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122羽

 昏籐組を抜けて妻と可愛い卯百合のために、新しい職につきながら仕事をしていた。それがまさかの裏社会に繋がる会社だったと気づいた時には手遅れ。家族を失いたくなければ、指示に従えとよくある台詞を言われながら仕事に全うしていた。

 最初は爆弾とやらを作り、だるい職だなと思っていたが、成績が認められたおかげで少し上の人間へとなれた。まあやり方は酷すぎることが多くとも、妻と娘のために懸命に働いていた時。


 子供たちをちょくちょく見かけるようになり、そして三人の子供たちと出会った。それが虎次、豹馬、希虎である。三人はTamerの素質があり、希虎とは娘の一個上だからなぜか興味が湧いていた。

 いつか娘と仲良くなれそうな気がして、遊び相手になってあげることに。ごく稀に上の人から子供扱いはするなと注意されていたとしても、三人の笑顔を見りゃあ遊ぶに決まってる。三人に大丈夫なのと言われれるも、大丈夫と答えながら遊び相手となってあげていた。


 そして悲劇は突如と現れ、襲撃が起き、これが昏籐組の仕業じゃないとすぐにわかった。なら誰がと倒し、狙いが豹馬だと気づいて、真っ先に豹馬たちが寝ている寝室へと急いだ。

 廊下には武装した連中がいて、そこに鯨波流史郎もいた時は、正直この組織を潰しに来たのかと思っていた。しかし、豹馬の親御さんがこの組織を抜けるために、動いていたことを知り、忠告する。


「今ここで豹馬を連れて行けば、絶対に後悔する。逃げたければお前たちだけでいけ。それに豹馬はそれを望んでない」


 伝えてみるも豹馬の父親は強引に豹馬を連れて行き、行かないでと希虎が行こうとするから止めた。なんでよと希虎は泣きじゃくり、虎次が慰めていく。

 翌日、希虎と虎次の様子を見に行ってあげるも、元気がなく、上の指示で豹馬は死んだと認識させろと命じられた。そんなの言えるかよと虎次と希虎のそばに寄り添い、二人に告げる。


「豹馬は別々の訓練をさせられてるから、一緒に待とうな」

「でも他の人たちは死んだ豹馬のために、Tamerになれって…」


 言ったやつしばくかと心の中で思いつつ、豹馬は生きてると二人の頭を撫でてやる。


「いいか?他の人たちのことは信じるな。俺の言葉だけを信じろ。絶対にすぐ会わせてやるから」


 本当にと二人がはもりながら言うもんで、約束と二人と指切りげんまんをした。


 家へと帰ると愛娘である卯百合がおかえりーと笑顔で飛びついてきてただいまと卯百合に触れた。豹馬はいいとして、未来の子どもたちにあんなことさせてはいけない。そう感じその日の夜、卯百合が寝た後、妻に相談した。


「今の会社を辞めるには反乱を起こす必要がある」

「…危険じゃないの?まだ卯百合は幼いのよ」

「わかってる。それでも学校に行けず、訓練させられている子たちを見捨てられない」


 妻は危険になることは一番に避けてほしいと言われ、組を抜けたのは事実。だけど俺はどこかで間違ってたのかもしれない。組にいれば妻も卯百合も危険になることはなかったんじゃないかと。

 妻と何度も話し合い、俺は昏籐組ではなく、鯨波流史郎に近づくため、純連と接触することに。純連の行動はいつも決まっており、学校が終えたらすぐ病院へと行く。ただし金曜日はなぜか病院ではなく、公園にあるブランコにゆらゆらと乗っていた。その時間帯を狙って接触する。


