表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/134

31羽

 体育祭に向けて、透に早く走れるようやや大きめな公園で指導してもらっていた。夕莉さんがもうすぐでできるよと連絡を受け、靴慣れもしておく必要がある。

 一旦休憩しようと言われ芝生に寝っ転がり、ほいっとタオルをくれて汗を拭き取り、水分補給をした。


「透、記録ってあまり伸びてない?」

「あんまり変わらないかな。まあ焦らずやっていこう」


 うんっと休憩をとっていたら、透がちょっと悪いと電話に出て少し離れていく。仕事なら今日はここまでかなと拭い切れていない部分を拭いていたら、大声でまじかよと透が叫んでいた。

 外で話していることを思い出したのか、聞こえなくなり、ベンチに座って待っていると、透が戻って来る。


「大声聞こえてた?」

「ばっちり」

「本当にすまん。ちょっとここでは話しにくいことだから、車に行こう」


 大きな荷物は透がもち、帰る方向性でいるんだとペットボトルとタオルを持って、透の車に戻った。透は少し考えた上で、私に言ってくれる。


「陽羽、シルバーウルフからやや大きめな荷物が届くらしい」

「え?」

「ちょうど家に届いたらしくて、陽羽宛てだから陽羽に開けてもらいたいそうだ。練習まだ続けたいなら、終わってからでも大丈夫って言ってある。陽羽はどうしたい?」


 雪が私に今頃何を贈ってきたのだろうかと、思っていても答えは出ず、お父さんたちはいち早く見たいだろうから帰ると伝えた。わかったと透はシートベルトをし、私もシートベルトをして家へと帰ることに。


 家に戻りただいまと玄関を開けたら、本当にやや大きめの箱がドンッと置かれていた。お邪魔してまーすと佐田さんと星河教授もいらっしゃって、こんにちはと言いながらまずメッセージカードを読む。

 会食時にこれ着て来いとあって、リボンを外し綺麗に包装紙をとった。箱を開けてみるとチャイナ風ワンピースと平べったいパンプス。それからアメリカ産のお菓子等と一冊のアルバムみたいなのがあって、見てみるとリナムの写真が入っていた。


 可愛いと最後には手紙が入っていて、それを読んでみることに。


 陽羽へ

 大学合格祝いの時に、日時と場所を指定させてもらう。

 その際に、やつがれが選んだ服を着て、真昼と一緒に来てほしい。

 もちろん会食が終えたら、何もせず帰らせることを誓おう。

 もし不安があるのであれば、両親でも警察でも付き添って構わない。

 何人来るかは事前に知らせてくれると、こちらは助かる。

 それからリナムのアルバムを入れておいたから、リナムが恋しくなったら見ろ。

 リナムはもう長くはないから、最後はリナムと一緒にいてほしい。

 後日、リナムを自宅まで配送するから猫道具を用意してくれたまえ。雪


 リナムはもうおばあちゃん猫だったんだと思い出して、お父さんにその手紙を渡すと全員がその手紙を見始めた。私はワンピースを箱から出し、可愛いかもと一瞬思ってしまう。

 真昼くんと一緒ってことはつまり、叔父として会うってことでいいのかな。後で真昼くんにも届いているか確認しよう。


「なんとも言えないところだが、真昼くんが一緒となれば、マフィアとしてではなく、叔父として接しに来るんだろう」

「凛太郎さん、行かせるつもりですか?」

「陽空みたいになったらどうするのよ」

「両親や警察も来ても構わないと書いてあるから、変なことはしないはずですよ」


 お父さんたちが出した結論は、真昼くんがどうするかを確認後、結論を出すらしい。それまではワンピースとパンプスはお母さんが預かり、お菓子は佐田さんがよだれを出していたことで半分上げた。

 早速、真昼くんに届いていないか、確認の連絡をし、返事が来るまで、私は自室でリナムの写真を見ていく。


 猫カフェの時、リナムが生きていられるかわからないと判断して、最後は私にリナムの面倒を見させてくれるんだよね。雪っていい人なのかなと思ってしまうも、ぶんぶんと横に振り、マフィアだし悪い人と頭に入れておく。

