48羽
俺と玲が警察に連行されたが、親父が罰金を払ってくれて、釈放された。しかし馬鹿者と親父の痛い拳骨をもらう羽目となる。すみませんでしたと玲と一緒に頭を下げ、親父の車で帰ることになった。
陽羽は無事に受験も終えたよなと、返してもらったスマホを確認したら紗良から何十件も電話がかかっている。
「親父、紗良には言ってあったんだよな?」
「玲、夕哉を抑えておけ」
なんだと玲に抑えられ、隣に座っている親父に言われた。
「陽羽ちゃんが誘拐された」
「嘘だよな?」
「本当のことだ。帰宅後に襲われたらしくてな。昏籐組は陽羽ちゃんの捜索に当たっている。光太と合流し、一緒に探し出せ」
漆月が見せてくれた闇サイトが本当に起きてしまったと暴れることはなく、力が抜けてしまう。俺が昏籐組だってことを伝えておけば、陽羽を守れたかもしれねえ。
「わかった。陽羽が拉致されていそうな場所探す」
「警察も動いているようだが手こずっていることで、陽羽ちゃんのお父さんから要請が来ている。見つけ次第、すぐ連絡しろ。それからどうしても夕哉と一緒に行動したい刑事がいるようだ」
それってつまり陽羽の教師である伊宮か。了解と伝え陽羽が拉致されている場所ってどこだろうか。漆月に確認をしたくても連絡先交換してないから難しいところだ。
合流地点に到着し、光太と楽しげに喋っている伊宮をみっかけた。玲はこのまま親父と一緒に陽羽の捜索に当たってくれるらしい。
光太、伊宮と声をかけると光太がうるうるしながら、よかっだと泣き出す。心配かけたなと光太を慰め、状況を教えてもらった。
「どんな状況?」
「相手は鶴の弟である、鶫という男だ。俺の同級生であり、助けようとしてくれた女性は、紅花くれのも同級生であり、元カノだ」
まじすかと言っちゃいそうなぐらい衝撃すぎてしまった。つまりこいつも守城学園にいたってことなのかよ。
「それで一緒に行動したいと志願したのは、もう一つある。本当はサシの時に話すつもりだった。状況が変わって言うぞ」
伊宮が言った言葉はどれも信じられないことばかりであっても、自然と涙が溢れちまう。
伊宮は俺の付き人だった人で、伊宮が寝込んだ日に、俺と陽羽が事故っちまったせいで、責任を感じ、組を辞めた。そして俺が陽羽のことを想っているから、俺が立派な人間になるまで、わざわざ警察官となり、陽羽に寄り添ってくれただなんて。
伊宮は悪かったなと俺の頭を撫で、やめろよと振り払うも、懐かしさを感じた。昔、俺の頭を撫でてくれた奴の手と全く同じだったから。
伊宮、いや透は俺が立派に成長したことを確認が取れたことにより、陽羽が大学生になった時点で本当の刑事に戻るらしい。それまでは見守らせてほしいと言われた。
「それで掴んでるのか?透」
俺が透と言った瞬間、玲とそっくりすぎて、すりすりさせられそうだったから、おい待てと顔面を掴む。悪いと正気に戻り、ある情報を見せてくれた。
「これってなんだ?」
「飛行船だ。鶫は飛行船で暮らしていることが判明してな」
「親父たちには伝えなかったのかよ」
「伝えてあるが、その飛行船がどこで止まるかは不明だ。どこで出発したのかも、今問い合わせてる」
つまり親父たちは飛行船が止まる場所を突き止めているってことでいいのか。透の車で目星をつけている場所へ行ってみることに。
◇
鶫は仕事で入っちゃ駄目という部屋以外は好きに探検していいと言われた。鶴に何かされたらちゃんと言うんだよと言われ、何があるのかを確認していく。
まるで家にいる感覚のようで、書斎やビリヤードやダーツなどの遊び場に薔薇の庭園が存在する。それから大きなお風呂があり、湯船には黒と白の薔薇の花びらが浮いていた。
後はさっき入った大きなリビングと私が最初に目を覚ました部屋があるぐらいで、紅花さんはどこにいるんだろう。他の部屋を覗くも紅花さんの姿はない。
