43羽
レッドクレインの長そして従業員たちが捕まったというニュースを見て安堵を感じた。レッドクレインの逮捕となった決めてはある動画。
事前に準備していたものなのかはわからずとも、ネットに拡散されてレッドクレインの従業員は罪を認めた。されど鶴と鶴に認められた従業員は黙秘を続けているらしい。
行方不明となっていた人たちの遺族にちゃんと遺骨が戻ったことだけれど、これは大事なニュースとなった。
何十年もそういうことをしていたことによって、レッドクレインに勤めていた従業員の一部は、鶴様申し訳ございませんと正座をして何度も床に頭をぶつけるから、精神病棟へと運ばれたらしい。病院に搬送されるも、ずっと同じ言葉を繰り返しているそうだ。
姉が以前、帰って来たことを思い出すと、姉は鶴がいないことで、不安を抱えてしまうのではないかと感じる。大丈夫かなと心配になりながらも、大晦日で私は真昼くんたちと翠で神社に来ていた。
もうすぐ新年を迎えることで、私の願いは大学が受かりますようにと姉が一日でも早く良くなりますようにと祈る。
疾ちゃんは翠と英語で会話をしていて、私たちはすごいと思っちゃった。英語は覚えてるけど喋れるとは別格であって、真昼くんが拗ねてるところ、岩渕さんがやいやーいとちょっかいを出している。
私たちが笑っていると、つんつんと紗良に突かれてしまい、紗良は少し照れていた。
「あたしも来ちゃってよかった?」
「うん。翠もいるから、どうせならって翠と話してて。今日はうち泊まっていいし」
「いいの?」
「おばさん、こんな時期でも忙しいでしょ?一人ぐらい増えてもいいってお母さん言ってたから」
ほっとしている紗良であり、いいなーと言い出す催花ちゃんと千ーちゃん。
「あっ南雲くんだけ、違う大学ってことだよね」
「言われてみれば、南雲くん。文常大学だもんね」
催花ちゃんと千ーちゃんが揶揄ったら、むぅと余計にほおを膨らませ、私たちは笑い合う。そしたら岩渕さんが、私に聞いてきた。
「ねえ、これってさ、陽羽ちゃん?」
どれと見せてもらうと、それはドーム帰りにしのふじがヘッドホンを渡している場面。咄嗟に岩渕さんのスマホを隠し、何なにと紗良たちが気にしていた。
言わないでと岩渕さんに目で訴えていたら、ぷっと笑い出して、内緒かと真昼くんをばしばし叩く。
「痛いです」
「陽羽ちゃん、やっぱおもろい。南雲っち」
耳元で何かを言っていて、言っちゃったのかなとそわそわしちゃう。そしたら今度は真昼くんが、岩渕さんの耳元でこそこそ話すから赤っ恥になってしまった。話題を変えるために、紗良に聞いてみる。
「紗良、漆月くん、怪我の具合どう?行けてなくて」
「まだ回復は必要みたいで入院してるけど、退院したら行けなかったお店に行こうって言われて」
催花ちゃんと千ーちゃんは目を輝かせ恋バナにくいついてもらいほっとしていた。そろそろじゃねえと疾ちゃんが時計を確認していて、カウントダウンが始まり、私たちもカウントダウンを言って年が明ける。
あけおめと言いながら、列が進んで行き賽銭を入れ二礼し、二拍手をしてお願いをした。
今年は災いが起きず、姉が一日でも早く良くなり、大学受験がうまくいくよう見守っててください。
一礼をして真昼くんと翠はまだ何かを祈っていて、疾ちゃんたちがいるところへと行く。真昼くんと翠が終わり、一斉のせいでおみくじを見せあった。みんなは大吉でありながらも、私だけ吉となり少し凹む。
けれどおみくじの言葉に今年は身体には問題はないが、災いが近くに存在するから注意せよとあった。そして恋愛運にはこう書かれてある。
忘れていた人物との出逢いが幸運に繋がるだろうと。
私が思い出せない人と会えるかもしれないから、財布にしまう。みんなとお揃いがよかったけど、大吉の先はないから正直言うとよかったかもしれない。
