41羽
クリスマス目前に、親父からある情報をもらい、病院へと足を運んでいた。集中治療室から一般病棟へと移っているらしいが、今も尚目を覚ましていないという。
夜瀬組がまさか陽羽を助けてくれるとはねえと、フルーツの盛り合わせを持って病室へと入った。漆月は起きていないようで、机にフルーツの盛り合わせを置く。
パイプ椅子に座り、聞こえているかわからずとも、お礼を言った。
「陽羽を助けてくれて、ありがとな。早く元気出せよ。紗良が結構落ち込んでたからさ」
そう伝えたら目をぱちりさせ、へえと横目で笑い、目覚ましてるじゃねえかよ。
「初めてだね、夕哉。なんで敵組の息子の見舞いに来てるわけ?」
「俺の大事な人を助けてくれたからに決まってんだろ。なんでそこまでやる必要があったんだよ」
漆月は天井を見ていて、そうだなと呟きながら真実を明かされる。
「本当はさ、夕哉の大事なもんを奪う予定だった。だけど意味がないってわかってるし、陽羽先輩が障がいを持って精一杯生きている生き様が、俺様に染みちゃってさ。陽羽先輩の大事なもんを守ってあげたくて行動した。けど…」
漆月は思い詰めた表情をしていて、あの日の出来事を振り返っているんだろう。
「陽羽先輩の幸せを崩した」
「崩した?」
「そう。真昼先輩が黒だと言う証拠を教えたんだよ。陽羽先輩はどこまで話してるのかは知らないけど、陽羽先輩を傷つけたのは確か。だってさ、真昼先輩といる時の笑顔、本当に輝いてたから…」
漆月がこんなに落ち込んでるだなんて思わなくて、なんて声をかけてあげようと考えていたら、うるっちゃあーんと登場する黎明。
そうだった。黎明は今、夜瀬組と手を組んでるんだった。
あれれ、あれれーと目をぱちぱちさせて、きゃーと俺に抱きつく黎明である。最近は忙しくて玲がやらないからほっとしてたけど、黎明にすりすりされるほどで、痛みが出ない程度で大笑いする漆月。
「なになに?僕ちんと一緒にレッドクレインに乗り込む気になってくれたの?嬉しいな。夕坊がいてくれたらむっちゃ心強い」
目をキラキラさせる黎明であって、ちげえわと腕を振り払う。えーと言う残念そうな表情を出す、黎明。
「じゃあ、元気そうなら、仕事戻るな」
「あっ待って、夕哉。黎、引き出しにあるやつ、取ってくんない?」
はいはーいと黎明は全部の引き出しを開けるから、一番上のだよと突っ込みを入れている漆月だった。これかなと小さなケースを見せ、それと言い出しそれ夕哉に渡してと言う。
黎明はふざけて最初は取らせないようにしていて、はいっと俺に渡した。普通に渡せよと中身を確認したらSDカードが入ってる。
「シルバーウルフに削除される前に、コピーしといたやつ。そこに真昼先輩の真実が入ってるからよろしくね。ちなみにその情報を手にしたのは」
その言葉だけが聞き取れなかったが口の動きで、嘘だろと落としたところ、黎明が拾ってくれる。
「俺様が入院期間は気にかけてほしい。相当俺様がこの状況になったことで、自分を責めてる」
「わかった。こっちの組で守るから、早く元気になれよ」
気をつけなねと漆月に言われ病室を出て、もらったSDカードを早く渡さなければならない。病室を出て車に乗り、天川光太に運転を任せる。
ちょうどノートパソコンを持っていたからSDカードを取り出し確認を取ってみた。
南雲真昼は父親似なんだとわかり、空港での防犯カメラでばっちりと父親らしき人物がはっきり写っている。よく撮れたもんだなと他の写真を見ていたら、こいつって誰だと拡大してみた。
見たこともない奴で紫ヘアカラーに蛇のスカジャンを羽織っている写真。どっかで見た気もするがと考え込んでいると、外から聞こえる声で外の方を見る。
そこには紛れた写真の奴で、どうやら芸能活動をしているらしい。名前も出てそいつの情報を検索してみた。そいつの名は東雲藤太郎、二十歳。現在はWizuteriaという所属についており、歌手や俳優を行なっている。
近々、ドームツアーがあり、結構有名な芸能人っぽい。曲は主にラブソングを結構出しているっぽい。
早速流してみると、切ないバラードの曲が流れ、その曲に俺の心に染み渡る。まるで俺と陽羽を描いたような歌詞みたいで、涙ぐむ。