「どうした?」

「んーどうしたら友達が元氣になるのかなーって。あっおじさん、誘拐犯ならやめときなよ。俺の父ちゃん、組長でおっかないから」


 知ってるとはさすがに言えず、しかも純連からそんなことを言われるとは、思わず笑ってしまった。なんだよとなぜか純連が不機嫌となってしまい、悪いと伝える。


「友達は家にいるの?」

「違う。重い病気で外に出るのも駄目な状態ぐらい、酷いんだって。早く元気になった姿、見たいからどうすればいいのかなーって」

「んーそうだな。だったら友達が好きなものあげたり、励まして一緒に頑張ろうとか、とにかく病気と闘う子なら勇気を与えるのが一番だよ」


 純連はんーと考え始めながら横目でおじさん何もんと怪訝そうな顔立ちをされてしまった。ただの通りすがりのおじちゃんだよと言うも、怪しいと言われてしまう。

 ブランコから降りた純連は、俺に背を向けたままこう言った。


「おじさん、勇気与えられるかわからないけど、勇気与えてみる。また会ったらどうなったか伝えるから」


 待ってるなと伝え、純連は公園を後にし、ヤバッと組織へと戻る。

 虎次と希虎、大丈夫かと二人が寝ている寝室を覗くも二人の姿はなかった。さては訓練かと思った矢先、二人に攻撃されたからやられたと、わざと倒れてあげる。

 二人はやったーと大はしゃぎして、子供は能天気でよろしいと髪の毛をわしゃわしゃしてあげた。


「二人とも元気そうで良かったよ」

「卯京のこと信じてるから、小生は復活した」

「僕も」


 この二人も何も縛られず生きてほしいという願望が見え始めた頃のこと。再び悲劇が起きうることとなる。仕事とは別に子どもたちを救うべく準備をしていた時だった。

 たまたま組織にいる子の父親と遭遇し、子はまだ生きていると知らせたところ、意外な言葉が出た。


「は?子どもなんていねえよ。大体、鬱陶しい虫を置いて逃げた女に直接言ってもらいたいもんだ」


 子どもを虫扱いするんじゃねえと怒鳴っていたら、懐かしい声が聞こえる。そっちに目を向けると、豹馬がランドセルを背負っている姿。

 しかし俺のこと怖いと認識しちゃったのか、怯え逃げようとし、こいつなんとかしておけと部下に告げ、豹馬を追いかけたかった。そこに待ち構えていたのは純連で、追いかけんなと言われる。


「そこをどけ、純連」

「いやだ。豹馬は俺のだちだもん。おじさんのこと、怖がってたし、豹馬を連れ戻そうとしてるんじゃないの!」


 きっと追いかけてた時、普段の接し方じゃなかったのは確かだった。怖い思いをさせてしまい、謝りたくても純連がいる以上、追えば確実に紫蛇組によって消される。


「わかったけど、怖がらせてしまったことすまないと豹馬に伝えてくれるか?」

「…わかった」


 一旦引いてまた今度、純連を通して謝ろうと決めた次の日。よりによって先回りされていたようで、豹馬と豹馬の妹が帰って来たが両親はその場にはいなかった。

 つまり豹馬の両親は殺されたと認識したとしても、俺は仲が良かったこともあり、会うことを禁じられる羽目に。


 ふと純連が心配となり、金曜日の夕方、公園に訪れると純連は泣いていた。会わせてやりたくとも、連れては行けず隣のブランコに座る。


「おじさん…なんでっ」

「ごめんな。先回りされて助けることもできなかった。でも大丈夫。きっとすぐ会えるよ」

「本当に?」

「もちろん。だから純連は病気と戦ってる友達と一緒にいろ。そんな顔すんな。絶対に大丈夫」


 純連を励まそうと頭を撫でてやり、それでも純連の中では豹馬のことが気になっていたんだろう。豹馬に会えない分、俺は毎週金曜日に純連と会うようになり、そして全て一つになることを知る羽目となる。


「あのね、おじさん。俺にはいとこがいてね。季節の春に太陽の陽で春陽っていうの。それから季節の冬に輝く月で冬月ふづきっていういとこがいて」

「いとこがどうした?」

「悪い組織に捕まるかもしれないって親父が言ってた。どうしたら守れるかな」


 その言葉で春の太陽、そして冬の月でよりによって純連のいとこだったとは。さすがに組織がやろうとしていることは、まだ純連は知らない。ならこれ以上純連と関わっていたら、純連にも影響が及ぶと感じた。


