動することにしている。

 バイクに乗っていると無線イヤホンから雪の声が聞こえた。


『春陽、夕哉、無事か?』

「お兄ちゃんがいたからなんとか」

「一旦学園を離れて別の町に移動してみ陽と思う」

『先ほど構成員から小等に夜瀬組と紫蛇組の奴らが来たと情報をもらった。真昼たちからはまだ報告は受けていないが、気をつけろ』


 了解と伝え夕哉さんのバイクで一度、守城学園の町から出ることに。



 久々に玲黎コンビで動くことになったというか、黎明が駄々を捏ねたことにより二日目はコンビ同士で動くことになった。予想は的中し、春陽ちゃんは学園内にいたことが判明するもまだ動くなとあの人から言われている。

 二日目もひたすら逃げるしかなさそうだなと自販機でスポーツドリンクを買いそれを飲む。


「今回も逃げ回れってことなのかな」

「さあな。どの道、春陽ちゃんが提案したものにただ乗っかっているだけだから、様子見て指示が来そうな気もする」


 ふと気になっていたのが、なぜ春陽ちゃんは透を指名しなかったのか不思議に思っていた。てっきり自分が選ばれることを想定して、透も参加すると思ったのによ。

 そのことを考えていたら、黎明が残念だよねといきなり言い出す。


「てっきり透も参加すると思った」

「エスパーか」

「どうでしょう。ねえ玲、昼どこで食べる?もうお腹すいた」


 ギュルギュルとお腹を鳴らす黎明で、あまり胃もたれする飯は食べたくねえな。適当に店に入って昼飯にすっかと歩いていたら、ばったり姐さんと夕莉とばったり会う。

 声をかけようと思ったが、自分たちに背を向けて行ってしまわれる。そりゃあ、そうだよなと真逆の方角へと進んだ。


「いいの?」

「いい。それに今、夕莉にストレスを与えたくねえし、それにきっと自分と関わりたくないだろ」

「そうかな?僕ちんからにしては、そんな感じじゃなかったと思うよ」


 そうだとしても自分のプライドが許せず、夕莉と向き合えるのはもう少し時間がかかりそうだった。


 ヴァイオレットや夜瀬組から情報をもらいつつ五人から避けていたら、光太と再び会うことになる。


「玲さん、戻って来てください!」

「何度も言ってんだろ?自分はもう昏籐組には戻らねえって昨日言ったよな?」

「嘘ですよね?本当は家に帰って夕莉さんのそばにいたいんじゃないんですか!僕には見え見えです」

「みっつー。そこどいてくんない?僕ちんたち、みっつーと遊んでる暇ないんだよね」


 嫌ですとはっきり言う光太であり、黎明が仕掛けそうで待ったと黎明を止めた。


「僕は夕哉さんの舎弟であり、夕哉さんに誓ってるんです。夕哉さんの家族は絶対に取り戻すと」


 光太にそんなこと言われる筋合いはねえよと拳を振るう。そしたら光太は自分の拳を止めてきやがって、昔の光太は弱くて守ってあげなくちゃならないと存在だと思ってた。


「僕たちが勝ったら、絶対に戻って来てください。夕哉さんも夕莉さんも、組長も姐さんも、みんなも玲さんの帰り、待ってますから」


 それを告げ終えた光太は自分から離れ、一礼し連れていた組員と一緒に去って行く。自分は帰らないっつったろ。

 黎明が愛されてんねとニヤニヤしながらで、光太たちがいなくなるまで見ていたら、何かを感じ距離を離した。

 そこにいたのは南雲真昼と夜一であり、あと一歩だったとなぜか息切れをしている。


「油断作戦むずっ」

「だから言ったじゃん。相手は玲黎コンビ。すぐ気づかれるに決まってんじゃん」

 

 光太に気を取られていたこともあり、この二人に気づかなかったとはな。


「自分たちを捕まえられるのは百年早い」

「うんうん。僕ちんたちコンビは最強なんだから、そんなんで捕まんないよーだ」


 黎明が肩を組んで来て、真昼と夜一はムスッとした顔立ちでいた。


「んじゃ自分たち行くわ。お疲れさん」


 疲れている二人を置いてさっさと逃げようとしたら目の前にはなんと疾太と翠に星河輝がいる。四人で自分たちを捕まえるってことでいいんだろう。


「挟まれちゃった。どうする玲」

「なんなら、こっちも仕掛けさせてもらおうか。流葉、やっちゃって」


 はーいと流葉の返事をもらい、四人に伝えてやる。


「学園に賢介と純連、それからヴァイオレットも夜瀬組も紫蛇組も学園に行ってもらってる。夕坊は守り切れるかな」


 それを伝えると焦りながら星河輝が報告していて、今更遅いんだよと殴りかかった。



 流葉の合図で変装した賢と俺は学園内へと入り、バイク音が聞こえる方角へと走る。行ってみるとバイクが停止し、なぜか夕哉だけしか乗っていないことがはっきりした。


「やべえ数だが春陽はここにいねえから。他を探せば?」


 今さっきの報告だと春陽が中等学校にいるのは確認が取れている。絶対にここにいるはずだ。夕哉は余裕ぶっているも、俺たちを捕まえられるのは五人。流葉からの情報だと冬季以外、玲と黎明のところにいると入っている。

