表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/134

26羽

 放課後、真昼くんが戻って来てくれたおかげなのかはわからずとも、分津くんたちが今までごめんと目の前で土下座をした。疾ちゃんは許さないのかと思えば、若津くんたちにデコピンをして許すとみんなの前で言う。

 そして千ーちゃんは私に、ごめんと頭を下げていて、頭を上げさせ仲直りのハグをした。


 よしっ準備やるかと若津くんが言い出すから、調子乗るなよと疾ちゃんに注意されている。それを見ていたらしい透が良かったなと目で合図があり、うんと廊下にいる透に頷いた。


 それぞれ分担をしていき、クラスには美術部がいるから、色合いは美術部の子たちに任せ、パーテンションを男子たちは作っていった。

 私が提案したこともあり、配置とかは私が担当となって、みんなが持って来た写真をどう配置するかを決めていく。同じサイズじゃなくて、できれば大きめの写真もほしいかもしれない。


 写真部にサイズを拡大して印刷できるか頼もうか、それとも外注で頼んだほうがいいのかなと考えていたら、千ーちゃんが近くに寄る。


「これ、よかったら使って」

「ありがとう、千ーちゃん。千ーちゃんが撮った写真、すごい綺麗。ここってどこにあるの?」

「昔、陽ーちゃん家と疾太ん家、三組で出かけたんだよ。一年の最初の夏休み。そこが綺麗だったから、久々に行って撮ってきた」

「私、そんなことも忘れてたんだね。ごめん」


 気にしないでと言われ、帰ったらアルバム引っ張り出そうと写真を見ていたら、そうだと千ーちゃんが何か閃いたようだ。


「これ複写していいなって気に入ってくれた人にプレゼントとかはどう?」

「それかスマホケースに入れられるサイズにして、記念にするのはどうかな?」


 それいいかもと千ーちゃんと話し込んでいたら、寂しくなっちゃったのか、うちも入れてよと催花ちゃんや真昼くんに、疾ちゃんも入ってきた。

 さっきのことを真昼くんたちに説明するとめっちゃいいじゃんと三人がはもり、早速疾ちゃんが印刷会社に頼んでくれるっぽい。


「じゃあ明日の放課後、みんなにも記念になる写真を選んでもらってさ、クラス分の枚数も決めておかなきゃな。俺はこれかな」

「疾太、陽羽ちゃんの写真狙うのずるい」

「別にいいだろ。陽羽のファンとして持ってたいから」


 それを言われ、真昼くんごめんと私は疾ちゃんが撮った雨の写真を手にする。そしたら陽羽ちゃんと拗ねてしまい、催花ちゃんと千ーちゃんが笑い出した。


「真昼くん、ごめん」

「悪いな、真昼。俺たちは」


 聞きたくないと赤っ恥になりながら手で耳を塞ぎ、真昼くんはそれに関しては気づいていたっぽい。


「真昼、拗ねちゃったから、陽羽、真昼の写真も選んであげな。二枚ずつ、みんなに配ってあげる。お金は全部学園が払ってくれるしな」


 真昼くんが撮った景色を見て、それじゃあと私は猫が写っている夕方の写真を手にする。これでいいだろと拗ねている真昼くんに聞くと、うんっと笑顔を作る真昼くんであり、真昼くんは二枚とも私が撮った昼と夜の写真を選んだ。

 疾ちゃんは私の夕方と千ーちゃんの夕方にし、催花ちゃんは、私の朝と千ーちゃんの夜。千ーちゃんは疾ちゃんの昼と、催花ちゃんの昼を選んだ。


 決まりだねと話し合って、ルーズリーフに書いていき、疾ちゃんが説明をしていって、みんながぞろぞろと選んでルーズリーフに書いていった。


 今日はここまでとなり、お疲れと言いながら真昼くんと一緒に下校する。


「文化祭楽しみだね」

「いろんな人来てくれそうだし、昼奈も展示に向けて何か作ってたよ。一緒に回ろう。うるさい疾太たちは置いといて」


 みんなで回ればいいのにと思うも、真昼くんはきっと一緒にいなかった期間を埋めようとしてくれているのだと感じた。クラスTシャツは、以前キャンプで撮った透をドアップにしたものが届くらしい。