 見ていたらスマホが鳴り真昼くんかなと手にすると、真昼くんで応答した。


「真昼くん?」

『陽羽ちゃん、ごめん。叔父さんにはしっかり言っておくから』

「多分会食しないと諦めない人だと思うから、私は平気。真昼くんの服って届いてる?」

『ばっちり届いて、受験がんばれーっていうメッセージが入ってた。陽羽ちゃんのお父さんはなんて?』


 お父さんが決めたことを伝えると、なるほどと少し悩んでいるようだ。受験でまず合格しなければ、その会食は行われないことになる。

 真昼くんは悩みに悩んで、私に相談を持ちかけた。


『お父さん、そこにいるんだよね?自宅に行っても大丈夫?』


 元々真昼くんを家に招待すると言ってたから、ちょっと待ってと通話中にしたまま、お父さんに聞いてみるとオッケーが出る。


「大丈夫だって」

『わかった。すぐ、そっちにいくね』


 また後でと伝え合い、星河教授と佐田さんは別室で待機してもらって、インターホンが鳴って真昼くんだったから出た。ごめんねと言いながらお邪魔しますと伝える。

 いらっしゃいとお父さんが出迎えて、ご無沙汰してますと真昼くんが頭を下げたのだ。知り合いだったのと真昼くんとお父さんを両方見て中に入った。お母さんがお茶とお菓子を置いて、お母さんは星河教授たちがいる別室にいてもらう。


「あの時はすみません。挨拶できず」

「いい。陽羽と付き合っていると聞いて、いつかは呼ぼうと思っていたところだ」

「そうだったんですね。あのーなぜ透先生が?」


 ここで打ち明けるんだよねと透は名刺ケースを取り出し、すっと真昼くんに渡して、俺は警官だとついに報告した。そしたら真昼くんはそっかとソファーに深く座り、真昼くんは薄々勘付いていたようだ。


「僕がシルバーウルフの息子だから、透先生が教師となって陽羽ちゃんを守っていたってことですよね?それに陽羽ちゃんが透先生とこんなに仲がいいのも、納得しちゃった。警察での繋がりがあったから」

「いや、私は真昼くんのことをマフィアの息子としてではなく、友人の息子として見ている。真昼くんのお父さんは一時期、警察をしていた」

「知ってます。父さんが元警官だってこと。陽羽ちゃんのことを知ったのも、父さんに見せられた写真がきっかけでした。それでも父は、シルバーウルフと縁を切って生活し、一般の企業に勤めてました。それは信じてあげてほしいです」

「あぁ。ただな、警察の情報が一部漏れていたことが判明し、真昼くんのお父さんはその罪を背負い辞めてしまったようなものだ。無論、私も清寺も、真昼くんのお父さんが漏らしたとは思ってはいない」


 シルバーウルフに情報を漏らしていたことで、真昼くんのお父さんはその罪を背負って辞めてしまった。もしそんなことがなかったら、お父さんたちが集まって、私と催花ちゃん、三人で会っていたのかもしれない。


「そこで真昼くん、これは協力要請として、真昼くんに頼みたいことがある」

「なんでしょうか?」


 透はノートパソコンを開き、レッドクレインのホームページを真昼くんに見せ、透から説明をする。


「真昼はシルバーウルフの息子となって、潜入してほしい。危険なのはわかっている。レッドクレインの長と接触してほしいんだ」


 真昼くんは目を大きくして驚いており、その目的をお父さんが写真を見せながら真昼くんに伝えた。


「私の長女が今、この集団に捕まっていてな。警察は一度令状を持って捜査をしたが、ほしい情報はどこにも存在しなかった。それと同じように長女が監禁されているリスクがある」

「もし見つけることができなければ」

「違う方法を探すしかない」


 真昼くんが考え始めて行き、やっぱり危険すぎると思ってしまい、つい真昼くんの手を握ってしまう。真昼くんは一度、私を見て、お父さんと透に決心した言葉を伝えた。


「僕にできることがあれば、協力します。やり方は僕に任せていただいてもよろしいですか?」

「レッドクレインに入る際は、我々は近くで張り込みをする」

「わかりました。できる限りの情報は入手してきます。陽羽、安心して。必ず戻ってくるから。ただ入るには叔父の力が必要になります。そこは了承いただいてもよろしいでしょうか?」

「構わない。私の娘を取り返せるのであれば、真昼くんのやり方で我々は動く」


 叔父と話してみますと真昼くんは言い、この件に関しては真昼くんは協力要請として免れるってことでいいんだよね。詳細は後日、また話し合うこととなり、真昼くんは帰って行く。


