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63羽

 陽空がしっかりと寝てもらったのを確認して、あんまり恐怖は与えたくなかった。黎明ストップだとがくの両目を潰そうとしていて、やめさせる。破島は陽空を抱っこして、陽空の部屋へと行ってもらい指を鳴らす。

 がくはもう近づかないと言いながら下がっていくも、逃しはしない。


「珍しいじゃん。なんでそんなに怒ってんの?」

「黎明に言うつもりはねえよ。誰の命令で組長おやじを暗殺しようとした?」

「あの人だよ。みんなが恐れているあの人からもらった。まあ失敗しても構わないって言われてるからいいんだけどね」

「紫蛇組長を外に出したのも、その人の命令だよな?」


 違うよーと勝手に机に置かれてあるお菓子を頬なりながら、情報をくれる。


「僕ちんはただシルバーウルフのボスに頼まれて、なんで容疑を認めたのか聞き出してほしいって言われてたんだ。ついでだから出してあげるーってシャドが脱獄の手助けをしてくれたの」


 シャドが一体誰なのか俺たちにはまだ情報が掴めていなかった。


「黎明、そのシャドって一体何者なんだよ」

「それは言えないよ。言ったら僕ちん、殺されちゃうもん。。だから言ーわない。がくは喋れるんじゃない?」

「言えるわけなかろう!破島なら何か掴んでいるのではないのか?」


 そこに陽空を寝かせて来た破島が戻って来て、お前が吐けとがくに言う。


「さっさと喋らないと、陽空たちのお袋が戻ってくる。今すぐ吐け」


 がくは口籠もりそう簡単には話してはくれそうにないな。だったらとがくの肩を掴み、やろうとした時のことだ。ただいまーと陽羽の声が聞こえ、やべえと黎明とがくを隠し破島と談笑している風にソファーでくつろぐ。

 誰かいるのとリビングに入って来て、この状況まずいと焦る。


「夕哉さん?破島さん、こんにちは。お母さんは?」

「料理教室に行っている」

「そうですか。ちょうどよかった。夕哉さんのお店に行こうと思ってたところだったの」


 陽羽が俺の隣に座り、ふんわりとラベンダーの香水が漂った。陽羽は鞄から藤色の封筒を俺にくれる。何かとてつもないことが書かれてあるんじゃないかと思いながらも封を開けた。

 そこに写っていたのは玲と透の幼き頃の写真に写っていた人物は、正真正銘、鯨波流史郎。


「これって誰からもらった?」

「賢介さん。私も最初、びっくりしちゃって。でも…ちょっと待ってて」


 そう言って陽羽は自分の部屋へと入って行き、なぜよりによってこのスリーショットが存在するんだ。一応破島にも見せるとなるほどなと深いため息を出し、いつの間にか隠れていた二人がその写真を見た。


「透が逃してくれるとは思わなかったよ。でも僕ちんを逃がしてくれたのは別の人だった。透の指示だから逃すってね」

「我も疑った。透は犯罪に手を染めるような奴ではないと」


 陽羽がそれを知ったら相当ショックを受けるはずだ。それなのになんであんな冷静でいられるのか。四人でその写真を眺めていたら、お待たせと陽羽が戻って来てしまう。

 それでも陽羽はがくと黎明を見るも、スルーして俺の隣に座った。まるで何も見ていないというような顔立ちで、黎明は笑いを必死に堪え、がくは私だぞと小声で陽羽に言うも完全とスルーしている。

 卒アルを持って来たらしく、あるページを見せてくれて、ここよく見てと言われた。よーく見るとそこに写っていたのは学生時代の透。


「本人に聞いても、その日は行事でたまたま写ったんだよって言われてそのままにしてたの」

「あんま、その行事覚えてねえけど、隠れんぼには参加してたな」

「私も参加してたってくれのさんが教えてくれたの。あっ透の元カノさんに教えてもらって」


 透に元カノはいたのは分かっていたが、なぜ陽羽がそのことを知っているんだ。そうか、以前鶫の飛行船で会ってるんだっけ。ただ透と玲の両親は随分前に亡くなっているんだよな。