「若…」
「悪い。今消す」
こんなの聞いてる場合じゃないが、芸能人の写真を入れといた理由ってなんだろうか。とにかく陽羽たちの親父さんに重要な写真を鍵をかけ、送信しといた。
◇
クリスマスイブ前日、真昼くんは文常大学の試験真っ只中であっても、私の心はスッキリしていなかった。なぜなら真昼くんが無事に帰って来たにも関わらず、私を避けている。
そろそろ話してほしいけれど、デートの日にちゃんと話せるよね。お父さんも真昼くんと話したらしいけれど、お父さんも私に話さないわけ。余計に気になると思いながらも、今日は抽選で当たったコンサートに行くのだ。
真昼くんには言えない秘密、それを知ったら絶対に嫉妬心マックスを超えるのではないかと言えなかった。真昼くんたちと仲良くなる前は、推し活をしていて今もこっそりやっている。
いつかは言わなくちゃって思っていても、Wizuteriaの曲に何度も励まされた。ラベンダーのワンピースを着て、もちろん鞄も推し活用の鞄を持って出かける。
「陽羽、帰りは迎えに行くから」
「うん。行ってきます」
行ってらっしゃいとお母さんに見送られ、駅へと向かった。本当は受験が控えているから我慢しようと思ってたけど、息抜きもしろよと透に言われたから。
本当は誰かと一緒に行くのがベストだったとしても、催花ちゃんたちはWizuteriaに興味がなさげあだったから、チケットは一枚。
座席を確認した時、アリーナ席で興奮してしまった。Wizuteriaはバンドで今年初、ドームツアーを開催。全CDを持っていて、ボーカルのしのふじが推しなのだ。
しのふじとは世間で呼ばれているニックネームであり、芸名は東雲藤太郎。本名なのかはわからずとも、その人の声と曲を聴いた時、心に染み渡った。
それから段々と好きになっていき、今は五年ファンをやってます。と言っても今年で五周年ということもあり、ほぼ初期からWizuteriaに入ってる。
最寄りから一時間程度にドームが存在し、ドーム会場の前には大勢のファンが多くいた。まずはグッズ売り場へと行き、事前に目星つけていたグッズを購入。
スマホストラップフォルダーを後でつけるとして、まずは席に座る前にドームをパシャッと撮った。ばっちりかなと確認をして、会場の中へと入る。
アリーナ席のエリアで番号を確認し、着席してこんな近くでしのふじに会えるの嬉しい。早く会いたいなと思いながら、早速購入したスマホストラップフォルダーをつけてみる。
ホルダーの形が花の形をしていて、やっぱり可愛いと眺めてた。もう真昼くん、受験終わってるよねと腕時計を確認してみたら十七時半過ぎになっている。十八時から始まるから、お疲れ様というのは後にしよう。
着々とファンの人たちが集まって行き、十八時になりそうでスマホの電源をオフにする。ペンライトを持って、Wizuteriaと会場から響き渡り、私もWizuteriaと声をかけ続けていると、会場が暗くなりコンサートが始まった。
◇
受験が終えひと段落をしても、二次候補の守城大学があるから、油断は禁物。陽羽ちゃんを避け続けてしまい、そろそろ構ってちゃんが出てきてもおかしくはない状況。デートの時にたっぷり甘えさせてあげよう。
あの日、僕が捕まった時の岩渕さんの表情が忘れられない。陽羽ちゃんを諦めなければ、昼奈がどうなってもいいのと脅された。
僕にとって昼奈は大事な妹と以前、岩渕さんに話してしまったことで、僕が陽羽ちゃんを諦めなければ昼奈の命が危ないということ。
岩渕さんがまだあまり知られていない組織の一員だったとは知らず、僕たちはともに何度か過ごした。そして陽羽ちゃんのことを知っている人物、藤太郎という名に聞き覚えがあり、検索をかけたところ、芸能人。
なんでこいつが陽羽ちゃんと接触していたのかは不明であっても、きっと僕の知らない場所で会っているのだろう。
ここで陽羽ちゃんがこいつのファンとかだったら、大ショックで心が折れそうだ。
岩渕さんはクリスマスの日に別れを告げなければ、昼奈の命はないからと追い出された。猶予を渡されたような感覚で、僕はどちらの選択をすればいいのかまだはっきりしない。
