21羽
飲食フロアの方面を歩き、あの人私の服燃やそうとしてただなんて最低すぎると、メイク落としのシートでメイクを落としつつ向かってた。あの人の名前は確か、雪っていう名前だったような。
はっきり覚えてないけど、そんな名前だったと思う。白と青だったし、多分そうだよねと到着したら、よかったと催花ちゃんが飛びついて来た。
「何もされてない?大丈夫?氷雨がすごいイライラしてても教えてくれなくて」
「何もされてないし、ちょっと知り合いがここで働いてたから。早めに帰ろう」
「うんうん。透先生から連絡が来てね、陽羽ちゃんが戻り次第、すぐ戻れって言われたから。帰ろう…そのチョーカーどうしたの?」
やばっ外すの忘れてたと思っても、なかなか外れなくて、あれっとやっていたら千ーちゃんが外してくれる。
「ありがとう」
「うちを探しに行ってくれた時に行方不明になったって聞いて焦った。さっきは、そのごめん。言いすぎた」
「大丈夫、坂東さん」
千ーちゃんでいいよと言われ、ありがと千ーちゃんと再度お礼を伝えた。とっとと帰んぞと岩渕さんと疾ちゃんも来て帰ることになる。
またいずれ会う時が来るのかなと段々と孤島が見えなくなっていく。催花ちゃんたちは少し仮眠をとっていて、隣に疾ちゃんが来た。
「あいつに何もされてない?」
「中華風の衣装は着せられたぐらいだよ。もちろん、女性が着付けてくれたから安心して。それより、疾ちゃんはあの人と知り合いだったの?」
「きなこを引き取った奴だろ。あの時、俺もいてさ、陽羽が公園で餌あげてたの知ってて、俺が引き取ろうかなって行った時にはあいつに引き取られてた。まさかあんなでかい偽動物園まで作るとはな」
「じゃあどんな人かは知ってるんだよね?」
「直接は会ってないけど、何度か脅迫状は家に届いてたよ。陽羽に近づいたら、シルバーウルフが学園を崩壊させる。けど来たのは小学校の時だけで、それ以来はなんも。ただの悪戯だったんじゃないかって思ったけど、今日ではっきりした。このこと、南雲に言いたいけど、今それどころじゃねえからな」
疾ちゃんはこう見えて真昼くんのこと心配してくれているのだと理解する。シルバーウルフの特徴は白と青がメイン。建物も白と青となっていたな。構成員の皆さんも色に合わせてスタッフになってたし。
すぐキャットアイランドは閉園をするのだろうと思っていても、雪の一番近い人が言ってた言葉。
ボスとの約束は絶対に守ってあげてくださいね。たとえ記憶がなくとも、ボスはその約束があるから日本から離れられないと。だから猫カフェが完成したら、店員になってあげてくださいって言われた。
その約束って一体なんだったんだろうと考えていたら、疾ちゃんが気になっていたことがあるらしく私に言う。
「あいつと接触した時に、何を話した?」
「約束を果たしてもらうって言われたけど、その約束が思い出せなくて。疾ちゃんはさすがに知らないよね?」
疾ちゃんはみるみると顔を青ざめていき、小さく指切りと発した。疾ちゃんと声をかけると催花ちゃんたちが起きないか、確認して、耳元で教えてくれたの。
「そいつと指切りしてたけど、何を約束していたのかはわからない。だけど陽羽の薬指には白花で作った指輪をつけてた。もしかしてさ」
疾ちゃんが言うものだから全身身体が赤くなってそうで、そんな約束してたのとほおに手を当てる。なわけないよなと疾ちゃんが苦笑いしてて、そうだよと私も苦笑いした。
絶対にあり得ないと疾ちゃんと話してたら、スマホがピコンと鳴り、透からかなと思いきや、カタカナでユキとある。これ完全に雪じゃないと、タップするとメッセージとさっき撮られた写真を送って来た。
愛する陽羽。警察がうるさくなりそうだから、一時シルバーウルフは帰国することにした。警察に話す時は、襲われたと報告して構わない。ただし、次会う時は白髪お兄ちゃんと呼ばれないように、気をつけながら会いに行く。プレゼントしたチョーカーは愛の印。ついているダイヤは本物だから、捨てないように。また会える日を楽しみにしてる。受験勉強頑張れ。