 何か見落としている部分があるのかと考えていたら、そう言えば漆月がくれた資料に何か記されてるかもしれない。そう思い光太に連絡をする。すぐに光太がどうされましたとすぐ応答してくれた。


『光太、漆月がくれた資料って持ってるか?至急、確認したいことがあって』


 そちらに向かいますと光太から返事をもらい、車で待機をしてもらっていたからインターホンが鳴る。念の為、破島に出てもらい、光太が礼儀正しくお邪魔しますと聞こえ、中に入ってきた。

 茶封筒から資料を取り出し、一つずつ確認をしていると、ただいまと陽羽のお袋が帰って来てしまう。いいから二人とも隠れてろとは言えず、陽羽のお袋はリビングに入った途端、鞄を落とし数秒固まってしまった。


 黎明がこんにちはと笑顔で挨拶するから、陽羽のお袋が叫ぶ前に破島が気絶させる。なんか申し訳ないと思ってしまうも、一件一件調べていくと、引っかかる一家を発見した。それを破島たちに見せる。


士柳しゆ家殺人事件。どの資料も犯行が全く同じ手口で、凶器はいつも被害者の胸に刺さった状態。成人している子供たちは殺害されているが、未成年の子はいずれも行方不明となってる」

「士柳家殺人事件は二十五年前。透が二、三歳ぐらいに起きた事件ってことだよね」

「親父と玲を引き取った時期って確か…」

「玲が七、八ぐらいの時だ。その当時はまだ我が逮捕される前の話になる」


 そういや、二人を引き取った訳を親父から聞いたことがなかったな。


「陽羽、ペンと紙貸してくれるか?」


 うんと受話器のそばにあるメモとペンを貸してくれて、アルファベットで透が使っている名字と玲が使用している名字を書いていく。そして同じ文字は消していき、並べ替えるとやっぱり士柳となる。

 透が組を抜けた本当の理由は陽羽を守りためではなく、何かを入手するために動いていたでいいのだろうか。

 とにかくこれは親父に報告するしかねえな。


「ねえねえ、陽羽ちゃん」

「なんですか?黎明さん」

「なんでそんなに僕ちんたちのこと驚かないのかなって」


 今それ聞くかと資料を片付けていたら、陽羽がこんなことを言い出した。


「純連さんに言われたんです。家にきっと、お姉ちゃんを犯した犯人と、お姉ちゃんを打った犯人がいるかもしれない。いたとしてもスルーしてあげてって」

「いや、普通通報するだろ」

「もちろんしたい。ただ黎明さんはあのお方に守られている以上、通報しても無意味だって。まあがくに関しては野放しにしてもいいし、通報しても大丈夫と言ってた」


 あのお方ってつまり鯨波流史郎に黎明は守られているってことか。がくは相当ショックを受けていて、完全に見放されたなと再確認が取れた。

 ひとまず逃げたがくだけを警察に引き渡す方向性で考えていると、陽羽が付け足す。


「ニュースに流れているのは、黎明さんともう一人の囚人の名前だけ載ってて、がくの名前がなかった」

「そう言えばなかったな。黎明と紫蛇組長の名前しか」

「はい。そうさせたのはがくは時期に制裁が下されるから、逃げても再逮捕されても無意味だからと」


 制裁という言葉にがくの顔色が青くなって、俺にしがみつこうとしたところ光太が抑える。


「若頭に縋っても無駄ですよ」

「光太、やめておけ。どの道、がくを匿う必要もねえし、面会時に行ったこと守ってくれさえすれば」

「僕ちんは匿ってくれるの?」

「する訳ねえだろ。陽羽、一つ確認しておきたいんだけどいいか?」


 何と陽羽は俺の瞳を見つめ、ここで打ち明けるしかないと言おうとした時のことだ。誰かのスマホが鳴り、俺や破島のスマホでもなく、がくが手にしていたスマホでもない。考えられるのは陽羽で確認してもらうと、藤ちゃんからだとスピーカーにして応答する。