少し災いのことに関して去年はいろいろあったし、まだ続いているから注意しなさいってことなのかな。
お守りも買い、疾ちゃんの車で帰る。みんなは爆睡している中、私はスマホを見て夕哉さんからあけおめメッセージとしのふじからあけおめメッセージが来てた。
夕哉さんにはいろいろとお世話になってたから、去年はありがとうございました。今年もよろしくお願いしますと送り、夕哉さんがよく使用しているクマさんのあけおめスタンプを押す。
しのふじは自撮り写真があって、今年はいっぱい遊びに行こうねとあった。芸能人と遊べるのは夢の世界であり、お気遣いだけで大丈夫です。ありがとうございますと送り、夕哉さんと全くのスタンプを送っといた。
すぐ既読がつき気遣いじゃないよと送られて来て、私はその世界には入れませんと送信。そしたら電話がかかってきちゃっても鞄にしまった。
◇
メッセージは既読ついてるのになんで電話に出ない。さては南雲真昼がまだいると確信して岩ちゃんにメッセージを送る。しかし岩ちゃんは既読つかず、むぅとなっていたら、そんなに不貞腐れないと純連に注意された。
釣れないなぁと思いながら、新年あけおめと乾杯して飲んだ。
「藤、前から気になってたけど、なんで陽っちゃんに直接会わないんだよ」
「陽っちゃんはいろんな男に目つけられてるから様子見だった。そしたら案の定さ、陽っちゃん彼氏作って、しかもマフィアの息子ってなった時は」
「落ち着け、藤」
想に言われるも箸を折ってしまい、純連が作った陽っちゃんの抱き枕を押し付けらる。
陽っちゃんとの出会いは、迂生にとって宝物であり、あの笑顔は迂生だけに見せてほしい笑顔だった。それなのにあちこちから陽っちゃんを奪い合っているからむしゃくしゃしすぎてる。
最近はその笑顔をマフィアの息子だけに見せているとはと、ムンッとしてたら缶ビールをほおにつけられそれをとり、ぐびっと飲んだ。
「岩ちゃんがちゃあんと見張ってないから陽っちゃん迂生と会ってることすっかり忘れてる。だから今年はいろんなところ連れてって、陽っちゃんの笑顔を独り占めする」
「気合い入っているのはいいんだけど、目的は忘れちゃ駄目だよ」
「もちろん。あの人のためにも陽っちゃんと仲良くしておかないとね」
迂生たちを芸能界に入れさせた人物は、陽っちゃんに目撃されたことで、陽っちゃんの記憶が蘇るのではないかと恐れ始めている。
記憶が戻らないように新しい記憶を植え付けて忘れさせよう作戦で動いていた。そして迂生のファンとして、たまにコンサートに来てくれているし、陽っちゃんの手紙はちゃんと取ってある。
「陽っちゃんが大学受験終わったら、仕掛けるから純連、想、準備よろしく」
二人が了解と言ってくれて、楽しみだなとウキウキしながら、作曲に取り掛かった。
◇
翌朝、まだ日の出が出ていなくともパチリと目が覚め、結局疾ちゃんたちもうちに泊まり、姉の部屋に真昼くんたちが使用していて、私の部屋に紗良たちが寝ていた。起こさないようにとそっと扉を閉める。
洗面所で顔を洗い、キッチンではお母さんがみんなの朝食に張り切っていた。おはようと伝えお母さんを手伝う。
「陽羽」
「ん?」
「真昼くんと別れなさい。今なら間に合うわ。陽空のようになってほしくないもの」
「…今度話し合おうって言ってくれてたけど、お父さんも同じ意見だったの?」
えぇとはっきり言われて、お父さんも同じ意見なら、別れるしかないよね。シルバーウルフに襲われたこともあるし、これ以上踏み込んだら、姉同様なことが起きうる可能性も高くないから。
真昼くんから貰ったネックスレスをギュッと一度掴み、真昼くんとの思い出を振り返ってしまう。どれも私にとっては宝物で、初めての彼氏だった。
時々拗ねちゃう顔や笑った顔、私に甘えてくれる顔が大好きで、それに私の理想の人。隣を一緒に歩いてくれて、私ができないことは引き受けてくれて。
