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52羽

 卒業式が終わって一週間が経ち、今日は緊張感が高ぶっていた。なぜなら今日は雪との会食で、お母さんに軽く髪の毛を編んで貰っている。どんな会食になるのだろうと髪の毛をセットしてもらい、後はお父さんの支度を待つだけ。


「陽羽、変なことは言わないようにね」

「気をつける。お母さん、私…」

「伝えたい気持ちはちゃんと伝えなさい」


 お母さんと話していたら、お父さんが降りて来て、雪に指定されたお店へと行くことになった。車を走らせて数分後にある高級店の中華屋さん。


「陽羽」

「何?」

「恐らくだが、周囲にシルバーウルフの構成員がいる可能性が高い。私から離れないように」

「はい、お父さん。真昼くんのお父さんと会ったら、どうするの?」


 お父さんはそうだなとハンドルを回しながら、普段通りに接するつもりだと回答した。何も起きなければいいなとスマホを確認してみると、夕哉さんからだ。

 

 親父さんから話は聞いたよ。気をつけてな。何かあればすぐ連絡くれ。


 ありがとう、夕哉さん、お仕事頑張ってねと送り、卒業式以来、私は夕哉さんからタメ口でいいよと言われたから、タメ口で話すようになった。

 頑張ると言うクマさんスタンプが来て、この会食が終わったら、夕哉さんとWizuteriaのライブ。楽しみすぎて眠れそうにないや。




 中華屋さんの付近にあるパーキングに停めて、車から降り歩く。緊張が増して行きながらも、中華屋さんの扉を開け、お父さんが店員に雪の名前を出すとこちらへと案内してくれる。

 完全個室となっており、その中へと入ってみたら、雪と真昼くん、そして真昼くんのお父さんであろう方が既にいらっしゃった。


「遅れてすまない」

やつがれたちも今来たところだ。座れ」


 空いている席に座り、乾杯をしようとグラスを手にし、大学おめでとうと乾杯をする。


やつがれが選んだ服はやはり似合っている。それとちゃんとつけてくれたのだな」

「洋服と色合いが似てたからだよ」


 そう言いながら目の前にあるエビチリを頬張り、そして真昼くんのお父さんが喋り出した。


「陽羽ちゃん、初めまして。僕は真昼の父、昼秋であり、凛太郎の同期。息子と付き合ってくれたこと感謝するよ」

「いえ。こちらこそありがとうございます」


 ちらっと真昼くんをみると私と目を合わせず、ほおだけが赤くなっている。沈黙になりそうと食べていると、お父さんが真昼くんのお父さんに聞き出す。


「昼秋、なぜ死んだことにしていたわけを教えてもらえないか?」

「そう焦らずゆっくり話そう。今日はめでたい日だ」


 真昼くんの父親は麻婆豆腐を小皿に入れ、それを頬張り雪は北京ダックを綺麗にカットして食べていた。真昼くんもお父さんも食べていく。

 私も食べていたら、雪から質問を受けた。


「リナムは元気にしてるか?」

「最近は寝てばかりで、そろそろかなっては気がする」

「人目会いたいものだ。行っても構わないか?」

「断る。お前を家に入れたら妻が激怒するからやめておけ。本日の会食もできればやめてほしかったと言っていたのだからな」


 私の前は言わないけど、お姉ちゃんのこともあって、よっぽど行ってほしくはなかったんだと理解する。そしたら真昼くんのお父さんがくすくす笑って想像できちゃうと言い出した。