「藤ちゃん、どうしたの?」

『そこに黎明いるよね?』

「いるよ」

『黎明にこう伝えといて。玲の大事なものは預かった。返してほしければ、すぐにこちら側に戻って来いって。詳細は迂生、わからないけどそういうことだからよろしくね』


 ブチッと切られてしまい、玲の大事なものって姉貴じゃねえかよ。黎明はあちゃと声を漏らしていた。


「黎明」


 黎明は諦めていた表情をしながら、俺たちに教えてくれる。


「僕ちん、実はさ一つ言ってなかったことがあるんだ。それはね、僕ちんもあのお方の子供みたいなもんなんだよ」

「じゃあ」

「僕ちんも事件に巻き込まれた一人であのお方に誘拐されて育った。一時期、昏籐家に預かってもらっていたのは、僕ちんを守ろうとした人たちなんだ。でも結局、お仕置きとしてレッドクレインに指導を受けても、僕ちんを逃がそうとしてくれてた。その結果、二人は死んじゃったけどね」


 ここで黎明もその事件に巻き込まれていただなんて思いもしなかったことだ。黎明は隣に座り込んでいるがくを見て、今でも殺したいという瞳をしている。


「夕坊がやっていいよって言ってくれると思ったけど、夕坊はやっぱり優しいね。こんな奴でも殺さずにいるんだもん。手遅れになる前に、陽羽ちゃんに伝えるんだよ。じゃっお邪魔しましたー」


 おいっと捕まえようとしたが、破島に止められ、止めても無駄だと言われてしまう。


 陽羽の母さんが起きそうになり、破島はがくを連れて家を出てもらった。ゆっくり起き始める陽羽のお母さんで、俺も退散したほうがよさそうかなと立ち上がる。


「待ちなさい、夕哉くん」


 そうもいかないかと再び座り、説明しなさいと言われるのかと思えば違うことを言われる。


「陽羽、上に行ってなさい」


 陽羽は一緒にいたいんだろうが、リビングから離れてもらい、陽羽のお母さんは棚からあるものを俺に見せてくれた。手帳らしく見てみると、そこにはとんでもないことが記されていて、つい陽羽の母さんを見ちまう。


「これって…」

「それは私がまだ警察にいた時期の手帳よ。次々と未成年の子供たちが行方不明になって、交番にもよくそういう問い合わせがあってね」

「この事件ですか」


 茶封筒にしまっていた資料を渡し見てもらうと、そうよと教えてくれる。


「鈴鳩一家殺人事件が起きてから、多発に起きた事件。どれも子供たちの両親は里親でもあったの。そして調べていくうちに、その子供たちが鈴鳩児童保護施設にいた子たちでね」

「藤太郎たちも鈴鳩児童保護施設とお聞きしてますが」

「私も目を疑ったわ。凛さんはその事件を再捜査できるよう手配はしていたらしいのだけれど、上から指示を受けた代わりに、夕哉くんと陽羽が巻き込まれた事故に関して調べるよう命じられたそうなの」


 そういうことだったのかと理解し、ただ身内が捜査することはできないんじゃなかったっか。それでも上の指示だから今に至っているってことになる。


「調べていくうちに一つに繋がっていることがわかった。鈴鳩家はあの人の従兄弟関係にあったそうなの」


 衝撃なことでつまり玲も透も一度は鈴鳩児童保護施設にいただなんて言葉が出なかった。


「私の憶測でしかないのだけれど、鈴鳩児童保護施設の裏には何かが存在した。それが公になりそうだったところ、あのような事件が起きたんじゃないのかしら。凛さんはその裏を探ろうとしてる」