ファイトスタンプもついてきて、こんな長文が送られてくるとはと思いながらも、疾ちゃんは口元を抑えめちゃ可愛いんだけどと言われてしまう。
恥ずかしいし、これ透に見せることになるのと思いながらも、あのチョーカーは多分、証拠品として警察に保管されそうな気もする。そうなったら、雪にごめんなさいって送ればいいかな。
港に近づくに連れて、パトカーが何台もあり、お父さんが待っていた。疾ちゃんと千ーちゃんはご無沙汰してますと告げ、こんばんはとお父さんに言う催花ちゃんと岩渕さん。
「すまないが、署で事情聴取をしても大丈夫か?」
はいと四人は言い、ワゴン車に乗って警察署へと向かい、取調室は体験で一度入ったことがあるけど、まさか自分が取調室で話すことになるとは思いもしなかったな。
警察署に到着して、それぞれ取調室に案内してもらうと、そこに透が座っていた。てっきりお父さんが話を聞いてくれるのかと思っていながら、パイプ椅子に座る。そしたらいきなり、すまんと私に謝ったのだ。
「ずっと黙っていてすまなかった。俺は守城学園に潜入するために、教師として潜入を行ってる。このことは誰にも伏せておいてほしい」
「もちろん。薄々感じてたから大丈夫だよ。そっか。だからお父さん、話しやすい人を私にしてくれたんだね」
そうかと透は少し照れているも、それじゃあ何があったのか教えてくれと言われ、キャットアイランドで何が起きたのかを説明していった。
「以前にシルバーウルフのボスと接触していたってことでいいんだな?」
「うん。犬の散歩をしてた中学生だったから、その当初は気づかなくて、普通に接してたし、一緒に遊んでもらってた。その人がシルバーウルフのボスだなんてまだ信じられない。それから」
さっき送られてきた文面を見せると、ペンをボキッと折る透で、そうなりますよねと思いきや、写真をアップし透は興奮しているようにも見えて、記録している刑事さんに飽きられている。
ちょっと、透と叱ってみると、悪い悪いと写真を見るのをやめ、ちょっとスマホ借りるなと刑事さんに渡す。
「一日はちょっと借りるかもしれないけど、データとかは消さないから安心しろ。できればあいつとのやり取りは消してほしいけど、もしかしたらまたボスから連絡来るだろうし、俺でもいいし、凛太郎さんでもいいから報告してほしい」
「伝えるし、バイトやる時も報告するよ。ただちょっと引っかかることがあって」
「なんだ?」
「ボスとなんらかの約束をしたみたいなんだけど、なかなか思い出せなくて。ただね、その当初、情緒不安定だった時だったのは、はっきり覚えてる」
「情緒不安定時期は確か俺がまだ刑事しててそばにいられなかった時期か」
うんと伝え私はきっと悪い方向性を雪に伝えたんだろうなって気がしてきた。じゃなきゃ、約束なんてしないもん。
「記憶は思い出せなくても、ボスははっきり覚えてた。もし事故のことで悩んでて、ボスに話してたとすれば、仮にだよ。ボスが当初、運転手だった人を殺害したとしてたらって思っちゃったの」
「いやいや。それはさすがにないはずだ。入院先で運転手は消えたんだからな」
「さっきね、疾…じゃなくて氷雨くんと話してる時に、教えてもらったの。ボスと会ってたのは小学一年生の頃からだぞって。千ーちゃんにも話してみたけど、そうだよと言ってたの」
「おっと。三人はそいつに会ってたってことなのか。となると陽羽のことを知り、シルバーウルフがその運転手を攫い、遺体を埋めたかもしれないってことか」
そうかもしれないと伝え、シルバーウルフが絡んでるとなれば、雪と会いたくはないなと思ってしまう。けどリナムに会いたいのは変わらないことだ。
「話してくれてありがとな。また何か思い出したことがあれば、いつでも言って」
「もう終わり?」
「聞きたいことは聞けたからな。この刑事さんが待合室まで案内してくれるから、みんなのこと待ってろ」
はいと返事をしてお願いしますと刑事さんに言い、待合室で待つことになった。結局このチョーカーは調査品にはならないため、持ってていいらしい。