入っちゃ駄目というその先にいるのかなと探していたら、紅花が逃げていて、その後方を見ると鶴が走っていた。
懲りない人だなと、逃げ場がないから間に入ってあげる。そしたら鶴が足を止めた。
「そこをどきたまえ、陽羽。逃げ場がないのはわかっているだろう」
「うん、知ってる。けど鶴が今からやろうとしていることは私には見えてるよ。ここは鶫の城。たとえ弟の家に逃げ込んだとしても、鶴も逃げ場がないってこと」
「私は神に生かされている。私が何をしようとも、神は許してくれるさ」
本当にこの人、自分がやってきた行為を認めない。そこに紅花さんが陽羽ちゃんと呼ばれる。それでも振り向いた瞬間、この人が何をしでかすかわからないから振り向けない。鶫は紅花さんを守ろうとしてるのかは、不明だ。
鶴はゆっくりとこっちに歩いて来て、私の足で逃げ切れるかわからずとも、紅花さんの手を握って逃げた。
そしたら紅花さんが私の手を引っ張ってくれて、こっちと教えながら鶴から逃げる。鶴は走って来なくても、私と紅花さんの名前を呼んで、まるで遊んでいるかのようだ。
足音が聞こえなくなり、一度部屋に入って、お互い呼吸を整える。
「陽羽ちゃん、だよね?」
「はあはあ、えっと…」
「あまり覚えてないか。私は紅花くれのって言って、守城学園の卒業生。行事の日、一緒に遊んだこと覚えてない?ちょうど透もいたんだよ。あっ透は私の元カレなんだけどね」
えっ…透そんなこと一度も教えてはくれなかったし、透が守城学園の卒業生だなんて。でも催花ちゃんが卒アル見せてくれた時、写っていたのはやっぱり透だったんだ。
「かくれんぼしててね、笑っちゃうんだよ。透が鬼で私と陽羽ちゃん、それから小学生何人かと他クラスの同級生も交わってかくれんぼしてた時。私たちはすぐ見つかったのに、陽羽ちゃんと陽羽ちゃんが仲良くしてる子は最後まで見つからなかった」
「その子の名前覚えてませんか?私、事故に遭ってからその子の名前、思い出せなくて」
紅花さんはえっとと頭にある記憶を辿ってもらい、その子が今どうしているのか探したい。すると足音が聞こえ始めて、扉の先で足音が止まる。
わざとノックをしてくる鶴で、出るわけないじゃんと音を立てずにいた。いないと思い込んだのか、足音が徐々に消えていく。
ふうっと安堵をした時に、ドンドンと扉を叩いて、恐る恐るドアチェーンをそっとかけたら、扉が開いた。そしてみーつけたと奇妙な笑みを浮かべ、ドアチェーンを外そうと思いっきり扉を何度も開け始める。
鶴の行動が恐怖となり、私は尻餅をついてしまった。ドアチェーンが壊され、ゆっくりと扉が開き、鶴が入って来た。来ないでと後ずさるも鶴は捕まえたと私を捉える。私が片手しか使えないから紐でクローゼットのとってに括らせ、くーれーのとくれのさんの方へと向けた。
くれのさん逃げてと叫ぶも、くれのさんも恐怖心で動けないようだ。なんとか紐を解かなくちゃと思っても、思うようにいかない。鶴やめてと言っても、鶴の耳には届かないようだった。
近づいていく鶴で、くれのさんは怯え切った表情で、いやと首を横に振りながら下がっていく。しかし壁まで到着しちゃったことで、逃げ場はなく鶴の指が異常に動かしながら、くれのさんを捕まえようとした。
抜けたとその縄を使って、勢いよく鶴の背中を叩く。そうしたことで鶴が止まり、ゆっくりと振り向きながら私の名前を呼んだ。
鶴の表情は怒りを抑えた笑みであり、とにかく、くれのさんが酷いことされないように逃げた。待つんだ陽羽と呼ばれるも、逃げ回るしかない。
私の足だとすぐ捕まるかもしれないと角を利用しながら逃げ回っていたら、よりによって転んでしまった。
立ちあがる寸前に鶴に捕まってしまって、担がれてしまう。下ろしてよと背中を叩くも、下ろしてはくれない。どこに連れて行く気とずっとパコパコ叩いていたら、鶴が使用している部屋へと連れて行かれた。