「灯里、一度雪を捕らえたことがあったの思い出した。あれは確か真昼たちがまだ幼かった時期だっけ?」

「真昼と散歩してたら、偶然と陽羽と灯里を見つけて、やつがれのこと不審者と思って抑えられた。何度伝えても、誤解は解けなくて大騒ぎになっていたな」

「そうそう。僕が止めていなければ、雪昼は逮捕されてた」

「その節はすまなかったな」


 そんな一面あったっけと思い返しても、雪たちと会った記憶はあまり覚えてない。そしたら真昼くんのお父さんが笑いながら言い出す。


「陽羽ちゃんったら、その時、雪昼を庇ってくれたんだよ。白髪のお兄ちゃんは不審者じゃないって。そこで誤解が解かれて、灯里がもの凄く謝ってた」

「既にやつがれの正体に気づいているのなら、接触は控えたほうがよさそうだな」


 超絶恥ずかしいとお水を飲み干す。真昼くんは笑いを堪えるのを必死で、余計に恥ずかしさが増していた。


「真昼はその」

「父さん、やめてください」

「いいじゃないか。こんな可愛い記憶があったこと思い出してもらいたいぐらいだよ」


 どんな記憶なのと思ってしまうもお母さんに聞いたほうが一番早いのかな。するとお父さんが咳払いをして、その話は終わってしまった。


「さて、ある程度食べたことだ。凛太郎が聞きたかったことを教えてあげよう。あの日、僕は真昼と一緒に公園で遊んでいた。遊んでいる間に、気配を感じてね」

「なぜ撃たれようなことを?」

「狙いはもちろん僕の可愛い真昼。後継者を残さないためだと思っていた。僕の正体を知っているのはごく一部のみ。僕が交番勤務時に起きた事件。凛太郎は覚えてる?」


 お父さんは少し考え始め、真昼くんのお父さんが警官としてやっていたのはたったの一年。その年の事件はどんな事件だったのだろうと、雪が美味しいよと小籠包を私の小皿に置いてくれる。

 それを頬張りつつ、お父さんの言葉を待っていると、まさかとお父さんはとても驚いていた。


鈴鳩すずばと一家殺人事件のことか?」

「そう。その通り。隣人から通報を受け、現場へとすぐ向かった。それが罠だったとは知らず、あの人の近くに立つ奴に目をつけられ、僕が警察の情報を漏らしたと疑われた」

「そいつの名は?」

「シャドと呼ばれている男。鈴鳩家を殺したのもそいつ。ここまで来るのにも一苦労したよ。けどシャドは一昨年亡くなり、シャドという名は誰かに引き継がれている。その人物は誰なのかはまだ特定できていない」


 お父さんの部屋にある一冊の資料。鈴鳩一家殺人事件も確かあったはず。雪は何も言わないけど、シャドの正体知ってるんじゃないのと、雪の顔を見たらリスみたいに料理をいっぱい詰めてもぐもぐと食べていた。

 あれじゃあまともに喋れないかと思いつつ、真昼くんのお父さんは話を進めていく。


「真昼を殺そうとしたのも、陽羽ちゃんが事故に巻き込まれたのも、一つに繋がっていることもはっきりした。既に僕を殺したと発言した死刑囚は、シャドの命令で入ったとしか言いようがない」

「運転手が遺骨で見つかったのも?」

「いや、あれはシャドじゃない。あの人が直々に殺した。ただまだはっきりしていないことがある。あの人には子がいると噂が存在してる。息子なのか、娘なのかは情報がない。ここで一つ浮かび上がったのが、陽羽ちゃんだ」

「私ですか?」


 そうと真昼くんのお父さんは私の方に顔を向け、食べ切った雪が教えてくれた。


「あの人は、何度も陽羽と接触しているそうだ。ただ陽羽とすれ違っているだけで、喋ってはいない。ただ昔はよく話していたようだ」


 昔なら紗良や翠に聞いたほうがいいのかな。それともあの人という方の名前を教えてもらおうか、迷っていたらお父さんが教えてくれた。


鯨波流史郎くじらなみるしろうという人物だ。紗良ちゃんと翠くんと遊んでいた時に接触していた人物となる」


 信じられないことで、なぜ紗良と翠は私に教えてくれなかったんだろうか。もしかすると知らないうちに、鯨波流史郎という人の子と遊んでた時期があったとすれば。

 考えても紗良や翠、疾ちゃんと千ーちゃんと遊んだ思い出しか思い出せない。深く考えていると、ずっと黙っていた真昼くんがあることを言った。


「雪叔父さんは何度かお会いしてるんですよね?写真を見せれば何か思い出すんじゃないでしょうか?」

「写真は断るタイプだから写ってるか見てみる」


 雪はスマホを取り出して、写真を探してもらい、真昼くんのお父さんもあったかなと探してくれる。どんな人物なんだろうかと待ってみるも、写真に写ってないやと言われてしまった。

