1. 愛
愛
グイリ語 ペンム peimmu
レンゾ語 ペーム tspauemr
ゲルギ語 クェンド iqendo
ジェーイェー語 パー pa12
カザベダ語 ジャカイェ djwakaye
愛という単語は必ずしも良い意味で用いられるとは限らない。ジェーイェー語圏のほぼ全域ではジョー教が信奉されており、そこでは愛は避けるべき迷妄として説かれる。一方レンゾ語、ゲルギ語圏の大部分はシンレ教が支配している。そこでは盲目的なまでのひたむきな愛を神に向け、人に対しても親愛の情を忘れないことが理想視される。カザベダ語圏、グイリ語圏はシンレ教メルド派が優勢である。神への愛を性的な愛と同一視しがちだった主流派を批判し、より理知的で冷静ながら強い「愛」を向けることを目指した。
上に挙げた単語は一般的な「愛」を表すものである。特にゲジェン語族の四言語については同源語を選んだ。宗教的な文脈では異なる語が用いられることも少なくない。
グイリ語でメルド派的な「愛」は reibbu レッブ、批判対象となる性愛的な神への愛は seddo シッドと言う。ちなみにメルド派が認める神から人への愛は seinallo セナッロ、人間の間の愛は reinallo レナッロである。
レンゾ語で神への愛は pkhasd セドである。これはグイリ語の seddo と同源である。そして人への愛は bsremdakw デゴである。
ゲルギ語で神への愛は neilmorqendo ネリモルクェンド、人への愛は kenmorqendo ケンモルクェンドである。
ジェーイェー語では、ジョー教で性愛 pe15 ペーをはじめとする愛が迷妄とされる一方、聖者を理解しようと思う感情 bede21 ベーデーや友情 ra9 ラーは価値を認められる。
カザベダ語でメルド派的な「愛」は marahwe マラヘ、性愛的な神への愛は zwadamwe ザダメ、神から人への愛は nanarwe ナナレ、人間の間の愛は manadye マナデとなる。
人の名前に「愛」と付ける習慣はジェーイェー語以外の四言語の話される地域でよくある。その場合、グイリ語で reinallo レナッロ、レンゾ語で bsremdakw デゴ、ゲルギ語で morqar モルクァル、カザベダ語で manadye マナデが一般的である。ゲルギ語の morqar モルクァルは雅語で、人名以外で用いられることはほぼない。
愛に関してここで挙げたものはごく一部であることを承知いただきたい。言うまでもなく、兄弟姉妹愛、動物への愛、友愛など愛の形は様々である。それらには別の単語が用意される場合もあるし、複合語を形成することもあり、修飾語を付して二語以上で表すこともある。




