7.えっ、父さん?
目を閉じて思考を休めていると、ふと物音がした。思わず目を開けてそちらを見ると、そこには体格の良いダンディーな男の人が立っていた。
……?誰だろう。
「おいアル、何を見ていたんだ?その資料は…」
アル呼び?馴れ馴れしいな……よく知っている人なのか…?と思いつつも答えてやる。
『この国の王子の資料を……』
そこまで言うと男性は思い出したかのように手をぽんっと叩くと、
「王子ィ?ああ、なるほど。お前もそろそろ恋人の1人や2人つくる年頃か。…と言ってもお前、王子は流石に難しいんじゃないか?この国で1番の人気だぞ。まぁお前は顔が良いからいけるかもしれないが……」
ま、待て待て!勝手に色々と推測されているが、なんだか色々と勘違いされている気がするぞ。
『王子だとやっぱり厳しいんですか?』
「そりゃそうだ。王子の顔は本当に麗しいからな。だけど俺の家も貴族だ。お前が会いたいと言うなら、父さんが手伝ってやってもいい」
父さん……?父さんって……父親!?!
この人がか……!というか、王子に会わせてくれるって言ったか!?
とりあえず1人ずつ会うべきだよな。全員一気に会うとゆっくり話が出来ないし。
『じ、じゃあ父さん。まず……第二王子と会ってみたいんですが……』
そう言うと父さんは、目を思いきりひん剥いて、驚いたようにこちらを見た。
「だ、第二王子!?あ、アル……資料を見たんじゃないのか……?」
『資料は見ました。見てもなお会いたいんです』
俺が言いきると父さんは更に驚き、目をキョロキョロさせて震えた声で俺に問うた。
「お前まさか……王家の醜い王子様方が平気、なのか……?」
『はい』
一息で言いきる。そもそもあんなに美形なのに何処が嫌なんだよ。
「そ、そうか……まぁ、父さんは、お前がいいなら気にしないが……じゃあ、その、第二王子との会食を取り付けておこう」
よっし!父さん有能すぎるだろう。しかし、会食とは良い…、(この世界であるのか分からないが)仮面やヴェールを付けられると顔が見られないからな。その点、食事中なら絶対に顔を晒さなければいけないだろう。
まぁ、もし仮面を付けていたとしても、口説き落として外してもらえばいいだけだ。俺はいつからこんなにタラシ思考になってしまったのか。
父さんと別れて資料室を出ると、もう夕頃になっていたので、俺はご機嫌に部屋まで戻りベッドに飛び込んだ。
「(会食はいつ頃になるんだろう、はぁ、第二王子に会えるのが楽しみだ……)」
俺はそのまま眠りについた。
次の回は王子視点になるかもしれないです。
次回もよろしくお願いします。