7羽
期末テストが終わって、透は夕方に来てもらうことになり、南雲くんの最寄りに到着したら、南雲くんがいた。お待たせと伝え、南雲くんは本を鞄にしまい行こっかと歩き出す。
今日は映画を観た後、ショッピングモールのお店を回って、その後、透の車で南雲くんが教えてくれた場所に行くことになっていた。
「映画、僕が観たい映画でよかった?」
「全然平気。むしろちょうど観たかった映画だったから」
「よかった。僕が読んでる本の実写映画だから、楽しみすぎて。この前勧めた本の別シリーズなんだ。もしよかったら原作貸そっか?」
「まだ読みきれてないから、読み終えたら考えてみるね」
ショッピングモールに到着し、映画館へ行くと凄い人盛りだ。土曜日だから混んでるのは知ってたけど、お目当ての映画は観れるのかな。
すると南雲くんが離れないようにと手を握り、すでにチケットは取っているらしくて長蛇の列ではなく事前予約の機械に並んだ。少しして南雲くんがスマホでQRコードを出し、読み込むと発券が出てきた。
グッズコーナーでは南雲くんが目をキラキラさせてグッズを見ていて、こんなに喜ぶ南雲くんを見たのは初めて。私も記念に何か買おうかなって、見ていたらブックカバーを見つける。星柄で所々に主人公のシルエットが入っていた。
ちょうどブックカバー買おうと思ってたから、ちょうどよかったかもとそれを手にする。後はどうしようかなと見ていたら、南雲くんは全部買うみたいだった。
「ブックカバー買うんだね。それならしおりもどお?ブックカバーにはしおりがついてなかったから」
しおりも半透明で星柄で可愛いとしおりとブックカバーを買うことに。南雲くんは満足そうな笑みを出していて、飲み物とポップコーンを買い、入場することにした。
席はと手が塞がっているものの、南雲くんがこっちだよと教えてくれて、二人席の席を選んでくれる。本当は中央で見たかったんじゃないのかなと思っても、配慮として選んでくれたんだろう。
「中央じゃなくてよかったの?」
「一番いいところは中央じゃないよ。僕のお気に入りはここなんだ。あっごめん。もしかして中央の席で観たかった?」
「ううん。退出する場合もたまにあって基本、端っこの席を選んじゃうから平気ありがとう」
ほっとしている南雲くんで、席に座りポップコーンを頬張っていたら、上映し始めた。
この作品は星になってしまった親友が幽霊となって現れ、一緒に謎解きを明かし、最終的には親友が殺されていたことが発覚。謎解きしたことが全て親友を殺した犯人を突き止める話だ。
そして犯人を突き止めた時、丘の上で成仏をし初め、月より眩しい光を出しながら、別れ際に親友に告げる台詞。
君と最後にこうやって探偵ごっこできてよかった。最高の思い出をありがとう。
主人公にキスをして、待ってと手を掴むも星となって消えてしまうストーリー。
ある程度、南雲くんから話は聞いていたけれど、最後に涙がポロリと一粒流れた。原作を読んでる南雲くんは、声を出さすにすでに泣いている。
ハンカチを取り出し、南雲くんに渡してあげてエンドロールが流れ、曲も素敵な曲だった。
明かりがつきぐずんとなっている南雲くんであっても、ハンカチありがとうと私に返す。人が少なくなったことで、私たちも退出し、空になったポップコーンや飲み切ったのをゴミ箱に捨てる。
次はどこ行こっかと話しながらまずは本屋と南雲くんが言うから本屋に寄った。南雲くんは小説コーナーへと入って行き、私は雑誌に目がいってしまう。なぜなら一冊の雑誌に暮地さんのお店の名前が入っていて、そのページを捲ってみた。
靴の紹介と本人が写っていて、文面にはこう書かれてある。
きっかけは初恋から始まったことなんです。その初恋相手は小学生の時で、初恋の子は靴が大好きだったんです。いつか初恋の人に作った靴を履いてもらいたくて、靴職人となりました。