 冬季は一体どこにいると考えていたら、後ろの方から叫び声が聞こえた。後ろを振り向くと、丸眼鏡をかけている影山迅と冬季がいる。


「春陽ちゃんは誰にも渡さへんで。夕哉、さっさと行っちゃってや。春陽ちゃんが待つ場所に」


 悪いなとバイクを走らせ行かせるなと動くも、夕哉は行ってしまった。


「やっぱり変装が上手い、純連と賢介がここに紛れてくるとは想定してた。さてどいつが純連と賢介か勝負でも行こうか」


 全て読まれていたとは想定しにくくとも、半数は夕哉を追いかけて行ってもらうことにする。賢介も夕哉を追いかけてもらい、俺は正体をばらした。


「冬季がいないって報告は上がってたから、もしかしたらって思ってたよ」

「まる、他の奴らを頼める?」


 任せときと影山迅は眼鏡を外し、伊達眼鏡だったんかいと突っ込みたいぐらいだ。ここで捕まるわけにはいかないし、とにかく逃げるかと逃げた。

 後ろから冬季が走って来ているのはわかっていて、なんとか校舎の中へと入り身を隠す。


 あの人からの情報だと冬季は優れた才能の持ち主であり、あの人も認めているほどの実力者。だから油断はできず、逃げつつ陽っちゃんを探すしかない。


 陽っちゃんはおそらくまだ学園内にいるはず。なぜかというと学園を俺たちが包囲していたからだ。だから陽っちゃんが出て来た時はすぐにわかる。

 冬季に捕まらないように動くとしても、シルバーウルフがこっちに来そうな予感はしていた。


 足音が聞こえなくなったことで、そっと扉を開き廊下を歩く。陽っちゃんが隠れやすい場所は山ほどあり、てあたり次第探すも陽っちゃんの姿はどこにもなかった。

 

「流葉、中等学校の防犯カメラって見れそう?」

『今やってます。正門から出てる気配はありませんが、裏の門から清掃の人が出てったのは確認が取れてます』

「もしかして車?」

『車でしたよ。何人か追跡させてますから、玲黎コンビが上手く逃げていたら向かってもらいます』


 清掃…星霜いやそんなはずはないよなと思いながらも、何かわかったら教えてと伝え、冬季から逃げつつ陽っちゃんを探して行った。



 もう平気だと鶫の声でブルーシートからプハッと顔を出した。バイクで逃げようとしたところ、真昼くんのお父さんから指示をもらい、私は車で逃げることに。

 後で夕哉さんと合流する形となったけれど、夕哉さん大丈夫かな。


「あの数はかなり攻めていたようだね」

「あの中にきっと五名の誰かがいたのは確実だった。目的地までどれくらい?」


 聞きながら事前に買っておいたスポーツドリンクを飲む。


「三十分ぐらいで着く。疲れただろう、少し休み」

「ううん、大丈夫。みんなが戦っているのに休んでられないよ。それよりこの車って?」

「つてがあってね。事前に借りた車なのだよ」


 いろんな清掃道具が後ろにあるから、清掃会社の車なんだろう。


「二日目とはいえ、春陽完全に逃げ切ったらどんなことをあの人に言うんだい?」

「それ前も教えたような」

「よいではないか。春陽が変なこと考えてそうって皆が心配しているのだ。念の為ということだよ」

「何度も言うけど私は変なこと考えてないよ。このゲームを考えたのは意味があって」


 本当は言いたくないし無線イヤホンで絶対に聞かれてそうであっても、正直に伝えた。


「大切なものを取り返す。それだけだよ」


 それを伝えると無線イヤホンから雪が、言い出す。


『春陽、こんなことはするなとあれほど言ったはずだ』

「雪のためじゃない。私のためでもあるの」


 だがと雪は言葉を積もらせ、真昼くんのお父さんが私を叱るのではなく、感謝を述べた。


『春陽ちゃん、僕たちのためにやってくれたこと感謝する。その気持ちは無駄にしないよう、全力で守るよ』


 私もありがとうございますと伝え、雪と真昼くんのお父さんの声は聞こえなくなる。どれだけ取り戻せるかわからないけど、やる価値はあるよねと空を見ていった。




 目的地に到着し夕哉さんと合流できるまで、鶫と一緒に目的地で待っていると夕哉さんが到着する。


「鶫、ありがとな」

「我が輩たちは春陽たちをサポートする側だ。いつでも頼ってくれ。健闘を祈ってる」


 鶫は学園方面へと帰って行き、私は夕哉さんのバイクに乗って隠れ場所へと向かった。玲さんと黎明さんがいた町は夕哉さんの店がある町で、隠れる場所に向かっているのは玲さんが経営していたセライヴニ。

