24.受け入れてくれた人(王子視点)
良ければ次に出して欲しい王子をコメントで教えていただきたいです!人数多くていつも悩むので。来なかったらオリヴァー王子のみになりそうです。
〜第六王子視点〜
「…すみません、なんだか色々と口出ししてしまって」
改めて考えると、いくらこの国の花束の決まりを聞かれたからと言って、関係もないのに話しすぎましたね……。
そう思ったので謝罪をしましたが、優しいアルバートさんのことですから口出しされたとは思っていないのでしょうね。
『いや、色について教えてくれて感謝している』
………やっぱり。
この国で色について知らない人は珍しいから、私も久しぶりにこんな話をしました。アルバートさんのような美形からでしたらどんな色の花を送られても嬉しいでしょうけど、何も知らずに赤い花なんかを送ると大変なことになりますからね。
「……えぇと、それじゃあ、花も決まったみたいですし私はこれで…」
これ以上用もないのに一緒にいるのもどうかと思い、私は帰ることを決めました。
『良いのか?何も買ってないみたいだが、』
どきっとしました。その通り、今日は裏庭に植えるための花の種を買いに来たはずだったのですが……。正直アルバートさんに会ってしまっては、花を見るどころじゃありません!
「ええ……その、今日はもう、胸がいっぱいなので良いんです。」
アルバートさんが不思議そうな顔をしていますが、本当に今日はその顔を見ただけでいっぱいいっぱいなんですよ…。
私がそう言うと、アルバートさんは思案したように私の目を見て…………こんなことを言いました。
『…そうだ、帰るのなら最後に……顔を見せてくれないか?』
私は一気に顔が青ざめて、無意識に後ろに下がっていました。いちばん、おそれていたこと。
顔に頓着がなくても、誹謗中傷を受ければ悲しいものです。それも、アルバートさんとなれば余計に。
分かっています。アルバートさんは優しいから、もしかすれば受け入れてくれるかもしれないと。
けれど、それでも、怖い…………。
『理由があって隠しているのなら無理にとは言わないが、ずっと話していた人の顔も知らないのはな……。それに今度会った時、マットだって分からないかもしれないだろ?』
そう言われて、取り乱していた頭がスっと冷えた感覚がしました。
そうでした、私ってば自分のことばかり考えて。
普通に考えれば分かることでした。アルバートさんからすれば、さっきから話していた人の顔が分からないだなんて怖いでしょうし、次に会った時…いえ、顔を見られれば次会うことなんてないかもしれませんが………もしフードを被っていなかったら、私に気付いてもらえない…。
「そう…ですよね。顔の見えない人と話すのは不安ですよね……。では、顔をお見せしますが……気分が悪くなったら、すぐに言ってくださいね。」
私はそう前置きをしてゆっくりとフードを外しました。
パサリと音がして、自分の視界が広くなったのを感じます。この花屋にあまり人がいなくて良かったです。もしいたら、パニックになってしまって店を追い出されるところだったでしょう。
「……あの、すみません。やっぱり気分を害されました、よね……?」
何故ずっと黙っているんでしょうか……気持ち悪いならそう言ってくださればいいのに。こうやって黙られるのが1番不安になります。そう思った私がフードを被ろうとすると、アルバートさんはハッとしたように待ったの声をかけてきました。
『フードなんて被らなくていい。俺はお前の容姿なんて気にならない………まぁ、綺麗な瞳だとは思ったがな。』
容姿が気にならないって本当に?疑わしい気持ちがありつつ、瞳が綺麗だと言われたことに対してお世辞であったとしても嬉しいものがあります。
それと同時に、アルバートさんが私の瞳をじっと見つめていることに気付いてじわじわと瞳が熱を持ち始めました。
うぅ、なんだか恥ずかしいですね…。
「あ、あの…そんなに見つめられると……。」
顔を赤らめたままボソボソと呟くようにして言うと、謝罪の言葉と共にまた瞳を褒められました。
『ああ、いやすまない。綺麗だと思って見入ってしまった。』
「……………、顔全体のことじゃなくて、瞳が綺麗だと褒められたのは、初めてです………」
この国は顔しか見てくれませんからね。顔全体の大きさや薄さが重要なのであって、パーツの色や形は関係ないですし。
そう思っているとアルバートさんが思い出したかのように、
『あ、引き止めて悪かったな。帰るところだったのに。』
と話を戻してくれました。………でも、
「そうでしたね。帰ろうとしていたのでした………なんだか顔を見せた後では、離れるのが惜しいと思ってしまいますね」
この顔が受け入れられる人なんてなかなかいないですし、顔を見せて話すことも普段あまりさせてもらえませんから。せっかく平気な人と会えたんですから、もっと話したいです。
私はそういうつもりで言ったのですが、言った後アルバートさんの顔を見ると、ほんのり赤くなっているような気がしました。なんででしょう?
顔を隠すように腕を上げたアルバートさんが注意するようにこう言いました。
『……マット、俺だから良いが、そういう事はあまり簡単に言うものじゃないぞ。』
あっ、えっ…!!そ、い、今の言い方では、もっと一緒にいたいですって、言っているようなものじゃないですか!?
「ちが、違います。今のは、その、えぇっと……」
慌てて弁解しようとしましたが何も違わないので、言葉が出てこなくなって黙りこくってしまいました。
『ふ、ははっ、わかった。聞かなかったことにしてやるよ。』
そんな私にも笑って聞かなかったことにしてくれると言うアルバートさん……なんて優しい…。
「本当ですか!……お願いします。こ、こんなこと言うつもりじゃなかったんですよ……」
願ったり叶ったりだ!と前のめりで頼み込む私。この時は本当に、恥ずかしさで正気じゃなかったんだと思います。
『わかったって。だから落ち着け。』
焦る私を落ち着かせようとしたのでしょう。なんとアルバートさんが、わ、私の頭を…撫でてくれました。
人に頭を撫でられたことなんてないので緊張しましたが、途中からは気持ちよくなってきて目を細めたままそれを受け入れました。
「…………ん、」
自分からこんなにも間抜けな声が出てくると思っていませんでした。きっとこの声のように、顔もだらしなく緩んでいることでしょう。
ずっと撫でてもらいたかったですが、店にいる数少ないお客さんから妬まれている感じがしたので仕方ないですが止めてもらうよう進言します。
「あの、そろそろ手を…」
そう告げるとパッと離れてしまう大きな手。……やっぱり、離れるのは寂しいかもしれません。
「で、では、今度こそ、帰りますね。話したのは少しだけでしたが、すごく…楽しかったです。」
『ああ、俺も楽しかった。また会えたらよろしくな。』
初対面でとても怪しかった私にもそう言ってくれるんですね…。本当に優しい…通りで兄上が惹かれるはずです。
きっと兄弟みんな、いずれあの人に惹かれるでしょうね……その時は、私もあの人の特別になれるでしょうか?
前書きで書いた通り、コメントに良ければお願いします!