 以前、鶫が言っていた人もその人なんだと理解し、いつ鯨波さんが現れてもおかしくはない状況になる。


「まあとにかく、僕が提供できる情報はそれくらい。何かわかれば凛太郎にも話すつもりだから」

「一つ、確認なんだが、真昼くんの母親はどういう関係で知り合った?」

「それは教えることはできない。昼秋も言うんじゃない」

「シルバーウルフの掟だから言えないけれど、天美を守るために駆け落ちして日本に帰国したからね。今はシルバーウルフにお世話になってるけど」


 真昼くんのお母さんが心配になってくるも、真昼くんは安心しているようだから、大丈夫なのだろう。


「なら天美さんの姉である天音さんは?」

「天音はレッドクレインが引き取って、がくが生まれた。鶫は違う女の子どもだ。がくの父親から聞いた話では、天音は海星学園に通っていた。そこで知り合ったようだ」

「海星学園だと?」


 海星学園は紗良が通っていた海星学園であって、海星学園に何かがあるのかもしれないと感じてしまった。


「詳細はわからないが、レッドクレインはそことやり取りをしていることが多かったようだ」

「僕も亡き父から聞いたことはあった。それに海星学園は夜瀬組と言う組ともやり取りを行なっている。それがなんなのかは聞いたことがない。もし調査をするなら、顔がばれていない人を入れさせるのがベストだよ。海星学園の秘密を知ったものは、夜瀬組に排除されると噂程度だけど流れてる」


 実際にシルバーウルフにも潜入していることはさすがに言えない。紗良はよく漆月くんと一緒にいるけど、もし海星学園の秘密を探ろうとしちゃったら危険が生じる。

 それだけは一番に避けなくちゃならないから、なんとかして紗良が探らないよう手を打っておかなくちゃ。

 

「真昼、陽羽ちゃんを連れて離席してくれる?お父さん同士で話しておきたいことがあるから。いいよね?凛太郎」

「承知した。陽羽、何かあったら言いなさい」


 本当にいいのと思っていても、お父さん同士と言うことは雪も離席するということでいいんだよね。そう思っていると雪も立ち上がり、やっぱりそうなんだと私も席を立って、会食場から離れる。

 お客さんがいないから、こっそり真昼くんに聞いたところ、貸切にしたらしい。だから空いている部屋で待機することになった。雪はどこかに行ってくるらしく、二人きりとなったことで別れたことで気まずさがある。何を話そうと考えていたら、真昼くんが話を持ちかけてくれた。


「卒業式でサプライズに来てくれてたバンドの人たちなんだけど、どんな知り合いなの?」

「んーそれが思い出せなくて。しのふじは私のこと知ってる感じなんだよね」


 真昼くんは少々考え込み、いつもなら拗ねるのに真剣に考えている。店員さんが飲み物と杏仁豆腐を持ってきてくれて、それをいただく。

 食べていたら、真昼くんは飲み物を少し飲んで、私に言った。


「しのふじっていう奴は、陽羽ちゃんのこと陽っちゃんって言ってたから、きっとどこかで会ってるのは間違いはないと思う。写真とかはなかった?」

「全てのアルバム見返したけどしのふじと撮った写真はなかったよ。お姉ちゃんのアルバム見ても、しのふじとの関係はなかった」

「僕の方でも探り入れてみるね。だから気をつけて」

「気をつける。真昼くん、そう言えば昼奈ちゃん元気?」


 聞いてみると真昼くんは少し寂しそうな笑顔で、元気にしてるよと言われる。真昼くんが正式にシルバーウルフに入ったから、関係性は断ち切ったのかもしれないと感じてしまった。

