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123羽

 皆はんと分かれて某は冬月と一緒にボスがいるであろう場所へと急ぐ。あの時点で気づくべきやったかも知れへんと思いを持ちながら、襲いかかってくるNoveは構成員が止めてくれているからスムーズに行けていたんや。

 麗音や豹馬たちを止められるのはいいとして、ボスについては時間がかかりそうで、冬月もそれを感じ取っているんやろう。


 ここにはシルバーウルフの象徴である狼がでよってもいいはずなんやけどな。まあスムーズに動けているからえぇとしてハスキーは主人の匂いをしっかり掴んでいるからすぐ辿り着く。走っていると冬月が何かを察しし、合図が来て速度を緩めたんや。


 するとハスキーたちが唸り始めていき、向こうからやって来たのはボスであってもボスではないことぐらいわかる。冬月とアイコンタクトで頷き、分かれてボスを止めに入ったんや。ハスキーはいつもと違う主人やったから、唸ってたんやな。

 ボスがこうなってしまった現況って一体なんやと考えながら、ボスを止めていく。


 もしかしたら、偽昼秋はんと再会した時、すでにボスは気づいていたんちゃうか。探ろうとしたけれど、それが裏目となって支配されているとしたら…。

 そばにいながらも全然気づけへんくて、ほんまに何やってんねんと自分に呆れてしまうほどや。いつもなら春陽ちゃんの力で正気を取り戻せたとしても、今回はちゃうよな。


 ハスキーたちはいつものボスに戻ってもらいたく、必死に噛みついておった。


「ボス!ボス!目覚せや!」


 声をかけてみるも、ボスは某や冬月に向かって襲いかかってきよる。まだここに小雪はんがいたとしても、おそらく避難しているやろうし、こんな姿、小雪はんに見せれへんよ。

 あんま傷つけさせないようにしたいんやけど、そうもいかへんよなと伊達眼鏡を外したんや。目覚ますまで本気でやらせてもらうわ、ボス。

 こうなってしもうたのも、きっと某がいけへんよなとボスに挑む。

 

 某は冬月たちに言えてない秘密が存在していたんや。それはしなとの関係性や。まさかしながNoveの首謀者となるのは、今も驚いておるんやけど、現況を作ったのはきっと某やと思う。以前、しなとちいと知り合いと冬月たちには告げたけど、実際は違うんや。

 Noveに誘拐された時期のことやで……




 シャドの息子と呼ばれておった某は四歳ぐらいやったかな。ボスの使いで買い物へと出かけた時に誘拐されたんや。その当初はまだ組織の名はなく、無名の組織やったからシルバーウルフに連絡ができへんかった。

 そのままNoveの施設に連れて行かれ、そこで見た光景は心に染み付いておる。その光景はとある病を患った病棟だと気づいたんや。


 そこで出会ったのはしなやった。個室でベッドに座っているしなの足には枷がついており、逃げることも不可能だと気づく。


 こっちに来いと腕を引っ張られ、その場を一度離れた某は一室へと放り込まれたんや。そこには大人たちが待っており、もちろん何かをさせられるのは目に見え、とっさに某は逃げる。

 逃げんな丸眼鏡坊主と叫ばれながら、たどり着いたのはしなの病室。しなは最初驚くもベッドの下に隠れてと言ってくれて、某はベッドの下に隠れたんや。


「しな、丸眼鏡坊主見なかったか?」

「ううん、見てないよ。見たら教えるね」


 そう言って足音が去って行き、もう大丈夫だよと教えてくれたから隠れるのをやめたんや。


「助けてくれてありがとさん」

「いいよ。逃げるなら早めに逃げたほうがいい。あの人たちは稀血ラロウエを使って実験をしてる。君も稀血ラロウエの持ち主?」

「うーん…わからへんよ。それよりどないしたん?足に枷ってどうかしてると思うんやけど」

稀血ラロウエの血がないと生きられない病を持ってて、人に移っちゃうからってお医者さんに言われてここにいるの」


 そうやったんかとなんて言えばいいのかわからへん。お互い黙りしていると扉が開いて思わずベッドの下へと隠れてしもうた。するとベッドの下を覗かれ、よくよく見たら伯父はんやった。


