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111羽

 僕がなぜNoveの一員になったのか。それは僕の職業で家族には明かせないこともあり、夕莉にも夕哉にも告げることもできなくてね。ただ上司の指示で告げるよう報告をもらい、ここに記す。


 僕はNoveに監禁された時は、嫌というほどの苦痛を味わった。それはまれの血を研究している現場をね。まれの血を持つ人たちを利用して、何をするのかも僕はこの目で見てきた。

 当初はまだ僕が子供だったこともあり、まれの血を持つ大人たちを救うことはできなかった。そして僕はNoveから逃げ助けを呼びに行こうとした時、偶然と出会ったのが僕の今の上司となる人物、影山円かげやまえん。その人はシャドと呼ばれていた人の兄であり、すでに会っていると思うが、まるの伯父に値する人。弟の仇、そして真相を明らかにするために長年とNoveにいる。


 その人の指示に従いながら僕は、ずっとNoveがやっている行為を見ていた。もちろん、獅子屋警部に誘われ、僕も刑事という道を進んだ。そして出会ったよ、夕哉を大切にしている組員、伊宮透をね。


「本当に夕坊のところに帰ってあげなくていいんですか?」

「帰りたいよ。けど僕にはやらなくちゃならないことがある。それが終わらない限り、夕哉や夕莉のところに帰るつもりはないよ。透はこれでよかったの?」

「俺もご恩を組で捧げるつもりでした。ですが夕坊が愛する子を守るために、俺は何がなんでも守り抜くためには、この道しかないと思った。後悔はしてません」


 その言葉を聞いた時、夕哉が好きな子が誰なのかわかり、透に知らせたのがきっかけなんだ。


「陽羽があの星霜家の娘って本当なのか?」

「本当のことだよ。それに奴らは陽羽ちゃんを使って、何かを実験した後、何かが起きる。僕は一度組織に戻るよう指示をもらった。だからその代わり、陽羽ちゃんを守っててほしい」

「そうだとしても、いずれかは陽羽にそういう運命を辿らせるってことだろ?だったら夕佑、頼みがある」


 透が何を考えているのかすぐにわかり、最初は断るつもりだった。ここで昏籐組を裏切ることになってしまう。そうなってしまわないように、動きたかったものの、僕が不在時に透はNoveと接触していることがわかった。

 なぜなら獅子屋警部から勧誘があり、それを引き受けてしまったらしい。そこで俺は春陽ちゃんたちが勉強合宿で伊豆に来ていた時に、僕は母さんと接触した。


 母さんは寂しそうでありながらも、僕の職業を知っていた上で、止めることはせず、僕の話を聞いてくれる。


「透を巻き込ませてしまってごめん」

「いいのよ。どの道、透は夕哉のために、陽羽ちゃんのために、動くのでしょう。夕佑、わかってるわよね?あなたが選んだ道は茨の道。鯨波さんとは接触しているのかしら?」

「もちろん。あの人は全て見抜いている。いずれNoveより先に、陽羽ちゃんを奪うかもしれない。そうなった時だとしても、Noveの計画は実行すると思う」


 打ち明けると母さんは難しそうな表情を出して、思っていた以上にNoveの闇が深いということ。母さんが近づき僕の手を取って、真剣な眼差しで言われる。


「抜け出せないというならば、私は祈り続ける。Noveを止めることができたら、ちゃんと家に帰って来なさい。言いわね?」

「ありがとう、母さん。何年かかるかわからないけど、必ず昏籐家いえに帰るよ。父さんに伝え。こんな息子をずっと待ってくれてて感謝すると」


 当たり前よと母さんの懐かしい手がほおに触れ、僕と母さんは別々の方角を歩んだ。


 陽羽ちゃんが藤太郎と接触している中、僕は翠に春陽ちゃんと接触するよう指示をした。


「えっ本当に陽羽と接触しちゃって大丈夫?」

「平気。いつも通りに接していれば気づかれることはない。それに透が先生として動いているから、フォローはしてくれる。次の指示が出るまでは普通に暮らしててほしい」

「わかった。獅子屋さんはそれで納得してるってことでいいんだよね?」


 もちろんと伝え、翠はわかったと陽羽ちゃんやもう一人の幼馴染である紗良ちゃんと接触してもらっていた。

 翠が動いたことで、藤太郎は焦りを感じていたんだろう。それによって藤太郎は行動し、春陽ちゃんを夕哉や真昼くんから奪ったということ。

 とその前に真昼くんの父親である昼秋さんが現れた時は、疾太くんの父親が変装をして動いていた。疾太は気づかなかっただろうね。疾太くんの父親が使用している部屋に隠し扉が存在する。そこに行けば変装グッズが多く存在すると思うから行ってみるといい。


