8.王城では(王子視点あり)
先にこの国の醜い王子たちについて。
第二王子:アンドリュー・エゼルウェルド
第四王子:アレクサンダー・エゼルウェルド
第五王子:レオナルド・エゼルウェルド
第六王子:マシュー・エゼルウェルド
第七王子:オリヴァー・エゼルウェルド
第九王子:ブラッドリー・エゼルウェルド
第十王子:アイザック・エゼルウェルド
分からなくなったらこの一覧を見てください!
〈王城では〉
「王よ。こちら、ノルマンディ家からの手紙でございます。」
王に仕えている男性の1人が丁寧に折られた封筒を渡している。
「ほぅ……ノルマンディ家から。」
王であろうその人は、男性の言葉を確かめるようにもう一度呟いてから、その重い封を開けた。
挨拶から始まるその手紙を3行ほど読むと、
「内容は………なんだと!?どういうつもりだノルマンディ……!アイツの顔に耐えられる人間なんている訳がないと理解しているだろうに…!」
王は激昂した。その様子に周りの人間は、アイツに心当たりがあるのか怪訝そうに王を見つめた。
「もしや今まで社交界に出てこなかったノルマンディ家の次男は、アイツらと並ぶほどに醜いと言うのか……?」
わなわなと震え始めた王は、手紙の意図が全く分からず思考を放棄する。
「今すぐアンドリューを呼べ!」
そう叫んだ王に、使用人たちは急いで第二王子を呼びにいかなければならなくなったのだった。
〜第二王子視点〜
僕たちがお茶をしている時にそれは起こった。
僕はアンドリュー・エゼルウェルド。エゼル王国の第二王子。今日は僕たち兄弟……といっても、世間で醜いと言われている王子だけだけど。その醜いと言われている王子たちでお茶をしている。
最初の方は第一王子なんかも誘っていたけれど、醜い者と一緒の空間にいたくないと言われてしまってはそれ以上誘うことも出来ないだろう。
なんて考えていると、
「おい兄上、聞いてるか?」
と声が。今話したのは第五王子のレオナルドだ。
「あ、ああ。聞いてる。考え事をしていた」
第一王子のことなんて考えていても仕方ない。もう何年も罵倒の言葉しか聞いていないし。
この空間でだけは普通の人間でいられるのに、考え事なんて馬鹿なことをした。
コンコン
その時いきなりノック音が鳴った。誰だろう?この部屋には入ってこないように言ってあるはず。そうでなくても誰も入ってこようとはしないが。
「……?入れ」
不思議に思いながらもそう呼びかければ、
「失礼いたします。国王陛下が第二王子殿下をお呼びです。」
そう言われて固まる。なんだって?
「父上が……!?」
ふだん国王陛下が僕を呼ぶことなんて全くもってない。国王陛下は僕たちに関心がないどころか、王家の汚点とまで考えている。
僕が混乱していたら、同じ様に考えたのかアレクサンダーが驚いたように口を開いた。
「父上が兄上を呼ぶなんて、一体何が…?とにかく、早く行った方がいいですよ」
確かにその通りだ。父上は僕たちに待たされることを酷く嫌う。
「あ、ああ。すまない、席を外す」
そう言って椅子から立ち上がり、国王陛下の元へ向かった。