「玲を観察してほしいってことですか?」

「えぇ。何かがわかるかもしれない」


 玲を疑いたくはないが透が三人の脱獄の手助けをしたのは間違いはないんだろう。


「わかりました。ただ俺は玲と透が殺めることはしないことを信じていることは伝えといてください」


 伝えとくわと陽羽の母さんが言い、それではと俺は光太と一緒に、親父の元へと戻った。



 夕哉さんが帰って行くのが見え、お母さんが降りて来なさいと言われたから降りた。お母さんは全て見抜かれているような雰囲気で、リビングに入る。


「お母さん」

「陽羽、どこまで思い出したのかしら?お父さんに言っていないことがあるわよね?」


 まだお父さんに言えていなかったことが存在していて、これを言ったら鯨波流史郎に消されるかもしれない。だからこう言うしかなかった。


「何も隠してなんてないよ。お父さんにはちゃんと話してあるし、私はお姉ちゃんのように勝手にいなくならない」

「本当にそうかしら?私も以前やっていた職はあなたたちのお父さんと同類、警察官だった。嘘ぐらい見抜けるわよ、陽空」


 姉はどの辺りから聞いていたのかは不明であっても、起きて話を聞いていたんだろう。姉は私の隣に座って伝える。


「お母さんが出かけている間に、あの人と接触した」


 姉は後悔している瞳をしていたとしても、起きてしまったことは後悔はしていないようだった。なぜならそこには姉が一度、バイトをしたという店長が焼死で発見されたのだから。

 お母さんはダメージをもらっているようにも見えるも、あの人とどんなことを話したのと姉に聞く。姉は少し悩んでいるも包み隠さず、話してくれた。



 アポを取ってくれた淡と一緒に、指定された場所へと行ってみた。そこは陽羽とはぐれてしまった倉庫で、シルバーウルフとレッドクレインが取引をしていた場所となる。あの人に情報を流したとて、陽羽は永遠に狙われるのは確実だった。

 

「陽空、油断はするなよ」

「うん。油断はしない。ただ淡、少し怖い。あたしもいつかはあの人によって、殺されるんじゃないかって」

「そうはさせない。そうなりかけた時、我が陽空を守り抜く。安心しろ」


 詐欺師である淡の言葉は信じていいのか、時々迷うこともあるけれど、ここまで支えてくれたのは淡。ありがとと言いながら景色を眺め数分後、倉庫に到着し、淡が倉庫のシャッターを開けるもまだ来ていないようだった。

 ここに来るんだよねと淡と待っていたら、高級車の車が到着し出てくる。


「あれが鯨波流史郎だ」


 淡が教えてくれてあの人が鯨波流史郎であり、その後ろを歩く人は夜瀬組の組長だった。


「会えて光栄だ。新レッドクレインの長、陽空」


 あたしの手をとりその手にキスをする鯨波流史郎で、全身が身震いする。その震えが伝わってしまったのか、その手を引き寄せられ、杖の持ち手で頬を叩かれた。


「勘違いはするな?お前の妹を助けてほしいと弱音を吐いたとしても、陽羽は会ったときからすでにこちら側の人間だ。それで情報というのはなんだ?」

「鈴鳩児童保護施設にいた子たちについて。あたしを打った黎明も、お父さんの部下、それからWizuteriaが鈴鳩児童保護施設で育ち、里親と過ごしていた。明かされていない鈴鳩一家殺人事件には陽羽が絡んでる」

「なぜそう言い切れる?」

「陽羽はお父さんとお母さんの子じゃない。陽羽は赤子の時、鈴鳩児童保護施設に保護された。記録も存在してる。陽羽はあなたが探し続けていた子。違う?」


 鯨波は顔色を変えずとも、そうだと言っているような顔立ちで、破島がDNA鑑定の書類を見せる。それは陽羽とお父さん、そしてお母さんのDNA鑑定で一致しないことが明らかになっているもの。

 気づきもしなかったけれど、陽羽の顔立ちはお父さん似でも、お母さん似でもない。赤の他人の子なんだって知った時、あたしは正直ショックだった。なぜ言ってくれなかったんだろうかって。


「陽羽が狙われたのは警察官の娘ではなく、陽羽の父親が犯罪組織だから狙われたんじゃないんですか?」


 黙秘し続けるってことは、陽羽はあなたの娘だということでいいんだよね。そう考えていると杖を下ろしあたしの手を話して、不正解だと笑い出す。


「確かに陽羽はあの施設にいたのは間違いはない。ただ私は娘などいない。いるのは藤太郎のみ」

「ならどうして」

「陽羽の両親は、私と取引をしていたにも関わらず、裏切られた。排除したが陽羽はすでに何者かによって越された。探して行くうちに、鈴鳩家を排除した矢先、陽羽がいたのは驚いた。私の手で育てたかったが、あいにく藤太郎の容態が良くなかったものでな。陽羽はあえて泳がせていたのだよ」


