第三の選択肢
前回のあらすじ
俺が何をしたか分かった
決定を急かされた
「お、俺は…。」
「ちょっと待ったぁぁぁぁ。」
その声が聞こえたとともに突如としてかわいらしい女の子が飛んできた。魔女っこのような風貌に小さい身長と同じくらいの大きさの杖を持った美少女だった。
「なーにしてるですか。パパ、ママ。ここは浄善の間ですよ。二人みたいな上位の神々の来て良い場所じゃないんですよ。」
誰だこいつ?
「神に向かって誰だこいつとは何ですか。私は、立派な神ですよ!!」
「あー、はいはい、分かったよ。で、貴女は誰でございますか。神様。」
「こいつ失礼ですね。良いでしょう。我が名はクロノス。時を司る神なのですよ。」
時?そんな見るからに魔法使いですみたいな格好してるのに時を司ってるのか。
「こいつほんとに失礼ですね。そこまで言うなら…。ママ、水。」
「私、水じゃないわよ。まぁ、あげるけど。」
ママ?とやらはなにもない空間から突如水を作り出し、クロノスに渡した。
「信じられないなら信じられるようにしてやります。」
そう言うと彼女は突然、水を落としたかと思うと杖で地面を叩いた。その瞬間、水が空中で制止した。
「これが時を止める能力というのです。何らかの力で止まっていると思うかもしれないですが、それならお前、動くのです。動けるのならですがねぇ?」
確かに彼女のいう通り体がまったく動かない。水を止めている力と同様のものであるかもしれないがそんなものではないというのが感覚で理解してしまう。彼女が再び杖を叩くとまた水と俺の体は動き出した。
「なるほど。確かにこれは信じるに値する能力だ。」
「何で上から目線なのですか!」
「それでクロちゃんどうしたの?」
「やめるです、ママ。二人がいつも競いあっているのは分かるのですが、二人がこんなところに来たら、ここの性質が変化してしまうのです。下位の神々の交流の場なんて本当に数が少ないのですから一旦、ここは解散するです。」
「でもよお、クロ。早くどっちになるか決めてくれなきゃこいつ消えちまうぜ。」
「そこで、良い案があるのです。こいつには私の作った世界で記憶を残したまま転生してもらいます。そこで魂を安定させ、100年ほどですか?どちらになるか考えてもらいましょう。我々、神の感覚では100年なんて誤差。貴方のような人間には100年なんて十分な時間でしょう?」
「確かにそれは良い案だな。」
「クロちゃんの作った世界なら、私たちも滅多なことじゃ互いに干渉しないですし。」
「俺は、どっちでも良いぜ。最終的にこいつが従えばな。」
「それではそういうことで。あ、でもなにかプレゼントしといた方が良いんじゃないんですかー?私からは、言語を完璧に理解できる能力を授けます。」
「なら、私は…」
「おい。右手出せ。」
そうやって右手を出すとイケメンが手を繋いできた。そうすると、何かが入り込んできたような感覚を味わった。
「そいつは俺の力の一部。俺の部下になるなら俺の力に慣れといた方が良いからな。」
「あ、ズルーい。なら私もー。」
そう言って美人は俺の左手を繋いできた。同様に何かが入り込んできたような感覚を味わった。
「これで私の力も一部使えますねー。」
「良いのか?こんな風に。」
「そんな風に貰ったってことはあんた相当期待されてるわね。良いことじゃない。期待に押し潰されなきゃいいけど。」
「じゃあそろそろいってもらいましょうか。それじゃあ、頑張ってねー?」
そう言われた瞬間なんとも言えない浮遊感にみまわれ、俺は意識を失った。
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