そこには私が写っている写真が刻まれていて、それがいくつもと床に散らかっている。
私を担いだまま何かをとり、ベッドに座らせられ、私の両手と両足を縛った。
「雪に渡そうか迷っていたが気が変わったよ。たっぷり私のお仕置きをしてから、雪に渡す」
「そう言って私を脅しても無意味だよ。それに鶴にされたこと、全部言いふらすから」
すると鶴が私の頬を掴み、そんなことはさせないと部屋が完全に暗くなる。鶴の手が離れたのは確認できたけれど、鶴の居場所が把握できない。
近くにいるのは感じるのに、いきなりふっと息を吹きかけられてしまって、両手両足縛られている以上、どうすることもできなかった。靴を脱いでいるのか足音が全く聞こえず、時に肌を一瞬だけ触れていく鶴。
やられようともその程度で私の心は折れないんだからと、鶴を警戒していたらいきなり口付けが入る。最悪と口を濯ぎたくても濯げない。
はははっと鶴の笑い声が近くにあり、鶫がこれを見たらきっと怒る。
そしたら電気が明るくなって、眩しいと目を細めると、鶫が来てくれて鶴はやばいという表情を浮かべるも、鶫に倒れされたのだった。
紐を解いてくれて私はなぜか今になって恐怖心が溢れ出し、鶫にしがみつく。
「くれのが我が輩のところに来て話してくれたのだ。おい、鶴を縛っておけ。これ以上、我が輩の住処で暴れてほしくない」
鶫の部下たちが鶴をぐるぐる巻きに縛ってくれて、行こうかと私を抱き上げ鶴の部屋から出た。出る際、鶴に向かってあっかんべえをし、これで鶴が大人しくしてくれればいいな。
リビングに入りそこで降ろされ、くれのさんがよかったという表情を浮かべていた。
「安心したまえ。鶴は鍵が入った部屋に入っているから気にすることはない。では我が輩は仕事に戻るゆえ、二人でゆっくりしているといい」
私の頭を撫でた鶫は仕事へと戻って行き、私たちはソファーに腰を下ろす。
「さっきはありがとう、陽羽ちゃん」
「いえ。くれのさんが被害を受けるのが見てられなくて。それに鶴は私に興味がない人だとばかり思っていたので」
「鶴は誰にでも手を出す人だし、これから先もそういう人がいるということは気をつけないと」
気をつけますと伝え、さっき質問したことの回答をまだ聞いてなかったから聞いてみることにした。
「あの、さっきの質問の」
「ごめんね、陽羽ちゃん。その子の名前は覚えてない。けどよく透と一緒にいたから、今度聞いてみるね」
「実はその、透と知り合いなんです」
そうなのと驚いてて、なんで言わないんだろうと悩み始める。透とその子が繋がっているなら、なぜ今まで黙って来たんだろうか。
「透にも事情があるかも知れないから、もう少ししたら話してくれるんじゃない?」
「そうですよね。刑事としての守秘義務みたいなものですよね」
おそらくねと言われ、透がいつか話してくれると信じて、紅花さんから聞くのはやめておこうと決めた。
「透が話してくれるまで、待ちます。なので大丈夫です」
「そう。わかった。なら私からは言わない。それにしても驚いたな。こうして陽羽ちゃんに会えるんだもん。そう言えば陽羽ちゃんってWizuteria好きなの?」
まさかWizuteriaの名前が出てくるとは思わなくて、はいと答えると、私もなのと言ってくれる。
「私はギターの利木純連が推しなんだけど、陽羽ちゃんは誰が好きなの?」
「しのふじです」
「しのふじもいいよね。歌声もいいし、なんと言っても全ての楽曲はしのふじが作ってる」
ここでWizuteriaのファンと遭遇できるだなんて夢みたいだ。
「どうして私が好きだってわかったんですか?」
「この前のコンサート、友人と行ってたの。そしたら陽羽ちゃんらしき子を見かけて、本当は声かけたかったんだけど、友人に急かされちゃって」