初恋って誰なんだろうとつい見ていたら、何かいいのあったと覗く南雲くん。けれど南雲くんの表情が面食らった表情をしていた。
だからすぐ閉じて南雲くんはいいのあったと聞いてみると、表情が戻り新作出てたと嬉しい顔に戻る。
あまり暮地さんと会っていることは伏せておくべきだよねと、そっとあった場所に戻し、雑誌コーナーから離れた。私も結局、南雲くんと同じ小説を買ってしまう。
どこもカフェが満席状態で、空くまで待とうか話していたら、朝峰さーん、南雲くーんと呼ばれる。声がするカフェのほうに身体を向けたら、清寺さんが手を振っていて、こっちおいでと言われた。
カフェに入り、ささっと席を開けてくれて、メニュー表を見せてくれる。
「清寺さん、こちらの方は?」
「うちの彼氏で守城大学に通ってるよ」
「俺の名前は岩渕賢介。初めましてと言うより、高校の時によく見かけてたし、すれ違ってた」
私は結構閉ざしていたこともあって、全然周りに気づけてなかった。ごめんなさいと謝ると気にしなくていいよと言ってくれる。
「催花から話は聞いてたけど、朝峰ちゃんは凄いと思う。本当ならさ、いじめがあったら絶対転校するでしょ?それなのによく耐えて、偉いよ。ただ我慢することはあまりしないようにな。よく催花も溜めすぎちゃってることがある」
「朝峰さん、教室ではあまり話しかけられなくてごめん。本当は話しかけたいってずっと思ってたの。だけど氷雨くんに逆らえなくて」
「全然。むしろ、もう慣れちゃってるし、清寺さんがターゲットにされちゃったら嫌だから」
朝峰ちゃーんと私に抱きつく清寺さんで、岩渕さんが南雲くんに聞いたのだ。
「で二人は付き合ってるんだよな?催花もこんなだし、このままダブルデードでもいいけど?」
「この後、行く予定があるので、お茶したら伊宮先生と合流することになってるんで」
「伊宮先生とどこに行くの?」
それは秘密ですと南雲くんは誰にも知られたくない場所なんだと悟った。どこなんだよ、教えろよとグイグイ聞いてくる、岩渕さんで絶対に言いませんと言い張る南雲くんであった。
「そういやさ、朝峰ちゃんと南雲っちは大学どうするの?」
「私はそのまま守城大学を受けようと思ってて。南雲くんは結局どうするんだっけ?」
「一応二つ受ける予定だよ。守城大学も一応、文学はあるんですよね?」
「あるけどそんなに文学を取っている連中はあまりいないかな。逆になんか知らないけど星河教授が今年かな?入って来て理学部の生徒がぐんと上がったらしい。いくつかの賞をもらった若手教授って聞くけどな。ちなみに俺は経済学」
星河教授が今年に入って来たことで、お母さんに挨拶しに来たってことなのかな。
「うちは賢ちゃんと同じ守城大学で経済学にするの。学は違くても大学に入ったらいっぱい話そうね。氷雨くんたちはなんか知らないけど、違う大学に行くって言ってたから安心だよ」
そうなのと聞いたら南雲くんも知っていたらしく、なら少しは安心できるかも。てっきり氷雨くんたちもそのまま守城大学を選ぶと思っていたから。
それからは清寺さんと連絡先を交換してまた学校でと行ってしまわれた。
「岩渕さんみたいな人がたくさんいたら、嫌だな。雰囲気的にチャラそうだったし」
「見た目はそう見えるかもしれないけど、良さそうな人だったと思ったけどな」
「いや、表はあんな顔してるけど、裏ではなんかありそうな顔だったから、警戒はしておいた方がいい」
南雲くんがそう言うなら気をつけるとしても、清寺さんは大丈夫なのかなと心配になって来る。カフェでくつろいだ後、透が着いたぞというゾウさんのスタンプが来て、駐車場で待ってるらしい。
「朝峰さん、ちょっとお手洗い行って来るから、先に駐車場に行ってて」
