36羽
クリスマスが近づくにつれて、姉はあれから普段通りに生活を送っていた。大学はすでに中退しているらしく、姉が使用している部屋を整理整頓をしている。
本当にこのままでいいんだろうかと気にしつつ、行って来ますと学校へと向かった。
冬となりぐんっと寒くなって来て、息が白いのが見える。真昼くんとのデートの日に、姉は挙式。このまま真昼くんと過ごしていいのだろうかと思っちゃう。しかも紗良は最近くっついてくる漆月くんと一緒に初デートなんだとか。
駅の前では真昼くんが待っていて、真昼くんお待たせと伝え、一緒に登校する。
「あれからお姉さんは?」
「んー初日は泣きっぱなしだったけど、すぐ変わって、部屋の整理してる感じかな。お父さん、あれから帰って来てないんだよね」
「そうなの?」
「うん。姉を見てられなくて、捜査に集中したいみたい。それに週末、その人と接触するの。そこに伊宮先生も同席の許可が出たけど、言い争いが始まりそうで、少々不安」
陽羽ちゃんも行くんだっけと聞かれ、うんと言い、僕も同席したいと言い出すんじゃないかと思ってしまった。そしたら私が思っていることが的中する。
「なら僕も同席したい。だってそいつ、この前、陽羽ちゃんを攫おうとした奴なんでしょ?」
「そうだけど、来ないほうがいいかもしれないよ」
「そうかな?後でお姉さんに聞いてみて。妹の彼氏も同席していいかどうか」
あの人がいいと言うようなイメージはなさそうだけど、真昼くんは私のために思ってくれている。帰ったらお姉ちゃんに確認してみよう。
「クリスマス、どうする?もしあれだったら今年はお姉さん優先していいよ」
「んー多分、お父さんはあまり関わってほしくないから、真昼くんと一緒にいなさいって言われそう」
そのことを伝えると真昼くんは照れ笑いをし、私も照れ笑いする。そうは言ってもクリスマスの日に何かが起こりそうと思いながら電車から降りて、守城高等学校方面を歩く。
「陽羽ちゃんとクリスマス、一緒にいられるの嬉しい」
「昼奈ちゃんはその日大丈夫?」
「もちろん。イブに昼奈たちと祝うつもり。お母さんもマンションに来てくれるって言ってたからすごい楽しみたんだ。母さんの喜び顔、早くみたくて」
真昼くんはお母さんにあんなことされてても、お母さんとちゃんと向き合っている姿が誇らしい。途中で疾ちゃんが車から降り、おっはようと言われおはようと言いながら校門を潜る。
「お姉ちゃん最近どう?」
「さっき、僕が聞いたよ」
「別にいいだろ」
疾ちゃんも姉のことを心配してくれてて、さっき真昼くんに言ったことを伝えた。
「宗教の長と会食とかなんか仕組まれてそうで食べる気失せそう」
「毒とかはさすがに盛らないでしょ。言い争いが始まったらアウトのような気がして心配だよ」
「僕が陽羽ちゃんを守るから説得頼むね」
そういうことなんじゃないんだけどなと、下駄箱で上履きに履き替え、何も起きないことを願うしかない。
◇
姉貴が珍しく有休をとり、一人で店をやっていると、玲が組員を連れてやって来た。今の時間帯、客はいないから少しほっとしている。
「夕莉は?」
「あれ?玲に話言ってない?今日、陽空と話すから有休とったぞ」
「本当に陽空大丈夫?」
「んー紗良曰く、陽羽が言うに昔のお姉ちゃんに戻った感じって言われたらしい。昔の陽空は知らないからどんな感じなのかはさっぱり」
陽空と会ったのは事故に遭った時だったからな。玲は心配のようで、姉貴は護身術を持ってるから大丈夫だろうとは思う。ただ、陽空の周りにレッドクレインが張り付いていたら相当危ないような感じはしていた。だから玲に伝える。
「姉貴のことが心配なら、駅前のカフェで話すみたいだから、見てくればいいよ。レッドクレインも手を出さなければ、姉貴を襲わないだろ?」
「そうだといいけど、夕坊。あいつらは」
