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39羽

 シルバーウルフの構成員が現れちゃって、漆月くんは私を後ろへとやる。シルバーウルフの構成員たちはバット等を持っていて、簡単には逃がしてくれそうにない。

 雪は冷ややかな笑みを浮かべ、漆月くんに言い放つ。


「陽羽を渡してくれさえすれば、見逃してやる」

「どの道、俺様が真実を知っちゃったことで、見逃してはくれないっしょ」


 その通りだと構成員が飛びかかってきて、漆月くんは口笛を吹くと部屋の中に組員がいたらしく、構成員を止めてくれてた。こっちと私の手を引っ張って、廊下へ出ると、見たことがない光景を目の当たりにしながら、伊宮と大声で叫ぶ。

 けれど透の声が聞こえず、私に近づこうとする構成員を殴ったりする漆月くん。


「烏丸、伊宮は?」

「車で待機させています」

「わかった。陽羽先輩、怖い思いさせちゃってごめん。烏丸と一緒に伊宮のところに案内してもらって。このおじさんは強いから大丈夫。それじゃあ頼んだ」


 漆月くんはまた会おうねと手を振り、近づいていくる構成員を殴りながら、雪のところへ行ってしまう。失礼と私を抱き上げ、透が待つという車のところへ連れてってもらった。途中で襲いかかってくる構成員を蹴り飛ばす人で、すごいと思ってしまう。

 私の荷物は透が持ってるのかなと玄関を出て、正門へと出た。叶恵ちゃんは大丈夫なのかなと少々心配になりつつも、透がこっちだと手を振っていて車の前で降ろしてくれる。


「この借りはきっちり…」

「夜一坊ちゃんに感謝するんだな。借りは返さなくていい。その代わりお気に入りの子と過ごさせてもらうと伝えておけ。では」


 私に一礼をした人は漆月くんを助けに行き、早く乗れと言われたから助手席に座った。


「真昼くんは?」

「…残った。話は後でするから今は逃げんぞ」


 うんと出発したら後ろから車が追いかけてきて、逃がすつもりはないっぽい。


「佐田、ルートを頼む。背後から車が一台、追いかけてくる。凛太郎さんは?」

『まだ会食場から出ていないようなので、まだ話は終わっていないと思いますよ。星河さんも車を出してるので、合流地点を送ります。そこで陽羽ちゃん、星河さんの車に乗って来てね』

『余はまだ教授の仕事があるけど、シルバーウルフが関わっているのなら仕方ない』


 連携をちゃんと取っていて、透と離れたら透はどうするんだろうかと聞いちゃった。


「透」

「平気だから心配すんな。まずは逃げ切ってからだし、すでに手配済みだろ?」

『はい。すでに連絡はとっていて、警察が動いているので、大丈夫です』


 ほらなと言ってくれるから、大丈夫と信じるしかないのだろう。私の鞄は透が持っててくれたから、スマホを取り出すも、今連絡しても意味がないよね。

 まだ追ってくる車があり、このタイミングで雪が動いた理由と漆月くんが言っていたことが本当なら、真昼くんはきっと私の前から消える。

 漆月くんに今度謝らなくちゃと、車を走らせ地下駐車場へと入った。


「俺が引きつけておくから、陽羽は星河さんの車を探して、行け」

「気をつけてね」

 

 あぁと透と一緒にまずは出て、様子を伺いながら、透に行けと言われたから、星河教授の車を探す。可愛らしい車だったようなと探していたら見つけた。

 助手席に座り、お願いしますと伝えて車が走る。


「災難な一日だね」

「はい…」

「凛太郎さんにはメールで送っといたから、そろそろ家に到着してる頃だと思う。陽羽ちゃん、その前にその格好は?」

「挑発のためにこれを着させたんだと思うんです。それから重要な子と会いました。後で全て報告させてください」


 お願いねと星河教授に言われながら、透と助けてくれた漆月くんが無事であってほしいと外の景色を眺めた。



 漆月の部屋で待機をしている僕は、くくくと笑いがこみ上がり、高笑いをしながら深くソファーに寄りかかりながら天井を見上げる。すでに陽羽ちゃんはシルバーウルフの手の中に入った以上、あの人を止められはしない。