 その日の夜…


「おかえり、卯京。うかない顔してどうしたの?」


 妻は俺が今から何をするのかわかっていながらも、そう言っていてつい妻を抱きしめる。もしかしたらこの先、危険なことが起きうるかもしれない。

 純連は紫蛇組の息子であり、鯨波流史郎に近いのは承知している。もし、妻や愛娘に何かが起きたらと考えていたら、妻に言われる。


「卯京、あなたがやりたいとならば、私は止めない。けど必ず家に帰ってきて。それが守れないなら、行かせたくない」

「約束する。必ず家に帰ってくる。それまでは安全な場所にいて。迎えに行くから」


 わかったと妻からの了承を得て、俺は一人で行動することに。


 そして最後にもう一目、純連に会っておこうと思い、あの公園へと向かった。純連はいつも会う顔立ちではなく、少々苛立っているのが伝わる。

 そう思いながら隣のブランコに乗り、純連が話してくれるまで待ってあげることに。


「卯京…」

「ん?」

「いとこの陽っちゃんがね、最近昏籐組の息子と毎日登校してる。本当はそこにいるの俺だったのに」

「仕方ないんじゃないかな。純連は海星学園に通ってて、陽っちゃんは守城学園に通ってる。どちらにせよ、陽っちゃんのご両親も守城学園だったからね」

「そうだとしても、なんでよりによってあいつなんだよ。陽っちゃんはこっち側についてほしくない。それなのに陽っちゃんは何度も取引現場を目撃してる」

「それは育ての親が警察官だからだよ。いつかは純連が陽っちゃんに逮捕されそう」


 ぷうっと膨らませる純連でつい俺は笑いながら純連の頭を撫で、綺麗な夕焼けを見ながらこう言った。




「大丈夫。純連が大事にしてるいとこの陽っちゃんは、何がなんでも裏社会には来させない。だから純連は藤太郎のそばにいればいいんだよ」


 本当は純連に謝りたい気持ちが強かった。俺がこれから起こすことを、知ってほしくない気持ちがあってもやらなくちゃならない。

 

 妻と卯百合のもとに戻るのはきっと遅くなってしまっても、まずは鯨波流史郎と接触しなければならなかったから、俺はあの日、春の太陽とそして昏籐夕哉を引いた。


 けど結局、鯨波流史郎に接触するも純連もその場にいて、悲しくてどうしてという瞳で俺を見ている。そうだとしても俺は拷問に耐え続けた結果、純連は俺を庇った。

 やっぱり純連は純粋すぎるぐらいの優しい子で、心が揺らいだせいで、本音を打ち明けることに。


 本当は殺される覚悟で会ったつもりだとしても、鯨波流史郎は陽っちゃんの実親を紹介してくれて、妻と愛娘は保護された。そして俺は……。



 虎次くんの寝顔を見ながら、お父さん、やっと会えたよと心の中で叫ぶ。お父さんが守り抜けなかった子たち。悔しいという言葉が私を支配していた。

 お父さんは虎次くんたちを助けようとNoveを一度、襲撃した時、命を落としてしまった。私はまだ幼かったこともあり、お父さんの顔はいつも写真を見ないと忘れちゃうとロケットペンダントを握りしめる。


「藤太郎くん、純連くん、想くん。先を急いだほうがいいかもしれない。虎次くんは私に任せて」

「起きたとき何されるかわからない」

「平気。だって私にはお父さんがいるもん。早く行ってあげて」


 藤太郎くんたちは少々悩むも、虎を頼むねと藤太郎くんが言い、行ってもらった。お父さんの日記を見て全て理解できたとき、お父さんの意思を継いで、私は春ちゃんのご両親がやられている組織へと加入。