 そこに行けば夕哉さんの部下さんたちがいるため、少しは安心かな。ただ油断できないのが佐田さん。透が言うに佐田さんは優れたパソコンのスキルを持っているため、防犯カメラもすぐハッキングできてしまうらしい。


 移動する時はできるだけ防犯カメラが見えないところを通るようにと言われているも、道路はさすがに防犯カメラに映ってしまう。


 セライヴニに到着し正面からではなく裏口の扉から入らせてもらった。ここがセライヴニというナイトクラブのお店。今は夜じゃないからお客さんはいなくとも昏籐組員の人たちが多くいた。

 春陽さんこちらにと言われてしまい、なんか恥ずかしいと思うもソファーに座らせてもらう。

「若、先ほど透から連絡をもらい、玲さんと黎明さんは確保できなかったと報告を受けたそうです。もしかするとこっちにくる可能性もあるので気をつけるようにと」

「四人がかりでも無理だったか。真昼たちは?」

「二手に分かれて捜索に当たっているみたいです」


 一番難しそうな二人を四人がかりで捕まえようとしても難しかったんだ。お兄ちゃんのほうも大丈夫かなと少々心配になる。そしたらぎゅるるるとお腹がなって全員に笑われながらお昼にしましょうと軽くご飯を作ってもらった。



 真昼くんと夜一くんがバイトしていたコンゼッセでご飯を食べつつ、パソコンをいじりながら春陽ちゃんの居場所を探してました。やっぱりあっち側にも優れたハッカーがいるんですかねとカタカタと操作していると春陽ちゃんを発見。


「玲さん、黎明さん、今どこにいますか?」

『昏籐組が何店舗か出してる町に向かってるところだよ』

「玲さんの店に春陽ちゃんがいます。それと夕哉さんと昏籐組数名」

『やっぱり包囲しても逃げられたらしいな。賢介から聞いた。そっちに行ってみるが数が足りないと思うから、変装している奴らにセライヴニに召集かけておいて』


 了解ですと告げ、セライヴニ周辺にいる人たちに集結するようメールを流した。ここでチェックメイトしたいですが、相手も何をするかわかりません。

 油断はできませんねと時間を見ると十五時を過ぎていました。二日目は春陽ちゃんを捕まえられないかもしれませんねと長いはするのはやめとこうとノートパソコンを閉じ、会計を済ませました。


 さて次はどこにしましょうかと歩いていると、スマホが鳴り確認するも違う。もう一つのスマホでしょうかと手にしたらビンゴです。普通に足を止め電話に出ました。


『合言葉を』

「冬の月と春の太陽、霜に星する」

『よろしい。流葉、あなたの里親は無事に清掃が完了した。これからは好きに暴れなさい』

「感謝します、星霜さん。必ずや春陽ちゃんを守り抜きます」


 健闘を祈っていると春陽ちゃんのお母さんに言われ切れてしまい、ならここはと私はともう一つのスマホで星河さんに連絡をする。

 出るわけないですよねと切ろうとしたら、佐田ちゃんと伊宮さんの声が聞こえた。


「星河さん、昨日さくじつのことは失礼しました。今すぐセライヴニへと向かってください」

『佐田ちゃん?』

「降参します。ですから」


 伝えようとしたら背後から襲われ、佐田ちゃんと叫ぶ星河さんの言葉で意識が遠のいていく。



 余計なことしてもらっちゃ困るよと、車に乗せてもらい、叔父さんのところへと向かった。本来ならばすぐ殺すよう命じられているも、流葉は殺すなと命じられている。

 叔父さんを失望させるとは何しちゃってくれてるのかな。それに星霜家ご夫婦と繋がっていることを知れば、叔父さんは激怒する。


「千夏さん、打ち明けますか?」

「いや、言わないよ。それに藤の容体で頭がいっぱいだろうし、余計なことは頭に入れさせたくない。ただ相手チームに情報を流したことは報告する。あなたたちも星霜家と繋がっていたことは伏せておきなよ」


 承知しましたとヴァイオレットたちは言い、叔父さんがどんな罰を与えるのかは不明だ。きっと昨日、紗良を誘拐したことでうちの正体はすでにばれてる。

 だから疾太たちとはもういられないなと、以前撮った疾太たちの写真を見た。疾太、今ごろ怒ってるのかなと想像しながら叔父さん家へと向かう。

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