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109羽

 春陽と疾太がNoveに捕まって何日か経ち、いまだに鮫が島の周囲にいることで海上保安庁から船の出港はやめてもらいたいと報告を受けた。

 その影響によって俺たちは身動き取れず、鶫たちはなぜか飛行船でどこかに行っちまったことで、何もできない状況に陥っている。 


 藤太郎と想は純連の見舞いへと行っており、冬月はまるの見舞いへと行っていた。陽空はなぜか黎明と行動をして、レインアイスについて調べている。その一方、夜一は紗良と行動をしているというかあれは完璧デートねと姉貴は言っていたな。

 星河さんは警視総監が透の病室で倒れて、ただいま入院中で付きっきり。そしてなんと言っても透が行方知らずとなったことで、玲や組員は透の捜索に当たっている。


 俺ももちろん透を捜しつつ、あることについて調べていた。それはまれの血でなければ助からないという病について。疾太の姉、しなは普通に起きるも発作を起こして何日か寝てしまうという病。

 疾太のお袋はしなが起きている姿はここ最近見ていないと言っていた。俺の読みだがすでにしなは植物状態になっているのではないかと考えた。だから春陽の血を与えたとしても、起きる可能性は低いってことだ。


 ただ情報が少なく、患者はあまりいないから情報が少ないとはいえ、春陽が大丈夫か心配になる。警察に協力要請してヘリで行くこともできそうだとしても、許可がなかなか降りないと親父が言っていた。

 理由はわからずとも警視総監が透にやられてしまったようなもので、力を貸してはくれないようだ。


 どうすっかなと考えながら、靴作りをしていると若と光太が作業部屋へと入ってくる。


「若、少しお時間いただいてもよろしいでしょうか?」

「何かわかったのか?」

「いえ。ただ、透さんの情報を改めて調べて見たところ、妙な点があったんです」

「妙な点?」


 こちらをと光太の愛用タブレットを見せてもらい、内容を確認してみた。それは透が組を抜けてからの情報であり、警察として動いていたのは事実。しかし透は事故にあった際に一度、辞表を出し教師として守城高等学校の教師となった…。


「妙だな」

「妙ですよね。警察を辞めているのに、警察として動いていた。どうしますか?」


 一度、陽空の父親である凛太郎さんに聞いた方が良さそうか。いや、ここは星河さんかと考えていると、そういやもしかすると佐田さんが一番知ってるんじゃないか。

 連絡取れるかはわからないが、タブレットを見ながら佐田さんに連絡をとってみる。


 仕事中だからさすがに難しいかと切ろうとしたら、夕哉くんどうしましたと応答がきた。


「仕事中すみません」

『全然。何か調べてほしいことがあるのかな?』

「あの透の経歴って」


 そのことを告げると佐田さんは黙ってしまい、何かがあるのだと理解する。直接本人に聞きたくとも、透は行方知らずになっちまったしな。それに守秘義務があるだろうから、教えてはくれそうにない。

 そう捉えていると佐田さんがごめんねと謝罪の言葉を受ける。


『ごめんね。伊宮さんの職務歴は警察として守秘義務なの。朝峰さんもきっとそういうはずだから』

「そうですか。お忙しいところ、教えていただきありがとうございます。透の行方わかりましたら俺か、もしくは玲に連絡をください」

『承知しました。そうだ、これだけは言える範囲かな。伊宮さんが敵になったとしても信じてほしい』


 はいと答え、ではと通話を終了し、透が敵地に行ったという認識でいいのだろうとタブレットを光太に返す。


「光太、どんな状況であったとしても、俺は透を信じてる。光太はどう判断するかは自分で決めろ」

「はい。それともう一つ気になったことがありまして」


 なんだと再度聞いてみると、光太はタブレットを操作して俺に見せてくれた。その内容は透の両親についてだ。確か透の両親は春陽の両親のもとで働いているんだよな。

 それなのに光太が見せてくれたのはNoveの一員である情報だった。もし春陽の両親を殺害する目的で動いているとしたらと考えちまう。どちらが正しいのかまだはっきりしないが、一応これは春陽の両親に確認をとった方が良さそうだな。