 そのとき、純連くんも何度か会ったことがあったっけ。


 虎次くんがゆっくりと目を覚ましたとしても、目から雫が垂れ希虎と腕で目を隠した。大事な人を失う辛さというのは人それぞれであって、虎次くんは受け入れたいと思っても、過去に縋ってしまう理由。

 私も一時期、そうだった。お父さんがいない世界を生きていきながら、学校に通っていたとき。授業参観があるたびに友達やクラスメイトにお父さん今日も来てないねと言われた言葉。憧れだった。なんで私にはお父さんがいないんだろうという思い。片割れを失ったような感覚で、息苦しかったよ。


 みんなと違うことがとても嫌で、学校に行きたくないと母親に打ち明け、中学も高校も、大学も行かず、組織の中で家庭教師を呼んでもらい、勉強に励んだ。

 お母さんはごめんなさいというような瞳をしたとしても、お母さんを責めることはできない。


 なぜならお父さんが決意を固め、希虎くんのように命を落とさせないために、挑んだことが、今は誇りを持ってるよ。だからね、虎次くんと目を隠している腕じゃないほうの手を握って伝える。


「虎次くん、もう自分をこれ以上責めないでほしい。希虎くんも、卯京は私のお父さんで、二人は自分を許してあげてほしいって願ってるよ」


 その言葉で虎次くんの握りが強くなり、感情が涙へと変わって止まらずにいる。私がそばにいるから、思いっきり泣いて大丈夫だからと待ってあげた。


 希虎くんに一体何が起きたのか、なぜ脳死として処理をされたのか。その理由を教えてもらっていなくて、虎次くんはずっと自分を責め続けてきた。

 希虎くんの死は自分が原因で死んだとずっと心の奥に封印していたこと。それでも虎次くんは何一つ悪くない。


 少しして落ち着いてきたようで、手の力が緩くなり目を見せてくれる。ポケットにしまっていたハンカチを渡し、それで涙を拭く虎次くんはゆっくりと上半身を起こす。


「ごめん…」

「虎次くんは悪くない。お父さんが残してくれたもので、お父さんの覚悟を知ったの。お願い、虎次くん。お父さんのために、手を貸して」

「小生は…いけない。小生は、Tamerである限り、しなに逆らうことは不可能。それに卯京さんを殺したのは…小生だ」


 うん、うん、わかってると頷きながら虎次くんを優しく抱きしめて、私はもう一度、虎次くんは悪くないと伝えた。虎次くんは涙声でごめんと言い出す。


 あの日、虎次くんはNoveの実験によって、正気を失ってお父さんを誤って殺してしまったこと。虎次くんは今も被験体のように扱われ、Tamerのリーダーへとなった。

 


 そして俺は陽っちゃんの親御さんがやっている組織へと入り、スパイとして動いていた。Noveがやっていることを流し、子どもたち、そして虎次と豹馬を救うために動いていた時期。

 幹部でありながら知らなかったことが存在し、とある実験をさせられていた。それを目撃した時にはすでに、虎次や対象となる子たちは被験体へと変わっていた。それを報告すべく、月人さんのところへと向かうことに。


 俺は基本、電話でのやり取りで報告をするよう命じられ、人目を気にしながら指定された場所へといく。そこにはポツンと置かれている受話器が存在し、俺が来たことで受話器が鳴った。それを取ると月人さんの声が合言葉をと言われ、合言葉を伝える。


「冬の月と春の太陽、霜に星する」

『よろしい。報告を』

「Noveは完全にいかれてる。実験はおそらく、春の太陽を従わせるための実験。それが完成したら稀血ラロウエを持つ子たちも危険になるかもしれない。指示を頼みたい」

『やはりそう来たか…。卯京、希虎くんがなぜ脳死で死んだのか。おそらく希虎くんは、稀血ラロウエを持つ子だったかも知れない。使用済みはたとえ子どもであろうとも排除するような組織だ。やり方は卯京に任せる。人員もそちらに送ろう』


