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64羽

 まるに車を出してもらい、指定された場所へと向かってもらっていた。Wizuteriaに正体がばれたのか、それともシルバーウルフの構成員であることがばれたのかは不明だ。

 冬季が無事でいてほしいとただ願うしかなく、昼秋もこのことを知って向かってくれているか。


「まる、もっとスピード出せ」

「スピード違反で捕まりますや。ほんまに気づかれたと思います?」

「まだ判断しにくいが、あの傷の深さはかなり重症だ。できるだけ急げ」


 霜谷冬季という名は偽名でやつがれの親父が与えた名だ。本名は星霜冬月せいそうふづきで陽羽の兄であり、両親は陽羽が危険にならないようにと、鈴鳩児童保護施設に預けた。

 しかしそれが裏目となり、両親が殺害された日、冬月はベッドの下に隠れていたのをやつがれが見つけ、シルバーウルフが保護。陽羽が心配だと数日は情緒不安定だったが、陽羽は警察官の夫婦が引き取ったことで一安心したそうだ。


 そしていつかあのお方に近づくために、シルバーウルフの構成員と動きつつ、Wizuteriaがマネージャーを募集していることで、冬月は見事マネージャーになり、藤太郎の会話を聞いていた。

 そこで陽羽の存在を知り、今度は自分で守れる存在でありたいということで打ち明けてもらった結果だ。


 指定された廃工場に到着し、まると一緒に廃工場の中へと入った。冬月はどこにいると探していたら、ぞろぞろとヴァイオレットが姿を現す。

 やつがれとまるは背中を預け、動き出すヴァイオレットを倒していく。口笛を吹き成犬の愛犬たちを呼ぶと何人かを噛みついてくれた。


やつがれの仲間はどこにいる?」


 教えるわけないとせせ笑い、その顔を殴り飛ばしていると、藤太郎の笑い声が聞こえる。聞こえる方角に進みつつ、ヴァイオレットを倒して行ってみた。

 藤太郎はソファーでくつろいでいて、縛られている冬月の耳にはヘッドホンがついており耳から多少血が出ている。今すぐ止めなければと、冬月についているヘッドホンを取ろうとした。やつがれの前に純連と想がいて、邪魔しないでよと挑発する。


「今お仕置きタイムだから邪魔しないでもらえるかな?シルバーウルフのボス」

「前から気になってた。霜が何か企んでることぐらい」


 これ以上聴かせていたら、身体が持たない。まるに合図を送り、動こうとした時のことだ。窓が割れ乗り込んで来たのは、刑事の伊宮と見覚えのある女刑事。


「やっと来た。待ってたよ、シャド」


 シャドを引き受けた奴が刑事がようやくお出ましするとは思いもしなかった。てっきりシャドは伊宮透かと思えば、透はシャドって誰だと疑問形でいる。後ろにいた女刑事が銃を構え、伊宮透を打とうとし、伊宮と叫ぼうとした時だ。