「犯罪を犯しているのは間違いはない。そう言えば破島の動きって取れたりできるか?」
「破島?取れるけど、なんかあったか?」
ちょっとなと伝え、姉貴の様子を見に行きつつ、破島の動きを見に行ってもらった。
玲は姉貴と付き合っているから、余計に心配なのはわかってるよ。大丈夫と信じて依頼の靴を作業していった。
◇
陽空から話があると聞いて、待ち合わせの駅で待っていると、久々の陽空が見えた。お待たせと笑顔で向けられ、少々驚きつつも、マタニティマークをつけている。
陽空がレッドクレインの長の子を宿しているという情報は、すでにおとんから聞いていた。とにかく行こっかと作り笑いをしつつ、カフェへと入って、カフェインゼロの麦茶を二つ注文する。
先に座っててもらって麦茶を持ち席に座った。
「連絡くれてありがとね。身体、大丈夫?」
「まだ若干つわりがあったりするけど、お腹の子は順調みたい」
嬉しそうに話す陽空であり、絶対に何かをされて通常の陽空じゃなくなったのは感じる。手放さないことによって、レッドクレインは一体何がしたいのか不明なことばかりだ。
陽空は麦茶を飲み、本当は子を下ろすよう説得したいけど、この気配、このカフェ内にレッドクレインがいるのは確信している。ここで変なことをすればあたしは確実に排除されるのだろう。ここは慎重に陽空と話さなければならないと、この前の体育祭を見せてあげた。
「陽羽の学年は優勝できなかったけど、団体は優勝できたらしいの」
「そうだったんだ。陽羽が楽しそうに学校行っててよかった。あたしがいなくても、友達がいるから大丈夫そう」
「陽空」
「あたしはこの子がいるだけで十分。悔いは残ってない」
おそらく陽空の友達は縁を切ったんだろうと思い始め、もう少し接触的に陽空の相談を受けていたら違う道があったんじゃないか。
なんて言おうか迷っていると、鞄からある手帳をあたしにくれる。
「これは帰ってから読んでほしい」
その言葉にきっとここに陽空が込めた思いが存在するのだと知り、わかったとその手帳を鞄にしまった。話題を変えるとしてもこれしか思いつかない。
「赤ちゃんの名前は決まったの?」
「候補はいくつか考えてるけど、性別が決まったらにしようかなって」
ここであたしはあることを考え、陽空に提案してみる。
「産まれたらあたしと夕哉から靴をプレゼントさせてほしい」
「ありがとう」
まだ延長戦になるかもしれないし、赤子が誕生しても、レッドクレインが存在するのであれば、靴に仕掛け情報を探るしかない。
「いつまで実家にいる予定?」
「クリスマスの前日までだからイブには帰る」
イブの前になんとか陽空を救わなければ、レッドクレインを支えていくこととなる。それだけは絶対に避けたいから、なんとしてでもイブ前に決着をつけなければならないってことね。
そこからはレッドクレインのことは話さず、他愛ない話をして、陽空と別れた。
道中、レッドクレインにつけられていることを知り、きっとこの手帳を奪いに来たのだろうと早歩きする。するとレッドクレインも早歩きをし始め、人混みに紛れた。
しつこい奴らと曲がった先には破島淡が煙草を咥えながらあたしを待っていたようだ、
「破島」
「久しぶりだな、夕莉。自分が止めておいてやる。さっさと行け」
「陽空をあんな状態にさせておいて、破島は何が目的なの?」
「すぐ逃がしてやるつもりだったが、予想外な展開が点々と起きてな。助けることができなかったというわけだ。早く行け」
足音が聞こえて、まだ聞きたくとも、あたしはレッドクレインから離れることに成功した。
◇
家へと帰っても、外を見るとレッドクレインの人たちが見張っていることがわかっていた。夕莉はきっとレッドクレインに尾行されていたとしても、うまく逃れることを願うしかない。
