23羽
文化祭の準備が着々と仕上がっていく頃、私たちはさぼって真昼君がいる病院に向かって行った。会いたくないと言われるかもしれないけれど、ちゃんと会って話がしたい。
催花ちゃんも岩渕さんを呼んでくれて、一緒に来てもらっている。
「南雲っち、ちゃんと飯食えてんのかな」
「んー一応病院内に食堂があるっぽいから、そこで朝昼晩食べてるんじゃない?」
「俺だったら絶対、飽きて違うもの頼む。お母さん、よくなってるといいよな」
うんと相槌を打ちながら、病院に到着し、バスから降りて受付をし、病室まで向かった。今回は透なしだから、真昼くんになんて言われるか、まだ想像がつかない。
扉の前で止まっていると催花ちゃんと岩渕さんが背中を押してくれて、勇気を出しノックをして、中へと入った。しかし真昼くんの姿はなく、そこにいるのは窓の景色を眺めている真昼くんのお母さん。私たちが来たことで、少し微笑みいらっしゃい、真昼のお友達と言われた。
「ごめんなさいね。せっかく来てくれたのに、真昼はいないのよ」
「そう…なんですね。これ、お見舞いの品です。よかったら、真昼くんと食べてください」
嬉しいわと買ってきたゼリーのセットを渡し、少し気まずくなっていると、座ってと言われたから座る。
「真昼が今、いないから少しほっとしてるの」
なんでですかと直球に岩渕さんが質問するから、こらと催花ちゃんが叱ったのだ。いいのよと言っていて、その続きを教えてくれた。
「私は酷い母親。何かあるたび、真昼に酷いことをした。わかっていたとしても、手をあげてしまって、真昼には辛い思いをさせてばかり。せっかく真昼がね、貯めていた貯金も使ってしまった。こんな母親といるより、昼奈の父親に引き取ってもらったほうがいいと思ってね」
「つまり南雲っちはもう」
そうよと言われて学校に来れない理由ってなんだろうか。
「いつ、昼奈ちゃんのお父さんがこちらに?」
「今朝、昼奈の父親と一緒に行った。真昼は納得してなかったんだろうけど、自殺はもうしないから、今は一人にさせてほしいと告げたの」
「それじゃあ学校に来てくれるんですよね?お母さんの面倒をみるからお休みすると伺ってたので」
「落ち着いたら、学校に行くんじゃない?真昼の彼女さんよね?話は真昼から聞いてた。真昼が苦しい時期も今も、寄り添ってくれててありがとうね」
苦しい時期とふと考えてしまうも、いえと伝え、私がまだ事故に遭っていなかった時期に、真昼くんと何かあったんだ。真昼くん、なんで教えてくれなかったんだろうかと、考えていたらそうだと真昼くんのお母さんから言われる。
「後そうね、あの子は元気?真昼と仲が良かった氷雨くんだったかしら?一緒に遊んでた姿、よく見かけてたの」
衝撃な言葉で私たちは顔を見せ合い、催花ちゃんが仲良いですよと嘘をつく。そう、よかったと微笑んでいて、後で疾ちゃんに確認することにした。
あまり長居したら負担になるかと思い、それじゃあとお暇することに。また来ますねと伝えながら、病室の扉を閉めた途端。いやいやと私たちは混乱が起きていた。
「どういうこと?氷雨と南雲くんってそういう関係だった?」
「真昼くんと疾ちゃん、いつもばちばちしてるから、よくわからないけど」
「直接本人に聞いたらどうだ?ほら、小学生の卒業アルバム、陽羽ちゃんが見ようとしたら、止められただろ?そこに何かあるんじゃないか?」
「言われてみれば、そうかも。氷雨が見せてくれないなら、あたしの家にアルバムで探してみよう。何か手掛かりがあるかもしれないし」
ありがとうと早速、バスに乗って、清寺さんの自宅に行くことに。病院から比較的近い住宅街へと到着し、そこからは徒歩みたい。ここなんか見覚えがあるような感じだなと歩き、異国の国に入ったかのような外観だった。
ただいまと催花ちゃんのご自宅に入り、お邪魔しますと言いながら自宅の中へと入る。いらっしゃいと催花ちゃんのお母さんが出てきて、お母さんの後ろにはなんと幼い三つ子ちゃんが隠れていたのだ。
「お母さん、小学校の卒業アルバムってどこにある?」
「屋根裏にあったと思うわよ」