 それを考えたのは若津くんなのだ。先生も爆笑して、いいじゃないと採用され、届くのが楽しみ。


「そう言えばこの前、母さんの見舞い、来てくれたってメッセージもらって」

「ごめん」

「いいよ。それでか。母さん、おしゃべりな部分があるから、僕と疾太の関係性を知ったんだよね?」

「うん。最初は、疾ちゃんが見せたくない卒業アルバムがあって、気になった私たちは催花ちゃん家で見ちゃったの。それで調べていくうちに、お父さんと繋がってることが発覚して、この前呼び出した感じかな」


 そうなんだねと真昼くんは照れくさそうな表情で、昔のことを教えてくれる。


「生まれた時から、疾太と知り合いなようなもんで、よく父さんが疾太ん家に行ってたからくっついてた。僕の愛犬と疾太でよく遊んでて。次第に公園とかでもよく遊んでた」


 辛い記憶を思い出す真昼くんは、少し寂しそうな瞳で、その続きを語る。


「そんな時に、悲劇が起きて、父さんも愛犬も目の前で殺されたショックで、犬じゃなく猫派になったんだよ。今も散歩している犬を見るたびに、愛犬が殺された場面が蘇る。克服しなきゃって思っても、なかなか触れることができなくて」

「愛犬ってハスキー?」

「もちろん。あの人に分けてもらったハスキーだった。保護してくれた時、謝ったらハスキーの子犬選んでいいよって言われてたけど遠慮したよ。また同じことが起きることが怖くて」


 シルバーウルフと言ったら狼をイメージしてたけど、シベリアン・ハスキーを意味しているんだと理解した。


「それから、あの人から写真送られた時、嫉妬心爆増したんだよ」

「あの写真はその…」

「怒ってないから平気だよ。本当にあの人は何をしたいんだが、未だにわからない。それでも僕がしっかり彼氏としていないから、奪っちゃうぞって揶揄ってるんだと思う」


 頬を染めながら言うものだから、こっちまで熱くなってしまう。真昼くんが私の手を握り、再度確認してみた。


「本当に真昼くんは、シルバーウルフと無関係で、ただ単に雪と知り合いだけなんだよね?」

「んーあの人と関わっている以上、無関係じゃないのかもしれないって最近思うようになった。もし怖い思いしてるなら、全然僕から離れて大丈夫だからね?」

「真昼くんと一緒にいる。ねえ一つ、聞いてもいい?」


 ん?と横顔を見せながら私は合宿の時に起きたことについて聞いてみることに。


「停電した時、クラス二名ずつ誘拐されたの覚えてるよね?真っ暗で私はすぐ、気を失っちゃったけど、本当は」


 最後まで言おうとしたら唇に真昼くんの人差し指が入って、真昼くんが周囲を警戒していた。ちょっと急ごうと早歩きしてみると、後ろから早歩きしてくる足音が聞こえる。

 真昼くんがこっちと路地へと入り、真昼くんが私を抱きしめながら誰が私たちを追いかけてきたのか確認した。


 みると海星学園の男子っぽく、真昼くんははあと嘆き、ここで待っててと行っちゃう。真昼くんの知り合いなのかなと、待っていたら真昼くんがおいでと合図するから出た。

 ちょっとちゃらそうな海星学園の男子は、にやけながら私に近づこうとすると、真昼くんが間に入る。


「やっほー、陽羽せんぱーい、俺様は真昼先輩と同じバイトしてる漆月夜一よろしく」

「何?用があるなら陽羽ちゃんがいない時間帯狙ってよ」

「近くに寄ってみたら、ラブラブカップみっかけたからついてきた。元気そうでよかったじゃん。陽羽先輩、真昼先輩のこと、よろしく。んじゃまたバイトで」


 漆月くんはニカッと笑って、疾ちゃんがいつも乗ってる車っぽいのが到着し、それに乗って帰られた。もうっと少し機嫌を悪くする真昼くんで、ほっぺをつついてみる。

 そしたらぷっと笑ってこらっとお返しされそうになり、避けたりしていたら、真昼くんに捕まってお返しと頬を突かれた。


「陽羽ちゃん、あの日ね」

「うん」

「僕は真っ先に陽羽ちゃんを助けに向かった。暗くて何も見えなくても、気配を感じ取れる術みたいなのを習ってて。それが役に立って、陽羽ちゃんを奪おうとする奴らから守った。その時に、陽羽ちゃんって声をあげている知らない人の声が聞こえて、僕もやられた振りをした」


