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 建物の中へと潜入しそこで待ち構えていたのは獅子屋警部だった。夕哉たちに先行ってと伝え、余と清寺さん、それから少数シルバーウルフの構成員が残ってくれる。


「私の遊び相手は一と輝か」

「じいちゃんをあんな目にさせたの、獅子屋さん?じいちゃん悲しんでた。なぜ獅子屋は一線を超えてしまったんじゃろうかって、ずっと」

「知っているくせに、なぜそのような答えが出る。私は警視総監に裏切られた。星霜家も、シルバーウルフも、鯨波家も受け入れてはくれなかった!あきらは引き受けてくれたのに、なぜ麗音だけは引き受けてくれなかった!」


 獅子屋警部の怒りによって数匹のライオンが現れた。そんな理由でこの日のために獅子屋警部は動いていたってことになる。

 じいちゃんが言ってた。獅子屋警部をそばにいさせた理由は、超えてはいけない一線を超えさせないために。じいちゃんに着く前、すでに獅子屋警部は一線を超えていたことをじいちゃんは知って、それで悲しんでる。その一線とは人を殺めること。後戻りができなくなることを意味してる。人を殺める前にじいちゃんは止めたかったんだろうね。

 

 僕はそこまで知れてないけど、麗音くんを保護しなかった理由は別にあるんじゃないかなって気がするよ。僕も同じ立場なら断っていたかも知れない。

 たとえ春陽ちゃんの同級生であろうとも、それがスパイだとして動いていたらとても危険だったから麗音くんを保護しなった。

 

 そう捉えられるのわかったとしても、獅子屋警部の優しさ。大事な息子を危険な場所に置いておきたくないという思いが存在する。狂ってしまった獅子屋警部はライオンのように威嚇し、僕と清寺さんは同時に頷いて拳銃を構えた。

 じいちゃんに言われている。一線を超えてしまった獅子屋を止めて、必ず死なせず生きて償わせろと。


「麗音は純粋な心を持っていても、そこまで麗音に疑いを持たせるとは。ならここでライオンの餌食となってもらう」

「獅子屋、私は後悔している。獅子屋の異変に気づけなかったことをな。今からでも遅くはない。ライオンたちを大人しくさせろ」

「それは無理だ。こうなることを想定して、この建物内に爆薬が設置されている。止められるのはしなちゃんが持つ装置のみ。どのタイミングでやるかはしなちゃん次第だ」


 よりによってこの建物内に爆薬を設置するだなんて、こちらは想定内だよ。今頃佐田ちゃんと夜一くんが必死に爆薬の解除をしてそうだ。


「爆薬を設置していたとしても、こっちには優秀な人材がいる。なんとしてでも止めてみせるよ」

「それはできるかな」


 すると大人しかったライオンたちが一斉に飛びかかってきて、支給された麻酔銃で打ってみるも、効果がない。こんなやり方は間違っていると、本物の拳銃で打った方がいいか迷ってしまうほどだ。



 一と輝がライオンによって襲われているところを見ながら、あの頃のことを思い出してしまう。


 あきらがNoveの敷地へと初めて侵入して来た時、麗音には兄の存在を告げてはいなかった。あきらが幸せで過ごしていることを口にしたら、麗音はきっと私を恨むだろうとわかっていたからだ。

 そうだとしても麗音をこれ以上ここにいさせたくなく、最初は絶対に会えるはずがない星霜家に会えないか探っていた。そこでWizuteriaの純連が人を気にしつつ、廃墟ビルへと入ったのを目撃。尾行をしその奥には受話器がただポツンと置かれてあって、誰と話しているのか気になった。

 

 純連がいなくなったことで、受話器の前に立つも連絡先は流石に知らない。どうすればその先の者に話せるのか、純連が行くたび番号を盗めるかやろうとするも、そう簡単にはいかなかった。