 ここで本題だよ、夕哉。Noveの計画は春陽ちゃんが来たことにより、実験がすでに行われている。その光景を見て、すぐにでも助けに入りたいぐらい怒りがある。

 そうだとしても、まだ正体を明かせないから堪えているけれど、いつかは爆発しそうな勢いだ。春陽ちゃんはその光景を見てしまったことで、食事を一切とっていない。それによって獅子屋警部や疾太くんの父親は次の先手を打つ頃だから、早めに来ることを薦める。


 全ての情報は僕が逃した子、141と呼ばれている子で、名は存在していないが豹馬の妹。Noveの建物内の入り方も知ってるから、その子に聞いてくれ。それじゃあ、夕哉、頼んだよ。 



「夕佑…。お袋は随分前から知ってたってことか。あっ佐田さん、手紙のコピー入りますよね?原本じゃなくて大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

「真昼、これコピーしてあげて」


 うんと真昼に二通を渡し、コピーをしてもらって、まさか兄貴が警察官でしかも透と会っていただなんてな。コピーを渡し終えた真昼が席に戻ったことで、昼奈ちゃんの隣に座っている子に聞いてみた。


「えっとお名前は?」

「れらです。昼奈ちゃんと雪恋ちゃんが考えてくれました」

「れらちゃん、思い出したくないかもしれないけど、Noveがやろうとしていることは一体なんだ?」

「東京にいる人たちを暗殺する計画。それがうまく行けば各県にもやるって言ってたの。ららは基本掃除当番で、ペットたちは爆弾を作るよう命じられてる。あっペットはNoveの人たちが連れて来た人たちのことを言ってるよ」


 佐田さんと清寺さんはしっかりとメモをとっていて、俺は以前に起きたことを思い出す。確か陽空の披露宴の時。シルバーウルフが何かをしていたと組員が言っていた。

 もしかすると雪はこのことを知っていて、自ら爆弾を設置していたということでいいのかはまるに直接聞く必要がある。れらちゃんはそれからと春陽のことを教えてくれた。


「春お姉ちゃんがね、未成年の子たちを説得して逃がそうとしてた。それが何度か見つかって、春お姉ちゃん、お仕置きされてたの」


 一番聞きたくなかったとぐっと怒りを抑えつつ、真昼がれらちゃんに聞く。


「他にNoveの目的は知ってる?」

「一番偉い人の病気を治す計画があるって夕佑さん言ってた。どんな人か、ららは知らない。そのために春お姉ちゃんを連れて来たって言ってたよ」


 一番偉いということはNoveの首謀者ってことになるよな。誰が首謀者なのかまだ断定はできない。佐田さんが気になっていたことがあるらしく尋ねる。


「首謀者が男性か女性か聞いたことはありますか?」

「んーいろんな噂があるから、わかんない。でも幹部の人たちなら知ってるかもしれない」


 幹部の人間ねえと俺たちは深く悩んでしまう。幹部と言ったら、夕佑や透、翠や獅子屋警部辺りなんだろう。夕佑はそこまでれらちゃんに話さなかったのは何か意味があるのかもしれないな。

 考えていたらあっと同時に俺と真昼が閃いてしまった。


「虎次って幹部だよな?」

「僕も同じこと考えてた」

「虎次さんはTamerの幹部長」


 Tamerだとすれば動物を調教しているということでいいんだろう。となれば猛獣系に指示が出せるってことになる。そうとなれば、藤太郎の力を借りるしかないか。


「ちなみにご両親はさすがに知らないよね?」


 佐田さんが質問するとうん、知らないと即答する。特定するには難しそうだとしても、佐田さんはこう見えてハッカーでもあり、夜一と一緒に探せば情報が掴めるかもしれない。

 ここは藤太郎の力を借りて情報を聞き出すしかないか。それか別の方法で情報をかき集めるか、そこは親父たちと一度話し合ってからの方がよさそうだな。


「れらちゃん、あのさ一つ確認しておきたいことがあるんだけど、シルバーウルフのボスはどうしてるかわかる?」


 そこで真昼が疑問に思っていたことをれらちゃんに聞き出すと、れらちゃんはえーとと思い出してもらう。もしかしたら雪恋ちゃんが部屋に引きこもってしまった原因があるかもしれないと感じた。