「そうだったんですね。でも、こうして話せて嬉しいです」
そこからはWizuteriaの話で大盛り上がりしてしまった。
◇
陽羽を襲った鶴は我が輩によって、顔が腫れ切っていたとしても放置し、リビングに設置しているカメラの映像を見ていた。楽しそうに会話をしていて、次のステップでも進もうかと考える。
我が輩を甘く見ている陽羽であり、くれのは我が輩たちの仲間だ。鶴は我が輩たちの仲間ではないとだけ言っておこう。そろそろ到着しても良さそうだが、まだヘリコプターらしきものは感知していない。
少々遅れているのだろうと眺めていたら、部下から報告を受ける。
「鶫様、少々遅れるとご報告を受け付けました」
「そうか。遅れるのであれば、飛行船が止まる場で待っていればいいと告げろ」
はっと敬礼をして部下は保留にしている電話をとり、伝えてもらった。
「つ…ぐみ…」
「我が輩は一度も兄と思ったことはない。我が輩は縁を切った弟だということを頭に入れておいてくれると助かる」
「こんなことしても!」
まだ懲りない鶴を蹴り飛ばし、再度気絶してもらう。我が輩の家系は狂いすぎていて、高校卒業後、あの檻から出て行った。
そして我が輩は昼秋という人物と手を組み、ある事件を追っている。その事件が陽羽たちの事故と関連するからだ。我が輩が陽羽を手にしていると気づけば、あの人は動き出すのではないかと考えた。どう出るかは分からずともやる価値はある。
「係留場まで後どれくらいだ?」
「後三時間程度に到着します」
引き続き頼むと告げ、我が輩はお腹を空いているだろう二人に料理をすることにした。
◇
係留場に到着し、ここに飛行船が来るのかは不明だった。しかしこれほどの敷地があるってことは、かなり大きな飛行船ってことだよな。目立ちそうであってもなぜ気づかなかったのかが不思議なくらいだった。係留場の事務所に問い合わせてみると昨日の夜に、浪杜鶫の飛行船が出発したらしい。
目的地はと透が聞いてみたら、三時間後辺りに戻ってくるそうだ。
やったなと俺たちはハイタッチをして、透は至急、陽羽の父親に報告し、俺は親父に報告をあげる。
「親父、俺たちが行った場所が当たりだったらしい」
『そうか。なら組は引き上げる。陽羽ちゃんのそばにいなさい』
「わかった。親父、すまねえ…」
『なぜだ?』
俺は透をみて事務所を出ながら、親父に告ぐ。
「透に真実を聞かされた…。俺が事故って、透のこと忘れちまったせいで」
『夕哉、自分を今更責めるな。透は夕哉のために、陽羽ちゃんを今まで守り続けてくれたことを、胸に刻み、これからは透は警官として、夕哉は組長として互いに協力し合ってもらう。そう陽羽ちゃんのお父さんと話していてな。だから気にするな』
あぁと声が震えていたかも知れなくても、透が決めたことは認めなくちゃならねえ。今度、最高の革靴をプレゼントしようと決めた。
報告を終え、透を待っていると光太が気にしてくれる。
「夕哉さん、大丈夫ですか?」
「平気だ。俺も誰かを忘れていただなんて、情けねえよ」
「そんなことありません」
光太は電話をしている透の姿を見ながら、こう言ってくれる。
「透さん、仰っていました。自分が風邪なんかひかなければ、二人は相思相愛でいたのではないかと悔やんでましたよ。だからせめて、組の一員として、夕哉さんの大事な方を守りたいという気持ちで、警察官を目指したそうです」
組の一員としてか。当初はまだ透は学校で水泳とかがあるから刺青を入れるのは卒業後と決めていたそうだ。入れなかったことで、警察官となれ今に至っている。透が電話を終えたっぽく、こっちに来た。
「警察がこっちに来ることになったから、夕坊と光太は帰れ」
「いや、陽羽が安全に到着するか分からねえから残る」