ちょっと出てくると私はなぜか走り出してた。真昼くんと別れたくない気持ちが強く出ちゃって、まだ陽が出ていない暗闇の中を走り続ける。
私のお気に入りの場所に到着して、そこから涙が溢れ出す。別れなくちゃいけないってわかってても、私はまだ真昼くんの彼女でいたい。その気持ちは変わらないと、涙を拭っていたら夕哉さんの声が聞こえた。
なんでと夕哉さんを見ていたら、夕哉さんが羽織っているダウンジャケットを羽織らせてくれる。そして私の涙を拭って、何か怖いことあったかと聞かれた。
「私っ」
「まず落ち着こうか」
夕哉さんは私の手を握ってベンチに座り、気持ちを落ち着かせて、夕哉さんに相談する。
「お母さんが彼氏と別れなさいって、言われちゃったんです。彼氏はちょっと訳ありで、いつかは別れなきゃいけないって自分でもわかってる。でもっ」
涙が込み上げてきて、涙を拭っていたら夕哉さんが私の腰に手を回し、夕哉さんに寄りかかる状態になった。火照ってるような感じになり、夕哉さんはもう一つの手で拭いきれていない涙を拭ってくれる。
「彼氏がどんな訳ありを持ってるのかはわからない。ただな、陽羽。両親がどれだけ心配してるか、わかってるよな?」
「うん…」
「犯罪的なことをしているなら、誰だって両親は止める。間違った道を歩んでほしくないからそう言ってるんだ。どれだけ好きだとしても、そういうことがはっきりしているのなら、ちゃんと覚悟を持たなくちゃ、後で後悔するのは陽羽、お前だぞ」
「後で後悔?」
そうだよと夕哉さんは少し寂しそうな笑顔をまた私に向ける。どうしてそんな瞳で私を見るのと夕哉さんの顔につい触れてしまった。とても冷え切っていて、返さなくちゃと脱ごうとしたら、夕哉さんに抱きしめられる。
「夕哉さん?」
「我慢できねえ」
夕哉さんはそう言って、黙り込んでしまい、全身が赤くなってそうだ。心臓の音が夕哉さんに聞こえてしまうんじゃないかというドキドキがあって、嫌という気持ちにはなれなかった。
少し煙草の匂いとほんのりした香り、懐かしさを感じる感覚で、無意識に私は夕哉さんの背中に触れる。もっとこの懐かしさを感じていたい。
すると初日の出が出て来たことで、夕哉さんが離れ綺麗だなとその景色を目に焼き付けている。そうですねと私も朝日を眺め夕哉さんは初日の出を写真に収めた。
家を飛び出しちゃったから、スマホ持って来ていなくて、少し残念と思ったら夕哉さんが笑ってと言われ笑顔を出すとぱしゃっと撮る。
「後で送っと…ヘックシュン」
夕哉さんがくしゃみをしちゃって、あわわとダウンジャケットを返そうとしたら、いいと合図が来てしまった。鞄からティッシュを取り出し、鼻をかむ夕哉さん。
「夕哉さん」
「ん?」
「夕哉さんとみた日の出は絶対に忘れません。彼氏とちゃんと話して別れます。夕哉さんに相談してよかった。夕哉さんと出会ってから、去年はたくさんの思い出ができて、今年もいい思い出が作れそうです」
夕哉さんに打ち明けたら、そうかと照れ笑いをして、そうですよと私も笑う。元日の朝から夕哉さんに会えるのは正直びっくりしたけど、嬉しかった。
夕哉さんは耳まで赤くなっていて、照れているのか、それとも寒さで赤くなっているのか、わからずとも夕哉さんから告白を受ける。
「陽羽、もしあれだったら、その…」
◇
寒っとぶるぶる震えながら、公園の付近に停めてくれている車に乗り込み、ずんっと凹む。俺は馬鹿だ、大馬鹿だと頭を抱え込んだ。
いいタイミングだったから、絶対に言えると思ったが言えず、違うことを言っちまった。姉貴や玲に言ったら絶対に馬鹿にされそうだ。
「夕哉さん、大丈夫ですか?ダウンはどうしたんですか?」
「あぁ陽羽とばったり会って、羽織らせたまま帰らせた。あぁ光太ー、俺、もう終わった」