「ありがと。賢ちゃん、陽羽ちゃんにあたしの部屋、案内しといて。アルバム探してくるから」
催花ちゃんはささっと屋根裏に通じる階段を登っていき、三つ子ちゃんも行くーと屋根裏に行こうとするから、岩渕さんが止めに入った。
また今度行こうなと三つ子ちゃんを撫でてあげ、不貞腐れる三つ子ちゃんの顔が可愛すぎる。ごめんなさいねと催花ちゃんのお母さんは、ほらあっちで遊んでなさいとリビングに誘導していた。
「いつもあんな感じなんですか?」
「いつもそうだよ。三つ子ちゃん、お父さんの顔一度も見てなくてさ。その分、俺が兄として面倒を見てる感じかな。んじゃ行こっか」
催花ちゃんのお父さんは公務員って言ってたけど、まさかうちと同じでお父さんが警察官なのかな。そんなに長い期間、家を空けるぐらいだから、何かの事件に巻き込まれてなければいいなと感じてしまった。
催花ちゃんの部屋に入ってみると壁紙の一部が滴模様で、家具等も青や水色に統一されている。
岩渕さんの面白いトークを聞いていたら、あったよと卒業アルバムを持ってきてくれて、確認していった。まずはクラス一覧を確認して、私、真昼くん、疾ちゃん、千ーちゃんの名前がある。
「あれ?催花ちゃんって」
「小学校の時は、三組で中学から同じクラスだったよ」
なるほどと小学一年で撮った写真を見て行き、私は思わず止めてと止めてもらった。
「何か見つけた?」
「ううん。違ったみたい」
見間違えではないかもしれないけれど、写っていたのは高校生の透。間違いないだろうけど、なぜ写ってるの。動揺してしまうも、疾ちゃんと真昼くんが写ってる写真を探していく。
見ていくと私たちは言葉を失う現象を目の当たりにしてしまった。
それは疾ちゃんと真昼くん、それから真昼くんのお父さんらしい人物が無邪気な笑顔で笑っている。しかも真昼くんのお父さんが雪にそっくりすぎていた。
「頭の整理が追いつかないんだけど」
「疾ちゃんは前から知ってて、あの時、私を助けようとしたのかな」
「わからないけど、確か俺のうる覚えだけど」
岩渕さんはスマホで何かを検索し、やっぱりと見せてくれたのは十年前に公園で息子と遊んでいた際に何者かによって射殺されたらしい。犯人はすぐ見つかったらしく、動機は家族を殺されたことによって、同じ手口で真昼くんを殺そうとしたそうだ。
「同じ手口って、つまり南雲くんのお父さんは犯罪者ってことになるの?」
「真昼くんのお父さんの名字って記載されてませんか?」
「南雲昼秋とはなってるけど、本名かはわからない」
シルバーウルフと関係しているのであれば、偽名はいくらでも作れる可能性はあるはず。真昼くんに聞きたいけれど、あまり思い出したくはない過去なんだろうな。
となれば疾ちゃんに聞くのがベストなのかもしれない。
「南雲っちに聞くのが一番ベストなんだろうけど、南雲っち既読すらつけてくれないからな。陽羽ちゃんはどう?」
「既読はつくんですけど、返事が来なくて」
だよなと話していて、やっぱり疾ちゃんに明日でも時間取れたら、聞いてみよう。そう思っていると、催花ちゃんがずっとその写真を見てこう言った。
「ちょっとお母さんに、確認してくるね」
うんっと卒業アルバムを持って、催花ちゃんは確認をしに行った。知り合いだったのかなと、少し待っているとダダダッと駆け上がってくる足音が聞こえる。
扉が開いた瞬間、三つ子ちゃんたちが飛びついてきて、怪我しないように岩渕さんがキャッチしたのだ。お見事とパチパチしたら、もう一回やってと言っていて、遊びの時間じゃないと一人ずつ降ろしてあげる。
そしたらまた拗ねた顔を一斉にして、賢ちゃんのけちーと下へと降りていく三つ子ちゃんたち。なんか懐かしくなって笑いながら涙が出る。
「そんなに面白かった?」
「ちっちゃい頃、三つ子ちゃんみたいに、お姉ちゃんと二人でよくお父さんに飛びかかってたなって」
「お転婆娘の陽羽ちゃん見てみなかったな。今度、写真見せてよ」
今度見せますねと話していたら下から催花ちゃんの驚く声がこっちまで響き渡った。それによって三つ子ちゃんたちも真似をし始める。