「お父さん」

「陽羽、真昼くんの行動をしっかり見とけ。ここで真昼くんの行動によって、白か黒か判別する。覚悟はしておきなさい」

「はい、お父さん」


 黒だった場合、真昼くんと別れることになる。そうならないことを願いながら、夕飯ができるまで宿題を済ませて行くことに。



 家に戻って僕の部屋に入り、笑いが込み上げてきて、まさかこうなるとは思わなかったよ。これをあの人に打ち明けたら、すぐ日本に来そうなイメージが強い。

 シルバーウルフに借りを作った人間は一生下僕のようなもの。つまり陽羽はシルバーウルフの手の中に入ることを知らないだなんて。嬉しさとその馬鹿馬鹿しいことが合わさってしまっている。


 とにかく、出るかわからないけど、電話をかけていたら、真昼入るぞと修さんの声が聞こえ、電話を切った。修さん、今日在宅だったとすっかり忘れていて、なんですかと聞いてみる。


「さっき、病院から連絡があって…」


 その言葉で僕は真っ先に病院へと向かうため、タクシーを拾い、病院へと急いだ。付き添うべきだったと急いでくださいと運転手さんを急かす。

 病院に辿り着き、スマホ決済でやって、タクシーから出て、母さんがいる病室へと入った。しかし病室は綺麗になって、ナースセンターで、南雲天美さんはと尋ねると、一週間前に旦那さんがいらっしゃって、転院されましたよと言われる。

 

 えっと力が抜けてしまい、病院を出て、あの人に連絡をしてみた。早く、早く出てと鳴らしているとむにゃあどうしたと欠伸の声が聞こえ、母さんがと言う。


「母さんの転院先教えてよ」

『むにゃあそれはできない。天美がそれを望んでたし、ちゃんとした療養施設だから安心しろ』

「父さんに成り済まして何がしたいんだよっ」

『少しは天美の気持ちも考えろ。昼秋にそっくりのお前を見るたびに、精神がやられていたの気づかなかったのか?』


 言い返せなかった。暴力を振るわれるたびに、昼秋の子を産まなきゃよかったと嘆いていたことを。僕が父さんに凄い似ているから、母さんは辛かったんだ。


『昼秋を失って、天美がどんな気持ちで、真昼を育てていたのか、ちゃーんと理解した時に、場所は伝える。いいな?』


 成長していく僕を見ていたから、母さんがあんなに変わってしまった。なぜ気づいてあげられなかったんだろうと、ポタッと涙が地面に落ちていく。


「ごめんなさい…」

『真昼が謝る必要はない。それで、さっきかけてきたことは別の件だろ?』


 そうだったとちょっと外では話しにくいことで、また掛け直すと伝え、タクシーに乗って帰ることに。



 真昼が母親思いなのは知っていたが、本当にこれでよかったのかと座っている人物の横には天美がその人の肩を借りてぐっすり眠っていた。



 受験勉強に励んでいたら、インターホンが鳴り、誰だろうと確認してみたら、玲でこんな早く帰ってるとはと鍵を開け玄関の扉を開けておく。

 お邪魔するよんと玲の声が聞こえ、カフェオレをテーブルに置いてあげる。


「意外と早い帰りだったね」

「ちょっとやばい情報もらっちゃって、玲ちゃんくたくたー」


 そう言いながらソファーにボフッと倒れ込み、ソファーの前にあるテーブルにカフェオレを再度置いてあげた。そのまま寝るのかと思いきや、小さな包みをあたしにくれて、中身を開けてみる。そしたら万年筆でローマ字で紗良と刻まれていた。

  

「ありがとう」

「紗良、ちょっとチャージしていい?」


 両手を出す玲であり、そう言われてペシッと叩き、けちと言いながら、夕莉さんとうまくいっているんだからだーめとばってんを出す。


「それであたしに何か用事でも?」

「幼馴染の翠くん?見かけて、あれが紗良を振ったやつかって」


 揶揄うのはやめてとクッションを投げ飛ばし、まだ好きなんだと玲はにやにやしていた。手紙のやり取りは続けてて、陽羽が事故った時も教えたけれど、ご両親が多忙すぎて、日本には帰国できなかったって手紙にあったから。