 感謝しますと伝え、幸運を祈っていると言われた後、通話は終了した。


 準備をし俺はNoveを襲撃し、できるだけの子どもたちを助けたかった。しかしそこに待ち構えていたのは正気を失った子どもたちであり、暗殺教育を受けていた子たちでもあったから、それぞれ得意とするものを持って攻撃し始める。

 そこに虎次もいて、豹馬はと探してみるも豹馬はその場にいなかったのが幸いだったのかも知れない。ある程度のNoveつまりTamer使いの奴が何人かいて、子どもたちに指示を与えていた。


 子どもたちをどうやって止めれるのか、それを考えながら子どもたちに挑む。何かきっかけさえあれば目を覚ます可能性はあっても、この状況じゃさすがに難しいと判断する。

 とにかく怪我をあまりさせないように子どもたちを気絶させ、暴れないように一度縛っておく。Tamer使いは殺し、そして残りは別格すぎる虎次だった。


 一緒に来てくれた仲間たちに子どもたちを避難させるよう伝え、ここは一対一でやる。虎次と呼びかけをしながらでも、虎次は俺に向かって攻撃。俺がいない間にこんなに強くなるのは喜ばしいと言える。

 いや、言っちゃいけない言葉だ。俺の愛娘がこんなことしていたら、俺はきっと暴走するように、全力で止めなければならない。俺にとっちゃあ、虎次や豹馬、もうここにはいないけど、希虎は可愛い弟のようだったよ。


 豹馬もここにいたら、俺の怒りは押さえつけられないだろうと、冷静になりながら虎次の攻撃を交わしていく。以前、希虎の死によって虎次が暴走した時より酷い状況だった。

 一度距離を離して息を整えたいところだが、どんどん虎次は攻めて来て、そして最悪な事態が起きる。


 ポタッポタッと腹部から血が出て、そのままナイフが突き刺さる。それでも俺はそのまま虎次を抱きしめてやり、虎次と大きく叫び出す。

 それによって我に返ったかのように、卯京と弱々しく俺の名を呼んだ。


「もう大丈夫、大丈夫。傷つけなくていい」

「卯京っごめんなさいっ。ごめんなさいっ。早く治療っ誰かっ誰か!」


 虎次が叫んだとしても、まだ子どもたちを避難させた仲間たちが戻って来ないだろう。


「虎次、よく聞け。この先、辛い人生が待っていようとも、必ず生きろ!希虎の光は消えちゃいない。必ず虎次の前に希虎の光が導いてくれる。それまで耐えろ」

「卯京っ」

「約束…だぞ…」


 虎次の顔をちゃんと見て、泣くな虎次と涙を拭ってやり、俺は虎次に体重を預け、この世界から俺の灯火は消えた。



 心に閉まっていたパンドラが開き、全てを思い出してしまった。思い出したくない過去、それでもその過去と向き合いながら現実を生きていかなければならない。

 卯京の言葉は正しかった。希虎の心臓ひかりはちゃんと存在して、生きようと頑張っていること。


「卯京の…えっと…」

「卯百合だよ。卯京の卯に百合で卯百合。やっと虎次くんに会えて、私嬉しい」


 その笑顔がまるで卯京を見ているかのような感覚で、きっと卯百合は卯京似なんだと頬に触れる。


「行こう、春ちゃんを救いに」

 

 うんと頷いた時だった。Wizuteriaの曲がブチ切れてしまい、しなの声が響き渡る。


『虎次、何してんの?さっさとその女殺せ。じゃないと弟のようにしてあげてもいいんだよ』


 うっと激しい頭痛が起きてしまい、こんなところでしなの声が聴こえるだなんて最悪だ。耳を塞いでいると卯百合が首に下げているヘッドフォンを小生につける。

 するとWizuteriaの曲が流れ、私がついてるよと卯百合は言ってくれた。藤太郎の声が心地よくてしなの声が聴こえない。


 ありがとうと感謝を述べながら、小生は陽っちゃんを救いに卯百合と一緒に向かった。

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