「迅、大丈夫か?」

「伯父はんなんでや?」

「いいから、早く来い。逃げるぞ」


 伯父はんに言われてベッドの下から出ても、しなをここに置いておくのはどうかと思ったんや。


「伯父はん、しなも一緒に行けへん?こんな場所じゃなくて、ちゃんとした病院連れてったほうがえぇんちゃうか?」

「難しいことだ。しなの両親がこの組織と関わっている以上、しなが逃げたとしても連れ戻されるのがオチだ。それに警察は信じられん」


 警察官なのにそう言うこと言うんかと苦笑いしつつ、だったらと某はしなと約束をする。


「だったら某が必ずしなを助けに戻るで。それまで辛抱できるん?」

「そんなこと言ってくれるの、迅が初めてだよ。うん、待ってる。そのころはきっと病気、治ってるころだと思うから。約束だよ」


 しなと指切りげんまんんををして、某は伯父によって助けられシルバーウルフへと戻ったんや。帰還した時、ボスは無事で良かったとわんわんと泣いてたやな。昼秋はんも無事で良かったとハグしてくれたとしても、昼秋はんから感じるものは怒りやった。

 きっと伯父はんが昼秋はんに情報を流していたんやろうと感じたんや。


 ただ結局、しなを救うべくシルバーウルフが乗り込んでくれるも、その施設にはもうもぬけのからやったそうで、しなを救う約束はできへんかった。

 いくら探そうとも無名の組織やったから、なかなか情報は掴めず、時だけが過ぎていったんや。



 現在……



 もし、もしやで。あの時、伯父はんを説得して某と共にシルバーウルフに戻っていたなら、未来は違ったんちゃうかと感じてしまう。これは某への復讐のようなもんや。

 某が大事にしとるのは家族、つまりシルバーウルフが某の家族やったから、鯨波邸で起きた事件も、構成員がほとんど命を落とさせるための計画やったんや。


 それでもボスは某を責めず、ずっとそばにいさせてくれたわけ。それは某とボス、それから冬月の絆が深いっちゅうこと。せやから絶対に目を覚まさせるやで、ボス!



  

 まるが伊達眼鏡を外した時は本気でやるという意味を示していて、本気を出さないと雪は正気を取り戻さないのはわかってる。たとえそれが死を生み出してしまおうともこれが裏社会でのやり方だ。

 僕と雪との出会いは雪の誕生日パーティー。ちょうど春陽も初めてのパーティーということもあった。


 父親について行きながら大人たちに挨拶をしている最中に、雪は一人で遊んでいるのが見えた。なぜかその顔は忘れることができない寂しいという顔立ちをしていた。

 裏社会で有名な大人たちの子どもたちは普通に中庭で遊んでいたのに、不思議に思っていて入れてと近づく。


 おもちゃの拳銃をとってバーンと効果音を声で出すと。雪は固まっていたな。


「えぇそこ打たれたショックで倒れてよ」

「そういうもの?」

「うん。いつもお父さんやってくれるよ。お母さんもバーンって言うとやられたって倒れてくれる」


 そんなことを話してたら、母親に呼ばれ雪のところから離れ、再び大人たちにご挨拶をしていった。途中で他の子たちに遊ぼうと言われたから中庭で遊ぶことに。

 本当は終わったら雪のところで遊びたかったものの、なぜ他の子たちは雪と遊ばないのか疑問に抱き聞いてみることに。


「ねえねえ、雪昼となんで遊ばないの?」


 その言葉を告げるとみんなの顔色が悪くなり、一人の子が代表として教えてもらった。


「あまり絡むなって父さんに言われてんだ。雪昼に怪我をさせたら殺されたっていう人多いし…」


 そんな理由で殺すとは思わないけどなと思っていても、雪は偉大な人物になるのは僕も感じていた。ごめんと遊んでくれた子たちはそれぞれ両親の元へと戻って行き、再び母さんに呼ばれたから戻ることに。

 そしたら雪の親父さんと雪がいて。大人たちは楽しそうに話し込んでいたな。そしていずれ僕はシルバーウルフとして動くことも決まっていたらしい。なぜかはわからない。けどやっと理解できたよ、父さん、母さん。


 星霜家が襲撃された時は、いつもと違う恐怖心があったけど、こうなることを想定して、僕はシルバーウルフに育てられたこと。事前に話し合ってくれたことで、僕はここまで来れたようなもの。シルバーウルフがいなかったら、僕は即死だったかもしれない。