 他の方法を探すしかないかと諦めかけた時、受話器が鳴り始め、思わずその受話器をとってみる。


「はい」

『獅子屋警部、何が目的だ?お前はNoveの人間。ここを知られた以上、撤去命令を出すが、お前には焦りを感じている。用件次第で判断しよう』

「息子を保護してほしい。まだ何も一線を超えていないし、母親思いの子なんだ。そんな子が裏の世界で生きてほしくない。頼む、情報はいくらでも渡す。だから」

『残念がそれは飲めない条件だ。他を当たってくれ』


 その言葉を言い終えた星霜家は理由を教えてくれず、すぐ切られてしまった。再度掛け直すも現在使われておりませんというアナウンスが流れ、振り出しに戻ってしまう。ならと考えた私は思い切ってシルバーウルフのボスと接触することができた。


「雪、頼みがある」

「断る」

「まだ何も言っていないだろ」

「その顔を見ればわかる。やつがれは真昼のことで精一杯で忙しいんだ。他を当たれ」


 日本にこっそり来ていた雪に断れ、雪が求む取引がなかったから、次に行こうと鯨波邸へと訪れる。周りの奴らは私に殺意を抱いていながらも、鯨波は私が来た理由をすでに知っていたようだった。


「鯨波、あきらを里親に渡したように、麗音にも里親を用意してくれ」

「それはお前のためか?それとも麗音のためか?」

「麗音のためだ」

「それはできまい。色々と引き取ってくれそうな組織に言っているようだが、全組織から拒否をいただいている。これ以上、相談事を持ち込むな。出なければあきらに指示を出す。そうしてほしくはないだろ?」


 切り札を出す鯨波であり、あきらは転々としながらも、鯨波のことを父親として見ていることが理解する。途方にくれこれ以上いろんな組織と接触したら、麗音が危険になると感じ、それ以来、助けを求めるのはやめた。

 麗音はすくすくと成長し、日和にも麗音が成長した姿を見せてやりたかったよ。


 麗音が懸命にライオンを従わせ、できた喜びを私に報告してくれる日々は、罪悪感を感じていた。麗音が不在時に何度かあきらが会いに来て、あきらが残る代わりに、麗音を逃してあげたいと。

 されどあきらの望みは聞きたくても聞けない理由が実在する。日和と約束した。何がなんでもあきらをこちら側に戻させないであげてと。


「なんでよ!母さんはそんなこと言ってなかったけど、麗音が犯罪に手を染めてほしくないって母さん言ってた!僕ちんも弟が犯罪に手を染めてほしくないんだよ」

「だめだ。何度言ったらわかる?今更来たとしても、あきらはもう無関係なんだ。それに麗音には素質がある。上の人たちからも高く評価を得ているんだ。ここで逃げたら、麗音に死が訪れる」


 私が言った言葉であきらは黙り込んでしまい、答えを出さずまま帰って行った。これでよかったんだと思っていた矢先、凛太郎の娘を射殺したと聞かされた時、なぜこうなったと思ってしまうほどだ。

 刑務所へと行ってみるも、あきらは会いたくないと拒絶され、代わりに夕佑が行ってくれた。


「どうだった?」

「ペンダント見せたら、激怒してたよ。それからこの刑務所、一割偽物の看守がいる。おそらく、手に入れられなかった陽を殺すかもしれない。用心はしておいた方が身のためだよ」


 感謝すると夕佑は次の任務へと行き、そして後日、夕佑が言った通り、偽看守つまりNoveの人間があきらを殺そうとした。


「父さん…」

あきら、紫蛇組長と脱獄しろ。処理はこっちでやっておく。しばらく身を潜めておけ」

「もう一人の父さんのほうに行けってこと?」

「できれば」


 本当は麗音を連れてってほしいと言いたかったが、鯨波に拒否られたから、連れてってもらったら、何されるかわからない。そう思い、それ以上何も言わずにあきらと紫蛇組長、そしてがくを逃した。


 それからは警視総監に気づかれているにも関わらず、普通に刑事の仕事をしながら、透を打った日。私は迷いもなく透を打ったのは、私の存在を知ってしまったからだ。確実に殺すつもりだったが、止めたのは変装したしなちゃんだった。