 するとあっと何かを思い出したかのように、俺らに教えてくれる。


「シルバーウルフのボスお兄ちゃんは、狼みたいな目して暴れてたから、寝てもらってるって噂で聞いたよ」

「ちなみに奥さんがどうなったとかは流石にわからない?」

「厨房担当だよ。女の人は大体、厨房で料理当番か、洗濯当番させられてる。ららや未成年の子たちはお掃除当番って決まってるよ」


 ほっとしている真昼であっても、もう一人聞きたい人物がいるのに聞かないのは、れらちゃんが知らないと確信したんだろう。隣にいる昼奈ちゃんも離れ離れにさせられてから、一度も母親とは会えていないような顔立ちだ。

 そしたられらちゃんが俺らにあることをお願いされる。


「ららは何もすることができなくても、お兄ちゃんを止めてほしいの」

「お兄ちゃんって?」

「豹馬」


 おっと。ここで豹馬の妹だとは衝撃すぎて、まあポシェットが豹柄だから、虎次か豹馬の妹なんだろうなとは感じていたよ。


「豹お兄ちゃん、復讐のためにNoveにいるの。ららはあまり覚えてないけど、ららたちのお父さんとお母さんは、Noveの人に殺されたって聞いたから」


 あんまり豹馬と会うことは少なかったが、その理由でNoveにいるってことなのか。つまり豹馬と会えることができれば、豹馬に直接聞けばいい。


「教えてくれてありがとう。俺らで豹お兄ちゃん止めるよ。その前に、佐田さん、れらちゃんは」

「一度署で手続きをしなければならないので、終わり次第、昏籐さんに連絡します」

「お願いします」


 ではと佐田さんとれらちゃんは署へと行かれ、昼奈ちゃんは雪恋ちゃんのことが心配らしく部屋に行ってもらった。


「真昼はしばらくここにいてあげたほうがいいかもな」

「ごめん」

「いいって。よかったな」


 うんと真昼は少し元気を取り戻したことで、一度俺は家へ帰ることに。



 島では三人の子どもが逃げたことで大騒ぎとなっており、わしも捜索隊として動いていた。東京に戻っていることはわかっていて、打ち合わせの後、探す。

 そうは言っても、この業界に入った目的は、藤太郎の監視としてこの業界へと入った。もちろん虎もその目的で動いている。それにスケージュールを確認したところ、今日Wizuteriaも来ているから。なんか言われそう。

 歩いていたらばったりと藤太郎と会ってしまい、ここに虎次がいなくてよかったわいと思ってしまった。藤太郎はわしを睨んでいて、マネージャーをしている賢介も、想も冷たい目で見ている。


「陽っちゃんに何かしたら、迂生は容赦なくやるから、虎次に伝えといて」

「それは無理だわい。なんせ春陽ちゃんは、虎次と翠にどっぷり甘える雌虎になったわいよ。証拠もほら」


 写真を見せつけ、藤太郎が今でも飛びかかりそうなところ賢介と想が止めに入った。離してと藤太郎がジタバタするも二人は藤太郎を引きずってこの場から離れていく。

 まあこれ合成写真なんだけどと、その写真を削除して控え室で待とうとしたら、冬月もここにいたんだと理解した。冬月はわしのおでこにデコピンをして、痛っとおでこをさする。


「あれはやりすぎ」

「仕方ないじゃろ。それにほれ、言われた通りに情報持って来た。これで貸し借りは」

「わかってる。ただ気をつけなよ。正体がばれたら、後戻りはできなくなる」

「わかってるわい。わしの妹を頼む」


 春陽のこと頼むねと冬月はわしが渡した情報を持って、藤太郎たちがいる控え室へと入っていった。後はわしがどのタイミングでNoveを破壊しようかと考えながら打ち合わせ時間まで控え室で待つことに。



