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2.父なのか母なのか

突然のノックの音に驚きながらも、扉に耳を傾ける。


「アル?今日は部屋から出てきていないけど、大丈夫なのか?」


少し高めの、綺麗な声の男だった。ああ、よく考えれば、考え事をしていたせいでずっと部屋に閉じこもっていた。今は何時だろう?


そして……アルというのは、俺のことだよな?家族のようだから、愛称がアルなのだろう。


「アル、聞いているか?入るぞ?」

ガチャ

そうこう考えている内に、返事をしない俺を怪しく思ったのか、入って確認することにしたらしい。


入ってきたのは、少しはね気味の茶髪の髪を揺らつかせながらこちらを見る、俺によく似た薄い顔の男の人だった。

『えぇっと……父さん……?』

顔が似ていたので家族だと言うことを確定させ、おそるおそるそう話しかけてみる。


そうするとその男の人は怪訝そうな顔をして、

「どうした?まだ寝ぼけてるんじゃないのか。母さんを父さんと間違えるなんて。」


俺はピタリと固まった。

え?この体格の良い男の人が母さんだって?


と思ったところで、思い出した。この世界には男しかいないことを。

そうか、男しかいないから、父も母も男なのか。衝撃の事実だ。分かっていたはずなのに、改めて母さんだと告げられると何だか思うところがある。


つまり俺はとんでもない失言をしてしまったのだが、幸い母さん(?)は俺の事を寝ぼけていると思ってくれているようだ。ついでに寝ぼけたふりをして、知っておかなければいけないことを聞いておこう。


『……母さん……?俺の名前ってなんだっけ……』

欠伸をしてみたりしてどうにか寝ぼけている感を装う。


「はは、これは完全に寝ぼけてるな、自分の名前を聞いてくるなんて。お前はアルバート・ノルマンディだろ?ほら、そろそろ起きなさい。」

アルバート・ノルマンディ。俺の名前らしい。


だからアルか……。アルバートなんて、格好いい名前だな。


『……すみません、寝ぼけていたみたいです。着替えるので、外に出ていてもらっても良いですか?』

そうは言ったものの、外に出させる必要あるのか?男同士だよな一応……。いや、母さんだからもしかすると女性のような扱いかもしれないし。


「あ、ああ。そうだったな。すまない、」

この反応を見る限り、普通に気にするようだ。よく考えたらそれはそうだよな。男しかいないせいで、周りにいる誰もが恋愛対象になってしまうんだから。好きな人の前で着替えるかって話だ。


使用人はいるみたいだけど、着替えの時は手伝わないみたいだ。髪のセットや、身だしなみには手を出すが、着替えは手伝わない。……まぁ男の服に手伝わせるような難しい物はないしな。


よし、着替えられたから外に出るか。

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