3.使用人を観察する
外に出ると、
「すまないアル、忙しいから俺はもう行くな」
忙しいのに俺が出てくるのを待たせてしまっていたみたいだ。母はそれだけ言うと長い廊下を優雅に歩いていった。
残された俺はと言うと、
『……ふむ、』
廊下でちらほらと仕事をしている使用人たちを見つめていた。
初めは頑張ってるな〜くらいの気持ちだったのだが、顔を見ていくと少し問題が起きた。
男の使用人のことを、〘可愛い〙と思ってしまったのだ。……いや、これは大問題だろう。俺は前世では普通に女の子が好きだったのだ。なのにだ、男を可愛いと思った。それも中性的とかでもなくしっかりとした体格の男を。
これはガチだよな、多分。
もしかして、いやもしかしなくても、今世の感覚が俺に混ざっているせいか……?
この世界では男しか好きにならないということか…?いずれ結婚しなくてはいけないからその感覚は無くてはならないが……。
使用人の顔は多少濃いめのまぁまぁ顔だ。美醜感覚については前世のままらしい。おそらくだが、恋愛対象が男か女かということだけ今世の感覚に引っ張られているみたいだ。
これでは本当に俺が男を好き、みたいな……。
……考えても無駄だな。感覚の問題なのだから。
郷に入っては郷に従えと言うし、この感覚に頼ってみることにしよう。思うがままに生きよう。
そうと決めたところで、
『昼食をいただきたいんだが、』
使用人に話しかけてみる。朝、俺がいなくても大丈夫だったということは、この家は家族全員でご飯を食べる訳ではないみたいだし。
昼食も1人で食べて大丈夫だろう。
「あっ、……っ昼食でしたら、弟君様……エディ様がティールームでご一緒したいとおっしゃっていましたので、エディ様のお部屋に寄られた方がよろしいかと思います!」
顔を真っ赤にしてどもりながらも必死に言葉を紡ぐ執事さん。
エディというのは弟のことなのか。どんな仲だったのだろう?道がいまいち分からないからどうしようもないんだよな……。
『そうか……なら、案内してくれるか?』
「は、はい!勿論です!」




