119羽
組長たちと離れて豹馬という奴がいるであろう場所へと向かっていた。夕坊たちも別の通路へと走って行き、本当にそいつがいるかどうか。襲いかかってくるNoveの連中を倒しつつ、その先へ進みにつれて豹柄を着たNoveの連中と遭遇する。
この辺りが豹馬がいるフロアってことかと速度を遅め、さてと豹馬と言うやつはどこにいるのか、きっちり答えてもらおうじゃねえかと指を鳴らす。
「あんたらのボスはどこにいる?」
聞いてみるも誰一人答えず、仕方ないと連れてきた舎弟に合図を送り、倒していった。喋れそうな奴を残しておこうとしたところ、豹が何頭も出てきやがって、やべえもん出てきやがったな。
「わしの相手は昏籐組の本部長さんか」
「お前の妹のために、こんなことはやめろ。わかってんだろ?こんなことしても意味がないことぐらい」
豹馬の目は揺らいでおり、自分でもわかっているのだと知った。されど豹馬は豹に指示を与えて、豹が自分を襲おうと向かってくる。早くケリをつけて夕坊と合流したくとも少し時間がかかりそうだなと感じた。
◇
よりによって昏籐組本部長の蓮見玲がわしのところに来るとは予想外だったわい。わしはNoveを裏切る目的を知られ、後戻りはできなくなってしまっている。
なぜなら豹につけている首輪はわしがNoveを再び裏切ったら豹に喰われてしまう運命。141、わしの大事な妹が無事にいてくれることだけを願っていた。
わしは生まれた時から、Noveで育ち暗殺教育を受けていた。もちろん虎次と一緒に育ち、よきライバルとして共に過ごしていた。わしは名の通り豹を扱えるTamerとなるため指導を受け、もちろんその頃は両親もNoveで働いていた。
「豹馬ー!虎と豹たちと遊ぼうよ」
「遊べないし禁じられてるわい!虎と豹が同時に放たれたら誰かしら怪我する」
「ちぇっ。あぁつまんないのー。楽しいことないかなー」
虎次がぶつぶつ言っていながら、わしは動物のおもちゃで遊んでおり、途中から虎のおもちゃを虎次がとって一緒に遊んでいく。すると扉が開いて虎兄と小さい部屋だと言うのに元気な声で虎次を呼んだのは虎次の弟、希虎。
希虎は何してんのと虎次の横に座り、僕も遊ぶと言い出してライオンのおもちゃをとった。楽しく三人で遊んでいると、わいたちにとって、兄のような存在の人がくる。その人は混ぜてとなぜか兎のを持ち、ぴょんぴょんとやり始めた。虎次は決まって体当たりをしながら、その人に言った。
「仕事サボってるのばれないの?」
「子供の相手をするのも仕事の一環だから怒られないよ」
そう言いつつもわいたちがいない間に怒られてそうと感じていたわしたちである。遊んでもらった後は、Tamerとなるために訓練をしては、夜は虎次や希虎と寝る日々。
それが毎日続くと思ってたけれど、わしに妹ができた時期のことだった。みんなが寝ている頃、なぜかわしは寝付けなくて、窓に寄りかかって夜空を見ていた。
廊下がやけに騒がしくても、虎次と希虎は熟睡中で起こそうかと思っていた矢先。バンッと扉が開いたことによって、虎次と希虎が目を覚ました。
入って来たのは鯨波流史郎とその部下たちであり、そしてわしの両親もいる。豹馬、逃げるわよと母親に言われた時は正直意味不明だった。なぜなら不自由なくわしはここで育ってきたようなものだったから。それでもわしが固まっていることで、父親がわしの腕を掴み行こうと思っていた。
それを止めたのはわしたちと遊んでくれる人、兎原卯京。
「今ここで豹馬を連れて行けば、絶対に後悔する。逃げたければお前たちだけでいけ。それに豹馬はそれを望んでない」
卯京が言うも両親は引き下がることはなく、わしは父親に引っ張られ行く羽目となっても卯京は止めることはしなかった。それでも行かないでと叫ぶ希虎の声が響き渡る。
どんなに嫌がっても父親の手が離れることはなくて、一台の車に乗るとすでに妹はチャイルドシートに座って寝ていた。その一台に乗り、わしは一度Noveから離れることとなる。
Noveから離れたわしはごく普通の生活を送ることになったとしても、虎次や希虎がいないとつまらないと感じるようになった。
ただ両親はそれきり鯨波流史郎と接触することはなかったから、なぜわしだけを逃がしてくれたのか意味がわからなかったわい。