 それを止めに入ったのは真昼。あれほどついてくるなと伝えていたのに、昼秋に見られたら完全に怒られそうだな。


「透先生を打たせないよ」

「子供が来る場所じゃありませんよ、真昼くん」


 シャドは止められた銃を捨て、足元につけていたナイフで真昼を刺そうとし、そこはまるが止めに入ってもらう。


「やるねえ、眼鏡さん」

「某は影山迅や。まさか巡査の刑事がシャドとは、警察は何しとるねん」

「警察は扱いやすいので、好都合だったんですよ。それに陽羽ちゃんにはある写真を持たせたので、疑われるのは伊宮さんと伊宮さんのお兄さん」


 シャドはまるに任せて一刻も早く冬月を救わなければならないと真昼がやつがれのところに立ち、やつがれは純連を、真昼は想に攻めた。



 佐田が裏切りだったとは信じられなくて、固まっていたらボーカルの藤太郎が近づく。


「なんも知らないのは透だけかな。玲から何も聞かされてなさそうだし。あぁなりたくなかったら、迂生についてよ」


 見せられたのは拘束されている人がヘッドホンをして耳から血が出ていた。何してやがるんだよと藤太郎の服を鷲掴みするも、冷静とした笑みを浮かべている。


「やだなー乱暴な人。陽っちゃんに、透の正体、教えたらショック受けるかな。今ここで連絡してみよう」

「お前は何がしたいんだよ。このこと業界に知れ渡ったら」

「そんなことは起きないように、あのお方が仕組んでくれてる。だから迂生たちはやりたいことをただやってるだけだよ」


 俺の腕を払い、拘束されている人の上に足をつけ揺らしながら、俺に言う。


「陽っちゃんがさ、どこまで覚えてるかは知らないけど、陽っちゃんの両親はね、ある事件を起こした。まああのお方の命で動いてたっぽいけど、これ以上できないって言われて、あのお方に消された。その事件はなんだと思う?」


 耳を傾けるなとシルバーウルフのボスが叫ぶも、藤太郎は転がすのをやめて俺に発した言葉。


「透と玲の両親を殺した犯人だよ」


 聞きたくはなかった言葉だった。どれだけ探しても見つけられなかったのは、俺が見つける可能性があると思っていたからだ。俺が探し求めていた資料。

 陽羽を恨むつもりはないが、凛太郎さんは陽羽の存在を知りながら育てていたってことか。


「陽っちゃんのこと憎い?だってさ、陽っちゃんが産まれるまでのうのうと暮らしていたんだよ」

「陽羽を恨むつもりも憎むつもりもない。陽羽はその存在を知らないはずだ」

「ふうん。じゃあこいつはどう思う?」


 どう思うってどういうことだと思考を膨らませていたら、ほら見てあげてよとそいつの顔立ちをみた。陽羽の目とそっくりでまさかと固まる。

 藤太郎がくすくす笑いながら、陽っちゃんのお兄さんだよと言い出した。


「前々からこの目どっかで見たことあるなーって思ってたらピンと来ちゃった。陽っちゃんを囮にした時に二人揃って同じ目で、あっ兄妹なんだって純連が教えてくれたの。だからたっぷりお仕置き中なんだよ」


 Wizuteriaの曲が漏れており、今はとにかく陽羽の兄だという人を救わなければならない。藤太郎と声をかけ何と笑顔で振り向く藤太郎の顔面を殴ろうとした。そしたらそれを止めたのは催花の彼氏、岩渕賢介だ。

 

「催花がこのこと知ったら」

「もうすでに知ってもらってる」


 力強くて拳を下ろし、藤太郎には近づかせないってわけか。


「藤太郎、それ以上やったら陽っちゃんが泣くからやめておけ。さっき鶫から連絡を受けて、陽っちゃんは知ったらしい」

「えぇ。迂生たちを裏切ったやつ、ほっとけないよ」

「陽っちゃんのためだ。陽っちゃんは会いたがってる。音楽を止めろ」

 

 藤太郎は納得していなくとも、スマホをいじって音楽の音が聴こえなくなり、ヘッドホンを外すと耳から多少血が出てしまっている。そこをハンカチで抑える岩渕賢介であって、藤太郎は不貞腐ながらソファーに座った。


「岩ちゃんは本当に優しいよね。そう言えば、陽っちゃんの幼馴染どうなってんの?」

「さあな。水死でもしてるんじゃないか」

「夜一がこっちに来てないってことは、大事な人を助けに行ったんだ」


 どう言うことだと混乱していると、千花ちゃんからだと藤太郎が言うもので、固まっていたら何かを感じ後ろにいたヴァイオレットを倒す。


「あー残念。夜一の大事な人は助かったみたい」


 まさか紗良と翠までもが巻き込まれていたとなれば、陽羽のダメージが強すぎる。真昼たちも苦戦していて、俺はどうすりゃあいいと悩んでいると、誰かが駆け寄ってくる足音が聞こえた。しかも複数人。


「意外と早いお出まし。岩ちゃん」

「分かってる。純連、想」


 二人に合図を送る岩渕賢介であって、何をする気だと様子を見ていたら、純連と想の位置に部下がシルバーウルフのボスと真昼を止める。

 そして純連と想が藤太郎のそばへとより、藤太郎は立ってそれじゃあ待ったねと逃げようとするから止めに入りたかった。しかし俺を止めたのは佐田であって行かせませんよと言われる。

