サボり
今日は午前の授業が終わると私たちはスクールバッグを手に持ち颯爽と教室を出て行った。本当は5時間目まで授業があったのだが、美穂ちゃんが
「授業めんどくさい、クレープ食べたい」
と言い出し、私はそれに付き合うことにした。
先生に見つからないように、下駄箱で急いで靴を履き替え、少し不思議そうに見てくる生徒たちからの視線を感じながら、私たちは学校をあとにした。
外に出ると最後の時を最大限に楽しむかのように蝉が大声で泣いていて、暑い日差しがジリジリと頭を焼き付けた。
「明日は、先生にこっぴどく怒られるだろうね」
「その時は、二人で一緒に怒られてやろうじゃないか。それに私は今やりたいことをやりたいの。自分に必ず明日が来るとは言い切れないでしょ?」
平日の昼間というのは人が少なく、歩いてるのはおじちゃんかおばちゃんしかいない。そして、たまに暑そうなスーツをきて歩いてるサラリーマンか。
みんなが今頃学校で授業を受けている間、私たちはサボってクレープを食べに行ってると思うとなんだか甘美な優越感みたいなものがムクムクと湧いてくる。
私たちは車が屋台になっているクレープ屋さんに着くと、クレープを二つ頼んだ。
「こういう時に食べるクレープは普通の時に食べるより、10倍美味しいんだよ」
美穂ちゃんは柔らかそうな生地で包まれたイチゴと生クリームが入ったクレープを美味しそうにパクパク食べていた。
私も食べるといちごの甘酸っぱさと生クリームの甘みがちょうどいいバランスでとても満足だった。