少し経ったある日のことだった。学校の帰り道、新しくできた友達と下校をしていたら、たまたま卯京を見かける。友達と別れて、卯京に会えた喜びに驚かせようと思った。けど足が止まりなんでというような言葉が頭の中によぎる。
その光景はいつも見せてくれる優しい卯京ではなく、恐ろしい人だと知ってしまった。人を殴り怒鳴って、殴られた人の顔は今でも忘れられないぐらい酷い状況だった。
わしが見ていることを知った卯京であっても、鋭い目でわしを睨んだ。
「卯京…なんで…」
卯京は殴った人を部下たちに片付けるよう指示を与え、こっちに来ようともわしは怖くなって逃げ出す。逃げんなよ、豹馬と言われるも、卯京がこんなことするだなんて受け入れたくなかった。
どれくらい走ったんだろうと思いながら、家へと到着し、卯京にこの家がばれると思い込みながら家の中に入る。
家の中へと入ったら妹の泣き声が聞こえ、リビングに入った。そこにNoveとTamerがわしの帰りを待っていたようだ。
わしは豹使いのTamerの人に叩かれ、なあに逃げてんだと冷たい言葉を言いながら、わしの髪の毛を引っ張る。すでに両親が倒れ込んでいて血で床が汚れていた。
そしてわしと妹は再びNoveに戻され、妹と離れ離れの別室できつい指導を受けることに。虎次も希虎も会うことは許されず、逃げた罰としてしっかりやらなければ寝ることさえも許されなかった。
どうせなら両親のように殺してくれればよかったのにと思うようになった頃、会うことを許されていないはずなのに、こっそりと虎次と希虎が会いにきてくれた。
「すげえクマできてんじゃん。子供は睡眠が大事って聞くぞ」
「くまさん」
「怒られるから早く部屋に戻れわい。わしは大丈夫だから」
伝えるも虎次と希虎はわしの言うことは聞かず、一緒に手伝ってくれる。途中で見つかりそうになった時は、二人は隠れてはいなくなったことでわしのそばにいてくれた。
妹はなを与えず番号で呼ばれるようになり、本当は名前があるのに番号で呼ばれるのは一生この組織として動くことになるから、雑用は番号で呼ばれることが多い。
ただわしはTamerの素質があるため、豹馬と名付けられた。
しばらくして虎次はたまたま外に出る許可が出た時に、芸能活動をやっている会社にスカウトされ、虎次はNoveをやりつつ芸能活動することに。
けれど悲劇が起きた時は、虎次はもう闇のどん底に落ちていた。それは希虎の死を聞かされ、虎次は虎のように暴れ、一時期は拘束せざるをえないぐらい状況が酷かったらしい。希虎の死因は、わしには聞かされず、虎次も死因は知らないという。
あんなに元気だった希虎に一体何が起きたのか。希虎の死して数日後、上の指示で虎次のそばに寄り添い、報告しろと命令を受け、虎次を閉じ込めている部屋へと訪れた。
されどその部屋にある家具等は全て破壊されており、隅っこで体育座りをし、顔を伏せている虎次がいる。
「虎…」
「希虎どこにいる?いつ帰ってくる?希虎に会いたい。顔を見たいっ」
兄弟を亡くす苦痛はまだわしにはわからないことだけれど、わしも心が痛かった。なぜ希虎が死ななければならなかったのか。虎次のそばによると虎次はわしの服を掴んで希虎と言いながら泣き喚く。
何か情報が掴めたら一番いいけれど、きっと上の人たちはわしたちに告げないのだろうと理解した。
それから五年後のこと。虎次は希虎の死を受け入れ始めた頃に、翠がやって来て、虎次にある情報をもらった。
「希虎の死因、わかったよ」
「なんだった?」
「交通事故にあって、脳死だった。ただそれだけじゃない。希虎の臓器を奪った奴がいる」
どう言うことだよと虎次は翠を鷲掴みし、落ち着けと虎次の怒りを鎮めさせる。
「鯨波流史郎が希虎の臓器を奪い、弱い息子に臓器を与えたって情報をもらった。だから誰も教えてはくれなかったんだよ」
それによって虎次は再び暴れ、止めるのに結構時間がかかってしまった。そして藤太郎が芸能界をやっていることを聞き、わしも希虎の心臓を持つ藤太郎に会うがために、芸能界へと入ることに。
藤太郎と初めて会った時は、暴走するんじゃないかと恐れていたものの、普通に接している姿に、わしは涙がいつも出そうだった。希虎の心臓がちゃんと動いていることに、まるで希虎を見ているかのうようだったから。
