15. 海樹
海樹
グイリ語 geidomo ゲドーモ
レンゾ語 ksvamdwadment ガダマーン
ゲルギ語 memeira メメリア
ジェーイェー語 pyede9 mi18 ピェーデー・ミー
カザベダ語 djyarijwa ジャリジャ
海に生える巨大な樹である。南東海地域に特によく生えている。そばに渦があることが多いため近づきがたく、その生態は不明な点が多い。海水中で枯れないことから豆の仲間なのではないかとも言われる。普通の樹のように種類があり、気候か何かの条件で葉を落としたり、葉の形や枝ぶりに特徴があったりする。広葉樹に似たものが最もよく見られる。
伝承によれば、海樹には蟹(グイリ語 meigide メギーデ、レンゾ語 bnbeasdent ミダン、カザベダ語 djwerugwu ジェルグ)という動物が住んでいるという。これらは虫に似ていて、虫の背中よりも硬い甲羅(グイリ語 diguddo エグッド、レンゾ語 zkargrwant セゴーン、カザベダ語 dwedjerugwu デジェルグ)で身を覆っている。奇妙なことに、目がついている方に歩くことがなく、横に歩くのだという。
海樹は海をゆく者にとって有用な目印となることが多かった。旅路を導き、近づく者を渦に飲み込む海樹は、昔話の鬼に擬えられることがある。古い信仰体系では神として扱われることも少なくなかった。今でも海樹を崇敬する人は多い。一時はシンレ教の弾圧を受けつつも、最近は大きな衝突がない。
樹があるならば海に森があってもおかしくあるまい、という発想が古代の想像力のうちにあったか、海の森の昔話というものが各地にある。そこに迷い込むと、代価なしに出ることができないという。そのような森は確認されていない。
このような海樹の上にも人が暮らしている。渦がない時間と場所を知っていて、そこから水馬に乗り、外と交流するのだ。だがその人々のことも多くが知られているわけではない。今の海洋世界に住む人々に、樹上人の血が入っているとも言われる。
樹上人の血を引き文化を受け継いでいると主張し、注目を浴びようとする者もたまにいる。実際に受け継いでいるかどうか分かる者はほとんどいないので、名乗った者勝ちの状態である。
海樹にまつわる家名は多い。樹上人に起源を持ったり、そのように主張していたりすることとは必ずしも関係ない。また行商人や旅芸人など海上を移動する人々が名付けに使うこともある。その場合、地域にもよるものの、女性名が多いようではある。
蟹は名付けには使われづらい。家名に含む者は一定数いる。蟹にちなんだあだ名がつけられる場合、いい意味では「知恵者」、悪い意味では「ひねくれ者」といったイメージのようである。