あの手帳は誰にも見せたことがなかった。本来ならばお父さんに託すつもりだったけれど、お父さんはあれ以来帰っては来ない。
だから夕莉に託し、その手帳を夕莉のお父さんに渡して、お父さんに託してもらおう作戦。うまくいくかわからずとも、あたしはもう後戻りができないとお腹に触れた。
あの日、破島に言われた通りの脱出通路を通ったけど、行き止まりで従業員に捕まってしまったこと。その影響であたしは鶴に犯され、子を宿してしまった。
下ろそうと何度も試したけれど、あたしを逃さないよう仕組まれている。心が壊れそうな時、救ってくれたのが破島淡だった。以前、お父さんが捕まえた詐欺師で、言葉がうますぎるから、まんまと罠にかかったと最初は思ってたけど違う。
破島はわざとレッドクレインとシルバーウルフに協力している理由はただ一つ。陽羽のためと言ってた。詳細は教えてはくれなかったけれど、破島はきっとレッドクレインを潰す何かを手に入れるため、動いているんじゃないかと感じる。
レッドクレインが潰れるまでは、大人しくしておけと言われた以上、この子が生まれたとしても、普通に接するしかない。
友達から連絡が数件届いてあっても、アカウントを削除し、以前陽羽がくれた写真をスマホケースに入れた。陽羽は今日、友達と受験勉強するとかで、図書室で勉強するから帰りは遅れるらしい。
陽羽の部屋へと入り、陽羽の机に置かれてある写真を見つめる。キャンプ場で撮った写真があり、いい友達ができてよかったねと陽羽のクローゼットを開け、陽羽が届かない棚からやや大きめの箱を取り出す。
陽羽が小学一年生の時だった物がたくさんあり、どれも懐かしいなと見ていきながら、絵日記帳を見つける。一枚ずつ見ていき、そこにはあたしと遊んだことや、夕哉と遊んだこと、疾太たちと遊んだことがぎっしり書かれてあった。
そして十二月二十五日、クリスマスの日が黒で塗りつぶされている。それはあたしが上書きしたもので、陽羽がレッドクレインとシルバーウルフを目撃し、尾行して見てしまったこと。
あたしはいつも悔やんでる。あの日、警察ごっこをしていなければ、陽羽は事故に遭わなかったんじゃないかって。ただ、レッドクレインとシルバーウルフの仕業じゃないことはわかってる。
鶴に確認をとった際、鶴の一家はその日、日本にいなかったことが証明され、シルバーウルフにも確認を取ってもらったところ、アメリカに滞在していたことが判明した。
お父さんは事故ではなく事件性と見て動き始めたのは五年前。上の指示で捜査をしていたとしても、情報が一切入手できなかったわけ。
きっと陽羽の成長と共に真犯人が動き出すのではないかとお父さんは考えているらしい。
それか夕哉が陽羽と接触しなかったから、犯人は現れなかったとしたらどうなんだろうか。陽羽と夕哉が接触したことで、色々と動き出し、あたしはレッドクレインの手の中へと入ってしまった。
それは自己判断で決めたことだから、公にはされていない。いつかレッドクレインが逮捕となれば公になるんだろうな。
絵日記帳をしまい、それからあたしに何かが起きた場合にとあるものを箱にしまう。気づくかわからずとも、箱を棚に戻して、クローゼットを閉めた。
部屋に戻っていらないものを仕分けしていくことに。
◇
夕莉から連絡があり、急いでセライヴニへと行ってみると、夕莉は玲と話していた。無事だったっぽく安堵を感じながら、近くによると二人が気づいて、夕莉がワインレッドの皮でできた手帳を渡される。
「これは?」
「陽空の手帳。中身は少し見させてもらったわよ。見てみて」
玲も見たっぽく何が書かれてあるんだかと開いてみたら、そこにはレッドクレインについての情報がびっしり詰まっていた。決行日はクリスマス、式の最中に大勢の人が死ぬと記されている。
