11. 美
美
グイリ語 rango ランゴ
レンゾ語 tsrambdotbw ランゴ
ゲルギ語 gountrangoira グントランゴリア
ジェーイェー語 lape6 ラーペー
カザベダ語 dwarananwe ドラナネ
美を感じる能力は人間にとって生得的なのか、ということは複数の文化が接触を起こし始めた頃から議論の対象になっていた。その文脈で上の語は、生まれ育った文化によらず誰もが美しいと感じるようなものを表す。
文化に依存する美的感覚で感じられる「美」はグイリ語で borango ボランゴ、レンゾ語で tsrambdotbw srwasmrk ランゴ・トング、ゲルギ語で sedrangoira セドランゴリア、ジェーイェー語で lape12 ラーペー、カザベダ語で dwarwaganwe ドラガネとなる。
造物者の手による美と人の手による美を対比して言及する場合、レンゾ語とジェーイェー語では形容詞を添え、ゲルギ語では複合語を作る。グイリ語では古グイリ語からの借用で traku トラーク、treinu トレーヌという語を使う。非常に形式張った言い方で、日常会話ではまず現れない。カザベダ語では nyidwarnanwe ニドルナネ、nyidwarannwe ニドランネという語を使う。
レンゾ語、ジェーイェー語、カザベダ語では「これに美が属する」「これは美を持つ」という言い回しが物事を褒めるのによく使われる。
また、時に合わせた挨拶をする地域では「美しい朝、昼、夕……」などが普通である。さらに手紙文では時候の挨拶を冒頭に置くことがあった。今ではあまりないようであるが、名残として「美」と一言添える習慣が広い地域に残っている。その語の選択肢には上に挙げたものたち以外にも多くの変種が存在する。
上掲の普遍的な美を意味する語はそのまま美の神の名前にもなる。なおここでいう神とは全能の神や概念上の神ではなくそこらにいる神である。美の神は定まった姿を持たない。ただ美しいということだけが決まっている。
一般に美術の上での符号として、神や偉人を特定するため決められた物とともに描写するということが行われる。美の神の場合バナナの樹や細く長い髪が有名だが、実際にこうしたものを伴って現れるわけではない。
人の名前としては、一般名詞を命名に用いる習慣がないジェーイェー語を含め、ほとんどの文化圏で好まれる。男女を問わず、幼名でもあだ名でも成人としての名でも人気がある。屋号にもなるが、自ら名乗ることはあまりない。