ここで叔父の力を再度借りてしまえば、陽羽ちゃんのお父さんや透先生に疑われるのは確実だ。
家へと帰るとにいにおかえりと昼奈の笑顔をみる。ただいまと頭を撫でてあげて、サンタさんいつ来るかなとまだサンタさんを信じている昼奈。
昼奈にどれくらいプレゼントを用意したんだかと、押入れには入り切らないんじゃレベルのプレゼントがしまってある。
開けられたら終わりだと思うも、昼奈は押入れをあまり開けないためそこにしまっているのだろう。受験どうだったと修さんの奥さんに聞かれ、完璧ですと報告して、部屋へと入った。
ふうっと机にしまってある陽羽ちゃんに渡すプレゼント。僕が以前あげたネックレスはちょっと錆びついていることがはっきりして、ちゃんとしたアクセサリー屋でネックレスを買った。
諦めたくない一心で、どうやって組織を潰そうか迷うも、僕もやはりシルバーウルフとして動いたほうがいいのかな。明日は母さんが病院からここに来ると聞いてる。
それまでには答えをまとめておこうとしまい、守城大学の勉強をしていった。
◇
とても良かったと最後のほうで泣いちゃったけど、これでリフレッシュできたし、受験に頑張ろう。会場を出てスマホに電源を入れてみると、お母さんからだった。
渋滞にはまっちゃって少し待っててちょうだいとある。この時間帯って渋滞にはまるっけと疑問になりながら、オッケースタンプを押す。
どの辺で待ってようと歩いていたら、何か視線を感じてしまう。周りの声が私の歩き方について喋っているような感覚。今までは真昼くんたちがいたから気にしてなかった。
けど一人になるとやっぱりとお腹を抑えてしゃがみ込む。どうしよう、せっかくリフレッシュできたのにと思っていたらヘッドホンをつけてくれた。その曲がWizuteria。
誰と後ろを振り向くとなんとフードを深く被ったしのふじ。大声を出しそうになりつつも、しっと唇にしのふじの指が触れ、こっちと私の手を取り歩く。
今、心臓がドキドキしてて、関係者立ち入り禁止の扉を開けその中へと入った。ついしのふじと声に出すと陽っちゃぁんと抱きつく。抱きついたことでフードが降りてしまって、心臓が飛び出しそうな勢い。
「あのっ」
「陽っちゃん、会いたかったぁ。ずっと、ずうと陽っちゃんに会いたくて」
「えっと…」
しのふじは私に会えてすごい喜んでて、なんとか思い出してあげたいけど、全然思い出せなかった。どうしようと思っていたら、おい、藤と仲間が到着してしまう。
私を見てなにファン連れてるんじゃいと突っ込みを入れているのは、ギターの利木純連さん。間近で会えるだなんて思っても見なかった。
無表情でテレビでは一度も笑顔を見せたことがないと言われている、薫衣想さん。
「もう、コンサート終わったんだし、いいじゃん」
「よくない。マネージャーが来る前に帰らせないと、後できつい説教喰らうの俺たちなんだから」
「仕方ないなぁ。陽っちゃん、また今度話そ。だから連絡先教えて」
このタイミングで、連絡先交換しちゃっていいのとあわわしてたら、純連さんが交換してあげてと言われた。スマホは首に下げたままで、それをとるとグッズ買ってくれて嬉ちいと言うしのふじ。
連絡先を交換すると、アイコンが藤の花だった。帰る前にヘッドホンを返そうと首から外す。
「ヘッドホン」
「ん?あっそれ迂生の愛用ヘッドホン。それ陽っちゃんにあげる。早めのクリスマスプレゼント」
「大事なものいただけません」
ついヘッドホンを返して、帰ろうとしたら、待ってと私の手首を掴む。私の首にヘッドホンをかけた。どうしてと振り返ると、しのふじは眩しいくらいの笑顔でこう言う。
「陽っちゃんにあげたいから、持ってて。連絡、後で入れるからチェックよろしくね。スタッフさぁーん、この子迷子だから入り口まで送ってあげて」
迷子じゃないと思っても、初めて入る場所だから、帰りが不安だった。三人に見送られながら、スタッフさんにすみませんとなぜか謝れる。
私もすみません言いながらいつも通りの出入り口に到着し、スマホを確認したらお母さんからで、どこにいるのとあった。
まだドームの入り口と送り、お母さんが待つところへと向かった。
◇