何もせず普通に接するのだろうと最初は思っていたけれど。そうじゃなかった。
「豹馬、希虎の心臓を返してもらう。まずはそうだな、藤太郎が大好きな春の太陽を奪う」
「こんなことしなくてもいいはずだわい!希虎の心臓がちゃんと動いてくれてるだけで」
「希虎はあいつに殺されたんだぞ!」
虎次の瞳は憎しみと怒りが混じり合った感情で、虎次を止められるのはただ一人、藤太郎だと理解する。希虎の心臓を持つ藤太郎じゃなきゃ、虎次は闇の底から抜け出せない。
本当はこんなことはしなくないと思っていたとしても、虎次のそばに寄り添うことを決めた。
今頃、虎次は藤太郎と会えてるかなと、豹が玲を襲っている姿を見届ける。すると豹お兄ちゃんやめてと叫ぶ声がした。そこにはわしの大事な妹がいて、豹が妹を襲おうとするからやめろと指示を与える。
「豹お兄ちゃん、これ以上やめて!」
「いいからここから離れてわい!怪我でもしたらっ」
妹はわしに飛びつき離れないと言い出す。このままだったら豹に襲われるのは確実で、防犯カメラもあるからしなに気づかれているかもしれない。失いたくないたった一人の家族であっても、わしはもう手遅れなんだとしゃがみ込み、妹を優しく抱きしめる。
豹お兄ちゃんと呼ばれるも返事をせず、あぁ何もなければ妹と幸せに暮らしていたんだろうなと一粒涙が溢れた。この先、わしがいなくとも元気で過ごしてほしいと抱きしめるのをやめ、妹の顔に触れながら伝える。
「いい?あそこにいるお兄ちゃんと一緒にこの島から離れてくれると嬉しい」
「いやだ。豹お兄ちゃんと一緒にいるの」
「ちゃんと帰ってくる。わしはやらなくちゃならないことがあるから」
まさか戻ってくるとは思わなくて、わしを説得するために妹を連れて来たような感じではない。蓮見玲は誰かに報告をしており、妹はきっと隠れて来たのだろう。
蓮見玲は報告を終えわしたちのところに来て、妹を蓮見玲に託した。
「わしの大事な妹を頼む。急げ。今は大人しくさせてるけど、いつ暴走するかわからん」
「豹馬も一緒に来いよ」
「いや、わしにはやらなくちゃならないことがある。それにTamerである以上、戻ることはできない」
蓮見玲は言いたげそうな表情をしているも、妹の手を握り立ち去ってもらおうとした時のことだ。わしに向かって襲いかかってくる豹であり、妹がわしを呼ぶ叫び声でこれが運命なんだわいと目を瞑る。
しかし痛みとかはなく、どうなってるんだと目をゆっくり開けたわい。わしの前に立っているのは紛れもなく妹だとしても、豹たちが倒れている。その光景を目の当たりにしている玲は、目を大きくして驚いていた。
◇
豹お兄ちゃんが豹さんたちに襲われそうになって、ららは虎次さんに指導してもらっていたことで豹さんを倒すことができた。豹お兄ちゃんを止めようとしていた人は、ららの行動を見てとても驚いてる。
豹お兄ちゃんも目をゆっくり開けて状況が読めないでいるようだった。
ららが虎次さんのペットになった理由。きっと虎次さんは豹お兄ちゃんに言ってないんだと思う。組長さんを殺せと命じられた時は、虎次さんの指示じゃない。虎次さんはららを守ろうとしてくれていたこと。
けどららが一度、脱走したことでしなさんからお仕置きされて、自分ではコントロールできなくなっちゃった。いつしなさんの声が聞こえるかわからない。しなさんの声を聞いたら、ららはららでなくなっちゃう。
「豹お兄ちゃん、ららはね、虎次さんに指導してもらって、豹お兄ちゃんを守れるよう指導してもらってた」
「そんなことしなくても」
豹お兄ちゃんは悲しそうな瞳で言いながら、ららの頭を撫でその手を掴む。豹お兄ちゃんが復讐のためにこの組織にいるのは、ずっと虎次さんから教えてもらってた。
大好きだったお父さんとお母さんを殺したこの組織を憎んでること。ららはあまりお父さんとお母さんのこと覚えてないけど、組織がなかったらきっとお兄ちゃんは復讐なんてしなくて、好きなことしてたんだろうな。
その手をぎゅっと掴み、ららは涙を堪えながら、豹お兄ちゃんに伝える。
「復讐なんてららは望んでない。ららは豹お兄ちゃんがいるだけで十分だよ。この手を血に染めないで」