 真昼くんがあの時、助けてくれたんだと真昼くんの手を触れると握り返してくれて、歩きながら教えてくれた。


「陽羽ちゃんを奪おうとしてたら、僕がその人を倒そうって思ってた。けど違って、ちゃんと透先生を呼んでたから、ほっとしたよ」

「助けてくれてありがとう。あれ?襲って来たのはシルバーウルフじゃなかったの?」

「気配だけだったから、シルバーウルフとは限らないと思う」


 私ってそんなに狙われやすい体質なのかなと考えていたら、大丈夫だよと真昼くんが言ってくれる。


「何がなんでも、僕が必ず陽羽ちゃんを守るから安心してね」


 うんと頷きながら電車に乗り、最寄駅まで一緒に帰った。



 だぁーまじで疲れたとベッドにダイブし、ネクタイを緩めた。ここ何日かレッドクレインについて調べていくも、情報ゼロで以前清寺さんとあったビルは入ることができなくなっちまったしな。

 会いたくても会えねえし、紗良は受験のためで探偵の仕事は一時期中断するらしい。ボフッと枕に突っ伏し、早く陽羽を安心させたいな。陽羽、元気にしているだろうかとSNSをチェック。


 みると綺麗な夕焼け、それから手でハートが写っていて、大切な人とちゃんと向き合えてハッピーとあった。右手が陽羽で左が南雲真昼の手。いいねを送り、やべえと腕で目を隠す。

 陽羽から相談を受けた時から、うまくいかないでほしいという邪心が芽生えちまってた。本当に情けねえな、俺と凹んでいたら、スマホが鳴り出す。誰だよとみたら紗良からで、スピーカーにし、なんだと返事をした。


 しかし反応がなく、おい、どうしたと起き上がって聞いてあげると、今からそっち行っていいと聞かれる。別にいいけどと応えてあげたら、切られてしまった。

 紗良ちゃんと馬鹿でかい組員の声に、家の前に来てたのかと理解して、玄関まで行ってみる。


「夕哉、ごめん。来ちゃいけないのはわかってたんだけど、南雲くんについてちょっとやばいことが発覚した。叔父さんは?」

「今、庭で木刀で素振りしてるけど、呼ぼうか?」


 呼んでと言われたものだから、玄関先の中庭ではなく、親父専用の庭に行ってみると、凄い汗を垂らしながら素振りを行っていた。

 親父、紗良が来てると叫んでみると素振りをするのをやめ、今行くと縁側に置いてあるタオルで拭き取りながら中庭から上がってくる。


 客間に入り、待たせたなと親父が紗良に言っていて、それぞれ腰を下ろすと紗良がファイルを親父に提出した。依頼していたものかと、親父が一通り読み、俺に託すから確認してみる。その情報を見て怒りが爆発する。


「南雲が…南雲がシルバーウルフの息子!?」


 つい大声を出してしまい、じゃああの笑いはお前には絶対に渡さないっていう瞳だったのかよ。


「落ち着け、夕哉」

「落ち着いてられるかよ。陽羽はなんて?」

「別れるつもりはないっぽい。多分、お父さんのためなんだろうけど、いても立ってもいられなくて、来ちゃったの。わかってる。夕哉がいま、レッドクレインの情報をかき集めてて大変なことぐらい。だけど、なんかもの凄いここがモヤモヤしちゃって。陽羽の隣にいるべきなのは、夕哉なのにって」


