16.王城で出会う
会食が終わって数日後…………帰ってから俺が知ったことがある。この国のことだ。もちろん貴族的な階級制度はあるのだが、それ以上に美醜の位付けが強く、俺みたいな顔の極端に良い(笑)貴族は自由に王城に出入りしていいらしい。
大丈夫なのかそれで。ガバガバだけど。
と心配したが流石に顔が良ければ誰でも入れる訳ではなく、顔立ちがはっきりし始めた年頃で申請し、認められれば出入り可能になるとか。(俺もしたらしいけど記憶はない)
先に言って欲しかったよな、普通に。
まぁでも王子たちはあまり城を出歩かないらしいし、会えるかと言われると微妙なんだけどな。
というわけで!今日は王城に行こうと思う。ああ当たり前だけど王城に入れるって言っても許可なく王や王子の部屋に入るのは禁止だぞ。プライバシーの侵害だからな。暗殺とかも怖いし。
入っていいのは王城の施設……庭園とか図書館だとかちょっと離れた騎士団の練習場とかだな。
俺は腕もたつし、1人で馬で王城に行こうとしたんだが、母さんがすごい勢いで止めてきたので仕方なく馬車に乗って行く。
「つきました」
その声が聞こえたので馬車を降りる。
二度目の王城に足を進める。門番に許可証であるプレートをもらい、城の中に入る。
図書館はどこだろうか。その辺りにいる人に聞いてみるか。
『あの、図書館は何処でしょうか?』
そう声をかけるとその人はびくりと体を揺らし、信じられないような顔でこちらを見た。
「え、あ、あの、と、としょかん、図書館なら、そこを曲がって真っ直ぐすすめば、」
どもりながらも知りたい情報は分かったので
『ありがとうございます』
と微笑みながらお礼を言ってその場所を去る。
後ろから倒れたような音がした気がするが気の所為だろう。
言われた通りの方向に進むと、図書館らしき大きな部屋があった。
いやてかデカすぎないか?しかも壁一面に本なんだが……。これ、迷子になりそう。
きょろきょろと周りを見回していると、
「どうなさいました?」
誰かから話しかけられた。俺が振り向くとその人はぎょっとした顔をした。て、いうか……この人、第七王子のオリヴァー殿下じゃないか!?
当たり前だけど、やっぱり王城にいるんだな……!?とにかく急いで挨拶しないと…。
『っオリヴァー殿下においてはご機嫌麗しく……』
そう言いかけると、
「ああ、いや、挨拶は大丈夫ですよ。王子なんて飾りだけですから。」
柔らかくそう言ってくれた。ニコニコと人の良さそうな笑みを浮かべるオリヴァー殿下……でも何だか、嘘っぽい感じがした。
『そうですか?では、挨拶は省かせていただきますね。』
殿下が良いって言うなら良いんだろう。
「ところで、何かお困りの様でしたが……」
そう聞いてくるオリヴァー殿下。しっかし……オリヴァー殿下も顔がいいな……。王子って何なんだマジで。美形集団か??
『見られていたんですか。いえ、初めて1人で王城に来たのですが、王城はとても広いので迷ってしまいそうだなと思いまして。』
正直に告げるとオリヴァー殿下は、少し考える素振りを見せて、
「では僕が案内しますよ、貴方は王子の僕からしたら客人にあたりますから」
なんて提案をしてくれた。前世一般人の俺からしたら王子に案内させるとか正気?って感じだけどもう少し殿下と話したい気持ちもあるし……。
「そう、ですね………………では、お願い出来ますか?」
今世の感覚が前世の感覚に勝利した瞬間だった。