「透はまだ死なせない。さっさと病院に運んで」

「ここにいたら気づかれる」

「平気。目的のものゲットできたから、あたしがそっちに行くまでにしつけしといてよ。じゃなきゃ、今度こそ陽をこの手で殺してあげるから。よろしくね」


 しなちゃんは連れて来たNoveと一緒に行かれ、通報した後、私は麗音と一緒に春陽ちゃんを連れて島へと向かった。


  

 僕たちを襲うライオンたちは、シルバーウルフが手懐けているハスキーが噛み付いてくれるも、お構いなしに僕たちに襲いかかってくる。

 春陽ちゃんの血を打たれたせいなのか、何本麻酔銃を打ったとしても、やはり佐田ちゃんが言った通り、効果はないということ。佐田ちゃんが今頃ハッキングをしている頃だから、時間を稼ぐ必要がある。

 

 獅子屋警部が話を聞いてくれる感じじゃなさそうだし、じいちゃんの思いをどうにか届けたい。何があるかなとライオンと距離を離しつつ、考え込んでいるとそこには灯里さんが来る。それによって獅子屋警部によってライオンがピタッと止まり、灯里さんに向かって唸り始めた。


「死にに来たのか?灯里」

「愛娘を返してもらうわよ、獅勇しゆう

「やっと来たか。よくも私の両親を殺し、悠々と春の太陽を育てていた犯罪者。そのことを公にしなかった警視総監もどうかしている。灯里もここで死ぬがいい」


 ライオンが灯里さんに向かって走って行き、これはさすがに追いつけないと思った時だ。灯里さんは可憐に避け、そうだったと残っているライオンを足止めする。灯里さんも元はと言えば元警察官だ。きっと大丈夫と信じながら、灯里さんに襲いかかるライオンを、清寺さんと一緒に止めていく。



 いつかは話さなければならない時がくると思いながら、陽空と春陽を育てていた。私がなぜこうして普通に暮らせていたのか。私は稀血ラロウエの持ち主ではなくとも、あの施設は私にとって窮屈すぎた。

 今もやっている家出をする子を、罰するために用意された場所で、苦痛を味わいながら日々暮らしていた。逃走する子は殺され、どこかの海へと流される。どこへ行ってもきっと帰る場所はどこにもないと感じ、普通に仕事、掃除当番をしっかりこなしていた。


 そんな時よ。今では立派になって陽空のそばにいてくれている子、破島淡が同じ仲間だというのにいじめられていたを目撃する。


「何やってるのよ!」


 そうやって私は箒でその子たちを掃き、当時の淡は泣き虫さんで、ものすごく泣いてたわね。それを必死に止めようとも、なかなか泣き止まず、いじめっ子が大人たちを連れて、私がいじめてると嘘をつかれた。

 大人たちは私が淡をいじめたと勘違いをし始め、監視がつく羽目に。


 私は何もしてないのにと思いながらも、掃除をしていたら、たまたま淡がじーと私を見ていた。目を逸らすも淡の視線があるようで、笑顔が作れているかわからずとも、何と振り向く。

 そしたら淡は可愛らしく私に抱きついて、お姉ちゃん、ありがとうと言ってくれた。監視役が不審な顔で見られているも、気にせず、あれから大丈夫と聞いてみる。


「あれから、何もされてない?」


 淡の瞳は曇ってしまい、まだいじめを受けているのだと悟った。そうだとしてもこの組織の大人は子供扱いはしない。どうにかして淡をここから出せるように、こっそりと準備していった。


 そして決行日、捕まったら終わりだから慎重にと動きながら、淡がいる部屋へと急ぐ。大体の部屋には監視カメラがあるも、淡の部屋にはないよと以前教えてくれた。

 淡の部屋へと行き寝ている淡を抱っこして、脱出ルートへと向かった。時々Noveの人と遭遇しそうになるも、なんとか切り抜け外に出た時。そこに待ち構えていたのは獅勇の両親だった。 