今度もつけるか迷ってしまうも、机の引き出しにしまっておこう。
スマホは一日、結局預かることになり、鞄にしまっていた本を読んでいたら、疲れたと続々集まってくる。後は疾ちゃんのみか。
「初めての事情聴取疲れた」
「疲れたけど、楽しかった」
どこがと催花ちゃんと千ーちゃんが言ってて、面白くなかったのと二人に聞くとこくこくと頷いてた。
「それより、疾太遅くない?てっきり一番乗りかと思ってたけど」
「言われてみればちょっと長いよね」
「陽羽ちゃんが一番、長くなりそうだと思ってたけど、一番乗りか」
「私も私が一番最後かと思っててよ」
そう話してたらお待たせと疾ちゃんがやって来て、お父さんもやって来た。疾ちゃんはお父さんだったんだと納得して、帰っていいらしく、疾ちゃんの車で帰ることに。
「そう言えばあの白髪お兄さん、中学生じゃなくて高校生じゃなかった?」
「いきなりどうしたんだよ」
「上着は中学生のブレザーだったけど、思い返してみればあのブレザー、海星学園のブレザーじゃなかった?」
私と疾ちゃんに言っていて、清寺さんと岩渕さんはなんのことかわからないでいる顔立ちでいた。
「今から俺ん家に来れそう?もしかしたら残ってるかもしれない」
「ちょっと待った。全然、話ついていけてないけど?」
「俺と千夏、それから陽羽は、シルバーウルフって言うマフィアのボスに会ってんだよ」
わおっと驚く催花ちゃんと岩渕さんであり、千ーちゃんも家に帰ったら探してみると言ってくれた。私の家にもあるのかなと考えつつ、まずは疾ちゃん家にあるアルバムにいるかどうか探すことに。
お母さんに今日のご飯、疾ちゃん家で食べて行くと伝え、疾ちゃん家に到着すると、二人はポカンとしながらも、疾ちゃんは玄関で待ってくれている執事さんとメイドさんにアルバム全部と夕飯五人分を持って来てと伝えた。
疾ちゃんの部屋に入り、少しして続々とアルバムが到着していく。
「よし」
よしじゃないと催花ちゃんたちで、この量を探し出せってことだよね。アルバムが多すぎて、見つけられるかわからない。とにかく一冊ずつ手分けして探すことになった。
疾ちゃんの小っちゃい写真だったり、今の疾ちゃんの写真だったりで、可愛らしい一面も見れる。夕飯は食べやすいように食べやすいものにしてくれて、それを頬張りつつ、これじゃないとアルバムを見ていく。そしたらこれじゃないと岩渕さんが発見したようだ。
確かに私と疾ちゃん、千ーちゃんと雪が写ってる写真で、海星学園の中等部だということがわかる。
「これ写真送っといてくれる?私の幼馴染が海星学園に通ってて、卒業生でいるか確認してもらう」
「いいよ。うる覚えだけど、なんでこいつ守城学園じゃなかったんだ?」
「言われてみれば、こっちに住んでるなら、わざわざ海星学園に通わないよね」
さっき会った時に、聞けばよかったなと思うも、スマホは一度預かってもらってるからな。疾ちゃんが私に送ってもらい、今度聞こう。
「それにしても三人の写真がいっぱいあったけど、三人はどういう関係なんだ?」
「両親が仲良くて、ホームパーティーすることがあったんだよ。まあ陽羽はあまり覚えてないだろうからって、なかなか呼べなかった。今度母さんに伝えておくよ。ホームパーティー再開しようって。したら何か思い出すだろうし」
「だったらさ、南雲っちも呼んであげなよ。病院に引きこもってないで、たまには気分転換必要じゃない?」
考えとくと疾ちゃんは苦笑し、疾ちゃんと真昼くんは小学生の時、どんな感じだったのかな。少し気になるも小学校のアルバムもあり、それに手を取ろうとしたら、それはみるなと疾ちゃんが回収する。
「急にどうした?」
「これだけは見るな。これ片付けて」
執事にそのアルバムを渡し、何か苦い思いでがあったのだろうかと感じてしまった。悪いなと言っていて気にしてないからいいよと伝える。
そこからはあのアルバム以外、疾ちゃんの写真を全て見て行き、こんなことがあったんだよと千ーちゃんが教えてくれた。
◇
スーパー銭湯の帰り道のことだった。病院に設置されているテレビで、足を止めてしまい、そのニュースを見て、鼓動が早くなり、過呼吸を起こす。