 その恩を今返せという意味もそれに繋がるんだと雪を必死に止める。


「雪!雪!こんな姿、春陽が見たら、一番に悲しむ!だから目を覚ませ!」


 呼びかけても襲いかかってくる雪で、春陽はすでに雪と接触しているのかもしれない。こんな姿を見て春陽は心を痛めているはずだ。

 昼秋さんが来ない限り、雪は元に戻らないのかと思ってしまう。大好きだった昼秋さんは南アフリカにいると伝えてあげたいよ。昼秋さんを装ったレインアイス、疾太の親父さんを一度殴っておきたいぐらいだ。


 正気を取り戻す方法と言ったら鍵となるのはやっぱり春陽かと、苦戦していた時だ。雪の背後にいるのは小雪さん。


「小雪さん!早く脱出してください!」


 そう言っても小雪さんは雪に近づいてきて、そばに寄ったら確実に殺されると小雪さんを止めようとした。しかしそこで思わぬ出来事が起きる。



 冬月やまるに注意されたとしても雪は私に気づかない。なぜなら私は稀血ラロウエと別の血と呼ばれている血が存在し、中和されているから認識されないということ。雪はNoveが今までやって来た実験をさせられ、暴走している。

 それを止められるのは私や淡が持つ血、和血リラロエ。こんなことしたら雪は悲しむかもしれない。正気を取り戻したとしても、私のことや雪恋のことを思い出せなくても、私たちは家族だからと手首にナイフで傷をつけた。


 冬月とまるは目を見開いては雪を必死に止めていて、そのちを指ですくい唇につける。これで倒れてくれるかわからずとも、走っていき雪の腕を引っ張って振り向いてくれた瞬間に口付けをした。

 最初は抵抗されたとしても、血の匂いのおかげで雪の様子がおかしくなっていく。遠吠えのように雪は叫んだ後、倒れ込み近づこうとする二人にストップをかけた。


「これで終わりじゃないわよ。これは一時期的なもの。いつまた暴走するかわからない」

「とにかく治療受けましょう。救急班!」


 シルバーウルフの救急班に手当てをしてもらって、しなという子を一度、叱っておく必要がある。


「雪が起きて大丈夫そうだったら、私もついてっていいかしら?もしかしたら春陽ちゃんを救えるかもしれない」

「あの今のってなんやったんや?」

「私の一家は古代からあった血があってそれが私の体内にも存在してる。その血は稀血を中和させることができる血と呼ばれてる。その名を和血リラロエ

「父さんからその血は聞いたことがあります。まさか実在するとは衝撃すぎる。和血リラロエを持つ家庭はほぼ消えたと父さんから言われてたので」


 それもそうかもしれないと雪の寝顔をみる。和血リラロエを持つ家庭は稀血ラロウエを持つ者を唯一止められる武器。Noveによってほとんど消滅した。私の家族もNoveに追われる身となっていた頃、出会ったのが雪だった。

 

 アメリカで逃亡生活を送っていたら、Noveと遭遇してしまい、家族は殺されてしまっても、逃げ続けていた。そしてシルバーウルフの縄張りに入った時、追っ手は雪によって殺された。


「まる、まだいるかもしれないから、構成員を動かせ。平気か?」

「平…気…」


 あれっと私はそこで気を失うことに。


 目を覚ました場所はやたらとハスキー犬が尻尾を振って私を見ている。何ここと上半身を起こしたら、枕にしていたのが成犬のハスキーで、私が起きたから立ち上がってどこかへと行った。

 少しして雪がやって来て、まるは部屋にいるハスキーを退室させていく。ソファーにゆるりと座った雪で、私は向かいの椅子に座らせてもらった。


「先ほどはありがとうございました」

「平気だ。それより先程の奴らなんだが、お前は逃亡者か?」


 そこで打ち明けるべきか迷っていたけれど、打ち明けるのはやめておこうと嘘を吐く。


「いえ、ただの通りすがりで、なぜかあの人たちに追われる身となって」

「そうか。詳しいことは聞かない。好きなだけここにいろ。好きな時に出て行けばいい」

「本当に?」

「あぁ。何か欲しければまるをこき使って構わない」


 聞こえてるでと扉を開けてイライラしているまるでなぜか笑ってしまった。それからはシルバーウルフが何をしているのかを知りながらも、泊めさせてくれるお礼に掃除や料理をやることに。