豹お兄ちゃんの瞳から雫が出てつうと流れ始め、ごめんとららをぎゅっと抱きしめてくれた。きっとららや豹お兄ちゃんはこれから先、離れ離れになってしまっても、ららは豹お兄ちゃんのこと大好き。
豹お兄ちゃんの温もりに触れていたら、背後から寒気を感じ、豹お兄ちゃんを突き飛ばした。しなさんの声がかすかに聞こえ、しゃがみ込む。
豹お兄ちゃんが来ようとしていて、来ないでと叫んだ。ちらっと天井を見上げると防犯カメラがららを見てる。いやだ。豹お兄ちゃんを傷つけたくないと思っても、豹たちが起き上がり、ららの声で豹お兄ちゃんたちを襲ってしまうことに。
◇
いい雰囲気と思っていたが、豹馬の妹が何かを察知し豹馬を突き飛ばした。そしてまさかのまさかだ。豹馬が豹に指示を与えていたっていうのに、逆転してれらちゃんが主導権を握ることになるとはな。
れらちゃんが倒したはずの豹が豹馬や自分に襲い掛かり、この状況どうすればいい。捕獲班はまだここまで辿り着けていない。そうとなればこの手は使いたくないんだがやるしかなさそうだな。
「豹馬!豹を引きつけとけ!」
わしに命令すんなわいと嘆いていたとしても、豹馬はTamerだから豹を引きつけてくれている。組本部長として例え未成年の子であろうともやるしかない。
自我を持てなくなってしまったれらちゃんは豹馬に向かって襲いかかるところを止めに入る。
れらちゃんは、以前組長を殺そうとした時の行動に似ていて、殺さなくちゃとぶつぶつ言っていた。れらちゃん、目を覚ませとスマホを取り出してWizuteriaの曲を聴かせようとした時のことだ。
銃で腕を打たれスマホを離す羽目になり、誰だとれらちゃんを抑えながら後ろを振り向く。
そこにはNoveが銃を構えており、弱点を気づいたかと理解する。ここで藤太郎たちが危うくなってそうだな。組員も銃を構えていて、今回だけは警視庁のもと拳銃を所持していいと貰っているが、それは麻酔銃には変わりはない。
ここでれらちゃんやNoveの人間に使用できる銃ではなく、猛獣用の麻酔銃だから人間に使用すれば確実に死ぬ可能性だって出てくるはず。
どのタイミングで次を打ってくるかが肝心だとしても、れらちゃんをこれ以上ここにいさせるわけにはいかない。れらちゃんは暴れていたとしても、自分が抑えているから逃げることは不可能。
玲さんどうしやすと舎弟たちが言っており、気絶させるしかないかとやろうとしたその時だ。
どこからかなのかわからずとも春陽ちゃんの声がするが、それは鼻歌だった。その歌がWizuteriaの最初の曲、朝夕。それによってれらちゃんに落ち着きを見せ、春お姉ちゃんと震えた声を漏らした。
「お兄さん…大丈夫です」
「悪い」
れらちゃんからどき、ゆっくりと体を起こしたれらちゃんが自分に教えてくれる。
「春お姉ちゃんの声、聞こえなくなった。きっとしなさんに支配されてる。急がないと手遅れになっちゃう」
「わかった。豹お兄ちゃんに案内してもらうから、れらちゃんはこのおじさんたちと一緒に外へ避難してくれるか?」
「…うん。勝手について来ちゃってごめんなさい」
いいってと頭を撫でてやり、頼むと舎弟に告げてれらちゃんは舎弟と共に避難してもらう。さてとと指をポキポキ鳴らしながら、さっきの返しだと銃を構えているNoveをぶっ飛ばしていくことに。
◇
かすかに聞こえた春陽ちゃんの声で妹は無事に正気を取り戻してくれた。やっぱり春の太陽だなと思いながら、豹を大人しくさせることに成功する。
わしを舐めて貰わないでほしいわと汗を拭い、銃を持っているNoveに反撃だわいと豹に指示をして、蓮見玲の援護をした。
このフロアにいるNoveを倒し、蓮見玲の近くに寄ろうと思った時だ。おいおいまじだわいと現れたのは、透。しかも一般の人につける首輪ではなく、別の首輪がついていて、あれで操作されているのだと理解した。
これはさすがにやばいと思った瞬間のことで、豹が一気に倒れたんだわい。
「すげえ効果だな。二人とも平気か?」
「てっきりしなに操られたんかと思ったわい!」
「悪い悪い。この首輪は夕佑から貰ったやつで、人間には害がなく、動物に効果がある装置なんだってさ。それより夕坊が暴れ出した。急ぐぞ」
自分も欲しいと言い出す蓮見玲であっても、昏籐夕哉が暴れているという場所へと急いだ。