「うん。わかった」
透の車が止まっている場所まで行き、南雲はと聞かれ、お手洗いだってと伝えた。癖で助手席座ろうとしたら、後ろと合図が来てしまい、後ろに乗る。
「映画楽しかった?」
「うん。南雲くん後半で凄い泣いてたのが印象的だった」
そっちかいと突っ込まれながら、しばらくして南雲くんがお待たせしましたと私の隣に座って、じゃあ行くぞと連れてってもらう。
◇
あいつなんだよとつい物に当たりそうになって、足を痛める羽目となった。たまたまショッピングモールで買い出しをしている最中に、陽羽と彼氏らしい人物が一緒にいて、尾行してしまったのがいけないのはわかってる。
ただ陽羽に気づかれていなくても、あいつは俺が尾行していることに気づいていたし、しかもあいつは俺に向かって嘲笑った。
もう帰るのかと見ていたら、陽羽に何かを伝え一人になった途端、俺のところにやって来る。
「いい加減、僕の彼女に付き纏わないでくれませんか?迷惑なんですよね。あなたがヤクザの息子のせいで、陽羽の人生を奪った。これ以上、陽羽の人生を奪おうとするなら通報します。それじゃあ、待たせてるんで」
あいつは俺に言いたいことを告げて、陽羽のところへ行っちまった。俺は何も言い返せなくて、腹が立ちまくっている。なんであいつが俺の正体に気づいてるんだよ。
イライラしていたらほっぺに冷たい飲み物を渡され、姉貴がその光景を見ていたらしい。
「やっぱり、陽羽ちゃんの彼氏だったか。彼氏さんの言う通り。もう接触はやめてあげなよ。陽羽ちゃんの幸せを望んでるんでしょ?」
「そうだけど、俺は…」
「そんなに落ち込まない。帰って依頼の靴仕上げなきゃ。帰りはお姉ちゃんが運転するからさ」
そう言われ姉貴に背中を押されながら、もやもやが晴れないまま、店へと戻ることに。
◇
南雲くんのナビで駐車場に止め、私たちは山に登っていく。まだ夕方だとしても帰りは夜だから気をつけて下山しないと転びそうだな。
そう思っていると転びそうになってしまったら、透と南雲くんが同時に動いてくれて助かった。
「平気?」
「平気、ありがとう南雲くん。伊宮先生もありがとうございます」
「帰りは暗いだろうから、おんぶしていくよ」
「恥ずかしいからいいです」
透に断り南雲くんはそれでもお願いしたらと言ってくれて、それじゃあ南雲がおんぶしてあげろと透が言う。余計に恥ずかしくなってしまった私は先を歩いた。
普通に透って言っちゃいそうで、変に思われたくないから、南雲くんと一緒にいる時はできるだけ透を呼ばないでいるのに。ちゃんと南雲くんに伝えられるかなと展望テラスに到着して、その光景がとても綺麗だった。
綺麗と思わず口にしてしまい、綺麗でしょと南雲くんが隣に来て、凄えなと透もその景色に見惚れている。
「夜になればもっと綺麗な景色になる。朝峰さん、よかったら写真撮らない?」
「撮ろう」
「なら撮ってやるよ」
私のスマホを渡し、南雲くんと一緒に撮ってもらって、夕焼けの景色も撮った。伊宮先生も一緒に撮ろうよと南雲くんが誘い、じゃあ遠慮なくとふざけた顔をして、三人の写真を撮る。
「よくここに来んのか?」
「イライラしてる時とか、落ち込んでる時によくここに来てるんです。まあ大体は母親のことで悩みすぎちゃうことがあるので」
「そういや、南雲の母さん、夜働いてるんだよな。今日は平気なのか?」
「はい。土日は基本、休みを取ってるし、昼奈と昼奈の父親、三人で出かけることが多いので大丈夫です」
南雲くんのご家族のことはまだ詳しく聞いていないけれど、南雲くんの表情を見る限り、少し姉と重ねてしまう。そう感じたのは、両親が妹ばかりを見ているから、寂しさを別の場所で埋めていることを。