 アメリカ人ということもあって、中華料理がお口に合うか少々不安はあったけれど、雪とまる、それから冬月に作ってあげたら、三人は目を輝かせ平らげてくれた。


 ほっとしていたら、雪はもっと食べたいと言い出すものでいっぱい作り、そしていつの間にか私は居候ではなく、雪の婚約者として雪を支えていた。

 もちろん、私が日本と中国のハーフということもあり、チャイナドレスをよくくれては、鼻血をよく出すから、特別な日にだけチャイナドレスを着ることに。


 そして特別な日にチャイナドレスを着て待っていたら、なんとメンズのチャイナ服を着こなす雪を見て心が奪われそうだった。


「どうした?顔赤いぞ」

「あなたが素敵すぎて、あなたのように鼻血が出そうになったの」


 そう告げてみたら雪は頬を赤くしながら悪いと言われるも、素敵よと伝え、特別な日。つまり鯨波流史郎と会食の場で二人の会話を聞いていた。


「時期に春陽が奪われてもおかしくはないと考えている。お前はNoveと取引をしているだろう。どうする気だ?」

「Noveに渡すつもりはないが、おそらくNoveは何かを打っているのは確かなことだ。それに一つ仕掛けておきたいのがある」

「なんだ?」

「春陽のクラスメイト、もしくは幼馴染に裏がありそうなんだが情報が掴めない。何か知っているか?」

 鯨波流史郎はワインを飲み、何か知っている顔だちをしている。そこで鯨波流史郎がこちらを向き、ある質問をされた。


「小雪、妊娠何週目だ?」

「なぜそれを…」

「その命を守る代わりに、雪に情報を流し春陽を守れ。それができなければ、情報は渡せん」


 究極な選択肢であり、雪は私の手を強く握っていた。子どもは以前からほしいと言われ、やっとできた命。この人を逆らえばどうなっているかはこの目で見させてもらってた。

 この子が生まれた時、立ち会えるかもわからないとしても、この子の幸せは必ず守る。だからいつも話してくれる春陽ちゃんを守ってあげてと握り返し鯨波流史郎に告げた。


「私は構いません。春陽ちゃんことは以前から雪に聞かされていたので、春陽ちゃんの命が危険ならば守るのもシルバーウルフの役目。ただ、もし願うならばこの子が生まれる時は立ち合わせていただけませんか?」

「構わない。小雪はそう言っているが、雪はどうなんだ?」

「わかった…。小雪がそう言ってくれるなら、小雪と赤子の子を頼みたい」

「交渉成立だな。直ちに動け。どのタイミングで動くかわからないからな。資料は後日、郵送で送る。小雪は荷造りしてこっちに来い」


 承知いたしましたと伝え、会食後、まると冬月が荷造りをしてくれたとしても少し寂しそうな顔立ちでいるから、二人同時にハグをして伝える。


「雪のこと、頼むわね」

「僕の妹のために、ありがとうございます」

「ボスのことは大丈夫やで。体には十分気いつけてください」



 ありがとうね、二人ともと感謝を述べ、私は鯨波邸で暮らす日々となった。出産当日、来る予定だったものの仕事が急遽入ってしまい、会えずじまいとなってしまう結果に。

 窓を眺めながら赤子に触れ、名前二人で考えたかったなと思いながら、その日雪が降った。せつが恋しいという思いが強すぎて、この子の名前を雪恋と名付けることに。

 成長していく雪恋を見て、一緒に育てたかったという思いがあったとしても、雪は今も春陽ちゃんを守り続けてる。それがいつ終わるかもわからないまま時が過ぎていった。そして時が過ぎ私は春陽ちゃんによって、解放される前日。鯨波流史郎に言われたこと。


「春陽から伝言だ。今まで苦しませていたこと、すまなかったと」

「春陽ちゃんが?」

「あぁ。まあ私の支配下にいると春陽には認識させているからな。仕方あるまい。荷物を持ち、雪恋と共に、雪の元へ戻れ。それが春陽との取引だからな。拒否はない」

  