「光太、春陽の両親と話せるようセッティングを頼む。俺はちょっくら、真昼と会ってくるから」

「了解です」


 光太にタブレットを返し、光太は春陽の両親と接触してもらい、店を閉じて真昼がいるハス喫茶へと向かった。




 ハス喫茶に到着してみるとすごい人盛りだなと扉を開ける。いらっしゃいと店員になりきってるシルバーウルフの構成員で真昼はと聞いた。真昼は妹たちのことが心配で、探りを入れているらしいが特定ができていないらしい。

 それに雪もいないしまるもいないのと、冬月は藤太郎に付きっきりのことで、真昼がいま、シルバーウルフを動かしている。


 こちらですと案内してもらってスタッフルームから入った。真昼はパソコンと睨めっこをしていて、よっと声をかけると何と顔をこちらに向ける。その顔は寝てませんというようなひどいくまをしていて、とっとと帰って寝ろと言いたいところだ。


「ちゃんと睡眠とってないだろ?体に悪いぞ」

「昼奈と雪恋に母さんと小雪さんが心配で寝付けないんだよ。春陽ちゃんのところだとしても、安否が取れないと不安で」

「だとしてもそんなんで体調崩してたら構成員が動けなくなっちまう。とにかく今は休め。休むことも大事だぞ」


 パソコンから離れさせ家は駅前の高層マンションだから、家まで付き添ってあげることに。


 家に到着し中に入れてもらうとゴミ屋敷レベルに達していて、これは流石に酷すぎると真昼がしっかり寝た後、ゴミ袋にゴミを回収していった。

 換気をし掃除機をかけたいが起こさないように、雑巾を濡らしてある程度拭いていく。洗濯もたくさんあり、かき集めて洗濯を回した。


 紗良や佐田さんに昼奈ちゃんと雪恋ちゃんや真昼の母親の捜索を依頼しているようだが、紗良は見つかんないと俺に言っていたな。そうなるとやはり春陽が連れて行かれた島にいる可能性が高い。それに冬月と黎明の証言では、雪恋ちゃんは獅子屋警部の指示で動いていたと。

 すでに解放されているのか定かではなく、早めに見つかってほしいものだ。


 洗濯をし終え、ある程度綺麗になったし、真昼が起きるまでに軽くご飯でも作っておくか。そう思って冷蔵庫を開けさせてもらうと、何も入っていなかったのだ。

 まあ、まあ確かにゴミ拾ってる時、弁当の空が多くあったから、料理はしていなかったんだろう。メモを置いてスーパーに行くか。ダイニングテーブルに置いてある、ペンとメモをとり、スーパー寄ってくるから鍵借りるなと書いて、鍵をしスーパーで買い出しをしに行った。


 ◇


 141はどこへ行ったとNoveの人たちが探し回っていて、ららは絶対に入るなっていうお部屋を目撃しちゃった。そのせいで今、この建物でららを探し回ってる。このこと豹お兄ちゃんは知ってるのかな。わからないけど、ららも脱出しなくちゃ。

 でも先に春お姉ちゃんから言われてる子たちを救いに行かなきゃならない。ららは豹お兄ちゃんの妹。だから絶対に助けて逃げなくちゃ。足音や声が聞こえなくなって、もういないかなと少し顔を出して様子を伺ってたら、尻尾を掴まれてしまいそのまま口を塞がれちゃう。虎次さんとふと顔を上げたら、夕佑さんだった。


「しっ。ここから逃すから、これを夕哉という人に預けてほしい。それからこれは着替え」


 手を離してくれて、夕佑さんはららに大きな紙袋を渡してくれた。中を見ると洋服が入ってる。


「これに着替えて、その中に手紙がある。その手紙を渡して」

「でもそしたら豹お兄ちゃんが叱られちゃう」

「大丈夫。船を待たせてる。早く。脱出ルートは頭に入ってるよな?」


 そうだけど春お姉ちゃんに頼まれた子たちを連れて行きたい。そしたら夕佑さんの後ろから春お姉ちゃんが言ってた子たちも来てくれた。


「この子たちも一緒に逃げる。ほら早く」


 こくんと頷いてまずはそれに着替えてポシェットに手紙を入れる。よろしくと言われ、よろしくと言いながら、夕佑がNoveの人たちを引き連れているうちに、脱出ルートを通っていく。

 白い髪を持つ子は少し元気がなくて、もう一人の子も少し元気がなかった。えっとお名前聞いてなかったと、お名前はと聞く。

「ららは141って呼ばれてる。えっと番号いくつ?」


 聞くと二人はびっくりしていて、白髪を持つ子じゃない子が教えてくれた。

 