 紗良にそんなことを言わせるとは思わなくて、親父も接触禁止ではなくそばに居させるべきだったという表情をしていた。


「親父…」

「夕哉はとにかくレッドクレインに侵入できるようにしておけ。今度の会食で接触禁止を解除してもらう。それまでになんとかしておけ」

「じゃあ陽羽に打ち明けていいってことなんだな?」

「ただし、陽空ちゃんを救ってからにしなさい。余計な不安を持たせたくはないからな」


 余計は言い過ぎじゃないかと思うも、陽空の一件が終えれば、陽羽に全部打ち明けられる。待っててな、陽羽とウキウキしてたら、紗良がもう一つ聞かされる羽目になった。


「陽羽たちのお父さんと、真昼くんのお父さんが警察学校の同期だって知ったの。だからきっと南雲くんは、夕哉に敵視してるんじゃないかな」


 顎が外れるぐらいの衝撃なニュースで、あり得るかもなと親父は言う。希望持たせんなよとしょんぼりしていたら、元気出してと紗良に言われるも、陽羽は俺のこと覚えてないし、一緒にいられる確率は確実にないじゃんか。

 その一方、南雲真昼との絆は深くなってるみたいだし、近づきたくてもガードが強くなってそうだな。


「陽空ちゃんを救えば、陽羽は喜んでくれるよ。手を握って、一番の笑顔で、夕哉さんありがとうとか言いそう」


 紗良が陽羽の真似をして、それを考えるとやる気がどんどん湧いてくる。


「俺、頑張ってみる。そして南雲真昼から取り返す。親父」

「好きに暴れろ。おそらく、警察は動きたくても動けない。令状が出せない限り、あの中を調べることはできないからな」

「となれば凛太郎さんから頂いた情報を頼りに、模倣犯をレッドクレインに突き出せばいいってことだよな?それくらいはできそうかも」


 気をつけなよと紗良に忠告をもらい、明日からその模倣犯を探しに出ることになった。



 レッドクレインに来てから、がくとの接触は、ごはんの時間帯と夜過ごす時間のみ会うことになっている。少しは気が紛れるとしても、部屋を出る時は必ず一人はついてくるのがお決まり。


 温室へと入りバラを眺めながら、お父さん、きっと怒ってるよねとバラに触れる。即決した理由は、ただ一つ。

 十年前に起きた事故に関与していることがはっきりした。それを暴きたくても、証拠が一切ないことから、レッドクレインはのうのうとカルト集団をやっている。

 その証拠を入手してお父さんに渡してあげたいという思いがあるも、がくはそう簡単に吐かない。


 どうやって吐かすとしても、証拠はきっと揉み消されるのは確実。どのタイミングで、証拠を持ち出せるかが肝心なところ。


 そんなことを考えていたら、破島淡が隣に来て、すっと渡されたのは守城学園全体の文化祭のチラシだった。


「行っても構わないと行っていた。どうするかは陽空に任せると言っている。どうする?」

がくは一緒に行かないの?」

「そりゃあもちろん。あの方は基本的に表に出ない方だからな。行くとしたら従業員だろう。我は顔が警察にばれているからな。一般人として動き、陽空の行動を監視する」

「…妹に接触はしていいの?」


 いいと言っていて、ここで陽羽に打ち明けて、お父さんに伝えてもらうのがベストかもしれない。


「行くって伝えて」

「そう言うと思った。話はつけておく。それから、妹に付き纏っていたマフィアは帰国したそうだ。安心しろ。ただ陽羽が大学生になったら、再び日本に来るそうだ。それまでに、陽空、レッドクレインの長がしている仕事は頭に入れておけ。いずれシルバーウルフと会食の日が訪れるからな」

「あなたに言われなくても、がくに言われてるから」


 そうかと破島淡はがくに報告してくるそうで、温室を後にした。


 部屋に戻りますと付き人に伝え、部屋に戻り引き出しを漁ってみる。便箋があればと探していたら、便箋を見つけ、心配かけまいとお母さんに手紙を書いていった。



 陽空は大人しくしているようで何よりだと、陽空に贈る指輪を選んでいた。やはりレッドクレインの妻となることもあり、ルビーの指輪がいいか、それともシンプルにダイヤモンドを贈るべきか迷っている。

 悩みどころだと考えていると、ふらっと破島が現れた。なんのようだいと聞きながら、これにするとルビーの指輪を店長に託し、支払いは従業員に任せる。


「文化祭行くらしい。ただ、陽空は妹に何かを伝えるかもしれない。そこはどうする?」

「気にすることはない。陽空の弱みは妹だ。陽空が裏切るようなことをすれば、妹は犬の餌食となってもらう。それでレッドクレインの名を汚そうとしている連中はまだ見つからないのかい?」