「飛行機乗る前だったから、尾行はできなかったけど、翠くんが日本に移住し始めたら、陽羽ちゃんの彼氏と夕坊が爆発しそうなイケメンだった。ちゃあんとアタックしておかないと、他の女に取られるからな」

「大きなお世話。そんなこと言いに来たなら、帰ってよ」

「紗良、受験で忙しいけど、ちょっと紗良の耳に入れておいてほしいことがある」


 なんだろうと玲が座ってと言われたから玲の隣に座り、耳元でコソコソっと話した内容にあたしは思わず大声を出してしまう。


「ちょちょっと整理させて。見間違いじゃないんだよね?」

「自分の目で何度も確かめた。あれは本物だったよ」


 衝撃な言葉で、お母さんはおそらくこのことを知らない情報だ。お母さんとそれから翠のご両親にも伝えておく必要がある。それにシルバーウルフの計画はすでに始まっているとなれば、日本全体が危ないような感じだ。


「玲」

「これから組長と陽羽ちゃんのお父さんと透で会食がある。シルバーウルフの息子を動かしたらそこでアウトになることを伝えておかないと、陽羽ちゃんはシルバーウルフの手の中に入るから。紗良、陽羽ちゃんを気にかけてあげてくれ」

「わかったけど、南雲くんが動いてしまえば陽羽は?」

「陽空ちゃん同様なことが起きることは確実だ。それに陽空ちゃんは国内であっても、シルバーウルフは外国。つまり、シルバーウルフに陽羽ちゃんを今度連れ去られたら、日本の警察は動けなくなるってことだ」


 そうなったとしても、翠の両親がなんとかしてくれそうでも、なんとしてでも阻止しなければならない。


「夕哉にはこのこと」

「まだ話せるわけない。ここで夕哉がシルバーウルフの息子に手を出した場合、厄介なことが起きるのは確実」


 組とマフィアが争ったら相当な被害が起きてしまうということ。大事になって来ているから、あたしもできるだけサポートはしていこうと決める。


「わかった。あたしもできるだけサポートできるようにはしておく」

「紗良も気をつけろ。さっき、気配は消していたが、破島の部下が彷徨いていたから」


 気をつけると伝えると、カフェオレを一気に飲んで、じゃっと玲は会食へと向かった。



 倒した奴らの上に座って足をぶらぶらさせながら、真昼先輩がシルバーウルフと繋がっているのは前から知っていた。けれど、真昼先輩の近くにはシルバーウルフは現れていない。

 シルバーウルフとは無関係でいいとは限らないけど、ここで真昼先輩を利用して、シルバーウルフのボスと接触したほうがいいか迷うな。シルバーウルフをこんなに倒しても、ボスが現れない理由。


 陽羽先輩を探しているとSNSを見た時、違和感があった。幼馴染なら住所は知っているはずなのに、なぜ知らないかのように尋ねていたのか。

 すでにアカは削除されていて、連絡はできない状況。陽羽先輩に尋ねたほうがいいかなっと降りていると、拍手をしながら現れる奴がいる。


「さすがだな、こいつらを倒すとは一体、あんたは何者だ?」


 冷笑している奴は確かシルバーウルフとレッドクレインの仲介をしている破島淡で、黎明が教えてくれた奴。十年服役し、今年になって出獄していると親父から聞いてたな。

 こんなタイミングで会うとは思っても見なかったけど、ここで破島とやり合うつもりはない。


「俺様は適当の高校生。カチンとなったから殴っただけ」

「そうは見えない。夜瀬組の息子の正体は誰にも暴けていないが、あんたが夜瀬組の息子だろ」

「ご勝手にどうぞ。俺様、バイトあるんで」


 これ以上関わっていたら何されるかわからないと、行こうとしたら破島のパンチをもらい、よろけそうなところ烏丸が助けに入った。


「はははっ烏丸じゃねえかよ。やっぱ、正解ってわけか。ボスのお気に入りに近づいていると聞いてな。そいつがシルバーウルフを嗅ぎつけているから見てこいって指示もらっていた。世間に知れたらあんたは」


 笑わせんなよと段々と笑いを出して行き、烏丸が立たせてくれて、烏丸は一度引いてくれる。


「俺様の正体は知らせても無意味だぜ、破島淡。なぜなら、真昼先輩の肩代わりをやらせてもらっている。母親をどこにやったのかは知らねえけど、報いはきっちりしてもらわねえとな」