「え?どうしたんですか?」
「告るつもりが、靴屋でバイトしてみないかって言っちまって、今でも自分を殴りたいぐらいだよ。光太、一発殴って」
できませんとやや強めに言われながら車を回す光太であり、なんで自然に付き合ってくださいという言葉を言えねえんだ俺は。
陽羽が南雲真昼と別れるっつうから、いいチャンスと思えた。
ただ、陽羽が新しい彼氏をすぐ作ると、南雲真昼、いや、シルバーウルフが動き出すのは間違いねえな。少し様子見てから、再度陽羽に告るか。それか陽羽に真実を伝え、記憶が戻るように、出かけた場所に訪れるとか。
どうすっかなと考えていたら、光太に聞かれる。
「そう言えば以前、お聴きになっていたバンドについて少し調べてみました」
「なんか裏ありそうだったか?」
「いえ、全く。ただ、去年の十二月二十三のコンサートにて、陽羽さんが写ってましたよ」
顎が外れるぐらいのショックさで、陽羽がWizuteriaが好きだなんて信じられねえ。陽羽のアカウントを確認してみると、なっと声が出てしまった。
投稿内容はずっと応援してるWizuteriaのコンサートに行ってきました。むっちゃよかったですハートの絵文字。
これについて南雲真昼はどう思っているのかは不明であっても、こいつのファンだったら絶対に会いたいとか言いそうだな。光太が送ってくれた写真では、陽羽がしゃがんでいるところ、紫のフードを被った奴がヘッドホンをつけている写真。
おそらくこいつはWizuteriaのメンバーだろう。
「芸能活動をしているので、接触はあまりできないと思いますが、僕の勘ですとWizuteriaは何かあります」
「一見は普通の芸能人だろうけど、俺もなんか怪しい。調べられそうなら調べてくれるとありがたい」
「承知しました。この件は僕にお任せください。今日はこのままお店行かれます?」
「いや、親父と酒飲むから家に帰る」
承知と光太に車を走らせてもらいながら、陽羽と距離を縮めるために、いやいやでもWizuteriaの曲を暗記していった。
◇
陽羽ちゃんのお母さんに陽羽ちゃんのことを聞くも、今は一人にさせてあげて欲しいと言われ、朝食をいただいてた。一人で行ける範囲はそう遠くないはずだから、すぐ戻ってくるよね。
疾太たちも陽羽ちゃんのこと心配しているし、早く帰って来てほしいなと頬張っていたら、ただいまと陽羽ちゃんの声が聞こえた。陽羽ちゃんのお父さんが玄関まで行き、少しして陽羽ちゃんがリビングへと入ってくる。
寝巻きのままじゃんとみんなが驚いていても、陽羽ちゃんはごめんと誤魔化し、着替えてくるねと部屋へと行ってしまった。ご馳走様でしたと僕たちは帰る支度をする。
気持ちがもやもやして晴れないまま、部屋を出ると陽羽ちゃんに呼び止められた。先帰ってとみんなに言い、また学校でなと疾太たちは先へと帰る。
疾太たちがいなくなったことで、陽羽ちゃんの部屋にお邪魔をし、陽羽ちゃんはまっすぐな瞳をしてこう言われた。
「私たち、別れよう」
聞きたくない言葉、陽羽ちゃんから言ってほしくはなかった言葉が心の中を支配する。陽羽ちゃんはいつから、ううん、漆月の家に行った時、僕が残ったことで違和感を覚えたんだろうね。
陽羽ちゃんが望んでいたとしても、僕は引き下がるつもりはない。ただ今ここで束縛をしても、デメリットになる。だから今度、陽羽ちゃんに会う時はおそらくマフィアの息子として陽羽ちゃんを迎えに行こう。
「…わかったよ。ごめんね。怖い思いさせちゃって」
違うのと陽羽ちゃんは僕に抱きついて、泣いてしまう。僕は受け入れるから平気だよと慰めると、陽羽ちゃんからこんなことを言われた。
「私は今でも真昼くんが好き。大好きだよ。でもっ真昼くんとこれ以上関わないでほしいって言われてっ」