「探ってはいるが、情報がまだ取れていない。警察側がどう捉えているかは不明だ」


 破島の手でも掴めない輩と言えば、夜瀬組、あるいは昏籐組なのだろう。しかし昏籐組は善のある組であり、人を殺めたりはしていない。だとすれば夜瀬組の仕業か、あるいは別の組織が存在しているとなれば、興味深いもの。

 ともあれ、レッドクレインの名を汚した連中は、私の手で罰を与えなければならないということだ。


「搬送された民の意識は?」

「重傷を負い、意識は戻っていないが、目を覚ましたら、どうする?」

「平気さ。警察には何もレッドクレインの情報を漏らさないよう、指導をしている。仮に漏らすようなことが起きたら、私の友人が制裁をしてくれるから、破島は引き続き、偽者を探してもらいたい」


 承知したと破島は早速、動いてくれるようで、部下に陽空を呼んでくるよう伝えた。本来ならばレッドクレインの主張となる赤い服を着てもらいたいが、気分転換として好きな服を選ばせよう。

 陽空が入って来て、二人きりにさせてくれと告げ、部下たちが下がった。陽空は無愛想な表情でじっと見つめており、さっき支払った指輪を薬指にはめる。


「文化祭に行くための服を買いに行って来て構わない」

「え?」

「出る時は一度目隠しとヘッドフォンをつけてもらうことになる。いいかい?」

「他に寄り道していい?」


 もちろんとあまり窮屈な生活をさせたくはないし、そういう男として見られたくはないものだ。やったと少し笑顔を出していて、一つ言い忘れていたことを告げた。


「言い忘れていたが、私と過ごす時間帯には戻ってくるように。それから文化祭の服は好きな服を選んでいいが、基本は赤系を頼むぞ。それが守れなければ、出ることを禁ずる。今日じゃなくてもいい。行きたい時に、付き人に言えば外に出すよう伝えておく」


 意外な言葉だったからなのか、陽空はびっくりしていても、ありがと、がくと言い、陽空を一度抱きしめ、下がってもらう。

 さてさてとデスクトップの画面をつけ、メールにあるURLをクリックするとシルバーウルフのせつが映り出した。相変わらず犬まみれになっている。


「そっちは順調なのかい?」

『いや、そうでもないが、陽羽と会えたから気分はいい。受験が終えたら即そっちに向かう予定だが、この前のニュースで日本の警察官が警戒してそうだ』

「気にはなっていたんだが、なぜあの島を公表したのだ?あそこは父上との思い出の島だったのではないのか?」

『まあ、どちらにせよ。元々日本にある孤島だったからいつばれてもおかしくはない現状だった。せっかくかき集めた子猫ちゃんたちは置き去りにしてしまったが、きっと大丈夫だろう。それで、がく


 雪の顔がニヤニヤしていて、陽空との進捗を聞きたいんだろうと感じた。破島に紹介された時、ビビッと来てこれは使えると確信が持てたのだ。


「陽空の心は私がこの手で掴んでおこう。計画が邪魔されないように。それから十年前の件はどうする?昼秋の件もそうだが、警察が動いているようだ」

「十年前に起きた出来事は、すでに証拠は消えているはずだ。いくら探そうともその事件の真相には辿り着けない。知っていた人物も、すでに他界していると聞いているからな」


 さすがはシルバーウルフのようだが、証拠の鍵となるのは陽羽なのだからな。陽羽がそのことを思い出さない限り、その事件は闇の中にあり続ける。

 うまくやりたまえ、雪と伝え、通話を終えた後、鍵のかかった引き出しを開け、ある資料を手にした。


 それは十年前にやろうとしていた計画。陽羽に目撃された時、正直焦ったが、運よく陽羽は交通事故に遭い、記憶を抹消した。そのおかげでなんとかここまでの準備が順調に進んでいる。

 しかし、疑問なのが果たして、陽羽を狙った犯行なのか、それとも昏籐組の息子を狙っての犯行かは知らない。しいて知っているとしたら、亡き母が何かを知っていたのではないかと思う。


 いずれ犯人は我々かそれとも陽羽の前に現れるのだろうと、その資料を見るのをやめ、仕事に取り掛かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