棒キャンディーを口に咥えながら、明後日の計画が本当に楽しみでしかなかった。レッドクレインの長から奪い、そして長を殺害後、陽空にこれを飲ませる。
陽空には害はなく、陽空に宿っている命も奪う。そうすれば陽空はレッドクレインから解放され家に帰れる。
夜一は一緒に暴れられなくなっちゃったけど、そうさせちゃったのは僕ちんだ。僕ちんはシルバーウルフとちょっとした取引をしてたから、夜一、つまり夜瀬組が襲われたのは当然だった。言っちゃえばきっと夜一は僕ちんと縁を切るだろうね。
「黎明様、いよいよ」
「そうだね。僕ちんたちの話を聞いてくれなかった警察たちが今更止めようとも無意味。捕まる覚悟はできてる?」
僕ちんがかき集めた人たちが立ち上がり深く頷いて、その覚悟を持ってくれていることに感謝だよ。
◇
クリスマスイブとなり、朝起きたらたらインターホンが鳴り、はいと出てみたら宅急便だった。出てみるとやや大きめのダンボールが届き、何これとリビングまで運んでもらう。
お母さんがサインをし、なんだろうと段ボールを開けてみると、にゃあと鳴き声が聞こえる。
猫ケージにリナムがいて、それ以外にキャットタワーや、リナムのご飯やおやつがどっさり積まれていた。ちょうどお父さんが寝室から出てきて、クリスマスプレゼントかと少々驚きながらセッティングをしてくれる。
私はリナムを猫ケージから取り出し、本当に送ってくるとは思わなかった。他にも何か入ってたわよとお母さんが私にくれてなんだろうとリナムを膝に乗せ、それを開けてみる。
その中身は水色と白の手袋とマフラーで雪の結晶が入っていた。メッセージにこう書かれてる。この時期は寒いだろうから、暖かく、受験に備えろよ。メリークリスマスと書いてあった。
雪、ここまでしなくてもいいのになと思いつつ、貰ったものを装着してリナムと一緒に写真を撮る。
リナム到着したよ、プレゼントありがとうと送り、姉は帰る支度の準備が終わったようだ。すでにレッドクレインの車が到着しており、お父さんとお母さんは姉とハグをする。
多くの人々を守るために姉を手放さなければならなかった。こんなの卑怯すぎるよと思っていても、姉は鶴といないと不安が多く、いつも連絡を取り合っていたのは知ってる。
それじゃあと姉は鶴がいる家へと帰って行き、お母さんはお父さんの胸を借りてしばらく泣いてしまった。
姉の部屋に入り、全て姉の私物はもうここには存在しない。寂しさがあり姉が使用していた机に触れる。お姉ちゃんと雫が机にこぼれ落ち啜り泣く。
姉の異変に気づいてあげられなかったことで、姉を犠牲にするだなんてと泣いていたら、インターホンが鳴った。誰だろうと下へと降りてみると、翠が帰国してたっぽい。
「翠…」
「おじさんから話を聞いて、来ちゃった。陽羽」
両手を広げる翠で私は涙目になりながら、翠に抱きついてしまう。抱きついたことで翠の腕が背中に回り、私はしばらく翠の胸で泣いた。
落ち着いた私はお母さんの手伝いをしていて、お父さんと翠はお父さんの部屋で話し合っているみたい。何を話しているんだろうかと、少々気になりつつもクリスマスパーティーの準備をしていく。
本当は疾ちゃん家でやろうと企画を立てていたものの、疾ちゃんがこのタイミングで発熱を起こしてしまい中止となった。受験も控えているため、移したくないから見舞い来なくていいと言われている。
だから今日は透たち、つまりお父さんの部下たちと共にクリスマスパーティーをすることになっていた。仕事があるはずなのにパーティーしちゃっていいのかなと手伝っていたらスマホが鳴る。
誰だろうと手を洗って、スマホを取り出すと、Wizuteriaのファンクラブメールからだ。タップするとクリスマス動画が送られていて後で見ようとエプロンのポケットにしまった。
後はもういいわよとお母さんが言うもので、リナムを抱っこし私の部屋へと入る。明日、真昼くんとのデートでなんて言われるのかわからずとも、真昼くんのことを信じてあげなくちゃ。
ふと夕哉さんがくれたキンセンカのスノードームと、それからしのふじがくれたヘッドホン、そして雪からもらったマフラーと手袋。ちゃんとお返ししなきゃなと、ファンクラブのIDとパスワードを入れて、動画を眺めていた。