そりゃあそうだよ。大事な娘が危険に晒されることは一番に避けたいはずだから。陽羽ちゃん、泣かないでと抱きしめながら頭を撫で、こんなに陽羽ちゃんから愛されているとは想像以上で、笑いが出そうだ。
陽羽ちゃんが僕のことをちゃんと見てくれていることがはっきりしたことで、ここは一旦引いて様子見かな。
「僕も陽羽ちゃんのこと、大好き。気持ちは変わらない。どんなに離れていようとも、陽羽ちゃんと一緒に歩んで行きたい。それでもご両親にそういう目線で見られてるなら、僕は一旦引く。ちゃんとマフィアと無関係と証明できた時、陽羽ちゃんに会いに行くよ」
本当は守城大学で、一緒に通うつもりだったけど、岩渕さんに目をつけられているし、別れなければ昼奈の命は危ない。そこはあの人と話し合って、昼奈を安全な場所に移してから、シルバーウルフを動かしてもらう。
どれくらい時間がかかるとしても、必ず会いに行くからね。
陽羽ちゃんは僕から離れ、涙を拭い、そして陽羽ちゃんにキスをした。
◇
紗良と二人で陽空の部屋で盗み聞きをしていて、別れ話をしているようだった。さすが陽羽の母親だなと盗み聞きをしていたら、音を立てずに扉が開き、二人ともと陽羽の父さんに呼ばれる。
まだ聞きたくとも足音を立てずに部屋から出て、陽羽の父さんの部屋に入った。そこには見慣れないダウンジャケットが置かれてある。
「おじさんこれって」
「夕哉くんのダウンジャケットだ。さっき、陽羽は夕哉くんと会っていたらしい」
よりによってあいつと会っていただなんて、追いかけておけばよかったなと思ってしまった。
「陽羽から別れ話するとは思わなかったけど、おじさん。これでよかったの?」
「陽空があんな状況になってしまった以上、灯里のことを考え、別れてもらうことにしてもらった。そこで翠くん、しばらく陽羽が落ち込むかもしれないからそばにいてもらいたい」
「もちろんです。受験が終えたら一度、アメリカに戻ることにはなっていますが、すぐ帰国の準備をし、日本で暮らすつもりです」
「そうか。引き続き、陽羽のことを頼む。紗良ちゃんもすまないね。色々と依頼を引き受けてもらって」
いえっと紗良は探偵の仕事が楽しくなっているらしく、早く受験を終えて探偵の仕事をやりたいらしい。昔っからお父さんの真似で紗良は探偵として、陽羽は警察官の真似をして、僕も警察官の真似をして遊んでたな。
懐かしいと思い出しつつ、今後について聞いてみる。
「これからどう動きます?」
「詳細はあまり言えないが、陽空の容体が安定するまではシルバーウルフは動かないだろうとは思っている」
「そうですか。何か僕にも手伝えることがあったら言ってください。僕もある程度、情報は聞き出せるかもしれないので」
その時は頼むと言われ、真昼と陽羽が楽しげな会話が聞こえ、下へと降りていくようだった。
「紗良ちゃん」
はいと紗良は先へと出て行き、二人きりとなったところで、本題へと入る。
「レッドクレインの長から聞き出せました?」
「鶴は関わっていないようだ。残りは夜瀬組、シルバーウルフ、そして真昼くんを襲ったという組織のいずれかだろう」
「あの人にたどり着く方法は、その三択。あの人は陽羽に見られたことによってですよね?」
「可能性は高いだろう。しかしあの人はアリバイがあるせいで、逮捕はかなり難しい」
日本とアメリカを行き来していて、尚且つ犯罪に染めている組織に手を貸していると聞いたことがあった。僕の両親はとにかくシルバーウルフを壊滅させれば、その人が出てくるんじゃないかと動いている。
僕も両親の手助けができればと、日本に滞在し情報をかき集めていた。
「いつか必ず、陽羽の前に現れるから用心せねばならない。翠くんもくれぐれも注意を払い行動してくれ」
はいと返事をして、僕たちも下へと降り、陽羽のそばに寄り添うことに。