 

「今すぐ部屋に戻り、その子にはこれ以上関わるな。出なければ君が死ぬ運命となる」

「Tamerの言いなりになんかなりたくない。それにこの子の痣を見てるなら」

「それでも返しなさい。その子は特別な存在であり、いずれその子には大きな役目をやってもらうの」


 淡が特別ってどういう意味なのかその時わからなかった。それでもこれ以上ここにいたら、もう二度と淡と会えることはないと悟る。ここでふと警察官だったお父さんのことを思い出した。

 迷いが生じたとしても、絶対に自分を裏切るなと。だから私はお父さんの言葉を信じて、片手で淡を抱え事前に用意した銃を取り出す。


「あなたたちがやっている行為は間違ってる。もちろん、私も家出したのは間違いだった。それでもこの子や他の子たちは家族が待ってる。それに消えたみんなの家族は今もなお、探してるはずだよ」

「家族?あぁそれならすでに遺品を家族に渡している。お前たちが身につけていたものをな」


 この組織は狂ってると感じた私は、一発放ってしまった。それでも獅勇の両親に避けられ、素早い速さで淡をとられ、父親に私は抑えられてしまう。


「お前たちに帰る家などない。一生、この組織にいてもらう。生かされているだけで十分だと思え」


 離してと叫ぶ前に他の者たちが駆けつけてきて、口を塞がれてしまった。なんとかしたいけど、淡を先に連れて行かれてしまう。連れて行けと獅勇の両親に連れ戻されそうな時だった。

 次々へと大人たちが倒れ、獅勇の両親だけが残って、一体何が起きたのか不明でいる。何が起きたのと混乱していいると、影から姿を現したのは男二人組だった。月明かりが照らす二人の一人は、清掃の格好をしていて、もう一人は三頭身のスーツを着ている子供。


「まさかここでお目にかかれるとはな。星霜家と星河家」

「まだ名もない組織が、こんな大きな罪を犯しているのはこちらとしてはいらない組織なんだよ。何を企んでいるかは知らないけど、その子とそれから抱えている男の子を渡してもらえない?」

「断ると言ったら?」


 獅勇の父親が二人に聞くと木に矢が刺さった。


「僕の妻と息子がお前らを殺す。その二人を解放してくれれば、こちらは干渉しないと誓おう」

「またんか!全員救うのが目的だろ!」

「えー。今救っても奴は逃げる可能性だってあるし、鯨ちゃんに怒られちゃうよー。ね?今はこの二人だけ救って僕たちも逃げよう」


 ばっかもんと三頭身の子供ではなく、星河衛一が星霜家を叱っていた。今で言うと警視総監のこと。めんどくさそうな表情を出している星霜家は、チビの言うこと聞かなくていいよと言い始め余計にプンスカと怒っている。

 笑っちゃいけないのはわかってるけど、可愛らしすぎて我慢できないと背を向けてくすくすと笑ってしまった。


「ほら、灯里ちゃんも笑っちゃってるじゃん。期限悪くしない」

「やはりお主と組むのを間違えていたようだ」


 なぜ私の名前を知っているのと振り向くとすでに二人は私の前に立っている。


「さて十分、いや五分でその子をいただくよ。それとも稀血ラロウエの血を持つ者がそんなに重要かい?」


 稀血ラロウエとは何と思うも、少し考える獅勇の両親は黙って淡を地面に寝かせ両手を上げた。


「連れて行け。ただ一つ。この組織は永遠に実在するだろう」


 そう残して獅勇の両親は、暗闇の中へと消えていく。淡と寝ている淡を抱き上げ、よかったとほっとしていたらやや近くの方で銃声の音が聴こえる。


「ありゃあ、あれは撃たれたっぽいね。ここにいると危険だ。僕らも急ごう」

「今のって?」

「灯里は気にしなくていい。さっこんな施設おりから出て美味しいもの食べよっか」


 今思えば本当にこれでよかったのかわからない。淡は私が獅勇の両親を殺したと認識しているけれど、実際は私と淡を逃したことで殺された。それを知らない獅勇は警察学校でばったり遭遇したとしても、お互い知らないふりをしながら生活してたわね。