 選択肢を間違えなければ陽羽ちゃんを危険に晒すことはなかった。僕が行くということはあの人も登場することぐらい、頭に入っていただろうに。しばらくして声が段々と聞こえなくなり、パトカーの音が響き渡る。


 あの人たちは一旦引くのだろうと思いながら、漆月が戻って来るのを待つ。それでも戻って来ないことで、部屋を出るとあちこちには夜瀬組の負傷者が多くいた。

 漆月はどこだろうかと探し回っていたら、客室でうつ伏せ状態で倒れ込んでいる。ねえと足でやっても反応がなく、仰向けにすると大量出血をしていた。あの人やりすぎじゃんとありったけの布で抑える。


 警察官がぞろぞろと入って来たっぽく、すみませーんと大声で叫んで、警察官に救急隊を呼んでもらった。処置をしてもらい、君はと言われ、漆月の友人ですと答える。

 君も署まで同行を願いますと言われ、警察署に連行された。



 はあ、はあっと漆月が搬送されたらしい病院へと急いだ。クリスマス、一緒にケーキ食べに行く約束と思っていても、なぜよりによって、このタイミングで狙われたの。

 受付で教えてもらい集中治療室へと足を運ぶ。ガラス張りの向こうには漆月が寝ていて、なんでと窓に手を当てる。


 あんなに楽しみにしてたじゃんと見ていたら、漆月さんと一緒にいた烏丸という人が包帯をしてこっちに来た。


「来てくれて感謝する」

「いえ…漆月はどうして?」

「マフィアとの抗戦で、ボスに挑んだ結果。坊ちゃんは陽羽様とこれ以上関わるなと申し出たところ、抗戦が始まった。危険が承知だったとしても、坊ちゃんは紗良様に喜んでほしかったと」


 烏丸が言うに漆月は陽空ちゃんがどうしてレッドクレインに買い取られたのかを探っていたらしい。そこで鍵を握っている子を見つけ、保護。陽羽と面識があったため来てもらったところ、ちょっと調子に乗ってしまったのがいけなかったらしい。


「それで助けた子はいま」

「この病院に入院中ではある。ただ、シルバーウルフが来たことで余計に不安をもたせてしまったことで、心を完全に閉ざされている」 


 PTSDを持っているなら尚更、会いたくない人に会ったら余計に心を閉ざしてしまうケースもある。


「陽羽は大丈夫ですか?」

「わからない。刑事に渡したから大丈夫だろう」


 刑事、あの人かと思い出して、一日でも早く漆月が良くなることを祈るしかなかった。



 なんとかまいたようでお父さんたちが働いている場所へと入る。一度来たこともあって、今は家に帰るのは控えたほうがいいかもしれないと星河教授に言われここに来た。


「疲れたでしょ。夕飯何食べたい?選んで」


 夕飯の時間が過ぎていて、緊張が解けたからなのか、お腹が鳴り出してしまう。それじゃあと牛丼屋さんのチーズ牛丼を伝えると買って来るねと言われ、佐田さんは買い出しに向かわれた。