 するとやって来たのは真昼の父親、昼秋とくれのに飯塚叶恵だった。


「間に合わなかったか…。くれの、叶恵、冬月の手当を。賢介」

「昼秋さん、これ以上は庇いきれないから。しばらくは鶫の飛行船で休ませたほうがいいかもしれない」

「そうさせてもらう」


 岩渕賢介は二人に任せて、藤太郎たちを追いかけて行き、佐田はまだ残るようだ。


「久しぶりですね、昼秋さん」

「まさか警察官になっているとは思わなかったよ。もしかして僕の影響かい?」

「そんなところです」

「雪昼、これ以上争っても意味がない。撤退しよう。流葉、君は引き続き刑事としてやっていくのかい?」


 いえと佐田は言い、シャドと呼ばれている以上、警察官としてはここまでのようだな。佐田はそれではと俺たちにお辞儀をした後、消えていった。



 千夏に教えてもらった情報を頼りに到着して、ここにヴァイオレットの手下がいるとは思わなかった。組員を連れてヴァイオレットを倒して行き、その先に行くも鍵がかかっている。

 扉をぶち壊したくても頑丈すぎて、早く助けなければ紗良先輩が危険になってしまう。開いてと体当たりをしていたら坊ちゃんと烏丸が傷を負いながら体当たりをしてくれたことで扉が壊れた。

 地下に入り水が溢れていて紗良先輩を救出し、烏丸は翠を救出してくれる。組員に救急車を呼んでもらい、結構水吸っちゃったかもしれない。


 応急処置をしようとしたら、昏籐組の蓮見玲とその部下が来て、どけと応急処置をしていく。生きてるよねと不安を抱きながら、待っていると先に水を吐いたのは翠だった。その次に紗良先輩が水を吐き出し、ひとまず安堵を感じ地べたに座り込む。


「紗良、翠くん、大丈夫か?」


 二人は頷いて陽羽はと同時に言っていて、陽羽先輩は家にいると蓮見玲が言っていた。よかったけど引っかかるのがシルバーウルフのボスが暴走したということだ。


 救急車が到着し、一度紗良先輩と翠は病院に搬送され、蓮見玲がこっちを向き、なんでいやがるというような目つきだった。そりゃあそうだよね。俺様のことを知ってるのは、氷雨のおじさんだけだから。

 

「俺様は親父から逃げてるだけだよ」

「こうなったのはお前のせいなんじゃねえのかよ?」


 言い返せなかった。なぜなら俺様が大事にしてるのは紗良先輩だもん。俺様があの人を裏切る行為をした場合、今のようになることは頭に入っていた。

 これ以上、紗良先輩を危険に晒すつもりはないから、やっぱり帰るしかない。これでいいのかなと考えていたら俺様のスマホが鳴っていて、誰かと思えば陽羽先輩からだ。


「陽羽先輩?」

『やあ夜一』

「鶫?なんで陽羽先輩のスマホで」


 貸してもらっているだけさと言われ、隣に陽羽先輩がいるのだろう。


「それで俺様になんのよう?」

『家に帰るなということだ。すでにあのお方は夜一を裏切り者として見ている。そこでだ。我が輩、つまり昼秋の元で動かないかい?』

「真昼先輩の父親と?」


 そうだと言われ、真昼先輩の父親がそう言うならお邪魔してもよさそうかな。


「分かった。場所教えて。そこに向かう」


 待っているよと切られ、蓮見玲に告げる。


「これ以上、紗良先輩には近づかないよ。そうすればあの人は手を出さないだろうし。言っておいて。俺様のせいで巻き込ませてごめんって」


 蓮見玲に話していると誰かのスマホが鳴り、蓮見玲のスマホが鳴っていたようだ。蓮見玲は耳にスマホをあて状況を確認しているようだけれど、段々と青ざめていき小さく分かったと告ぐ。