ファンにとっては嬉しい言葉をしのふじたちが言ってくれて、少し気分が良くなる。その動画を見ていたら、ノックが聞こえ入るよと翠が入って来て、画面を閉じた。私がWizuteriaが好きだということは知らないだろうな。
「陽羽」
「ん?」
「左手出して」
なんだろうと左手を出すと翠はポケットから何かを取り出しつけてくれた。それはクローバーをモチーフにしたブレスレットだ。
「僕からのクリスマスプレゼント」
「ありがとう。翠が帰ってくるなら、事前に準備」
言おうとしたら翠が抱きしめていて、ちょっと翠と胸を押す。翠は悔やんでいるような瞳で私を見て、ごめんと目を逸らした。ドキッとしちゃったけど、翠が今も私のこと想ってくれていることに気づいてしまう。
私も翠の顔を見られなくて、違う方向を向くも指が絡まり、離れようと思っても強く握られてしまった。
「まだ僕にチャンスがあるなら、陽羽を守りたい。父さんも母さんも、僕の意思聞いてもらったから、日本に戻ることにした。受験が終えるまで、僕は日本に滞在する。それまでに返事を聞かせてもらえる?」
「私は真昼くんと付き合ってるから…」
「すぐ決断はしなくていい。陽羽の心は悩んでることはわかってるから。答えが出るまで待つ」
翠と手紙のやり取りをしなくなったことで、翠は諦めてくれたと思ってた。けど翠はこうして私のことを思ってくれていたから、ちゃんと気持ちの整理をしなくちゃならない。
「わかった。もう少し考えさせて」
うんと翠の手が離れ、今年はやたらとプレゼント貰ったなと感じてしまった。
◇
インターホンが鳴り、確認してみると母さんで開けてあげる。少しして玄関のインターホンが鳴り、昼奈と一緒に出迎えた。母さんは僕と昼奈を見て、涙ぐみながらしゃがんで昼奈ごめんなさいと昼奈にまずハグをする。
そして立ち上がった母さんは僕にハグをして、本当にごめんなさいと謝った。
修さんと修さんの奥さんも来て、母さんは深く頭を下げ、娘と息子がお世話になりますと言った。修さんはいいと母さんを慰め、パーティーをする。
昼奈は買ってもらったプレゼントを次々へと開け、僕は貯めたお金で母さんが好きなブランド品を渡す。
「真昼…」
「僕からのプレゼント」
母さんは嬉しそうな笑みでありがとうと言ってくれて、母さんからプレゼントを貰う。なんだろうと袋から取り出すと、それは以前、僕が欲しいなと思っていた腕時計だった。
「母さん」
「息子が欲しいものぐらいわかるわよ。修さん、二人きりで話させてもらってもいい?」
構わないと言われ、なんだろうと僕の部屋で話を聞くことに。母さんは広いわねと言われながらも、母さんは僕が好きな作家の本を一冊とって言われる。
「真昼、一緒にアメリカに住まない?」
「えっ…叔父さんがいるから…?」
「それもそうだけど、真昼には言っていなかったことがある。真昼のお父さんはね」
母さんの言葉が耳に入っていかず、思わずプレゼントを落としてしまった。信じたくはなかった。僕の父さんは目の前で殺されたのに、生きてるわけない。
母さんは僕が信じられていないことで、プレゼントを拾い、それを僕に渡して、母さんがスマホを見せてくれた。そこには雪と父さんが写っていて、父さんは今、雪と一緒にいることが判明する。
「すでに真昼はマフィアの息子として動いたことで、後戻りはできなくなってる。それはわかっているわよね?」
「そうだけど、それは陽羽ちゃんのお父さんに言われて」
「真昼、正直に言いなさい。雪から聞いてるわよ。陽羽ちゃんや陽羽ちゃんの姉を危険に晒し、組の息子に怪我を負わせたこと。その指示が真昼だってことを」
なんで母さんに言うのかなと、下を向くも笑いが込み上げてきてしまう。そう、その通り。叔父さんを動かしたのも、レッドクレインの長、鶴に伝えたのも僕だ。
陽羽ちゃんが全然、僕を見てくれないし、僕が動き出したら他の奴らも動き出すからさ。
「母さん、こんな僕をアメリカに連れてっても無意味。僕は諦めるつもりはない。ただ、母さん。僕さ、今脅されて、昼奈を危険に晒すって言われてる」
それはいけないわねと母さんは怒るのではなく微笑み、母さんも母さんだよと、どうすればいいのか話し合っていった。