 きっと私がいずれ子を持ち、その子を奪おうと計画を立てていた。そして陽空も春陽も裏社会の人間とさせたことを許すわけない。


「獅勇、なぜあの時私を殺さなかったのかしら?」

「灯里に絶望を味合わせたかっただけだ。お前の子どもたちはもう、裏社会の人間となった」

「そうね。あの子たちの運命を狂わせてくれた、獅勇もNoveも許すつもりはない。ただこれ以上、罪を重くしないでほしいものよ。あなたの子供たちはそれを望んで」

「いや、どちらにせよ、私の子供たちはもうこの世にはいないようなものだ。陽は普通に暮らしててほしかったというのにこちらの世界へと入ってしまった。麗音はずっとこの組織にずっといたからな。私の子供はーーー」


 それ以上言わないでと私は思いっきりひっぱ叩いてしまう。どんな親だろうとも、子の幸せを望んでいるのは当たり前じゃない。なぜいないと思ってしまうの。さっき見かけたわよ。

 兄弟喧嘩のように言い争って、それがとてもあなたにとって、みたかった光景じゃなかったの。それを見て、止めながら仲直りさせたかった思い。何もなければその幸せがあったかのように私は見える。


 すると灯里さんと輝に叫ばれそっちを見ると二人やシルバーウルフを襲っていたライオンたちがこっちに走ってきた。また私狙いと思いきや、私を通り過ぎて獅勇を噛みつこうとしている。あなたにはまだ生きてもらうと私は獅勇を庇った。



 淡と一緒に走っていたあたしで胸騒ぎがしてしまったとしても、足を止めることはできない。お母さんと一緒に脱獄した淡は春陽と別格な血が存在する。それがなんなのかお母さんとお父さんは教えてはくれなかった。きっと何か意味があるのだと思い、がくの部屋へと向かう。途中で襲われようともレッドクレインの従業員が止めてくれていた。

 がくの部屋に到着した淡であっても、何か違和感があるのか部屋に入ろうとはしない。どうしたのと声をかけようとした時だ。


「あれ?淡、戻って来やがった。まさかまたこっちに戻ってくるとはな。それとレッドクレインの長か。ご主人様がお待ちかねだぜ」

「断る」

「お前に断る権利はねえよ」


 その人は指を鳴らしNoveに囲まれたあたしたちであって、逃げ場はなくとも春陽を救いに来たからなんとか切り抜けなければならない。

 ご主人様というのは翠のことなんだろうけど、翠は夕哉たちに任せてあるから行くつもりはないよ。その人が襲えと指示を出した瞬間に半数の人が倒れた。そして倒した人たちが私たちを守る。


「てめえら、裏切ったらどうなるかわかってるだろうが!」

「僕たちは多くの人を殺めたのは間違いはないけど、これ以上ここにいたくないんだよ」

「幹部が逃がさないよう手を打ってるのは知ってるはずだ。お前らは所詮、ペットにすぎねえんだよ」


 そう言い張っていて、あたしたちの味方となってくれた人たちは、首につけている首輪を捨てる。ペットじゃないとか、もうこれ以上付き合ってられないなどその人に言っていた。

 ここに猛獣がいなくてよかったよとその光景を見ていたら、がくの扉がそっと開き、こっちに来たまえと小声で言い出す。あたしと淡はこっそりがくの部屋へと入った。


「二人とも無事かい?」

「てっきりあの女にやられているかと思ったんだが?」

「私は心を入れ替えたのさ。さて時間はない。すでに春陽の血は結構抜かれている状況だ。まず私たちは春陽の血を回収せねばならない。保管庫にあるはずだから急ぐぞ」


 春陽の無事を確認取りたくとも、抜き取った血を回収して、春陽に与えなければならないのは確かだ。案内してとがくに伝え、部屋の秘密通路を使い、保管倉庫へと向かった。

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