16. 黍
黍
グイリ語 nogga ノッガ
レンゾ語 msrobkna ノガー
ゲルギ語 zeirnoiga ゼリノギア
ジェーイェー語 nye6 ニェー
カザベダ語 bereberye ベレベレ
広い範囲で主食とされる穀物である。また油(グイリ語 neiga ネーガ、レンゾ語 msrobknwasmr ナゴム、ゲルギ語 nenoiga ネノギア、ジェーイェー語 nye12 ニェー、カザベダ語 mwu berwu ム・ベル)を採取することができる。一般にほのかな甘みを帯びる。一部の種は酸味や辛味をもつ。苦味をもつものもあり、毒黍と判別困難である。
辛い黍はどの言語でも「聖なる黍」という古い呼び名を持ち(グイリ語 nogga deigo ノッガ・デーゴ、レンゾ語 msrobkna dywezgyg ノガー・ザージュ、ゲルギ語 dirnoiga ディルノギア、ジェーイェー語 nyela6 ニェーラー、カザベダ語 serekwu bereberye セレク・ベレベレ)神秘的な力を認められた。
現代の諸呪術体系は辛い黍の魔力を認めないことも多い。獣や病気を退ける力があることは確かであり、魔力を認めない場合ほかの説明を付すことになる。獣を退けるのは、人には効かない毒をもつためとされる。
黍は多くの島で食生活に深く根付いている。ほかの食材にも行なう調理法であっても、黍にしか使わない語が用いられることがある。また同じ黍でも時期や状態によって言い分ける習慣が各地にある。農村以外でも通じるものとしてグイリ語の eibbo エッボは若い黍を指し rango ランゴは収穫後処理が甘い黍を指す。これらは商品価値が低いと見なされることもあり、逆に高いと見なされることもある。
多様な黍が豊穣神により与えられたものとする起源譚はあちこちに見られる。死者が土を肥やすことからか、血なまぐさい色合いを帯びることもある。実った黍が並んで、太陽を浴びるさまは、豊穣神が黍色の髪の毛を揺らすものと歌われる。豊穣神は数々の名で呼ばれ神格も複雑多様である。その多くは正確な起源を辿り難い。黍を指す語と明らかに関連するものは多い。
諸民族の平定、もしくは征服は繰り返し行なわれた。その際しばしば征服者は豊穣神の信仰を読み替え吸収したという。このことにより神格の複雑さを説明することがある。なお豊穣神は征服者の神よりも人気を集める傾向が強かった。
人名としては地理に由来する家名・称号に多い。ゲルギ語圏で kendzeirnoiga ケンドゼリノギアは最もよく見られる家名の一つである。男性の個人名として「黍を育てる」「黍の男」などが、女性の個人名として豊穣神の名前が、ありふれた名前である。都会ではそのように命名するのを嫌うこともある。