 そうなると真昼くんはいま、一人暮らしをしているってことでいいんだよね。そう考えると真昼くんと別れなければ、真昼くんがあんな顔をしなくて済んだのかもしれない。


「真昼くん…」


 名前を呼ぶとつうっと涙を流して、あれっと涙を拭くから座っている真昼くんに抱きつく。そしたら真昼くんは僕のせいだと私の背中に手を回しぎゅっと服を強く掴んで少し泣いてしまった。

 事情は分からずとも、昼奈ちゃんと過ごせない状況まで陥ってしまったんだと理解する。そばにいたいのにいれないのが辛いよ。



 昼秋と凛太郎が話し合っている中、真昼の泣き声が聞こえ、駆けつけようと思ったが、陽羽が慰めているから安心だろう。二人の愛は決して壊れることはないと思いたい。

 されど陽羽が秘めている想いは別の人だということは、前々からわかっていた。真昼はわかっていたとしても、陽羽と別れた理由。それは可愛がっていた昼奈が狙われている以上、二人を守るためには別れるという選択を選んだ。


 いつまで持つかは不明だが、真昼をシルバーウルフに入れた訳は、あの人に殺させないためでもある。あの人は陽羽が全て記憶が戻ってしまったら、陽羽を暗殺するよう命じられていた。

 このまま記憶を戻さないままでいてほしいが、どのタイミングで陽羽が記憶を戻すかが肝心だ。


「まる、あの人から連絡は来たか?」

「来てへんけど、このままでえぇんか?」

「陽羽が記憶を戻したら、身代わりを利用し、陽羽は安全な場所で匿う。あの人に気づかれないように動け」

「わかってるさかい。ボス、Wizuteriaはどないするん?」


 Wizuteriaの正体を明かせるほどの情報はまだ入手できていないが、あの人が三人を芸能活動させているのは確かなこと。それが陽羽を暗殺するための駒なのか、それとも別の理由で動いているとなれば、こちらも先手を打つ必要がある。


「引き続き、三人のマネージャーにどんな動きをしているのか確認をとってくれ。それから岩渕賢介の情報は入手できたか?」

「調べはったやけど、ごく普通の一般人やったで」


 まるが常に持っているタブレットを見せてもらい、情報を見る限り裏情報がない。これは結構時間かかりそうだな。まるは以前、真昼たちがキャンプをしている際に、顔は見られているから近づくことは不可能。

 ここで新たな奴を近づかせることも可能だが、岩渕賢介のことをもう少し情報を得てからにするか。


「引き続き、岩渕賢介が何者なのか調査を頼む。それから例の件は順調か?」

「順調に取引は進んでいるようやで。後は夜瀬組がどう動くかや」


 夜瀬組の敷地に一度入り、夜瀬組の息子を確実に殺さなかったのは訳がある。それは陽羽の親友である文倉紗良が夜瀬組の息子と接触しているからだ。

 文倉紗良の父親が撲殺で殺された理由は、ただ一つ。知られたくはない情報を手にし、その人物と接触したことによって殺された。文倉紗良がその情報を手にし、夜瀬組に近づいているとなれば相当危険なこととなる。なぜなら文倉紗良が住んでいる街は夜瀬組の縄張り範囲内であり、以前真昼が住んでいた家も夜瀬組の縄張り範囲だ。


 ここで仮説を立てるとすれば、その人物と接触し、その後、夜瀬組の烏丸辺りが上書きをしたのだろう。その人物は烏丸が守り続けていた人物となる。その人物は一体何者なのかは、シルバーウルフであっても入手不可能なやり方で隠されていた。

 そこに真昼が鉢合わせていてもおかしくはない状況であっても、真昼はその人物と一度も会ったことがないからすれ違う程度。


「陽羽の親友が危険になるかもしれないから、取引後、見守りつつやつがれに報告を」


 承知したでとまるは眼鏡をかけ直して、構成員に連絡を入れてもらうことに。例の件で夜瀬組が動き出すのであれば、昏籐組が黙っちゃいないだろう。



 もう大丈夫と陽羽ちゃんに伝え、離れてもらった。涙を拭き取り父さんがどこまで話すのかはいまいちわかっていない。ただ陽羽ちゃんの親友である紗良ちゃんの父親の死因についてはきっと話すんだろうな。