「番号ついてないよ。私は昼奈で、隣にいるのが雪恋。えっとなんで番号で呼ばれてるの?」

「あの人たちに捕まっていらい、番号で呼ばれてたし、その時ららはまだ赤ちゃんだったから名前はない。番号で呼ばれてた」


 ららは物心ついた頃からあの建物にいて、ずっと組織で育っていた。学校も行ったことがなくて、組織の人が勉強を教えてくれてたからな。

 そしたら雪恋ちゃんが足を止めて後ろを見ている。誰も来ないと思うよと見ていたら懐中電灯の光が見え始めた。


 急ごうとららたちは走って建物から脱出し、夕佑さんが用意してくれた船へと急いだ。見つけたぞという声がかかり、待ちなさいという声がかかっていても、全力で走る。

 船が見えあれだと乗り込み、昼奈ちゃんと雪恋ちゃんも乗ったことで、船が動き出す。


 息を切らしながらこのまま船を出港してよかったんだよねと島がどんどん見えなくなった。


「おじちゃん」

「大丈夫か、お前たち」

「うん。おじちゃん、鮫さんがたくさんいるってニュースで流れてたけど、船出しちゃって平気だったの?」

「平気だ。鮫が嫌がる音を出しているから襲ってくることはない。それよりお二人さん、そんな顔をしている暇はないぞ」


 おじちゃんに言われる昼奈ちゃんと雪恋ちゃんで、これからあの島にいるライオンさんたちに何か実験をするみたい。そうだったとポシェットに手紙を入れる前、手紙が入ってた。

 誰宛だろうと確認してみると夕哉さんへと書かれてある。裏をみると春お姉ちゃんからだ。 


「おじちゃん、夕哉さんってどこに行けば会える?」

「東京に着いたら迎えがいる。その人に聞けば連れてってくれるだろう」


 それならよかったと安心してたら、ららたちは同時にお腹がなり、照れ笑いをする。クーラーボックスにお弁当があるそうでそれをいただくことにしながら、昼奈ちゃんと雪恋ちゃんがららの名前を考えてくれた。



 もうすぐ着くと言う知らせを聞き、私は船着場で待機をしていました。なぜ私が抜擢されたのかはわからずとも、Noveの情報を持つ子に出会えると報告を受けてます。

 どんな子なのだろうと思いながらハンバーガーを食べていると、久しぶりだなと久々の声に詰まらせてしまいました。すまんと謝罪されながらも、飲み込んでいえと答える。娘さんと一緒に行動されているとはお聞きしていましたが、春陽ちゃんが奪われたことで少し元気がないようです。


「清寺さん、そちらのお仕事は順調ですか?」

「鯨波が残した情報の分析で、手こずっていてな。佐田の力を借りたいものだ」

「私より優秀な人いらっしゃるじゃないですか。きっと大丈夫ですよ。それでこちらにいらしたということは」

「あぁ。Novにいた子と、それから真昼くんの妹たちが来ると聞いて」


 情報行くの早すぎではと思うも、おそらく夕佑さんが情報を流したのだろうと理解した。いずれ夕佑さんの正体がばれそうで冷や冷やしちゃいますが、きっと夕佑さんが春陽ちゃんを守ってくれていると信じるしかない。


「あの、佐田さん」

「どうかしたの?」

「透先生が裏切ったって本当のことですか?」


 催花ちゃんの言葉で落ち込んでいる原因がそれだということがはっきりしました。先ほど、夕哉くんに聞かれた時はびっくりしましたが、もちろんこれは言えない情報でもあります。清寺さんも分かった上で、催花ちゃんに伝えなかったのでしょう。


「ごめんなさい。私で言える範囲ではないんです。ですが私は伊宮さんを信じてます。信じるかどうかは催花ちゃん次第ですよ」


 それを伝えありがとうございますとすぐ催花ちゃんは笑みを取り出した。催花ちゃんにとって伊宮さんは素敵な教師だったんですもんね。催花ちゃんは大好きな先生を信じる。そういう笑みでした。


 夕方頃、船が見えあれですねと船が到着し、昼奈ちゃんたちが船から降りて来ます。昼奈ちゃんと雪恋ちゃん、そしてまだ特定できていなかった子が私たちのところで足を止めました。