 どうぞと星河教授がココアを淹れてくれてそれを飲みながらスマホを取り出す。


 疾ちゃんに連絡いれようか、それとも催花ちゃんか千ーちゃんに話を聞いてもらおうか迷った。言えるわけないとスマホをポケットにしまう。

 不安が大きくなりつつも、透が大丈夫って言ってたから、大丈夫だよねと待っていると、陽羽とお父さんが来てくれてお父さんに飛びつく。


「すまない、陽羽。一緒に帰るべきだった」

「ううん。私は大丈夫だけど、叶恵ちゃんが」

「叶恵ちゃん…?陽空のお友達か。確か倒産して転校したと聞いているが」


 私は漆月くんからもらった情報を全て打ち明けていき、情報をありがとなと私の頭を撫でる。


「お父さん…」

「今日は疲れているだろうから、ご飯食べたら一緒に帰ろう。明日、学校だろうがもう一度ゆっくり話を聞かせてくれ」

「わかった」


 話しているとスマホが鳴り出して、紗良からで電話に出ると、紗良が泣いている声が聞こえた。


「紗良?紗良、何があったの?」

『漆月がっ漆月がっ』


 お父さんに目を合わせ、スピーカーにと合図が来るからスピーカーにして、状況を確認する。


「紗良、落ち着いて。漆月くんは無事なの?」

『病院…状況がやばい。あたしが陽羽のこと打ち明けちゃったからだっ。どうしようっ』

「今どこにいるの?」


 病院と言っていて、星河さんがすぐに調べてくれたっぽく、漆月くんが搬送された病院へと向かった。車で佐田さんが買って来てくれたチーズ牛丼を食べつつ、シルバーウルフは国際犯罪秘密組織でもある。

 ご馳走様でしたと袋に空となった容器をしまい、運転しているお父さんに聞いた。


「真昼くんと別れたほうがいいよね…」

「そのことはまた改めて話そう。今は助けてくれたという漆月くんのことを考えておきなさい」


 漆月くん、夜瀬組と言っていたからヤクザの息子ってことになるよね。


 病院に到着し駐車場に止めて、集中治療室へと入ると椅子に座って落ち込んでいる紗良がいた。紗良と声をかけたら陽羽と飛びつき、どのタイミングでこのことを打ち明けようか迷う。

 お父さんはスマホを見て、ちょっと出てくると言われたから、紗良と一緒に座った。


 他の人たちも大丈夫だったかなと紗良を落ち着かせていたら、なんと蓮見さんが到着する。


「陽羽ちゃん、無事でよかった」

「蓮見さんなぜこちらに」

「紗良とちょっとした知り合いで、紗良、帰ろう。陽羽ちゃんも疲れているのに、わざわざ来てくれたんだ。もう遅い、明日また見舞い行こう。な?」


 紗良を慰める蓮見さんであり、そうだよと私も慰めていたら、傷だらけの透がやって来た。蓮見さんは紗良を連れて、帰ってもらい、透は悔しそうな瞳をしている。


「透…」

「あの時、俺も加担しておけば、漆月がこうなることを防げたかもしれない…」

「透のせいじゃないよ」

「いや、刑事として動けばよかった。それなのに俺は…悪い。ゆっくり休んで、明日、ちゃんと話そう」


 お父さんもやって来たことで、漆月くんを一目見た後、自宅へと戻った。



 構成員と乾杯しながら、真昼からの情報で、嗅ぎ分けている人物がいると聞いて駆けつけてよかったよ。病院に搬送されたららしいが、あまり持たないだろう。

 陽羽が真昼のことを信じてくれていることで、身を引こうと思ったのに、挑発するからやるしかなかった。記事に流すという情報は全て削除しておいたから、情報が漏れることはまずない。

 

 陽羽はきっとやつがれを犯罪者として見るのは確かなことで、本当に最悪な場面を見せてしまったな。真昼は冷静でいられるかが心配になってくる。


「ボス、よろしかったんか?真の姿をお見せしよって」

「そのほうがやつがれに怯え、従うだろ。こうなってほしくなかったら、やつがれの思うがままに動いてもらう作戦」

「裏目にではっても、某は助けることはできへん。それはわかってますよな?」

「わかってる。あの陽羽の姿、写真撮っておけばよかった。後で真昼に写真あるか確認するとして、鶴はなんか連絡来たか?」


 タブレットを操作し、見せてもらった内容を見て、一言だけ。勝ち誇ったと言うメッセージだった。さすがは鶴だなとおめっとさんと送り、タブレットをまるに返す。


「まる、クリスマス、実行を頼む」

「すでに手配は済ましておるで」


 ならいいやとふわあと眠くなり、アメリカへ帰国することにした。


 ◇


 翌日となり、まだ眠気がありながらも、今日は学校を休み、お父さんの仕事場で再度話をすることになっている。話し終えたらお見舞いに行きたいとお父さんに伝えてあるし、紗良も病院に来るだろうから、その時ちゃんと話を聞いてあげよう。