その場にいた看護師さんが大丈夫ですかと言われ、先生と歩いていたらしい先生が来た時は暗闇へと落ちた。
ふわふわっと犬に触れている昔の僕が見えた。そこにしゃがみ込む一人の男。僕とそっくりな人は父親であり、次の瞬間、父親が射殺される夢。
思い出したくもない夢を思い出し、ゆっくりと起き上がると、具合は大丈夫と看護師さんが気にかけてくれていた。
「すみません」
「少し待っててね、先生呼んでくるから」
看護師さんは医師を呼んでくるようで、さっきのニュース。キャットアイランドは陽羽ちゃんが行こって誘ってくれてた動物園。
ニュースではマフィアが経営していることが判明しとながれていて、あそこに陽羽ちゃんが行っていないことを祈るしかなかった。
医師に診察してもらい、問題がなければ帰って大丈夫と言われ、母さんの病室へと入る。母さんはまだ起きないよねとあの頃を思い出してしまう。
母さんと僕の父さん、そして一匹の犬がいて、幸せな暮らしだった。父さんと散歩中に悲劇が起こり、父さんは僕を庇って射殺され、僕の大事な犬も殺された。母さんはあまりのショックで一時期は、家から出ることもできなかったけれど、少しずつ回復してくれてたね。
前の母さんではなくなった時は少しショックだったけど、それでも僕は母さんを大切にしたい。だから一日でも早く目を覚ましてよと、母さんの手を握ると、寝言で、真昼ごめんねと呟く。
寝言が言えるぐらいなら、もうすぐ起きるかなと思いつつ、いつの間にか眠っていた。
◇
風呂上がって、髪の毛をわしゃわしゃバスタオルで拭いていたら、若と呼ばれた。なんだと思いきや、見てくださいとスマホを見る。
孤島に存在する動物園がシルバーウルフというマフィアが経営していることが判明。キャットアイランドで数名行方不明になっていることも判明し、警察はシルバーウルフが経営している全ての店を徹底的に調べ、行方不明者を探し出すとのこと。
最後まで見ていられず、若と呼び止められるも、玲の部屋へと急いだ。シルバーウルフに関しては、玲が調べ尽くしてるよなと部屋に入ったら、のほほんと煎餅を頬張りながらニュースを見ている。
「夕坊、そんなに急いでどうした?」
「どうしたじゃねえよ。そのニュース」
「陽羽ちゃんたちが今日、行ってたっぽい。安心して。無事に帰って来てるから」
そうじゃなくてとテレビの前に立つと、玲は煎餅を口に咥えながらテレビを消し、パキッと煎餅を割った。
「なんで公になったんだよ」
「玲ちゃんもわからない。けどシルバーウルフのボスは陽羽ちゃんと接触したことがはっきりした」
玲はスマホを取り出し、ある一枚を見せられ、鼻血がドバッと出てしまう。先手撃たれたねと俺のほおをツンツンする玲であり、ティッシュを鼻に突っ込み、なんでこうなんだよと玲に言った。
「さあ、わからんよ。このままボスの本拠地に連れて行くこともできたはずだったというのに、連れ去らなかった理由は別にあると感じる」
「別?」
「公にすることで、陽羽をいただくと合図をしているようにも見える。まだ情報は得られてないけど、シルバーウルフは一旦、帰国するらしい」
「つまり乗り込む気か?」
そういうとこと煎餅をバリバリ食べていて、しばらくは玲がこっちにいないってことになるのか。とういことは玲の店を守るのは俺になるってことになる。
「自分の店は自分の部下にきっちり叩き込んであるから、夕坊は気にせず自分の店をしてればいい。陽羽ちゃんがきっと来そうな予感がするしさ」
「本当に平気か?」
「平気平気。やばくなったら帰って来るよ。その前に夕坊が恋しくなって帰って来ちゃうかも」
嫌な予感と逃げようとしたら、玲に抱きつかれて、今日は一緒に寝よと言われたから、寝ないわと振り払う。連れないなと言いながら、お土産楽しみにしてなよと言われた。
◇
あいつから連絡をもらい、友達とご飯食べてくると伝え、指定された店へと歩いていた。あの要望はなんなのと思いながらも、ワインレッドのワンピースに、ワインレッドのハイヒールを履いて、道中を歩く。