待っていると催花ちゃんが戻って来て、顔を俯いていた。催花、どうしたと岩渕さんが声をかけると、催花ちゃんは近くに座って、ある写真を見せてくれる。
それは警察学校時代の写真らしく、私はあまりの驚きで、変な悲鳴をあげてしまった。その写真にはお父さんと真昼くんのお父さんに、催花ちゃんのお父さんが写っていたのだ。
「びっくりじゃない?うち、びっくりしちゃってさ。お母さんも知り合いみたいだったし、本名だとは思うよ」
「えっじゃあつまり、私のお父さんと催花ちゃんのお父さんは同期」
「陽羽が交通事故にあったのも十年前でしょ?南雲くんも当初、十年前に狙われていた。うちもさ、実は十年前、一度誘拐されたことあったけど、すぐお父さんが見つけてくれて。もしかしたらその三つが同じ犯人だったらどうかな?」
全てが一つに繋がってる。まるで南雲くんと一緒に観に行った映画そのもののようにも見えた。つまりその三つのことを調べていけば、真犯人に辿り着ける。
きっと真昼くんのお父さんを殺した人は、犯人に言われて捕まったとしたらどうなんだろう。そして犯人は今もどこかで暮らしている。
「俺もある程度、調べてみる。なんかあったら知らせるよ」
「ありがとうございます、岩渕さん」
「まずは氷雨に南雲くんのお父さんについて教えてもらわなくちゃだね」
そうだねと言い、そろそろ帰らないとお母さんが心配するかもしれない。
「私、そろそろ」
「駅まで送るよ。賢ちゃんは?」
「俺が駅まで送るから、催花は家にいていいよ。一応、警察の娘なんだから」
えへへと照れている催花ちゃんであり、じゃあよろしくねと、岩渕さんが駅まで送ってくれる。
「帰りは大丈夫そう?」
「はい。一応、透先生に連絡しておくので」
「本当に先生と仲良くて羨ましいくらい。ねえ陽羽ちゃん、一つ聞いてもいい?」
なんでしょうと岩渕さんの横顔を見て、懐かしそうに語ってくれた。
「事故のことはっきり覚えてない?」
「どうして?」
「いや、俺が言うのもあれだし、南雲っちがいないから話そうとかは思わない。ただ一つ確認しておきたくて」
「はっきりは覚えてないですけど、私ともう一人事故に遭った子の名前が思い出せなくて」
岩渕さんにそう伝えると、そういうことかと岩渕さんは何かを納得したかのようにも見える。それはなんだろうかと岩渕さんの言葉を待っていたら、陽羽と呼ばれ、夕哉さんと思わず声に出してしまった。
「どうした?配達終わったから、家の近くまで送るよ」
「えっと…」
「乗せてってもらったら?今、物騒なことあるし、知り合いなら家の近くまで送ってもらったほうがいいよ」
「はい。それじゃあ」
またねと岩渕さんは催花ちゃんの家に戻って行き、お邪魔しますと助手席に座る。
「あいつってちなみに誰?」
「クラスメイトの彼氏さんです。どうかしたんですか?」
「いや、ちょっとどこかで会ったような、なかったようなって感じかな。それより彼氏とちゃんと連絡取れてる?」
「いえ。既読はつくんですけど、返事が来なくて。それに真昼くんは今、義父の家にいるそうなんです」
義父の家かぁと言い出して、真昼くんにやっぱり言いすぎちゃったからかなと思い悩んでると、夕哉さんは真昼くんが何を考えているのかを、憶測する。
「陽羽の彼氏はまだ整理がついてないから、連絡ができないんじゃないか?心の整理が終わるのは人それぞれって言うし、もし気になるならメッセージじゃなくて、電話でもいいんじゃないか?きっと彼氏もそろそろ、陽羽の声が恋しいとかなってくるだろうし」
電話はあまりしたことがなかったから、帰ったら電話でもしてみようかな。すると夕哉さんが再び質問をしてくる。
「そういや文化祭の出し物どうなった?」
「展示になったんですけど、ちょっと色々あって私と仲がいい子たちが、外されちゃって何もしてないんです」
「えっあんなに楽しそうにしてたのに?」
夕哉さんがそんなに驚くとは思わなくて、なぜそうなってしまったのかを打ち明けた。
「相変わらずそういういじめ系はいるもんだな。俺が通ってた時期も、そう言う奴らがうようよいたぐらい」