 陽羽の両親を排除するだなんて、最低な人だ。これを知ったら陽羽は心を痛めてしまいそうな気がする。


「陽羽に打ち明けるのもいいが、陽空、自覚はしているのだろう?ここに来たということは、お前は正式にレッドクレインとして動くことを」

「…逆らうつもりはない。あたしはもう部下に指示を与えて実行してもらったから」

「そうか。なら陽空、宗教を立ち上げろ。資金はこちら側が出す。もしがくをこき使いたいなら、使えばいい。すでに脱獄はしている」


 がくはそのまま牢獄にいればよかったのにと思っていても、レッドクレインがしていたことは正直頭に入っていなかった。


がくはこちらに任せてほしい」

「承知した。私の命令には歯向かうな。歯向かった場合、大きな制裁がくることを。行くぞ」


 少ししか話せなかったけれど、がくが来るのを待ったけれど、結局、がくにやられた行為を思い出してしまった。



 姉の言葉についていけず、私が朝峰家の子じゃないことに驚きが隠せなかった。お母さんは黙っていてごめんなさいというような目で私の手を握る。


「まだ出頭するつもりはないよ、お母さん。出頭しても釈放されるのがオチだから」

「お母さんは黙っててあげるけれど、このことはお父さんにちゃんと報告しなさい」

「はい」

「それから陽羽…」


 ごめんなさい、お母さんと私は家を飛び出して、まだ整理がつかなくて、公園まで走っていた。私は一体誰の子なのと公園に到着し、息を整える。

 なんでという言葉が頭の中をぐるぐる回って、私は一体誰の娘なのと体を縮こませた。涙が止まらないと涙を拭っていると、ハンカチを差し出す人がいる。

 

 誰と顔を上げたらそこには鶫が目の前にいて、相変わらずモノクロの服を着ていた。


「私っどうしたらっ」

「真実を知りたければ、まずその涙を止めよう。それから話す」


 鶫は何かを知っているようで、心を落ち着かせながら、鶫が貸してくれたハンカチで涙を拭う。自販機で紅茶をくれてそれを少し飲みながら、鶫がスマホを取り出してある写真を見せてくれた。

 夫婦に赤ちゃんが抱っこされている写真。


「この赤ん坊が陽羽だ。そしてこの夫婦が本当の陽羽の両親となる」

「どうやって入手したの?」

「あの人がもみ消したことを探るのには手間がかかったが、陽羽の両親は善良な人だったようだ。陽羽の本当の名は星霜春陽せいそうはるひ。そしてシルバーウルフの構成員である霜谷冬季は陽羽の実兄だ」

「霜谷さんが?」


 その通りとスライドして見せてくれたのは幼き頃の霜谷さんが赤子の頃の私を抱っこして笑っていた。


「なんで霜谷さん、兄だって教えてくれなかったんだろう…」

「陽羽の幸せを望んでいたからだろう。それともう一つ、その正体を知っているのはただ一人、雪のみだ。雪は陽羽のためにと冬季を匿い、守り続けていた。それを知られたことで今頃、雪は暴れている頃だろう」

「鶫、お願い!私をそこまで連れてって。まだ信じられないけどお兄ちゃんを助けに行きたい。さっき目の前で殺されかけたの」


 鶫の服を掴みおねだりをするもそれはできないと私の頬に触れる。


「雪に言われているのだよ、陽羽。陽羽は我が輩たちにとって唯一の希望の光。その光を失うわけにはいかないのだ」

「それでも」

「大丈夫。すでに昼秋たちがそっちへ向かっている。恐れることはない」


 本当に大丈夫なのか不安が大きいけれど、真昼くんのお父さんも行っているのなら私は待っていればいいんだよね。鶫はお兄ちゃんの無事が確認取れるまで、そばに寄り添ってくれた。

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