18.王子は会いに行く(王子視点)
〜第七王子視点〜
僕はオリヴァー・エゼルヴェルド。エゼル王国の第七王子。……とは言っても、国民に望まれていない方の王子だけど。
顔は醜く生まれてしまったけれど、僕は馬鹿共とは違う。泥臭くても何でもいい。貴族共に媚びを売って、取り入って、必ず僕を馬鹿にした奴らを見返してやる。
とくに第一王子。僕はあの人が大嫌いだ。世間一般からはいい王子……だとは思うけど、なんだか全てを手にしているような余裕な態度が鼻につく。
……まぁ、僕のことはどうでもいい。
今日も貴族と会うために王城内を歩く。僕以外の他の兄弟はあまり出歩かないから、積極的に外に出向く僕は珍しいらしい。
今日は部屋を出た時に、近くで騎士が噂話をしていた。なんだか盛り上がっているようだったので聞いてみると、悲鳴を上げながらも、物凄く美形な人に会ったのだと話してくれた。
………………そんなに美形な人なら、ノルマンディ家の可能性が高くないか?
ノルマンディ家は美形だらけの奇跡のような家で、元々の爵位も合わせると身分がかなり高い。
ノルマンディ家と関わりを持つことは、全貴族の憧れだ。先日うちの兄が、その憧れになったわけだけれど。
でも、ノルマンディ家と関わりを持つことは困難だ。主人は基本的に昔からの仲の人を贔屓する節がある。夫人はあまり家から出ない。長男は隣の国に長いこと留学している。三男はまだ子供だ。子供の段階で政治に巻き込もうとすると、主人に目を付けられる可能性が高い。
……次男は、謎としか言えない。社交界やパーティーには出ないし、正直顔も見たことがない。
本当は醜いという噂もある。でもノルマンディ家の次男であるからには、やはり顔は美形なんじゃないかと僕は思う。
考えていたって仕方ないか。ノルマンディ家の誰かがいるとするなら、見に行ってみよう。あわよくば知り合えたら最高だ。
王城に来たら行きそうなところは……図書館か?
ここの図書館はかなり大きいから、可能性が高そうだな。
スタスタと王城の廊下を歩く。周りからの嫌悪の視線にも慣れたものだ。
図書館……何回見ても大きい。この大きさだと人探しは難しそうだけど……。とりあえず近くの本棚の周りを探そうとした時________
……ん、目の前に人がいることに気付いた。入口付近で辺りを見回している人がいたみたいだ。
……貴族の服装だな。よし、何か困っているみたいだし、取り入るチャンスだ。声をかけてみるか。
僕は得意の作り笑顔を浮かべると、ゆっくりと近付き声をかけた。
「どうなさいました?」
僕が声をかけるとその人は僕の方を振り返った。
…………………………え、えっ、えぇっ?な、なんだこの人…………今までに見てきた貴族の比じゃないくらいの美形じゃないか!?
……手元に許可証のプレートがあるな。少しずつしか読めないが……。アルバート……、ノルマンディ……。やっぱりノルマンディ家の次男か。そうでもないと説明がつかない。
大当たりだ!1番繋がりが欲しかった所と会えるとは。兄上と会食をするくらいだし、僕とも話してくれる可能性は高い。次男だったところもラッキーだった。
僕がそんなことを考えていると、目の前の男は焦ったように
「っオリヴァー殿下においてはご機嫌麗しく……」
と挨拶をしようとした。
それを聞いた僕は、ここからどうやって好感度をあげるべきか考えて、返事をした。
今回短くてすみません。第一王子のように、ここから少し第七王子視点が続きます!