 烏丸が夜瀬組の組員を引き連れて来てくれて、やれっと合図をし、待ったねえと破島淡から離れ、車に乗りバイト先、コンゼッセへと向かった。



 文化祭以来、あたしは外に出ていなくて、庭を散歩する程度。教室に入った時、夕莉がいて焦ったけれど、夕莉は止めもせず、心配をかけてくれた。

 それでも教室にレッドクレインの人が入ったから、何も言えなくてすぐ出て来ちゃったな。


 お父さんはあたしのために調査をしているのかわからず、お母さんはしっかりご飯を食べていられているのだろうか。陽羽は落ち込んでいないだろうかと考えてしまう。

 散歩をしていると何かを踏んづけてしまい、あたしが立っているところがぱかっと開いて下へと落下する。陽空様と声が聞こえるも、どこまで行くのとの長い滑り台みたいのに乗った。


 到着したその先は鼻がおかしくなりそうな異臭が漂っている。少し暗くてあまり見えないと手探りで出口を探していたら、ぼっと灯りがついた。

 そこには大量の骨が存在し、思いっきり吐いてしまう。こんな地下っぽいところに骨が放置されていて、なんで今まで誰にも見つからなかったの。スマホは持っていないし、とにかくここから出なくちゃ。


 それでも出口はなくどこから出ればいいのと思っていたら、灯りが消えてしまう。消えないでと思っても完全に真っ暗となってしまい、透としゃがみ込むとがくの声が聞こえた。


「駄目じゃないか、陽空」

「ごめんなさい」

「誰にも言わないと約束してくれるかい?」

「誰にも言わないから、ここから出して!」


 がくの声が聞こえなくなり、がくと何度も叫んでも、真っ暗だからがくがどこにいるのかもわからない。お願い出してと強く願っていると、睡眠ガスを吸い込み、バタンっと倒れた。



 丁重に扱えと陽空を寝室に寝かせ、お風呂に入っている際にシーツを取り替えるよう伝える。全く、付き人がいながらもトラップに引っかかってしまうとは。陽空が庭散歩する際は、ロックをするように伝えなければならない。

 今まで誰にも気づかれなかったと言うのに、陽空にあの場を見せてしまったのは不覚だ。しばらくは部屋にいるよう伝えるか。いや、身体に影響が出てしまうかも知れないから、定期的に散歩はさせるとしよう。


 がくと寝言で言っており、おやおやと陽空のおでこにキスをしてあげる。破島は何かやることがあるとかで、外出中だから不在だ。

 仕事は今日はやめ、陽空のそばにいようと触れていると、ごめん、透と言っていた。


 透、伊宮達のことか。少し情報はもらっているが、透という人物とどういう関係なのだろうか。破島が戻って来たら、確認するとしよう。


がく様」

「なんだい?」

「破島様からお電話が繋がっております」


 帰って来れない理由が出てきたのかと、部下からスマホをもらい耳に当てた。


がく…すまない』

「何があった?」

『夜瀬組に襲われた。しかも黎明も関わっている。レッドクレインに成り済ましていたのも黎明の仕業だ。黎明は関わらないほうがいい。今すぐ陽空を帰らせてやれ』

「…黎明」


 その名をどこかで聞いたようなと、考えていたら、また掛け直すと伝え、私の仕事場へと入りデスクトップで従業員を確認する。

 以前、両親を殺害し、こうならないように指導をしていたと父上から聞いていたことがあった。


 もしやとデータを確認してみると、黎明失踪とあり、しまったと椅子に深く腰を下ろして両手で顔を覆う。父上が罰を与え遺骨は陽空が見たあの中のどこかにいる。

 黎明がこのことを公にするために、動いているとなれば、黎明を抹殺しないと全て計画が水の泡だ。何か手を打たねば、ここまで築き上げたものが失う。


 おそらくレッドクレインにいた民たちが反逆者として、この城へとやって来る、侵入される、いやわざとあの門を開かせ、一般人エリアだけを解放させればいい話。

 部下に門を開けるよう言い、よろしいのですかと聞かれて、構わない、開けてくれと伝えた。門が開けば警察も侵入しやすいだろう。少し様子を見て、あの中にあるものをどう排除するか考えながら、陽空の元へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