 私服に着替え、真昼くんがくれたネックレスをいつもつけてたけど、今日はやめといてリビングへと入る。


 姉はまだ寝ているようで、朝食を頬張っていると、ソファーで寝ていた透が目をしょぼしょぼしながら起きた。昨日は夜遅くまでお父さんと話をしていたらしい。


「陽羽、おはよう。おはようございます、灯里さん。泊めてもらっちゃってすみません」

「いいのよ、陽羽を救ってくれたんだもの。感謝しかないわよ」


 透の朝食もあるよと伝え、いただきますと手を合わせて言い、食べ始める。お父さんも珍しく遅めの朝で寝癖が酷いも先に朝食を食べるようだった。


 まだお父さんに打ち明けていないことがある。それは真昼くんのお父さんが生きていること。きっと証拠は削除されちゃってるだろうし、突き止める方法もないからな。

 それに真昼くんにおはよう、昨日のことで話せないとメッセージ送っても既読がつかない。スマホを見ていないのかわからずとも、真昼くんから返事をもらうまで待つしかなかった。


 ご馳走様と食器を台所に置き、鞄を持ってスマホを一度チェックしてみる。催花ちゃんからで、了解と言うメッセージのみだった。


 お父さんと透の支度が終えて、お父さんたちの仕事場へと向かう。真昼くんとのクリスマス、とても楽しみにしてたし、プレゼントも用意したけど、渡せないかもしれない。

 

 


 仕事場に到着し、佐田さんは仕事場で寝ていたようで、まだ布団から出ていない。星河教授は授業があるから今日は来ないようだ。

 透が佐田さんを起こし、昨日の状況を再度説明を行った。


「漆月くんが夜瀬組と言っていたんだな?」

「うん。夜瀬組の領域内へようこそみたいなことを雪に話してた」

「全然組らしき人物がいなかったから、ただの坊ちゃんと認識していたな。抗戦が始まることを想定して、使用人たちはいなかったのかは不明です」

「そうか。透、真昼くんと待っていたのだろ?どんな状況だった?」


 透はそれがとトーンを落とし、何か真昼くんに言われたのだろうかと、透があることを私たちに言う。


「烏丸が部屋に来た時、真昼が、叔父を止めるからすぐ車を出せる準備をしてくださいと言われて車で待機してた。待機してたら、陽羽ちゃんが来たらすぐ出してくださいってメッセージもらったよ」


 透のスマホを見せてもらい、ちゃんとそのメッセージがあることが証明された。真昼くんは雪を止めてくれたけれど、漆月くんは大きな怪我を負ってしまったことになる。

 話し込んでいると佐田さんが、朝峰警部これ見てくださいと大きなモニターから流れた。見ちゃってよかったものなのか、分からずとも警察官が真昼くんを運んでいる様子が見れる。


「やられたな」

「えっ」

「狙いは元々真昼くんだったようだ。至急、真昼くんを連れ去った人物の追跡を要請しろ」


 了解ですと佐田さんは電話しながらタイピングをし始め、真昼くんが攫われたってこと。だからメッセージも返事ができないのかもしれない。


「シルバーウルフか」

「いや、まだ判断しにくいが、あの場にいたのはシルバーウルフだ。事前に警察の姿となって拉致することは可能だ」


 その言葉でまだ言いたくないけど、まだ真昼くんを信じたいけど、言うしかないとお父さんと声をかける。


「どうした?」

「…漆月くんが教えてくれたのまだあるの。真昼くんのお父さんが生きてる」


 言うと二人は仰天ニュースでも聞いたかのような瞳をしていて、ちゃんと説明をした。


「タブレッドで見せてもらったの。真昼くんのお母さんを連れ出す真昼くんのお父さんが。フェイク写真だろうと雪は言ってたけど、漆月くん、雪がアメリカにいることを知ってたらしくて、犯行ができるのは真昼くんのお父さんだけだって」