「何か困ったらちゃんと俺か他の先生に言うんだぞ。話を聞く限り兄妹差別に繋がるからな。俺からもちゃんと南雲を見てあげるよう伝えるから」
「いいです。余計なことされたら、母から虐待受けるんで、大人しく母の言う通り聞いていれば何もされないから」
そんなにやばい母ちゃんなのかと心配する透で、まあと苦笑する南雲くんであった。あまり深いことは私から聞かない方がよさそうと感じ、透はなぜかしょぼくれている。
それを見た南雲くんは、透を元気つかせようとしているのか、していないのかあることを言った。
「限界が来たら、朝峰さんに話しますし、伊宮先生にも頼らせてください。それに朝峰さんばかり見てたら、朝峰さんを標的にする生徒もいますから、しっかり周りの生徒も見てくれると助かります」
「やっぱりそう見える?」
はいと言うもので、凹むのかと思いきや、陽羽のためにも努力するよと少し元気になったようだ。
ベンチに座りぼーっと景色を見ていたら段々と暗く始めて行って、二度目の美しさの景色に写真を収めた。
「夕方もそうだったけど夜景も凄い綺麗」
「でしょ?この景色がたまらないんだよね。あれ?伊宮先生どこ行ったんだろ?」
さっきまで一緒にいたのにと思いながらも、私と南雲くんはその景色を眺めていく。するとピコンと鳴り通知を見ると、お邪魔虫は車で待ってるから、デート楽しめとあり、耳まで赤くなってそうだ。
よし、こうなったらと、南雲くんの返事をすることに。
「南雲くん、この前の話の返事なんだけど」
私が言うと南雲くんは私の顔をちゃんと見て、照れくさいけど気持ちを伝える。
「私でよければ、よろしくお願いします」
言えた途端に南雲くんがハグしてこちらこそよろしくね、陽羽ちゃんと初めて下の名前で呼ばれた。
「嬉しい。断れるかなって思ってたんだ。嬉しすぎて今日眠れそうにない」
「南雲くん」
「これからは真昼でいいよ」
「じゃあ真昼くん、一つ約束してほしいの」
何と聞かれ、私は真昼くんの背中に右手を回し伝える。
「大学は私に合わせないで自分が行きたい大学に通ってほしいの。守城大学と文常大学はそう遠くないから」
「大丈夫?」
「うん。私の幼馴染がね、守城大学を受けてくれるから、大丈夫だよ」
「陽羽ちゃんがそう言うなら、文常大学受ける。まあ落ちたらあれだから守城大学も受けるつもりだよ。それに陽羽ちゃんの幼馴染に会ってみたいから、今度紹介してね」
うんと私たちは照れ笑いし、もう少しこの景色を一緒に眺めて行った。
◇
車で待っていると隣に車を止めた車種があり、車から降りて、接触する。一眼レフを首に下げ、なんでいるのというような顔立ちでいる星河さん。
「趣味を邪魔しないでもらえない?後もう少しで流星群が流れる」
「後もう少し待っててくれないか?」
「あぁなるほど。溺愛してる陽羽ちゃんがいるからってことか。本当に守城大学に通わせる気?」
「凛太郎さんの指示だからな。大学に入ったら星河さんが見てあげろよ。陽羽が高校卒業した後、本職に戻って捜査することになってる」
星河さんはまだ納得していなくとも、こう見えて立派な特殊捜査課の一人で、大学の教授として学園内を俺より調査してもらっていた。一眼レフを常につけているわけも捜査の写真を撮りまくっている。
「十年前に起きた事故が、守城学園に内部犯がいるのは確実。余はそれで忙しいというのに、お守り担当までやらせる気?」
きっぱり言う星河さんであり、お守り担当とか言うなって思うも、星河さんはこう見えて人と喋るのが大の苦手で、コミュ障なわけである。しかし教授としての姿は俺たちも驚くぐらい講義をしっかりするからな。
それくらい喋れるなら、普段も喋ってもらいたいものの、オンオフとしっかりしていて、プライベードには踏み込まれたくないんだそう。