「そんなにいたんですか?」
「冗談だよ。まあ大抵学年に一グループはいじめ系は存在するよな。そういう奴らは、いずれ天罰が下るから、気にせず、学校生活を送ればいいんだよ。まあ辛くなったりしたら、先生でもいいし、俺が話聞いてやるからいつでも言ってな」
夕哉さんが満面な笑みを浮かべ、フラッシュバックのように、昔もそんなことを言われたような気がする。けれど夕哉さんは少し悲しそうな表情を出して言い出したの。
「けど神を何度も恨んだことがあってさ。大事な人をこれ以上苦しませないでほしいって」
「病気なんですか?」
少し間があったけれどそうと言われて、夕哉さんの大事な人ってどんな人なんだろうか。少し気になってしまうも、夕哉さんにとって素敵な人なんだろうなと感じた。
赤信号となり車が停止して、話題を変えようとしたら、夕哉さんがあることを言われる。
「陽羽はさ、今とても幸せ?」
夕哉さんがこっちを向いて、無理に微笑んでいるようにも見えた。なぜなんだろうと思っても、ちゃんと答えてあげた。
「はい。とっても幸せです。以前にお伝えしたように、夕哉さんとの出会いがあったおかげで、幸せです」
「そっか。陽羽、絶対に幸せになれよ」
「急にどうしちゃったんですか?」
へへっと鼻を啜る夕哉さんであり、家の近くとなったから止めてくださいと伝えた。車から降りて、お礼を伝えると、また店においでなと言われ、はいと伝える。
夕哉さんは車を走らせ行かれてしまい、夕哉さんが言った言葉がなんなのか、まだ当初わからなかった。
◇
なんであんなこと言っちまったんだろうと、鼻を啜りながら店へと戻った。おかえりと姉貴に言われるも、俺の様子がおかしいことに気づいたらしく、何があったのとすぐ追求してくる。
姉貴に背を見せたまま、涙を拭い、そして身体を姉貴のほうに向け、決心した。
「しばらく、店を空ける。依頼は一旦中止させてもらう。組の仕事に専念したい。姉貴にこの店を頼んでも平気か?」
「決心がついたのね。わかった。副店長に任せなさい。陽空を救いに行くんでしょ?」
「まだ情報はあまり入手できてないが、必ず陽空を救う。どれくらいかかるかわからないけど、陽羽の邪魔をしたくないし、今は受験で大事な時期だろ?その期間内になんとしてでも、陽空を救ってみせるよ」
「私もできるだけのことはしてみる。それに玲が、すでにシルバーウルフの本拠地に到着したらしいの」
玲も色々と探ってくれているから、そっちは任せるとして、ロッカーにしまっていたスーツに着替えた。閉める前、一枚の写真に触れ、行ってくるなと言いながら、組員を連れてレッドクレインを探しに向かうことに。
◇
こっちに来るなと走りながら、後ろを振り向くと、赤いパーカを着た人たちに追いかけられる。後もう少しで交番が見え、助けてくれと手を伸ばした瞬間に、大きなトラックと接触してしまった。
◇
「凛太郎さん!」
「情報はこっちに来ている。現場ではレッドクレインの紋章のカードが置かれていたようだ」
ホワイトボードには佐田が書いた情報がずらりとあり、写真もすでに鑑識からもらっているようだ。佐田はスナック菓子を頬張りつつ、説明する。
「伊達功男、年齢は三十六歳で家庭持ち。けれど六年前から妻と一緒にカルト集団、レッドクレインの会員となり、簡単な指示をもらっていたそうです」
「簡単な仕事って?」
「ネットで予約した人を迎えに行くような仕事。それが一番最初の仕事のようで、元レッドクレインを使用していた人からは、こんなことも」
ホワイトボードに書かれてある丸に囲んでいたもの。それはレッドクレインの長を見た者は排除される。
「長を拝んでいいのは長が選んだ人物のみ。情報によると三重構造となっているようで、外に近いエリアが一般人が利用。二つ目のエリアはレッドクレインの従業員の仕事場」
結構広い敷地だなと見ていき、佐田が引き続き説明をしていく。
「そして三つ目のエリアが長と長が認めた人物だけが利用できるエリア。おそらく陽空ちゃんは三つのエリアに監禁されているのではないかと思われます」