 船を止めた中年の人に敬礼をする。


「お疲れ様です、影山さん」

「後は頼む。それから迅は?」

「回復に向かってます。甥っ子さんにお会いしに行かなくていいんですか?父親が死した理由がNoveと関わっていたことを」

「迅は気づいているだろう。弟の死は俺がけりをつける。だから迅のこと頼んだ」


 そう言って影山さんは再び船に乗りあの島へと向かわれてしまった。いつかちゃんと甥っ子さんと向き合って欲しいものですねと昼奈ちゃんの方に向ける。


「何もされてない?」

 こくんと頷く昼奈ちゃんと雪恋ちゃんであり、まだ特定していない子が私に言い出す。


「夕哉さんっていう人に会いたい。お手紙渡されて」


 ポシェットから二通の手紙を取り出して私に見せてくれる。一通の送り主は書かれていなくとも、もう一通が春陽ちゃんだとはっきりした。

 念の為、コピーさせてもらったほうがいいのかもしれないと思い、夕哉さんのところへ連れて行くことにする。


 ◇


 夕哉が作ってくれたご飯をしっかり食べ、ご飯を食べていたら夕哉のスマホがなり、夕哉は普通に出ていた。きっと春陽ちゃんの情報かなとパクッと食べる。

 すると僕の方を向いて伝えときますと誰かに言っていた。なんだろうと全て食べ終え、ご馳走様でしたと言っていたら、通話を終えたらしい夕哉が向かいの椅子に座る。


「今の電話、佐田さんからで昼奈ちゃんと雪恋ちゃん、無事に保護できたそうだよ」

「どこにいたの?」

「詳細は帰ってきてから話してくれるらしい。よかったな」


 うんと伝えなぜこのタイミングで、昼奈と雪恋が帰って来れたのかが不思議なくらいだ。夕哉の料理が余っているから、お腹空かせていたら、それを食べてもらおう。

 

 少ししてインターホンが鳴り、玄関の扉を開けると昼奈は僕に抱きつく。怖かったねと頭を撫で雪恋ちゃんもおいでとやるもさっさと中へと入ってしまった。どうしたんだろうと思うも、えっとこの子はと思ってしまった。

 夕哉も気になっていたらしく、佐田さんに聞く。




「この子は?」

「一緒に逃げてきた子です。この子が夕哉さんに会いたがってた子で」


 佐田さんに背中を押されて現れたのは、豹柄のポシェットを持っている子で、昼奈ぐらいの年齢の子だった。その子はポシェットから二通の手紙を取り出し、夕哉に渡す。とにかく上がってもらうことにして、僕は佐田さんたちにお茶を出した。催花ちゃんも手伝うと言ってくれてお茶を淹れる。

 人数分のお茶を出すも雪恋は部屋に引きこもってしまった。夕哉が一つの手紙を拝見し、読んでくれた。


 夕哉さんへ

 私が私でいられる時間が限られると感じ、夕哉さんのお兄さんに頼んで手紙を書きます。

 雪と再会した時に、ほとんどの記憶が戻って、夕哉さんのことも思い出したんです。

 本当は伝えたかった。けど雪はまだ伏せるよう告げられ、夕哉さんと接触してたんです。

 なぜNoveが私を求めているのか、やっと理解できた時は、手遅れで抜け出せない状況になっています。

 Noveが求めているものは、私の血であり、おそらく私の両親やお兄ちゃんはすでに気づいているかもしれません。

 それは暗殺の血が濃いという理由から、その血を理由にある実験が行われる。

 島中にいる猛獣たちに与え、凶暴化させ、何をするかはまだ教えてもらってない。

 けど結果を見て何かとてつもないことが起きると感じ、今食事を抜いてます。

 どれくらい時間を稼げるかわかりませんが、早めに助けにきてくれると信じて。

 追記:がくが生きているので、お姉ちゃんに伝えるかは夕哉さんにお任せいたします。 春陽より


 思いがけない言葉で、まさかがくが生きていただなんて思いもしなかった。あの時点で確かに死亡は確定したはずなのに。それに早く春陽ちゃんを救いに行かなきゃ、餓死してしまう可能性だって出てくるはずだ。

 夕哉は手紙をしまい、怒りを感じるも今度は送り主がわからない人を夕哉は読んでいくことに。

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