「不法侵入で一度逮捕されているだろ。今は大人しく家にいろ。陽羽が無事に保護できたら、すぐ連絡入れてやるから」
あまり大事にはさせたくないんだろうと感じ、今回は透に任せるしかないかとわかったと告げ、光太と一緒に帰ろうとした時のことだ。
すみませんと事務所の人が焦りながら走って来て、透に報告をあげた。
「ルートが変更されたようです!」
「目的地は?」
「不明です。普段ならここに止まることになっているのですが」
「どこに向かったのかわかり次第、連絡を頼む」
振り出しかいと、透は再び連絡をとり、俺も親父に報告をあげることに。
◇
くれのさんは安心したことで、お風呂に入ったらしく、私も後で入らせてもらおう。ギュルギュルと鳴ってしまい、冷蔵庫の中身は飲み物だけしか入っていなかった。
そろそろ鶫来ないかなと、ソファーでゴロゴロしてたら、いい匂いがして起き上がる。
扉が開いてお腹空いたとエプロンをつけて料理を持って来た。お腹ぺこぺこと言うと、ローテーブルに料理を置いてくれて、いただきますと頬張る。
何これ、美味しいと幸せな笑顔を出していたら、美味しいでしょとにこにこする鶫。
「普段の職って」
「料理人」
だからかとパクッと食べてどれも美味しすぎてぺろっと食べちゃう。
「陽羽の食べっぷり、よくてずっとここにいても構わないよ」
「そろそろ、帰らせてよ」
「まだ陽羽にいてもらわなくちゃならないからちょっと仕込ませてもらったよ」
えっと体が重くなっちゃって、料理に仕組まれてたと眠りたくても、瞼が閉じてしまった。
んんと目を擦りながら、ゆっくりと目を開けたら、おはよう陽羽と声がかかり上を向くと、どうやら鶫に寄りかかって寝ていたようだ。
しかもさっき着ていたワンピースじゃなくて、モノクロのドレスを着ていた。
「鶫、私に何を」
「ちょっとした遊び心さ。鶴のようなそういう関係じゃないから安心したまえ」
「今からある人と接触をする。陽羽はただそばにいればいい」
信じていいのか分からずとも、まだちょっとぼーっとしちゃって、鶫に寄りかかっていたら扉が開く。誰が来たんだろうとそっちに目をやったら、なっなんと真昼くんが雪が着ているような服を着て、しかも雪も登場する。
真昼くんはなに手出してんのという怒りを放っていながらも、向かいの席に座った。
「久しぶりだ、雪」
「いいから陽羽を引き渡せ」
「まあまあ落ち着きたまえ。取引の条件次第で、陽羽をどうするか決める」
真昼くんは耐えきれず手を出そうとしたら、雪が止めに入って、話を進める。
「取引の内容を聞かせてもらおうか?」
「あの人に伝えていただきたい。鶴はやってはいけない行為を見せた。逮捕を頼むと」
鶫はタブレットを二人に見せ、何が映っているんだろうと私には見えていなかった。そしたら火がついてしまって、鶴はどこだと言いながら指をぼきぼきと鳴らす。
「鶴は我が輩がやっといたから気にすることはない。そのほうがあの人も気が楽ではないのか?」
「それを伝えたことで、僕のメリットが見えないようにも見える」
「メリットはもちろん、日本で暮らす移住許可を手配させてもらおうではないか。悪くない話だろう」
雪が日本で暮らすということになったら、日本は大変なことになっちゃうんじゃないの。それでもこれ以上、鶴の好きにはさせたくない。
「雪、お願い。お姉ちゃんを苦しめた鶴を放っておきたくない」
「陽羽…」
「私もやられたっ」
さっきのことを思い出しちゃって、涙を流すと真昼くんが近づいて、上書きをしてくれる。
「どうする?」
「あれを見せられた以上、そのデータも渡せ。あの人と会えるか分からないが、報告はしておく」
よろしく頼むと真昼くんと一緒に庭園に行ってなさいと言われ、こっちとドレス姿だから若干動きづらくとも真昼くんの手を握って、一緒に散歩をした。