けれど陽羽に何かが起きたら大事になることは、星河さんも知っていることだ。だから星河さんに頼む。
「凛太郎さんの指示だから頼む。それまでは俺がしっかり陽羽を守っていくから」
「余のやり方に口出しはしないなら、陽羽ちゃんのお守り引き受ける」
「星河さんのやり方でいい」
それならと言い、星河さんは星を撮りに行ってしまわれ、遭遇しないことを祈るしかないと、車に戻って二人を待った。
◇
陽羽ちゃんは車の中で寝てしまい、疲れさせちゃったよねと、僕の肩に寄りかかって寝ている陽羽ちゃんを見ていた。すると伊宮先生に、なぜかお礼を言われる。
「ありがとな、南雲。南雲に声かけられた辺りから、陽羽がキラキラと輝いてたからさ」
「そうなんですね。伊宮先生、今まで朝峰さんを避けていたこと、本当にごめんなさい」
「陽羽にちゃんと謝ったんだし、俺に謝罪は不要だ。これからは何かと陽羽のこと頼んじゃいそうだけど」
「正式に付き合うことになったので、伊宮先生が心配することはないです。陽羽ちゃんは僕が絶対に守りますので」
それはよかったと僕の家に到着して、荷物をとり、陽羽ちゃんに触れた後、車から降りた。
「今日はありがとうございました」
「こっちこそ、ありがとな。陽羽には伝えておくから」
お願いします、おやすみなさいと伝え、おやすみと伊宮先生は陽羽ちゃんを乗せ、陽羽ちゃんの自宅へと向かう。ただいまと扉を開けるとパンッと叩く音が聞こえ、リビングへと入った。
そこには昼奈を護る義理父で、母さんは呼吸を浅くして、怒りが爆発したんだと理解する。義理父のほおには母さんの平手打ちを食らったようで、そばに寄った。
すると母さんは、僕に手を挙げようとして、義理父が庇ってくれたのだ。
「どいつもこいつも、なんで私を必要としないの!」
「真昼、昼奈と一緒に部屋にいなさい。俺がいいと言うまで部屋から出るな。いいな?」
僕と昼奈の頭を撫でた義理父であり、昼奈を立たせて、昼奈の部屋で待つことに。昼奈はあまりのショックで寝てしまい、しばらくして昼奈の父親が入ってくる。
「母さんは?」
「落ち着いたが、親権を俺に移すよう伝えた。真昼も辛かっただろう」
「平気です。僕はこのまま母といるつもりなので、昼奈の親権を修さんにしてください。そうしないといずれ母が何をしでかすかわからないものなんで」
「本当にいいのか?母親に虐待を受けるかもしれないんだぞ。真昼のことも俺は息子としてちゃんと見ていたつもりだ。それに俺の妻も真昼を受け入れてくれている。何か不満なことがあるなら、言ってくれ」
本当にこの人は優しすぎて、こういう父親に恵まれたかったと、何度も思う。昼奈の父親はIT企業を経営している社長でもあり、裕福な生活を送れるのは確かなことだ。
正直言うと昼奈はこの人の愛人の娘ということで、いつかは半グレ娘にならないでほしい。それでも修さんの奥さんは子供が作れないから、昼奈を引き取ることを決めたんだそう。それで母さんから奪おうとするから、母さんは手を挙げてしまったということ。僕は無関係だし、血が繋がっていない以上、僕はここに残るべき。
「昼奈のこと頼みます。それと今まで学費を払ってくれた分は、ちゃんと返します。バイトでコツコツ貯めていたものが確か」
母さんに見つからないような場所に保管しておいた箱を開けたけれど、数百円しか残っていなかった。母さんが新品のブランド品などあったのって僕のお金でと固まってしまう。
悔しいと唇をかみしめていたら、昼奈の父親は僕の頭を撫で、僕に言ってくれた言葉。
「天美が使った分は真昼の口座に入れておく。もし困り事があったらいつでも言いに来なさい。俺はいつでも真昼の味方でいるからな」
「ありがとうございます」
後日、昼奈は僕の家から去り、昼奈の父親に引き取られた。