場所は特定できなかったけれど、レッドクレインは都内全てに爆弾を仕掛ける準備が進んでるらしい。どこに爆弾を仕掛けるかは、わからないけど、それを回収しなければ災いが起きてしまう。それを知っているのはただ一人、陽羽のみ。
「えっ」
「びっくりじゃない。鍵を握ってるのは陽羽ちゃん。おそらく遠隔操作で同時に爆発させる気らしいわよ」
「陽羽ちゃんが記憶を失っている以上、聞くことすらできない。ただ陽空の手帳には、陽羽が一年だった頃の物がクローゼットにあるらしいから、それを探れってことなんだろう」
「灯里さんに探してもらうよう伝えておく。なんで俺たちに直接渡さなかった?」
最後の方見てみと夕莉に言われ最後の方をめくってみると、透へとありその文面を見ていく。
透へ
この前はあたしに触れようとしたのに、大声出しちゃってごめん。
鶴以外男の人が苦手になるよう、指導されちゃって、今でも鶴がいないと不安が大きい。
おかしいよね。
あたしは透が好きなのに、触れてほしかったのに、こんな身体になるだなんて。
その文面を見て、俺は火が出そうな勢いでありながらも、その続きを読む。
もう叶わないことだって知ってるけど、あたしは透が大好き。
透が陽羽のこと気にしてばかりで、たまにはこっち見てよって思っても、透は夕哉のために陽羽を守ってくれてるんだよね。
そう思うとさ、本当に陽羽が羨ましいって感じちゃった日々が多くて、やってはいけないバイトをしちゃった。
その影響なのかは知らないけど、破島と出会ってこの有様。
ばちが当たったんだって内心、諦めてたけど、怖い。
この先、あたしじゃなくなるような気がして、とても怖いよ、透。
あたし、どうしたらいいのかな。
助けて、透。
そこだけが湿った感じがあり泣きながら書いたんだろうと理解した。
助けてということは警察が動いていいという証拠となる。陽空が俺のこと好きだっただなんて、ちゃんとわかってあげられなかった。陽羽ばかり見ていたことで、陽空のことちゃんと見れていなかったことで、陽空は自ら犠牲になってしまったということか。
最低だな、俺とめくっていくと、そこにはこう記されていた。
あたしが住んでいるエリアの庭に隠し通路が存在し、そこに遺骨が多く存在する。今はロックがかかっていて開けられないけど、そこに行方不明者の人たちがいるよ。
絶対にレッドクレインの悪事を暴いてとあり、全てが終えたらちゃんと陽空と向き合おうと決めた。手帳を閉じカウンターテーブルに肘をついている二人が、感想はとニヤニヤしてるから、これは預かっておくと伝える。
「陽空が俺のこと好きだったのは知らなかったが、ちゃんと向き合うよ」
「正直陽空が透を好きだなんて今まで気づかなかったけど、透の話になるとキラキラしてたなって」
「陽空は長の子を産む気らしいけど、透はその覚悟はできてんの?」
「いや、全く」
ズコッと二人は覚悟してないんかいと言われた。
「ちゃんと向き合うって、レッドクレインが逮捕されたら、陽空はシングルマザーになるのよ。そこはちゃんとフォローしてあげなきゃ」
夕莉に言われてしまい、そこまでは考えてないと言うと、二人は深い深い吐息を出す。元々俺は家庭を持つとかまずあり得ないと思っていた。
それに陽空は妹のような存在だし、フォローはするつもりだけど、恋愛対象とかにはまずならないだろう。そしたら玲からあることを言われる。
「今はそういう気持ちはなくとも、いずれ自分の中で大切に思える人はいるだろ?陽羽は夕坊の女だし、他を当たってやれ」
ぎくっと玲までも俺を突くとは思いもしなかった。確かに俺は、夕坊のためにと陽羽に寄り添っていたからな。高校が終われば、刑事に戻り、陽羽のそばにいられなくなる。
それまでに全てが終えてくれればいいが、そうはならないだろうと感じていた。
「わかったよ。そう言う目線で見れるかわからないけど、陽空とちゃんと向き合うから。それでいいよな?」