 僕はその日、夜のランニングをしていた時間帯に、公園で一人のおじさんが誰かを待っていたのを目撃したからだ。

 それでも気にせずランニングをし、まさか殺害されたというニュースを見て、それが紗良ちゃんの父親だったということを知ったのは、陽羽ちゃんの紹介で会わせてもらった日だ。

 もしあの日、紗良ちゃんの父親が誰に会っていたのか、遠目で見ていれば救えた命だったかもしれない。


「真昼くん、ちょっとお手洗い行ってきてもいい?」

「うん、場所わかる?」

「平気」


 陽羽ちゃんはお手洗いに行くため個室を出て行き、僕はスマホを取り出してみると疾太からメッセージが届いている。ポチッと押してみると、内容はこうだった。


 真昼の父さんが日本にいるなら、親父に会ってほしい。なんか話したいことがあるって。


 まさか父さんとの取引をやめさせてもらうという内容なら、父さんの居場所がなくなってしまうのではないかと感じる。今まではシルバーウルフと縁を切った状態で、日本に滞在させてもらっていると父さんから聞いてた。

 今はもう、シルバーウルフと関わっているから、日本に滞在できないのかもしれない。


 わかった、伝えとくと返事をし、陽羽ちゃんが戻って来て、談笑しながら父さんたちの話が終えるまで待った。



「本当なのか?」

「まだ断定はできない。ただ確実に陽羽ちゃんの記憶が戻れば、殺されるのは確実。雪は真昼が大切にしている陽羽ちゃんを失わせないために、準備はしてるようだよ」

「信じられん」

「まあそうだろうね。陽羽ちゃんが鶫に連れ去られた訳が、愛娘の指示によって動いていたとなれば納得がいく」


 どのタイミングで陽空が鶫と接触していたのかは不明だ。しかし陽空は赤を好むようになったのも、奴の手によって指示役が陽空に変わっているとなれば、レッドクレインはまだ終わっていないということだ。

 鶫は事情聴取が終えた後、すでに旅立っていると報告が上がっている。話を聞きたくとも聞けない状況だということだ。


「確かに陽空は赤を好むようになった。いずれ鶴ではなく鶫が陽空を迎えに行くという筋で合っているのか?」

「いや、鶫はただそれに乗っかっただけのものだから、迎えには来ない。ここで新レッドクレインが誕生したら、覚悟持てる?」


 陽空は透の家も知っていた。透が陽空に合鍵を渡していたのであれば、犯行は可能となる。陽羽が試験を受けていた時間は署と仕事場を行き来していたものだ。それに陽空はその当時、まだ入院をしていた。

 ただそれができる人物と言ったら、破島淡しかいない。ここは破島に聞くしかなさそうだな。


「覚悟は常に持っている。たとえ愛娘であろうとも。鯨波が陽羽に執着している訳は流石に知らないだろう?」

「雪昼が言うに陽羽ちゃんはとある約束を破ったきっかけらしい。その約束がなんなのかは僕も雪昼もわかってない」


 陽羽が鯨波と約束をしたというのか。その約束を破られ殺害計画を立てているってことになる。陽羽に思い出してもらいたいが、このまま陽羽が記憶を戻さず生活をしてくれれば、何も起きない…。

 いや、鯨波を捕まえるために、なんとか陽羽に思い出してもらわなければ、この課を作った意味がなくなってしまう。


「昼秋…」

「安心して。僕たちもできるだけ陽羽ちゃんを守れる位置にはいるつもりだから心配はいらないよ。一つだけ。陽羽ちゃんが大好きなバンド、Wizuteriaは用心しておいたほうがいい」

「承知した」


 陽羽が大好きなバンド、Wizuteriaが企てた計画にまんまと嵌まっていたことに、当時は誰一人気づけなかった。

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