 雪が守ろうとしていた春陽ちゃんに一体何が起きたのと思いながらも、一つ理解できたことが存在する。雪では守り抜くことが不可能となり、鯨波流史郎のもとへと来させるんだと。

 ただ引っかかるのが春陽ちゃんがなぜ自ら、鯨波流史郎のもとにはいるのか。


 最初は雪と暮らしてほしいというのが春陽ちゃんの願いだと思っていた。ただ雪から聞いた限り、春陽ちゃんは以前から記憶をほぼ思い出していたこと。雪はそれを報告しなかったことで、Noveによって支配されたのではないかと感じてしまう。


 待っていたら放送が流れ、Wizuteriaの曲が流れる。藤太郎たちも来ているのねと曲を聞いていたら、目を覚ます雪。

 けれど私たちを見て目が泳いでいながら、お前たち誰だと言われてしまった。


 やっぱりそう来るのは想定内で、雪の手を握りたくても我慢して聞いてみる。


「あなたのご主人様に会わせてほしい」

「しなのこと…?」

「そう。あなたのご主人様に報告しなくちゃならないことがあって。案内してくれると嬉しい」


 雪は少し考えるもここには防犯カメラがないから大丈夫と信じたい。わかったと言ってくれる雪で、しなのところに案内してもらおうとした時のこと。

 小雪さんと冬月の叫び声がかかり、何と振り向いた瞬間、私を庇ってくれたのは娘の雪恋。


「雪恋!」


 撃たれた雪恋を支え、雪恋を撃ったNoveは焦りを出しながら逃げようとしていて、冬月とまるが仕留めに入った。救急班が雪恋を手当てしていくも包帯はすぐ赤くなってしまう。


「お…母…様…」

「喋らなくていい!なぜここに来てしまったの!」

「お…父様…に、会いたかった…から」


 雪に向けて微笑む雪恋は力尽きたかのように、目を閉じてしまう。嫌よ、こんなの望んでないと雪恋を抱いて泣き叫んでいたら、雪が言い出す。


「小雪…?雪恋…?」


 振り向くと雪はその光景を見て大きく叫び出した後、ショックのあまり気を失う羽目に。


「構成員たち、娘と夫を頼むわよ。まだ雪恋は生きてる。すぐに治療できる場所があるなら、そこで治療を頼みたい。まる、冬月行くわよ」


 まだ二人は動揺していたとしても、夫をこんな目に合わせて、愛娘を撃たせたこと後悔させてあげると、二人を連れてしながいる場所へと向かった。



 春陽の輸血パックが保管されてある場所へと到着するも周りは水場で、そこには鮫がうようよと泳いでいた。落ちれば即死なのはわかってる。


「本当にここであってるんだよね?」

「先を越されたようだ。あそこに防犯カメラがあるのが見えるだろう。氷雨が鮫を動かせるが、氷雨は娘の言いなりとなっているから無理だ。他に方法は…」


 がくは他にプランを立てていなかったようで、振り出しに戻ってしまったらしい。早くしないとNoveの連中が来るかもしれない。

 ボートに乗ればすぐ鮫が襲いかかってきそうだし、春陽の輸血パックの匂いで暴走するかもしれないな。一つ案はあるけれど効果があるか不明だ。


「ねえ電気をさ放つことってできる?」

「危ないだろう。それにもし万が一、春陽の輸血パックに影響が出たら」

「そうなったら、直接、月人さんに輸血させるから問題ないだろう」


 淡がそういうもので、そっか春陽の血はお父さんの血が濃いって言ってたもんね。一か八かでやるしかないと鮫を感電させるために、事前に用意してたらしい淡が設置してくれる。


 春陽、待っててね、今行くからと淡の合図で水場に電気を放ち、鮫は感電してくれた。ここからが本番とボートに乗り、がくが暗証番号を入れてカチャッと開く。

 開けてみるとそこは空っぽでメモが置かれてあった。


 負け犬ちゃんばいばいとあり、罠だと出ようとしたら水圧が上がって私たちが立っている場に水が上がっていく。急ごうと思っていても、がくは泳ぎが苦手なようで渋々淡が力を貸してあげていた。

 早く脱出しなきゃとさっき来た道へ行こうとするも、閉ざされていて逃げることはできない。天井までどれくらい時間がかかるかわからないけれど、私たちはゲームオーバーのような感覚に陥った。

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