まだ納得していないような二人であっても、期待しないような顔立ちをしている。
「陽羽離れしとかないと夕哉が目光らせるから気をつけなさいね。それともういい加減、夕哉に真実を話したらどうなの?」
「夕坊、ずっと透が何者か調べてるらしい。全て打ち明けたら、夕坊はすっきりすると思うから早く言ってあげなよ。透、夢だったんだろ?夕坊とサシ飲み。その時に打ち明けたらどうだ?」
俺が警察官になった理由、それは夕坊のために大事な人を守る役目。今となっては教師と生徒のやりとり程度だが、見守れるだけで十分だった。
いつかは離れる存在だとはいえ、俺にとっちゃ夕坊と同じくらい可愛い妹。
「レッドクレインの一件が終えたら、夕坊に真実を話す。それまでは夕莉、兄貴、俺のことは伏せておいてほしい」
「わかった。夕哉には伏せておくわ。あたしたちもできる限りのことはしておくし、爆弾がどこに設置されるか探ってみる」
「夜瀬組が邪魔して来なければいいが、そっちも自分たちがやっとくから、レッドクレインのことだけに集中しろ。それから黎明がレッドクレインを崩壊させるらしいから、注意は払っておけ」
「黎明が?」
玲はこくんと頷き、あのチビ助が夜瀬組に加担するとはな。すでに夕坊は黎明と接触したものの、レッドクレインに協力することはなく、黎明に加担することなく、違う方法で陽空を救う方法を探っているらしい。
「黎明の家族って確か…ちょっと黎明のこと調べるから、また何か情報があったら連絡してくれ」
セライヴニを出て佐田に連絡をしながら、停めていた車に乗り込む。スピーカーにし車を走らせ、署へ向かった。三コールで、伊宮さんと繋がり、佐田に確認をしてみる。
「東黎明のこと調べられるか?以前、昏籐組にいて、俺と面識がある奴」
『ちょっと待ってください。えぇと見つけました。東黎明、三十歳、現在はゲーム会社で働いているようですが、両親は十二歳の時に亡くなっているみたいですよ』
「なぜ俺や玲に言わなかった…。佐田、他に情報取れそうなものありそうか?」
やってみますねとタイピングの音が聞こえながら、車を走らせていると黎明を見かけた。
「悪い、佐田。黎明、見かけたら追跡する。後で報告頼む」
了解ですと通話を切り、車が停められる場所に停車して、黎明を追いかける。確かこの辺を歩いていたようなと、探し回っていたら、膝カックンをされて振り向く。
黎明はお腹を抑えながら笑っていて、涙目になりながら久しぶり、透と言う。
「黎明」
「もしかして僕ちんを捕まえに来たの?刑事さん」
「あのなー」
「逮捕する?する?」
すでに犯罪してます的な顔立ちで両手を差し出し、証拠がないから逮捕できないだろと下ろさせた。
「透が刑事さんになるだなんて意外だなーって思ってたよ」
「なんで葬式に呼んでくれなかった?なんで俺たちに知らせなかったんだよ」
「んーあの時は、組に戻るとか頭に入ってなかったし、昏籐組は常に警察と連携を取ってる。僕ちんはレッドクレインを許せない。だからレッドクレインを恨む人たちをかき集めて、夜瀬組と乗り込もうってわけ。いい考えでしょ?」
黎明がこんなに変わっちまっただなんて、玲は相当ショックを受けてたんじゃないかって思う。しかも靴が夕哉の店で売っているスニーカーだし、会いに行ってたんじゃねえかよ。
「透は絶対に変わらないでね。僕ちんはもう心が壊れちゃったから、悪いことしか思いつかないから」
「黎明、今ならまだ間に合う。何があったのか教えてくれよ」
「言ーわない。警察は当てにならない。だって、僕ちん、両親が殺された日、警察に行って話したのに、ちゃんと捜査してくれなかった。だから僕ちんがやらなくちゃ気が済まなくて。もし逮捕する時は、透に手錠かけられたい」
黎明のその笑顔の奥にある秘めた思い、黎明がこれから犯罪を犯すことを止められなかった。