「以前、令状を持って入ったものの、遺体はどこにもなかった。それと同じく陽空は監禁されてるリスクが高い。凛太郎さん」
「すでにレッドクレインが陽空を手に入れているのであれば、このようなことはしばらくしないだろう。そのカードも偽物かもしれない。そこは今、清寺に捜査してもらっているから、少ししたら連絡は来るだろう」
すると変なメロディにしている佐田のスマホが鳴り、清寺さんからですと、佐田はスピーカーにして電話に出た。
「清寺さん、電話しちゃって平気なんですか?」
『平気だ。それより、ビデオ通話に出来そうか?』
ビデオ通話に切り替え見せてもらうと、廊下には骸骨の頭が綺麗に整頓されている。凛太郎さんが本物なのかと聞いてみるとこんな回答がきた。
『試しに触れてみたんだが、どれもくっついている。これが仮に本物の遺骨だったら令状は出せるだろう。ただ以前からあったものかもしれないから、なんとも言えない。どうする?』
「ちなみに陽空の居場所は把握できるか?」
『いや、私はまだ見習いでもあって、入ることは許されていない。なるべく早く、助けられるよう努力はするつもりだ。それとさっき佐田に言われた件は、模倣犯だと考えていい。そのようなカードは出さない決まりだからな。そろそろ切る。何かあったら、また知らせる』
清寺さんからの通話が切れ、清寺さんが無事に帰還してくれることを願うしかないな。従業員になった場合はあそこから動くことは許可されていないらしい。
まるで鳥籠のようなものだ。実際に令状を持ってった時には、門を開けてくれたが、最近になってはあの門が開いていないようだ。つまり必ず隠し通路が存在するのは間違いはない。
「佐田、清寺からもらっていた情報はどうなってる?」
「あれですね。天音さんという人物を探してはいるんですが、情報が全く。ただ天美さんの夫に関しては、朝峰さんのほうが一番詳しいんじゃないですか?」
佐田に言われて朝峰さんは口篭ってしまうも、机にある手帳からある一枚の写真を見せてもらった。それは警察学校の写真らしく、朝峰さん、清寺さん、そして衝撃すぎる事態が起きる。
「真昼にそっくりな人ってまさか」
「真昼くんの父親、南雲昼秋。学校時代では秀と昼と呼んでいた。二人には知っておいてもらいたい事件がある」
朝峰さんはデスクトップでロックがかかったファイルを開け、ある事件の資料を見せてもらった。それは射殺事件で、すでに犯人は服役しているものだ。
「昼秋は警察を一年やり、警察を辞退している。そのわけがこれだ」
シルバーウルフの現ボスと写っていて、つまり真昼は元々マフィアの息子だったというのか。
「信じたくもなかった。懸命に警察官の仕事をしていた昼秋が、マフィアの息子だと気づき、そして警察の情報が一部漏れていたことも発覚した」
「捕まえることは?」
「不可能だった。南雲というのも妻の苗字だったことで、本名は実際知らない。真昼くんなら知っていると思うのだが、真昼くんは、目の前で父親を殺されているからな。ショックのあまり、父親という存在は消しているようだった」
「でもおかしくないですか?なぜマフィアが日本に移住しているのか。この前だって陽羽ちゃんを狙おうとシルバーウルフが実際に動いていた。私の憶測でしかないんですけど、シルバーウルフを動かしているのは真昼くんだったとしたら?」
そうだとしても、真昼は母親のことで、結構落ち込んでいたし、シルバーウルフを動かせるとは想像しにくい。後半年間で真昼の正体を暴くことができればいいが、何も起きなかったとしたら、真昼は白だ。
「陽羽が危険になりませんか?」
「娘を使ってまで情報を得たくはないが、彼氏として今度、家に連れて来るよう伝えてある。その時、透も同席しろ」
「いたら逆に怪しまれません?」
「真昼くんが白だった場合、もしかしたら協力してくれるかもしれない。そこも踏まえて話し合うつもりだ」
真昼がシルバーウルフと接触しているとは思えないが、十年前に起きた事件に関わっているかもしれないから、なんとしてでも情報がほしいのだろう。
了解ですと伝え、俺は一度、学校に戻ることになった。