「…どうなってる。霊安室で昼秋の顔は見たからすでに亡くなっているはずだ。生きているわけない」

「どうします?」

「FBIに真昼くんの父親がいるか、確認をとってもらう。昼秋が生きているのであれば、昼秋の身代わりとなった人物が誰なのか特定しなければならない。すでに遺骨となってしまった以上、特定は難しいだろうが昼秋が眠っている寺に問い合わせてみる」


 とてつもないことが起きてしまったようで、レッドクレインの件も含め、お父さんたちが忙しくなりそうな感じだ。スマホを取り出し、聞きたくないけれど雪に聞いてみる。

 そっちに真昼くんを連れてったのと送ってみたら、すぐ既読がついて可愛らしいハスキー犬のびっくりスタンプがきた。


 やつがれのところには連れてってないし、連れてくるなら陽羽と一緒に連れて帰るぞとメッセージが届く。


 お父さんと透に見せてあげて、お父さんの指示を仰ぐ。


「シルバーウルフでなければ、別の組織だろう。シルバーウルフに恨みを持つ組織がないか確認してみてくれ」


 真昼くんが何者かに誘拐されたらしいんだけど、シルバーウルフを恨む組織や人間っていると送ってみる。既読はつくもすぐ返事が来なかった。

 そしたら雪から電話がかかってきてしまい、出なさいと言われたから出る。


「雪…」

『昨日は悪かったな。怖い思いさせちゃって。真昼が誘拐された時間帯ってわかる?』

「私はシルバーウルフに追われてたから、分からないけど、警察の格好をした人が真昼くんを運んでたっぽいの」

『…厄介な奴現れたな。今、お父さんそこにいるか?』


 いるとお父さんが反応し、雪が情報提供をする。


『そいつは変装術が上手い奴で、結構シルバーウルフに噛みついてくる輩だ。最近は大人しいと思っていたが、そいつの組織を見くびらないほうがいい。やつがれの組織より、組織は小せえがやる時はやる組織。まるがある情報をそっちに送るから、見とけ。真昼のことはやつがれたちが助けに入るから、陽羽は待っててあげろ』


 ブチッと切れてしまい、佐田さんがなんか変なメール届いたんですけどと文句言っていた。お父さんと透が開けていいか悩みつつも、ポチッと押したらしく、雪がくれた情報っぽい。

 すでに真昼くんが日本から離れているケースがあるため、お父さんはそれも踏まえてFBIと連携をとってくれるらしく、私は雪を信じて待つしかなかった。



 よりによって偽警官に捕まるだなんて思いもしなかった。早くなんとかして逃げたいけど、縛られた紐が頑丈すぎて解くことはできない。それに不気味すぎて盗撮したらしい陽羽ちゃんの写真がびっしり貼られてある。

 僕をどうする気だと縄を解こうとしたら、紫のジャンバーを羽織って、髪の毛は後ろに束ねていた。しゃがんだその人は僕の前髪を掴み、笑顔で聞かれる。


「こいつが陽っちゃんの彼氏?」

「それが何?」

「ふうん。なら殺そう」


 前髪を掴むのをやめ、バッドらしきものを手にし、そいつがバットを振り下ろそうとした時のことだった。そいつを止めてくれたのは、信じられない奴。


「岩渕…さん?」

「ごめん。催花には黙っといて」

「岩ちゃん、こいつ殺す。迂生のおもちゃとった奴は誰であろうとも」


 目を光らせていて今でもバッドを振り下ろそうとするから、やめておけと頭突きをして倒れる人。


 連れてってと岩渕さんが手拍子で叩くと紫のジャンバーを着た人たちが倒れている人を部屋から追い出す。


「レッドクレインとシルバーウルフが動いてるっていうから、こっちも仕掛けさせてもらう。南雲っち、悪いけどさ、藤太郎のために、陽羽ちゃんのこと諦めてくれない?」


 いつもの岩渕さんではなく、目が殺意を感じていて、なぜ今まで岩渕さんのこと気づかなかったのか分からず、冷や汗をかきながら動揺してしまった。

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