 藤太郎が賢介と想にガミガミ言っているも、僕は豹馬がくれた資料に目を通していた。これはかなりやばいかもしれないと資料をスマホのカメラで撮り、両親に送っとく。

 Noveの首謀者が誰なのか判明したことで、一日でも早くあの島へと行き、春陽を救わなければ、春陽は死ぬことになる。藤太郎たちがどうかしたというような表情を出していて、豹馬がくれた資料に目を通してもらうと、藤太郎の顔色が悪くなった。


「早く陽っちゃん救わなきゃ」

「これ本当のことなんだよな?」

「信じられない…。疾太が捕まったわけも、その理由?」

「これが本当なら、Noveの首謀者はこの人となる」


 まだ確証は持てていなくとも、首謀者がこの人なら今頃、病院内は騒ぎが起きている頃だ。なぜならそこにまるがいるから。とにかく打ち合わせが終わり次第、まるの病棟に行かなければならない。


「迂生たちはあまり関わってない人だとしても、迂生たちと関わってるって認識でいいの?」

「おそらく、そう認識するのがベストだと思う」

「これ一応、純連にも共有したほうが良くないか?」


 確かにまると同じ病院に入院してるから、一応頭に入れててもらおう。


「うん。僕から話をつけておく」


 お願いと藤太郎が言ったら、打ち合わせの時間となり、僕たちは打ち合わせをしに向かった。



 真夜中……


 一人の患者が影山迅の病室であることを確認し、引き戸を開け中へと入った。足音を立てずまるは布団に潜って寝ているようだ。患者はナイフを持ち布団ごと刺す。しかし違和感を感じ布団を上げたら、まるではなく刺したのは藤太郎愛用の抱き枕だった。

 いないことに警戒を抱く暇もなく、患者の後頭部に銃を突きつけられ、患者は両手を上げる。


「やっと出よったか。よう某たちを排除しようとしよったな。ほんまに、いい加減にせえや。どれだけの犠牲者が出よったかわかっとるやろ」


 両手を上げたまま影山迅のほうを向き、正体を見せたのは、植物状態だった氷雨しなだった。氷雨しなは凍りつくかのような笑みを出す。 


「あぁ残念。よくもあたしの計画を次から次へと邪魔してくれたね」

「あれは嘘やったんやな?」

「嘘?あぁあれね。あの病は真っ赤の嘘。そうすればあの子を簡単に捕まえられると思ったからだよ。おかげで今は実験に協力してくれてるんじゃないかな」


 影山迅は今でも撃とうとしていても、氷雨しなは恐れることはなかった。何かを思い出したかのように、影山迅にあることを告げる。


「迅のご主人様は渡さないよ。本当は子供や奥さんだっけ?生意気なら排除するよう伝えといたんだけど、子供は逃げられちゃった。だからあたしの手で殺してあげようって」

「連れ去った理由はその理由なんか!」

「もちろん。あっそうだ。あれは残念だったな。陽空があたしの駒ちゃんの言いなりにならなかったのは残念だったよ。だからその代わり、春の太陽が今どうなってるか、早くみに行きたいんだよね」


 陽空ちゃんが言いなりと言うことは、がくのことやろう。てことは今もなお生きておって、春陽ちゃんに何かをしとると言うことか。これ冬月にはよ伝えなきゃならん。

 すると某の後頭部に銃を突きつけられ、やっと来たとしなはそいつのところへと行く。


「それじゃあ、島で会おうね、迅」


 そう言って拳銃が離れた瞬間、振り向くもしなともう一人の姿はいなかったんや。誰が某に向けて銃を突きつけたのかは不明やったとしても、近くで隠れてよった純連が現れる。


「誰かみよった?」

「暗くて誰か見れなかった。まる、これからどうすんだよ」

「入院してる暇はないや。はよ、退院手続きとって、冬月たちと合流しよう。それに伝えなきゃならんことがあるさかい。明日、先生に告げて、みんなのところへ行こうや」


 わかったと純連は自分の病室へと戻って行き、某も就寝することになった。

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