破島がいなかったら、即帰ろうと決め、指定された店に到着し、少しため息が出るも中へと入った。お待ちしておりました、朝峰様とウェイターに言われ、個室へと案内される。
入ってみるとうわっとなり、引き返そうとしたら、ワインレッドのスーツを着た男が止めに入った。後ろから抱きつかれ、身体がゾワゾワとなり、ヒールで足を踏みつける。
それでも離れようとはしなく、一緒に食べようと耳元で囁かれた。今度会ったら絶対に通報するんだからと、席に座りワインが注がれる。
「破島が急用で来れなくなってしまってね。二人だけの会食となったのだ。再会の乾杯でもしよう」
「用件は何ですか?早く仰ってください」
「そう焦らずに」
ウィンクができていなくて変な顔になるこの人は、とある宗教の長と呼ばれているものだ。父親が他界したことで、息子が引き継いでいるとか。
何度もため息が出ても、乾杯をし飲む振りをする。ここで薬盛られたらアウトだから。
「知っての通り、陽空が断り続けるのであれば、身内は破島の手によって殺される。そうあってほしくないだろう。特に妹については。すでに手を出してる輩がいるそうだよ。見せてあげてくれ」
タブレットを持って来た人で、その写真に驚きが隠し切れなかった。何でこいつが陽羽と接触しているのと、長の顔を見る限り、何か取引をしているような顔立ちだ。
「陽羽には手を出さない約束なはず。なんで」
「我々はマフィアとは無関係だ。ただ破島に聞けばわかるだろう」
しくじった。あの時、大型犬に妹が食われるということは、そういう意味を示していた。お父さんに報告しておけば、陽羽は危険な目に遭わなくて済んだ。
ギュッと服を掴み、陽羽のことは嫌いでも、これ以上危険な目に遭ってほしくない。
「私から言っておこうかい?」
「自分で言う。その代わり、陽羽の人生を奪わないで。あの子は辛い時期をやっと乗り越えた。今の時間を邪魔しないであげて」
「わかっているとも。妹は災難な事故にあってしまったのだからね。できるだけフォローはすると約束しようではないか。その代わり、陽空は正式に」
「それはもう少し考えさせてほしい。まだ心の準備ができてない」
わかったと微笑み、了承してくれたのか、それとも何かを企んでいるような感じにも見えた。
◇
尾行に気づかれなくてほっとしたけど、ここめちゃくちゃ有名なお店で、たまに有名人も来店するレベルのお店。陽空ちゃんの服装が、ワインレッド一色で最初はどこかのパーティーに行くんじゃないかって思ってた。
けれど高級店に訪れるということは相当な金持ちと会食をしていることになる。夕莉さんがあんなに止めていたのに、すでにレッドクレインと接触していたとは想定外だった。一応、夕莉さんと陽空ちゃんのお母さんに報告しておこう。きっとレッドクレインの長は表ではなく裏から出るかもしれない。
とにかく裏に回ってみようかなと思った矢先のことだった。破島淡が目の前に立っている。
「やはりあんたには消えてもらう必要があるようだな。レッドクレインがどんな場所か見たいだろ?文倉紗良」
「破島淡、なぜ再び過ちを犯そうとするの?」
「ビジネスだよビジネス。金さえ入ればいい。今手を引けば見逃してやるが、これ以上踏み込んだら容赦はしない。それにもう一人の友達が大変なことに巻き込まれたようだ」
スマホを見せられ、嘘でしょと混乱が招く。小学生の時、海星学園を歩いている時に、高校のブレザーを羽織って、白髪なのが印象的だったから覚えてた。顔立ちも覚えてたし、どういう理屈で陽羽と接触してたの。
陽羽に確認しなきゃとスマホを取り出そうとしたら、破島淡に腕を掴まれる。
「今使っても、おそらく警察にスマホを預けている。連絡しても無理だ。陽羽から連絡来るまで、あんたは待って資料をかき集めておけ。それがあんたがやっている仕事なんだろ?」
手を離され、お利口にしておけよと手を振りながら、破島淡は高級店へと入って行った。どちらを優先すべきか、迷っていても、明日、海星学園の卒業生記録を見せてもらおう。