「なんかあったの?」

「お前には関係ない。お前ら行くぞ」


 舎弟を連れて行こうとする蓮見玲で、ちょっと待ってと蓮見玲の腕を掴む。


「何かあったんでしょ?もしかしたら協力できるかもしれない」

「お前に頼る気はない。さっさとお前は帰れ」

「もしかして黎明が関係してんの?」


 それを聞くと再度、お前に頼る気はないとはっきり言われ、手を振り払われてしまい、行ってしまった。黎明はてっきり俺様の前に現れると思ってたけど違ったようだ。


「烏丸」


 はいとノートパソコンを渡してくれて、闇サイトを開き、そこに何かが写っているかもしれない。調べていくと一件、依頼が存在し、昏籐組の娘を拉致せよという依頼が存在した。

 すでに実行されていることがはっきりし、その裏を探ってみる。やってみるとヴァイオレットの仕業だと確認が取れた。


 蓮見玲に告げても難しそうだし、一応夕哉には伝えとくかと、スクショして夕哉に送っといた。



 お母さんと鶫が話し合った後、私は鶫が住んでいる飛行船へと向かっていた。これ以上、家族や友人が危険に晒されないように、私は鶫の飛行船でしばらく身を潜める形にする。

 藤ちゃんには一応、しばらく旅立ってますとだけ送り、追跡されないようスマホは家に置いて来た。それにまだ整理がついていなかったから、ちょうどいいのかもしれない。 


 係留場に到着し、受付でどれくらい飛ぶのかをスタッフに伝え、飛ぶための準備をしてもらうことに。私と鶫は中で待機をし、再びここを訪れるとは思わなかったなとソファーに座った。

 何か飲むかいと聞かれアイスティーと伝え、ローテーブルに置いてあった雑誌をみる。海外で売られている雑誌で英語はちょっと読めないと写真だけ見ていたら、真昼くんの声が聞こえた。


 ついリビングから出て真昼くんの声が聞こえる方角の廊下を見ていたら、なんと真昼くんと真昼くんのお父さんが歩いている。つい真昼くんと声をかけると真昼くんは立ち止まってどうしてというような顔立ちだった。


「陽羽ちゃん、なんでここに?」

「さては鶫に真実を聞かされたみたいだね」


 真昼くんのお父さんは気づいていたらしく頷き、ようこそ我がアジトへと歓迎される。ここがアジトなんですかとびっくりしちゃうくらいだった。そして雪が誰かを背負いつつ、大丈夫っすかとまるさんが心配している。


「お兄ちゃん?」

「そうだよ。部屋に運んでもらうから、一緒に行こうか。真昼は鶫に話してきて」


 はいと真昼くんは鶫がいるリビングへと入って行き、雪とまるさんは私がいることに驚いているも、一室に寝かせた。両耳にはガーゼがついており血が染み付いている。それに身体にも包帯が巻かれてあり、その傷は私が見た傷なんだろうと感じた。


「お兄ちゃん…」

「陽羽ちゃん、言い難いことだけど、藤太郎たちが陽羽ちゃんのお兄さんを痛めつけた。それでも藤太郎と付き合うつもり?」

「…いえ。あの時は場の空気に飲み込まれただけです。ただ私は今、脅されてます」

「誰にだ?」


 雪に言われ私は純連さんからですと三人に告げたら、やはり動いたかと雪と真昼くんのお父さんが言う。


「あいつは昔から父親に指導されていることは知っていた」

「父親が逮捕された前に、純連は児童保護施設に保護された。まさか父親の後を継いでここまでやるとは思わなかったけどね」


 純連さんがいくつの時に児童保護施設に入っていたのかはわからない。ただ純連さんは自ら紫蛇組の息子だから、俺からは逃げられないとさっき言われた。


「あのお聞きしたいことがあって」

「なんだ?」

「私の両親について」


 それを聞くと二人は少々迷っている様子で、まだ言えないことなんだろうと感じる。言えないのなら大丈夫ですと言おうとしたら、お兄ちゃんが目を覚ました。

 お兄ちゃんは周囲を確認して、雪と真昼くんのお父さんがいるから、起きあがろうとした。されど雪が止め今はゆっくり休めと伝えるとすみませんとお兄ちゃんは瞼を閉じる。


「まる、冬月のそばにいてやれ。陽羽、別室で話そうか」


 本当はお兄ちゃんのそばにいたくとも、お兄ちゃんの睡眠を邪魔したくなく、別室で話すことになった。と言ってもリビングに戻り、鶫と真昼くんもそばにいてくれて、星霜家について雪が話してくれた。

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